トヨタ アルファード▲上野駅~札幌駅間を走っていた寝台特急列車「北斗星」が引退した2015年。もはや家族旅行は列車からミニバンへ。写真は2015年にデビューし、2017年にマイナーチェンジした際のトヨタ アルファード

ファミリーカーとしての実力がアップした! 2015年登場のミニバン4台

発売されてから年月がたつほど中古車の台数が増えて選びやすいが、あまり年式が古すぎるのも困る。

そんな台数と年式のベストバランスが、最も販売台数の多いデビュー年に登録され、かつ車検を期に手放されがちな「デビュー5年落ち」モデルだ。

そもそも新車は、販売台数を見れば明らかだが、デビューした年が最も売れる。それを手放すタイミングは、車検時期が多い。「車検費用を払うなら、そろそろ次の車にしようかな」と考えやすいからだ。つまり、その車がデビューした3年後、5年後、7年後……が中古車の増える目安のひとつとなる。

その中でも「5年後」をオススメするのは、3年落ちよりは値落ちが進んでいて、7年落ちよりは中古車の状態に期待ができそうだからだ。

しかも5年落ちなら、たいていはまだ現行モデル。このように、価格と状態のバランスがちょうどいいのが“5年落ち"だと言えるだろう。

今回は、そんなベストバランスの5年落ちモデルの中から、国産ミニバンを紹介しよう。

「最近はSUVが人気だ」と言われている中でも、2020年1月~12月の新車販売台数でトヨタ アルファードが5位にランクインするなど、もはやファミリーカーとしての不動の地位を獲得したミニバン。

2000年代の全盛期と比べると台数は少なくなったものの、ライフスタイルの変化という荒波に対応すべく、代替わりのたびに着実に進化し、魅力を増している。

そんな荒波に磨かれて輝いた2015年デビューの国産ミニバンをさっそく見ていこう。

ミニバン界の頂点にふさわしい仕様や機能を備える
トヨタ アルファード/ヴェルファイア(現行型)

トヨタ アルファード▲アルファードのテーマは「豪華・勇壮」。アルファード/ヴェルファイアとも全高は旧型よりも10mm低い1880mmだが、室内高は旧型同等の1400mmが確保されている
トヨタ ヴェルファイア▲ヴェルファイアのテーマは「大胆・不敵」。リアに新開発されたサスペンションを備えたことで、旧型より乗り心地が向上している
トヨタ アルファード▲7人乗りの2列目には最大830mmの前後スライドと中央よりへ横スライド可能な「リラックスキャプテンシート」や、電動スライド&リクライニング機能を備えた「エグゼクティブパワーシート」が用意された。最上級グレードの「エクストララウンジ」の2列目シートは、他よりもシート幅が100mm広く、引き出し式テーブルなども備わる

今や「いつかはアルファード」と言われるほど高い人気を誇るラージクラスミニバンの雄、アルファード/ヴェルファイア。

現行型は2015年1月にデビューし、見た目にも旧型に増して高級ミニバンにふさわしい力強さや豪華さが表現され、乗り心地の上質感も高められた。

用意されたパワートレインは2.5L×7速CVTと3.5L×6速AT、それに2.5L×ハイブリッドシステムの3種類。ガソリン車は2WDのみ、ハイブリッドは4WD(電気制御式のE-FOUR)のみとなる。

JC08モード燃費は2.5Lの2WDが12.8km/L、3.5L 2WDが9.5km/L、ハイブリッドは19.4km/L。また、ほとんどが7人乗りで、8人乗りは限られたグレードにのみ設定された。

衝突被害軽減ブレーキは、デビュー時点では最上級グレード「エクストララウンジ」のみ標準で、他はオプションで用意されていた。全車に標準装備されたのは、2017年12月に衝突被害軽減ブレーキを含む安全機能パッケージ「トヨタセーフティセンス」に切り替わった際となる。

この時同時に、ドライバー目線で車内から外の様子がシースルー映像で見える機能も付いたパノラミックビューモニターや、世界初となるパーキングアシスト機能(ステアリング操作をすべて車が行ってくれる)も用意された。

デビュー時の車両本体価格は319万7782~703万6691万円。原稿執筆時点でアルファードは2600台以上見つかり、そのうち2015年式は約350台。ヴェルファイアは約2500台で、2015年式は約600台見つかった。

ちなみに2015年式のアルファードは、走行距離10万km未満だと支払総額250万円ほどからだが、ヴェルファイアは支払総額200万円前後から狙え割安感は高い。

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トヨタ アルファード(現行型)×2015年式×全国

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トヨタ ヴェルファイア(現行型)×全国

毎日の買い物から家族でのキャンプに使える1台
トヨタ シエンタ(現行型)

トヨタ シエンタ▲ドアノブのスイッチだけで開閉するスライドドアが、グレードにより両側または助手席側に備わる。ハイブリッドシステムのバッテリーは2列目下に収納されるため、ラゲージの広さはガソリン車と変わらない
トヨタ シエンタ▲2列目乗降口の床の高さは330mmとかなり低いので子供も乗降しやすい。2列目シートは前後105mmのスライド機能と、36度までのリクライニング機能が備わる

2015年7月に登場したのがトヨタのコンパクトクラスのミニバン、2代目シエンタだ。先代のほのぼのとしたイメージとは一転、かなりアクティブなデザインで登場するとすぐに人気を集め、2016年の新車販売台数ではミニバンのトップ、全体でも3位に入るほど売れた。

全長4235mm×全幅1695mm×全高1675mmという、プリウスよりも短いボディに3列シートを搭載。それでも3列目シートを床に収納すれば、広いラゲージを作れる。さらに、2列目を畳んで前方に跳ね上げれば自転車をそのまま載せることも可能だ。

搭載されたパワートレインは1.5L×ハイブリッドシステムと、2種類の1.5L(1つは2WD用、もう1つが4WD用)×CVT。ハイブリッドは2WDのみとなる。

JC08モード燃費はハイブリッドが27.2km/L、1.5Lの2WDが20.2~20.6km/L、4WDが15.4km/L。6人乗りと7人乗りがあるが、4WDは6人乗りのみとなる。

衝突被害軽減ブレーキを含む安全機能パッケージ「トヨタセーフティセンスC」は、デビュー時点では全車オプションだった。2018年9月のマイナーチェンジで「トヨタセーフティセンス」に進化した際に、一部グレードを除いて標準装備されている。

デビュー時の車両本体価格は168万9709~232万9855円。原稿執筆時点で3000台近く見つかり、そのうち2015年式は約600台で支払総額100万円から狙える。

ハイブリッドモデルの在庫も豊富で約1000台あり、こちらも支払総額100万円から探すことができる。

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トヨタ シエンタ(現行型)×2015年式×全国

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トヨタ シエンタ(現行型)×全国

力強くて低燃費な1.5Lターボと2WAYのバックドアが魅力
ホンダ ステップワゴン(現行型)

ホンダ ステップワゴン▲スポーティモデルとして用意された「スパーダ」(写真)と、ノーマルの2つのエクステリアデザインが用意された。スパーダは外観だけでなく専用サスペンションが備わる
ホンダ ステップワゴン▲3列目シートは床下収納式。2列目シートを前方にスライドさせれば自転車もそのまま載せることができる
ホンダ ステップワゴン▲バックドアからも乗り降りできる「わくわくゲート」は、グレード「B」を除く全車に標準装備された

5代目となるステップワゴン。ライバルの多い5ナンバーサイズの箱型ミニバンの中で、画期的なバックドア「わくわくゲート」をウリに2015年4月に登場した。横開きと縦開きの両方が使えるバックドアで、車の後ろに壁が迫るような場面では、横開きにすれば荷物を積めたり、そこから乗り降りもできる。

デビュー時に用意されたパワートレインは1.5Lターボのみで、2WDと4WDが設定された。2Lを積むライバルたちと比べて排気量が小さいが、2.4Lなみのトルクを発生するため、ライバルと遜色のない力強い加速が得られる。

しかもJC08モード燃費は、2WDが15.4~17.0km/L、4WDは15.0~15.4km/Lとクラストップレベルだ。なお、2017年9月に2L+2モーターのハイブリッドモデル(JC08モード燃費25.0km/L)が追加された。

乗車定員は7名が基本で、2列目をベンチシートにする8名乗りはオプションで設定された。衝突被害軽減ブレーキを含むホンダの安全機能パッケージ「ホンダセンシング」は、デビュー時はオプションとして用意され、2017年9月のマイナーチェンジで全車に標準装備された。

デビュー時の車両本体価格は228万8000~308万1400円(2WD)。原稿執筆時点で約1700台が見つかり、そのうち2015年式は約350台。

最も装備が簡易なグレード「B」は支払総額100万円以下から、中心グレードの「G」も支払総額110万円ほどから見つけることができる。

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ホンダ ステップワゴン(現行型)×2015年式×全国

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ホンダ ステップワゴン(現行型)×全国

長距離を4人ゆったりとドライブできるクルーザー
ホンダ ジェイド(初代)

ホンダ ジェイド▲LEDヘッドライトは標準装備。全長4650mm×全幅1775mm×全高1530mmと3ナンバーサイズだが、多くの立体駐車場にも収まるサイズだ
ホンダ ジェイド▲リチウムイオンバッテリーをセンターコンソールに配置するなどして、3列目シートを床下に収納すればフラットなラゲージとして使える。2列目シートは後ろにスライドすると車の中央に寄る、Vスライド機構を備える

ステーションワゴンのようなフォルムに、3列シートを備えたジェイド。2015年2月に登場すると自動車評論家たちからの評価も高かったのだが、販売はあまり振るわず、2020年7月に生産が終了となった。

確かにステップワゴンやフリードのような広い空間はなかったし、サイズ的に3列目に大人が座るのは少々厳しいが、その分ハンドリングや乗り心地がよく、家族4人で荷物をたっぷり積んで長距離をドライブするには快適なクルーザーだった。そのため今も惜しむ声が聞かれる。

デビュー時に搭載されたパワーユニットは、1.5L+1モーター+7速AT(デュアルクラッチの2ペダルMT)のハイブリッドシステムで、駆動方式は2WDのみとなる。JC08モードで25.0km/Lと低燃費だ。

2015年5月には1.5Lターボを搭載したスポーティグレードの「RS」が追加された。全幅は1775mmと3ナンバーサイズとなるが、あえて2列目シートに3人乗れるベンチシートを採用せず、全車キャプテンシートで乗車定員を6名とした。特に2列目シートは、左右それぞれのパーソナルな空間が強調されている。

ホンダの安全機能パッケージ「ホンダセンシング」は、デビュー時は上級グレードのXに標準装備され、2018年5月のマイナーチェンジで全車標準装備となった。またこの時同時に、3列シートを省いて2列目をベンチシートにした5人乗りモデルが追加され、スポーティなRSグレードも加えられるなど、いわゆるテコ入れが図られた。

デビュー時の車両本体価格は272万~292万円。原稿執筆時点で約220台が見つかり、そのうち2015年式は126台と半数以上を占め、支払総額100万円から狙うことができる。

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ホンダ ジェイド(初代)×2015年式×全国

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ホンダ ジェイド(初代)×全国
文/ぴえいる、写真/トヨタ、ホンダ、尾形和美

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。