ローバーミニ ▲エンジンとトランスミッションを一体化することでコンパクトにし、短いボンネットに収めたローバー ミニ

ローバー ミニの中古車は今

1959年に天才技術者イシゴニスが生んだ革新的なコンパクトカー、ミニ。現行型のBMW製ミニと区別するため、“クラシックミニ”とも呼ばれている。

原稿執筆時点での中古車台数・平均価格は、約260台・157万円となっている。

生産終了から20年以上たつが、当時のオースチン・ローバー・ジャパンが輸入を開始した前後から、日本が世界最大のマーケットといわれるほど売れたため、中古車流通量は少なくない。

ここからはそんなミニの特徴や中古車相場について紹介する。

ローバー ミニの特徴と中古車相場

■ミニ DATA
生産期間:1983年5月~2001年6月
中古車流通量:約260台
中古車価格帯:20万~420万円
全長:3075mm × 全幅:1440mm × 全高:1330mm

ローバーミニ ▲室内を最大化するため、足回りに一般的な金属バネさえ入れずラバーコーンと呼ばれるゴムの塊が採用された

■ミニの特徴
1959年にイギリスの自動車メーカー、BMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)からオースチン・セブンとモーリス・ミニ・マイナーとして販売されたのが、ミニの始まりだ。

その後、イギリスの自動車産業の不振により、メーカーの統合が繰り返され、それとともにミニの製造元も変わっていった。

日本では1983年からオースチン・ローバー・ジャパンより、1989年から同社の改名のためローバー・ジャパンより正規輸入されるようになった。

カーセンサーnetで「ローバー ミニ」としているのは、1983年のオースチン・ローバー・ジャパン時代からのミニを指す。ちなみに、それ以前のミニ(オースチンやモーリス、BLなど)も中古車として流通していることもある。

ローバーミニ ▲専用のキーで燃料キャップを開け閉めする。サイドウインドウの上げ下げは手動

天才技術者アレック・イシゴニスが開発したミニ。当時としては珍しいFF(フロントにエンジンを置き前輪を駆動)方式が採用され、全長約3mというコンパクトなボディに、最小限の機器類と最大限確保された居住空間が押し込まれた。

この優れたパッケージングと、愛くるしいデザインが、本国イギリスではエリザベス女王やビートルズの4人のメンバーをはじめ、数多のセレブにも愛されたというのも納得だ。

ローバーミニ ▲シンプルかつ上品な内装も支持され続ける理由のひとつ。1997年以降のモデルにはクーラーが標準装備になっている

走行性能のポテンシャルも高く、イシゴニスの友人でF1のコンストラクターズ・チャンピオンも獲得したことのあるジョン・クーパーの協力を得て、オースチン・ミニ・クーパーとモーリス・ミニ・クーパーも開発され、以降グレードのひとつとして加えられるようになった。

1971年から排ガス規制などにより、一時期ラインナップから外されていたが、1990年から復活している。

エンジンの排気量や装備に多少の変更はあるものの、基本的な構造は製造が終了する1997年(販売終了は2000年)まで、約40年間も変わらなかった希有な車だ。

ローバーミニ ▲カジュアルグレードの「メイフェア」

ローバーミニには、1Lと1.3Lの2種類のエンジンが用意されていた。トランスミッションは4速ATまたは4速MT。

1992年から、燃料供給装置がキャブレターからインジェクションに変わっている。

1997年には、運転席エアバッグが備わるようになった。

その他、台数は極めて少ないが、1990年に1.3Lターボ × 4速MTのERAターボも販売されている。
 

ローバーミニ ▲高級感ある本革シート。中古車では80台程度の選択肢がある
ローバーミニ ▲コンパクトながらラゲージスペースも備える

■ローバーミニの中古車相場
グレード別に見ると、スポーティグレードの「クーパー」は全体の約半数、カジュアルなグレードの「メイフェア」は全体の約4分の1を占める。

また、MT車とAT車は若干MT車の方が多く、「クーパー」では6割以上、「メイフェア」でも約半数がMT車だ。ラグジュアリーグレードの「ケンジントン」をはじめ、本革シート仕様は約3割見つかった。

ほとんどは総額100万円以上で、流通量が多いのは総額150万~180万円のゾーンとなっている。

クーラーの付く1997年以降のモデルは150台と選択肢は豊富。予算120万円から見つけることが可能だ。

グレードや年式、走行距離、トランスミッションによる価格差はあまり見られない。そのため、まずは予算とミッション(MT or AT)を決め、コンディション、グレードというように絞り込んでいくのが定石だろう。

流通台数の多い「クーパー」のMTが狙いやすいが、その他のグレードやATに的を絞るなら、じっくりと納得できる1台が出てくるのを待つようにしよう。

20年以上前に生産が終了した車で、しかも設計されたのは60年も前だ。そのため、ある程度の故障は覚悟した方がいいだろう。中古車市場では機関系のコンディションやボディの錆、塗装の劣化といった状態の良し悪しで価格も左右されている。

そのため、ミニ購入において、実車でのコンディションの確認は必須だ。

ミニは、車が警告灯などでドライバーに不具合を教えるのではなく、ドライバーが日頃から音や臭いなどで不具合を察してあげる「旧車」である。

メンテナンスに自信がない人は、近くに主治医(修理工場)を見つけるか、ミニに精通していてメンテナンスも面倒を見てくれそうな販売店で購入することをオススメしたい。

▼検索条件

ローバー ミニ × 全国

※記事内の情報は2021年7月20日時点のものです。
 

文/ぴえいる 写真/早川佳郎、阿部昌也、ローバー
ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。