スバル レガシィB4▲水平対向エンジンと4WDでオンリーワンの走りを楽しめるスバル レガシィB4。モデルチェンジを重ねるごとにプレミアム性も高められていった

スバル レガシィB4の中古車は今

スバルは1975年にレオーネセダン4WDを発売して以降、スポーツセダンを大切に育ててきた。

1989年に登場したレガシィは、1998年にフルモデルチェンジした通算3代目でセダンに「B4」というネーミングを与え、スポーツ路線を強化していく。

レガシィB4としての初代モデルは、280psを発揮する2Lターボ、水平対向6気筒を搭載するモデルの他、ポルシェデザインと共同開発したモデルなども展開。中古車では走行距離10万km近い物件が多くなっているが、まだ80台近く流通している。

2代目B4の後期モデルからは、ダイヤル操作で車のキャラクターを変えられるSIドライブが搭載された。この2代目の中古車は、200台近い流通量と総額50万円で購入できる相場で、手に入れやすい状況と言える。

3代目のB4ではボディサイズを拡大。これを機にプレミアムモデルにかじを切る。中古車では、安全装備の「アイサイト」付きでも、総額100万円以下で狙うことができる。

そして最終型となる4代目では、スバルのフラッグシップにふさわしい高級感が与えられている。こちらは2020年まで販売されていたモデルだが、すでに総額150万円以下で狙える物件も出始めてきた。

ここからはレガシィB4の特徴や中古車相場について紹介する。
 

 

レガシィB4(初代)の特徴と中古車相場

■レガシィB4(初代)DATA
生産期間:1998年12月~2003年5月
中古車流通量:約70台
中古車価格帯:20万~200万円
 

スバル レガシィB4 ▲レガシィB4としては唯一の5ナンバーサイズとなった初代。2LターボのMTモデルは280psに(写真は後期型)

■レガシィB4(初代)の特徴
1989年登場した初代レガシィシリーズにはツーリングワゴン(ステーションワゴン)とセダンが設定された。3代目レガシィからセダンの名称をB4に変更。B4は水平対向エンジン(BOXER)+4WDを意味している。

初代レガシィB4は歴代レガシィの流れをくんで、全幅を5ナンバーサイズである1695mmに設定。併せて、レガシィセダンが築いたスポーツセダンとしての立ち位置を継承した。
 

スバル レガシィB4 ▲水平対向エンジンと4WDにより、他のスポーツセダンとは一線を画す安定感と攻撃的な走りを味わうことができた

デビュー時は、最高出力155psを発揮する2L 水平対向NA(自然吸気)エンジンを搭載する「RS」と、最高出力280ps(4速ATは260ps)を発揮する2L 水平対向ターボを搭載する「RSK」を用意。

ATにはステアリングから手を離さずにシフトチェンジができる、パドルシフトが設定された。

2000年2月にはポルシェデザインと共同開発したスペシャルモデル「ブリッツェン」を発売。「ブリッツェン」はその後、毎年イヤーモデルとして登場することになる。
 

スバル レガシィB4 ▲水平対向6気筒エンジンを搭載した「RS30」。なめらかな乗り味は大人のスポーツセダンと呼ぶにふさわしいものだった

2001年5月のマイナーチェンジではターボチャージャーの改良により中低速トルクが向上。新しく2.5L水平対向4気筒エンジンを搭載する「RS25」が追加された。

そして2002年1月には、水平対向6気筒エンジンを搭載した「RS30」が追加された。
 

■レガシィB4(初代)の中古車相場
最も流通量が多いのは、2Lターボを搭載する「RSK」。約30台の中古車があり、価格帯は総額40万~90万円となっていて、MTが3分の2を占めるという状況だ。

「RS30」と「ブリッツェン」はともに10台以下と選択肢が非常に限られる。条件が合うものをじっくりと待ち、狙いを定めたい。

総額100万円以上の高価格帯には低走行車も散見されるが、この世代の多くは走行距離10万km前後のものになる。年式が古いこともあり、単に走行距離が多くないからといって価格が高いという相場でもない。購入の際は、しっかりと実車でコンディション確認をすることをオススメしたい。
 

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レガシィB4(2代目)の特徴と中古車相場

■レガシィB4(2代目)DATA
生産期間:2003年6月~2009年4月
中古車流通量:約180台
中古車価格帯:20万~210万円
 

スバル レガシィB4 ▲全幅が1730mmになり3ナンバーとなった2代目のレガシィB4

■レガシィB4(2代目)の特徴
レガシィは2代目B4(通算4代目)から全幅が拡大され、3ナンバーサイズになった。

駆動方式は全グレード4WDで、搭載エンジンは水平対向エンジンで構成部品の約8割が新設計されている。

大きなポイントは、各気筒でエグゾーストパイプが同じ長さになり、点火も直列エンジンと同じ順序でできるようになった(等長等爆エグゾーストシステム)ことだ。そして、ターボはツインスクロール化されて、全回転域でなめらかに回るようになった。

デビュー時のラインナップは、2L NA(自然吸気) SOHCエンジン搭載の「2.0 i」、2L NA DOHCエンジン搭載の「2.0 R」、2L ターボを搭載する「2.0 GT」と、「2.0 GTスペックB」の4種類だった。

2003年9月には、3L 水平対向6気筒エンジンを搭載する「3.0 R」を追加。さらに、2004年10月にはビルシュタイン製ダンパーを装着した「3.0 RスペックB」(MTのみ)が追加で設定された。

2005年5月には、「3.0 RスペックB」に5速ATを設定。足回りのチューニングも変更され、乗り心地と操縦安定性を向上させている。
 

スバル レガシィB4 ▲ライトまわりなどのデザインが変更された後期型。ボディやサスペンションなどのセッティングも見直されている
スバル レガシィB4 ▲ダイヤル操作で走りを劇的に変えることができるSIドライブ

2006年5月にはマイナーチェンジを実施。3L車と2Lターボ車に、ダイヤル操作で車のキャラクターを変えられるSIドライブが搭載された。
 

スバル レガシィB4 ▲STIが手がけた「S402」は402台の限定発売。流通量は極めて少なく、現在でも高値で取引される

そして2008年5月の仕様変更では、ステレオカメラで前方を監視する運転支援システム「アイサイト」搭載グレードを初設定。2008年6月には、スバルのスポーツ専門会社であるSTIが『究極のグランドツーリングカー』を目指して開発した「S402」が発売された。
 

■レガシィB4(2代目)の中古車相場
流通している中古車の半数ほどが2Lターボを搭載するGT系だ。その中で、SIドライブが搭載された後期型は40台ほどになる。後期型の価格帯は30万~140万円。前期型との価格差はないため、後期型から選び始めるのがいいだろう。

前期型、後期型ともに高価格帯にあるのはMTモデルだ。GT系のMT比率は4割ほど、初代に比べるとやや少なくなる。

2代目B4で注目してほしいモデルのひとつが3L 水平対向6気筒を積んだ「3.0 R」だ。このエンジンは非常になめらかに回り、パワフルでありながら同時に大人っぽい走りを楽しめる。

流通台数は3台と極めて少なく、価格も170万円近くする。それでも、探す価値のあるエンジンだ。次世代以降には水平対向6気筒が設定されていないので、興味がある人はぜひ根気強く探してみてほしい。
 

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レガシィB4(3代目)の特徴と中古車相場

■レガシィB4(3代目)DATA
生産期間:2009年5月~2014年9月
中古車流通量:約170台
中古車価格帯:40万~210万円
 

スバル レガシィB4 ▲アメリカ市場からの強い要望があり、ボディサイズが拡大された3代目のレガシィB4

■レガシィB4(3代目)の特徴
レガシィシリーズはこの世代から方向性が変化した。アメリカ市場の希望を受け入れ、ボディサイズを大幅に拡大したのだ。

また、スバルラインナップの中でのレガシィシリーズの位置付けも、プレミアム感の高いフラッグシップモデルという意味合いが強調された。

ただ、ボディが大きくなったとはいえ、B4の伝統であるスポーツ性能はしっかり継承。エンジンは2.5L水平対向4気筒で、CVTのリニアトロニックと組み合わせる自然吸気モデルと、5速ATと組み合わされるDOHCターボの2種類を用意。ターボモデルには6速MTも用意された。
 

スバル レガシィB4 ▲一部改良で安全装備のアイサイトがver.2に進化。全車速追従機能付きクルーズコントロールなどが備わった

2010年5月の一部改良では、プリクラッシュブレーキや誤発進抑制機能、全車速追従機能付きクルーズコントロールなどが備わるアイサイトver.2を搭載するモデルを設定。

そして、2011年6月の一部改良では足回りのセッティングが見直され、走行性能が高められた。
 

スバル レガシィB4 ▲新世代の2.5Lボクサーエンジンを搭載した3代目後期型

2012年5月に行われた大規模なマイナーチェンジで、エクステリアをスポーツセダンらしいシャープな印象に変更。インテリアもシート表皮が変更され、上質な雰囲気が与えられた。

機関系では2.5L NA(自然吸気)エンジンが、新世代のDOHCエンジンに変更。また、新たにリニアトロニックと組み合わされる2L 直噴ターボが設定された。このエンジンは、最高出力221kW(300ps)、最大トルク400N・m(40.8kg -m)を発揮しながら優れた燃費性能も両立している。

2013年5月の一部改良ではグレード体系が見直され、2.5L ターボがラインナップから消滅した。
 

■レガシィB4(3代目)の中古車相場
3代目B4は前期型が約110台、後期型が約70台流通している。価格帯は前期型が総額40万~240万円、後期型は総額50万~170万円。前期型の方の高価格帯には、スポーティグレードとなる「GT Sパッケージ」の6速MT車が多く流通している。

「2.5 GT Sパッケージ」は前期型のみ設定されていたグレードで、後期型では6速MTの設定がなくなっているため、プレミアム感のあるスポーツセダンをMTで乗りたい人は要チェックだ。総額140万~240万の価格帯で探すことが可能だが、流通台数が20台を切っており、条件が合うなら早めに動いておきたいところ。

後期型に設定されたスポーツグレードは「2.0 GT DIT」。最高出力221kW(300ps)、最大トルク400N・m(40.8kg-m)を発揮する2L ツインスクロールターボとリニアトロニックを組み合わせたモデルで、「S♯」モードに8段ステップ変速を設定した2.0 GT DIT専用のSIドライブなどが装備される。

「2.0 GT DIT」も流通量は20台を弱しかない。価格帯は総額120万~170万円と、350万円近かった新車時価格からはお得な状況ではある。少ないとはいえ、まったく探せない流通量ではないので、気になる人はこまめにチェックしてみてほしい。
 

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レガシィB4(4代目)の特徴と中古車相場

■レガシィB4(4代目)DATA
生産期間:2014年10月~2020年8月
中古車流通量:約60台
中古車価格帯:80万~260万円
 

スバル レガシィB4 ▲最終型となるレガシィB4としては4代目のモデル。ボディの大型化が図られている

■レガシィB4(4代目)の特徴
アメリカ市場を意識したB4は、4代目でついに全幅が1840mmまで拡大された。

その分、デザイン面ではフラッグシップらしい風格が生まれ、室内空間が広がったことで快適性もアップ。インテリアもコンフォート性が高められ、大人のスポーティセダンというイメージに生まれ変わっている。

搭載エンジンは2.5L NA(自然吸気)のみの設定。このエンジンは先代のマイナーチェンジで採用されたものだが、部品の8割が新設計されている。
 

スバル レガシィB4 ▲安全装備のアイサイトがver.3になり、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作を自動でアシストするアイサイトツーリングアシストが備わった

4代目では安全装備のアイサイトがver.3へと進化。ステレオカメラがカラー認識できるようになったことで機能が大きく向上している。

レガシィのオーディオといえば、アメリカの高級ブランドであるマッキントッシュが有名だったが、この世代では同じアメリカの高級ブランドであるハーマンカードン製カーオーディオがオプション設定になっていた。

グレードはベースグレードと、本革シートなどでプレミアム性を高めた「リミテッド」の2種類のみというシンプルな構成。

2015年9月の一部改良では、レーダーで後側方の状況も監視するアドバンスドセイフティパッケージを標準装備化された。このパッケージには死角車両検知機能、車線変更支援、後退時支援の他、ハイビームアシストも含まれている。
 

スバル レガシィB4 ▲マイナーチェンジでクルーズコントロールの車速域が約120km/hまで拡大。デザインはライトまわりなどが変更されている

2017年9月のマイナーチェンジでは、全車速追従機能付きクルーズコントロールの車速域を拡大。後退時自動ブレーキシステム、アダプティブドライビングビームなども追加され、安全性能が大幅に強化された。

また、走行面でもサスペンションや電動パワーステアリングなどに改良が加えられている。
 

スバル レガシィB4 ▲本革ステアリングやセンターパネルのデザインが変わった後期型。併せてリアシートにUSB電源が付けられた

■レガシィB4(4代目)の中古車相場
最終型となる4代目のレガシィB4の流通量は70台弱と多くない。

最安値帯は総額120万~150万円。前期型が中心となるが、それでも年式が新しいため多走行車は少ない。予算を180万円までアップすれば、走行距離5万km以下の物件も選択肢に入ってくる。

スバルのフラッグシップモデルということもあり、流通している中古車の多くは上級グレードの「リミテッド」という状況。そのため、まずは「リミテッド」に的を絞って探すのがいいだろう。

高級オーディオのハーマンカードンが付いた中古車は全体の2割ほど。価格帯は付いてないものよりやや高めになるが、後付けできない装備なので欲しい人は即決の構えで狙いたい。

後期型は流通量が20台弱とかなり少ないが、価格帯は総額190万~240万円ほどと高くはないという印象。新車販売が終了しているため、コンディションの良い物件が次々に出てくるという状況ではない。高年式派にとっては、今が狙い時なのかもしれない。

数は少ないものの、後期型の中ではベースグレードとリミテッドの比率は同程度。本革シート有無などの装備と物件コンディションをてんびんにかけ、早めの選択をした方がいいだろう。
 

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※記事内の情報は2021年6月28日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/スバル

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL