スズキ Kei▲軽クロスオーバーの先駆者であるスズキ Kei。生産終了から10年以上たっていることもあり、多くの中古車が予算50万円以内で購入できる

スズキ Keiの中古車は今

1998年10月に新感覚の軽クロスオーバーとして登場した、スズキ Kei。長めのボンネットと大きなタイヤにより、SUVテイストを演出したモデルだ。

デビュー時は3ドアのみの設定だったが、後に利便性を高めた5ドアも追加されていて、改良のたびに使い勝手や装備が向上していった。

1世代のみで生産が終了しているが、途中からスポーティ路線にかじを切り、「スポーツ」や「ワークス」といったグレードも登場した。

生産終了から10年以上が経過しているが、中古車流通量は300台を超えている。総額50万円以下の選択肢が豊富な一方、走りを楽しめる「ワークス」は高値で取引されている物件もあるという状況だ。

ここからはKeiの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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Kei(初代)の特徴と中古車相場

■Kei(初代) DATA
生産期間:1998年10月~2009年8月
中古車流通量:約330台
中古車価格帯:10万~110万円
 

スズキ Kei ▲初期はSUVテイストが盛り込まれたクロスオーバーモデルで、徐々にスポーティなイメージが高められていった

■Kei(初代)の特徴
1998年10月に軽自動車の規格改正が行われ、軽自動車メーカーは既存車のフルモデルチェンジの他、ニューモデルが多数投入された。Keiはそのタイミングで登場し、その後2009年8月までおよそ11年間生産されたロングセラーモデルだ。

Keiは改良が加えられる中で、車のコンセプトが徐々に変えられていった。

デビュー時は、セダンとSUVを融合させたクロスオーバーモデルとして登場している。

スズキにはジムニーという本格軽SUVが存在するが、それとはコンセプトを変え、Keiと同時期にデビューしたアルトをベースに、気軽にアウトドアテイストを楽しめる都市型SUVに仕立てられた。

スズキ Kei ▲セカンドシートを倒すことで、スノーボードなどの長物の積載も可能

SUVらしさを出すため、フロントは大きなボンネットを配置したデザインを採用。デビュー時は3ドアのみだったが、1999年3月に5ドアが設定されている。

最低地上高が高めに設定をされていたが、「Gタイプ」は全高が1550mmに抑えられたことで、一般的な立体駐車場に入庫が可能だ。

スズキ Kei ▲荷室床下に収納スペースを設けるなど、スポーツギアとしての使い勝手もよい

搭載エンジンはNA(自然吸気)、最高出力60psのターボ、最高出力64psを発揮するターボの3種類が用意された。

1999年10月の一部改良でモデルが整理され、3ドアが「Xタイプ」のみになり、ここから5ドア中心の利便性の高いクロスオーバーモデルへとシフトしていく。

スズキ Kei ▲SUVのスタイルにスポーティな雰囲気を融合させた「スポーツ」

2000年10月の一部改良では、特別仕様車として1999年5月に登場した「スポーツ」がカタログモデルになる。エアロパーツやマフラーカッターなどを装着し、ノーマル車より15mmローダウンしてスポーティな雰囲気を高めたグレードだ。

「スポーツ」がラインナップに加わったことで、Keiは徐々にスポーツテイストあふれるクロスオーバーモデルへと進化していくことになる。また、この改良で3速ATがラインナップから消え、4速ATと5速MTの2種類になった。

スズキ Kei ▲2001年のマイナーチェンジで改良されたインパネ

2001年4月の一部改良では、インパネデザインを一新。オーディオスペースを上部に移動して日常での使い勝手をよくし、空調スイッチをダイヤル式に変更している。

また、シート形状も変更してサポート性を高め、ロングドライブでの疲労度が軽減されるように改良された。

2001年11月には、中低速での力強さに重点を置いて新開発されたDOHCターボエンジンを搭載した「N-1」が新設定される。そして、このタイミングで運転席と助手席のエアバッグが全グレードで標準装備となった。
 

スズキ Kei ▲「ワークス」はグリルに付けられた“Works”のロゴ、そして大型のフォグライトとルーフエンドスポイラーが特徴

2002年11月の一部改良では、エントリーグレードの「Eタイプ」と、スポーツモデルの「ワークス」を設定。

「ワークス」はブレーキが四輪ディスクタイプになり、2WDの5速MTにはヘリカルLSDが標準装備になっている。インテリアにはレカロ車と共同開発した専用シートが奢られる。

スズキ Kei ▲「ワークス」に装備されているレカロ製のスポーツシート

2006年4月の一部改良では、新形状のバンパーとグリルを採用してエクステリアのイメージチェンジが図られた。また、快適装備として電動格納式ドアミラーが全グレードで標準装備になっている。

この一部改良で、一時ラインナップから消えていた「ワークス」が復活。ワークスのシートはブラックを基調に中央を赤くしたスポーティなデザインが採用された。
 

スズキ Kei ▲「ワークス」にはスポーティな雰囲気を高めるリアウイングを装備

■Kei(初代)の中古車相場

生産終了から10年以上が経過していることもあり、流通している中古車の9割以上は車両本体価格50万円以内という大変お得な状況だ。諸費用などを含んだ総額50万円以内の予算でも購入できる物件も豊富にある。

年式による価格差もほぼなくなっているので、初期のSUVテイストが盛り込まれたデザインが欲しいという人以外は、なるべく高年式車を選びたいところ。

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スポーツモデルの「ワークス」は100台近く流通していて、こちらも総額20万円から見つけることができるというお得な状況。ただし、50万円以下は走行距離10万km前後の物件が大半を占める。

コンディション重視なら、予算の目安は80万円。また、走行距離5万km前後のものを狙うことも可能だ。選択肢があるうちにアクションしておきたいところ。スポーツグレードだけあってMTの方が選択肢は多い。AT狙いの人は、機を逃さないようにしたい。
 

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スズキ Kei(初代)× 「ワークス」 × 全国

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※記事内の情報は2021年6月28日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/スズキ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL