プジョーRCZ▲プジョーの歴代ラインナップの中で、初めて数字以外の車名が用いられたRCZ。流麗なボディラインはスポーティでエレガントだ

プジョー RCZの中古車は今

ハッチバックのプジョー 308をベースに開発された、スポーティクーペのRCZ。

トランスミッションは6速ATと6速MTが用意され、ATは右ハンドル、MTは左ハンドルになる。ミッション形式により最高出力・最大トルクが異なるのも特徴だ。

流通している中古車は約80台。平均価格は159万円となっており、4分の3を占めるAT車はMT車より価格が低めで手に入れやすい。

ここからはRCZの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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RCZ(初代)の特徴と中古車相場

■RCZ(初代) DATA
生産期間:2010年7月~2016年12月
中古車流通量:約80台
中古車価格帯:80万~320万円
ボディサイズ:全長4290 × 全幅1845 × 全高1360mm
 

プジョーRCZ ▲FF(フロントエンジン・前輪駆動)、4人乗りのスポーツクーペ

■RCZ(初代)の特徴
2007年のフランクフルトモーターショーで、308RCZコンセプトというコンセプトカーが公開された。

付けられた車名からもわかるように、プジョーの基幹モデルであるハッチバックの308をベースに開発された2+2のFFスポーツクーペだった。

その後、308RCZはほぼ姿を変えることなくRCZとして市販化。2010年7月に日本導入された。
 

プジョーRCZ ▲両サイドが盛り上がる独特の形状のダブルバブルルーフ

流麗なボディラインの中での大きな特徴は、AピラーからCピラーまで緩やかな弧を描くシルバーの“アルミナムアーチ”、そしてルーフからリアウインドウにかけあて中央がくぼみ、2つの山があるようなデザインの“ダブルバブルルーフ”だ。

ダブルバブルルーフは、スポーツカーでヘルメットをかぶった状態でも乗り込めるようにしたもので、プジョーはそれをデザインの中に落とし込んだのである。

フロントフェイスには、当時のプジョーらしい切れ長のヘッドライトが与えられた。リアコンビライトもヘッドライトとデザイン的な共通性をもたせた縦長のものが採用されている。
 

プジョーRCZ ▲前席にはホールド性の高いシートを採用

インテリアはベースとなる308と共通な部分が多いものの、専用シートなどでスポーティな中にモダンでエレガントなイメージを盛り込んだデザインになっている。

リアシートのスペースはかなり狭いため、実質的には荷物置き場と考えた方がいいだろう。一方で、リアシートの背もたれを倒せば荷室スペースをかなり拡大できるようになっている。

搭載エンジンは308にも搭載される1.6LのDOHCツインスクロールターボで、トランスミッションは6速ATと6速MT。6速AT仕様は右ハンドル、6速MT仕様は左ハンドルになる。

6速ATは最高出力156ps、最大トルク240N・m(24.5kg-m)に。6速MTは最高出力200ps、最大トルク275N・m(28.0kg-m)を発生。

走行中は速度に応じてトランク部に設置されたアクティブリアスポイラーの角度が自動で変わり、ダウンフォースを稼げるようになっている。
 

プジョーRCZ ▲メーター類はスポーティで機能的なデザイン

RCZは約6年半のモデルライフの中で、いくつかの特別仕様車や限定車の追加、そしてマイナーチェンジを行っている。主要なものは下記のとおり。

■2011年6月 特別仕様車を追加
「アスファルト」
「ブラック・エディション」

■2012年6月 限定モデルを追加
「ブラウンストーン」:20台限定

■2012年10月 限定モデルを追加
「オニキス」:30台限定

■2013年6月 マイナーチェンジ
フロントフェイスにブラックライトユニットを採用したバイキセノンヘッドライトなどにより、精悍なイメージを際立たせている。

インテリアはライトブラウンの内装色を新設定。これまでのブラックに加え、ツートーンレザーシートも選択できるようになった。

また、「カーボンループパック」、「インテグラルレザーパック」、「カーボンルーフインテグラルレザーパック」というパッケージオプション設定。これにより、スポーティでエレガントな仕様に仕立てることができるようになった。

■2013年9月 限定モデルを追加
「マグネティック」:アルミナムアーチを含めて内外装を黒で固める。100台限定

■2014年4月 限定モデルを追加
「R」:プジョーのモータースポーツ部門であるプジョースポールによりチューニングを施されたハイパフォーマンスモデル。150台限定
 

プジョーRCZ ▲「R」はハイパフォーマンスモデルである証しとなるエンブレムが、シートとセンターコンソールに付けられた

搭載される1.6Lターボは最高出力270ps、最大トルク330N・m(33.7kg-m)を発生。トランスミッションは6速MTになる。この数値を実現するためにピストンを新設計。ターボも大型化されている。

足回りにもRに相応しいチューニングが加えられた。これにより、車高はノーマルより10mm下げられている。駆動方式はベースモデルと同じFF になる。

ブラックを基調としたインテリアはシート、ドアトリム、ダッシュボードなど随所にレッドステッチが施された。

ナッパーレザー&アルカンターラのシートはバケットタイプで、シートバックにはRの刻印が施される。この刻印はセンターコンソールにも取り付けられた。

■2014年10月 限定モデルを追加
「レッドカーボン」:右ハンドルの6速ATに、カーボンルーフやマットブラックのルーフアーチ、レッドステッチを施したナッパーレザーインテリアなどを付与したモデル。80台限定

■2015年7月 新グレード追加
「GTライン」:スポーティな内外装を与えた新グレード
 

プジョーRCZ ▲プジョーの新たなグレード展開の先陣を切った「GTライン」

エクステリアにはGT Lineのロゴが入った専用グリル、19インチアロイホイールを装備。トランスミッションは6速ATと6速MTが用意され、左ハンドルのMT車にはダブルエグゾーストパイプも装着される。

インテリアではナッパーレザーシート、ドアトリム、ダッシュボードなどにレッドステッチが施された。
 

プジョーRCZ ▲黒を基調とした中で差し色の赤が映える「GTライン」のインテリア

■2015年9月 限定グレード追加
「Rファイナルバージョン」:「R」にカーボンルーフを装備したファイナルバージョン
 

プジョーRCZ ▲カーボンルーフを採用した「Rファイナルバージョン」

■RCZ(初代)の中古車相場
生産が終了となってから5年ほど経過したRCZ。中古車相場は昨年以降、上昇傾向にある。

流通している約80台の中古車のうち、60台が右ハンドルのAT車という状況。中でも最も多いのがベースグレードだ。

こちらは、総額150万円以下の最安値帯でも走行距離走行6万km前後の物件があり、購入価格を抑えたい人にはオススメ。予算を150万円以上までアップすれば、後期型も選択肢に入ってくる。

一方、左ハンドルのMT車は20台ほど。希少価値の高いため予算は200万円程度見ておいた方がいいだろう。

「GTライン」や、ハイパフォーマンスモデルとなる「R」の中古車は5台程度しか流通していない。こちらも200万円を超える予算が必要になるが、走行距離の多い物件はあまり見当たらないという点が◎だ。

こういった限定モデルの中でも、MT車は今後も高値傾向が続くはず。フレンチスポーツで優雅な時間を楽しみたいなら、早めに行動した方がいいだろう。
 

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※記事内の情報は2021年8月4日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/プジョー

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL