トヨタ オーリス ▲マツダのアイデンティティでもあるロータリーエンジンを搭載した、ピュアスポーツカーのRX-7シリーズ

マツダ RX-7シリーズの中古車は今

ロータリーエンジンを搭載したスポーツカーとして、サバンナRX-3の後を受けて1978年に登場したRX-7。

初代(SA22C型)と2代目(FC型)はサバンナRX-7として販売され、3代目(FD型)は当初アンフィニブランドから販売されていたが、モデル途中でマツダブランドに戻され2002年まで販売された。

3世代ともリトラクタブルヘッドライトを採用した流麗なスポーツクーペという特徴は変わらず、唯一無二のロータリーエンジンを搭載していることもあって、今でも多くのファンが存在する。

初代のFB型は中古車としてほぼ流通しておらず入手は極めて難しい。そのため、この記事ではFC型以降を中心に取り上げる。

2代目のFC型は20台ほどではあるが流通している。価格帯はおおむね200万~300万円という高値相場となっている。

3代目のFD型も流通量は100台を切っている状況。こちらは平均価格が400万円を超えるプレ値相場となっている。


とはいえ、物件がなくまったく手に入らないという状況でもないため、今が最後の買い時かもしれない。

ここからはそんなマツダ RX-7シリーズの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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マツダ RX-7(FC型)の特徴と中古車相場

■RX-7(FC型) DATA
生産期間:1985年10月~1991年11月
中古車流通量:約30台
中古車価格帯:170万~300万円
全長:4310mm~4335mm × 全幅:1690mm × 全高:1270mm
 

マツダ RX-7 ▲初代に引き続きリトラクタブルヘッドライトを採用し、スポーツカーらしいルックスを備えるFC型

■RX-7(FC型)の特徴
初代RX-7(SA22C型)の後継車種として、1985年に登場したFC型RX-7。海外ではNAロータリーを搭載する仕様も存在していたが、日本仕様は全車ロータリーターボエンジンを搭載してのデビューとなった。

装備の違いによってグレードが複数設定されていたが、搭載されるエンジンは185psを発生するロータリーターボというのは共通。組み合わされるミッションは5速MTと4速ATが用意されていた。

1987年にはロータリーエンジン誕生20周年を記念して「カブリオレ」が登場。電動ソフトトップを備えるラグジュアリーなもので、通常のリアシート部分に幌が収まるため2シーターとなっていた。
 

マツダ RX-7 ▲ロータリーターボ+オープンという贅沢な組み合わせのRX-7カブリオレ

1989年4月のマイナーチェンジでは、内外装の変更だけにとどまらず、ターボの改良によって最高出力が205psに向上されている。

また、1986年からは限定車として「アンフィニ」シリーズが定期的にリリースされており、アンフィニVIまで存在した。

こちらはリアシートを配した2シーターモデルで、専用のBBSホイールや足回りを備えたスパルタンなもの。1989年8月に登場したアンフィニIII以降は最高出力が215psまで高められていた。
 

マツダ RX-7 ▲計器やボタン類が所狭しと配されたコックピット感あふれるインパネ

■マツダ RX-7(FC)の中古車相場
最も新しいものでも新車登録から30年が経過したモデルということもあり、流通台数は30台ほどとわずかしかない。

車両本体価格200万~300万円という相場になっているが、価格応談の物件もいくつか見られる。

年式やグレードよりも、状態の良し悪しが価格を左右しているが、どんなに状態が良い物件でも30年以上経過していることを念頭において選びたい。
 

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また、オープンモデルのRX-7カブリオレも同じく20台弱が流通。車両本体の価格帯もハードトップモデルと同程度の200万~300万円のゾーンに収まっている。

車両価格250万円以上の高価格帯は、後期型、もしくは走行距離が10万kmを超えてない物件が中心となっている。機関系に加えて、オープンモデル特有の幌の状況やボディの腐食など、実車でのしっかりとしたチェックが必須だろう。
 

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マツダ RX-7(FD・前期型)の特徴と中古車相場

■RX-7(FD・前期型) DATA
生産期間:1991年12月~1995年12月
中古車流通量:約15台
中古車価格帯:230万~800万円
全長:4295mm × 全幅:1760mm × 全高:1230mm
 

マツダ RX-7 ▲当時展開していたアンフィニブランドからリリースされたFD型RX-7

■RX-7(FD・前期型)の特徴
FC型の後を受けて、1991年12月に登場したFD型RX-7。マイナーチェンジで変更になったエンジンの性能によって、前期・中期・後期を大別することができる。

前期がデビューした当時は、マツダ5チャネルの「アンフィニ」ブランドから販売されていたため、「アンフィニRX-7」と名付けられていた。

エンジンは引き続き2ローターのロータリーターボである13B型が搭載されていたが、出力は255psまで向上し、ボディサイズも一気に3ナンバー化されたことで、スポーツカーらしいグラマラスなデザインとなっている。

1992年10月にはリアシートを廃し30kgの軽量化を果たした限定車「タイプRZ」を発売。翌93年8月にはボディ剛性や足回りを見直した他、2シーターの「タイプR IIバサースト」を設定している。

1995年3月には限定だった「タイプRZ」をカタログモデルとするなど、ラインナップの見直しが図られ、96年1月に中期型へとバトンタッチした。

■RX-7(FD・前期型)の中古車相場
まだRX-7の新車販売がされていた当時、前期型は手ごろで買いやすい物件が多かった。だが、すでにRX-7自体が希少となった現在では、前期型だからといって手ごろという相場ではない。

大半の物件が車両価格350万~500万円の価格帯で流通している。450万円以上の高価格帯にはカスタムモデル、フルノーマルモデルのいずれも見つけることが可能だ。

ATの物件はほとんどないため、AT狙いであれば見つけた物件を即狙い打ちできる体制を整えておこう。
 

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RX-7(FD・中期型)の特徴と中古車相場

■RX-7(FD・中期型) DATA
生産期間:1996年1月~1998年12月
中古車流通量:約20台
中古車価格帯:240万~580万円
全長:4280mm × 全幅:1760mm × 全高:1230mm
 

マツダ RX-7 ▲中期型からはテールランプユニットが4灯式に改められた(写真は後期型)

■RX-7(FD・中期型)の特徴
1996年1月に中期型へと進化したFD型RX-7は、CPU制御を8ビットから16ビットに強化し、吸気系の配管の最適化やブースト圧の向上でMT車の出力を+10psの265psへパワーアップ。

それに伴って大型ディスクブレーキの採用や、最終減速比の変更など大きく改良が入っている。

また、エクステリアではリアコンビネーションランプを丸型3連デザインに改めた他、メーターやインパネの照明色をアンバーからグリーンに変更している。

1997年1月には赤の本革シートなどを備えた限定車「タイプRバサーストX」を、同年10月にはロータリーエンジン誕生30周年記念限定車「タイプRS-R」をそれぞれリリースした。

1997年10月にはマツダの販売体系が変更されたため、「アンフィニRX-7」から「マツダRX-7」へと車名が変更された。性能に関わる部分の変更はなかったが、それまで備わっていたアンフィニのブランドマークがマツダのブランドマークに置き換えられている。

■マツダ RX-7(FD・中期型)の中古車相場
中期型のRX-7は、そこまで価格が高騰していなかった頃に購入してカスタマイズされたと思われる物件が多く、フルノーマルに近いものは少ない。

車両価格300万円代前半の物件も存在するが、状態が良いものや、すでにオーバーホール済の物件は400万~500万円が目安といった相場となっている。
 

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マツダ RX-7(FD・後期型)の特徴と中古車相場

■RX-7(FD・後期型) DATA
生産期間:1999年1月~2002年8月
中古車流通量:約60台
中古車価格帯:310万~1000万円
全長:4285mm × 全幅:1760mm × 全高:1230mm
 

マツダ RX-7 ▲大きな開口部をもつフロントバンパーと新デザインのフロントコンビランプが特徴の後期型

■マツダ RX-7(FD・後期型)の特徴
1999年1月に後期型へとマイナーチェンジがなされたFD型RX-7。ここで、ついにロータリーターボは当時の馬力自主規制値いっぱいの280psをマークする(ただし、タイプRBは265ps、AT車は255ps)。

280psを誇る「タイプR」にはハード仕様の、「タイプRS」にはビルシュタイン製のダンパーが採用されている。

バンパーの開口部を大きくとることでラジエターやインタークーラー、エアクリーナーダクトから効率よく走行風を取り込めるようになるなど、走りに関わる部分が大きくブラッシュアップされた。

2000年10月には商品改良がなされ、ABSの制御が8ビットから16ビットに変更された。また、サスペンションのセッティング見直しやEBD (電子制御制動力配分システム)を追加し、急制動時の制動距離短縮と車両安定性向上を実現している。

そして、同じタイミングで限定車「タイプRZ」を再び設定。レカロ製のフルバケットシートを2脚備えた2シーターモデルでスパルタンなモデルとなっていた。

その後、何度か限定車をリリースしたのち、2002年3月にRX-7の有終の美を飾る限定車として「スピリットR」をリリース。

この「スピリットR」には、メーカー自ら“究極のRX-7”と表現する走りを高める装備をプラスした2シーター仕様の「タイプA」と、4シーターMT仕様の「タイプB」、4シーターAT仕様の「タイプC」が用意され、全体で1500台が限定販売された。
 

マツダ RX-7 ▲最後の限定車となった「スピリットR」はコレクターズアイテムと化している

■RX-7(FD・後期型)の中古車相場
熟成が進んだ後期型は年式が新しいこともあって台数は比較的多めとなっている。とはいえ、他の年式と同様に20年前後は経過している物件であることをしっかり理解して購入したいところ。

車両価格300万円台の物件はカスタマイズが施されたものや多走行距離が多いが、修復歴のないものも存在するため、ベース車として考えるのならアリだろう。

一方、フルノーマルで走行距離2万km以下のような物件は、車両価格1000万円近い価格となっており、最後の限定車「スピリットR」は、走行距離が10万kmを超えていても800万円台という超がつくプレミアム相場。

価格応談のものも多く、限定モデル狙いやコンディションを重視するなら潤沢な予算が必要とされそうだ。
 

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※記事内の情報は2021年7月23日時点のものです。
 

文/小鮒康一 写真/マツダ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。