レクサス GS▲レクサス GSといえばV6のハイブリッドやガソリンのイメージですが、今回はパワフルなV8搭載モデルにフォーカスします

世の中から消えつつある大排気量エンジン搭載車

やれセダンの復権だ、スポーツカー氷河期の時代だと言われてはや幾年。しかし今、最も絶滅の危機に瀕している国産車のジャンルは、大排気量かつマルチシリンダーのエンジンではないでしょうか。

国産車として、唯一のV12型エンジンを搭載していたセンチュリーも、フルモデルチェンジでV6+ハイブリッドへとダウンサイジングされ、V8エンジンもランドクルーザーやLC500など、トヨタとレクサスのごく一部の車種に搭載されるにとどまっているのです。

確かに地球環境のことを考えれば、大排気量エンジンよりもダウンサイジングエンジンにモーターやターボといった、プラスアルファを加える方がいいに決まっています。ですから「今一度大排気量エンジン復活を!」と叫ぶつもりはありません。

ではどうするかって? そう、我々には中古車という最後の砦が残されているではありませんか!

ということで今回は、大排気量のV8エンジン搭載車を中古で狙おう! というお話です。白羽の矢が立ったのは、日本でいうところの初代レクサス GSです。
 

レクサス GS▲後に説明しますが、こちらは後期型のGS460です

大排気量のV8はトルクが高くストレスフリーな走りが魅力

“日本でいうところの”と言ったのは、実は海外ではそれよりも前にGSが存在しており、日本では「トヨタ アリスト」として2世代にわたって販売されていたから。

そんなスポーティかつラグジュアリーな初代GSは、V6のGS450hやGS350が主流ですが、実はV8エンジンを搭載したグレードが存在していたのです。

それがGS430(前期型)およびGS460(後期型)です。2005年8月から2007年10月までに生産販売された前期型には、セルシオやソアラにも搭載されていた3UZ-FE型のV8 4.3Lエンジンを搭載。

2007年10月から2011年12月まで販売されていた後期型には、レクサス LSに搭載されていたV8 4.6Lエンジンが搭載されていました。
 

レクサス GS▲こちらが4.3LのV8エンジン
レクサス GS▲こちらは後期型の4.6L V8エンジンです

前期型の4.3Lエンジンは、最高出力こそ3.5Lモデルの315psを下回る280psとなっていますが、最大トルクは43.8kg・mと、3.5Lの38.4kg・mを大きく上回る数値で、その発生回転数も3400回転と、3.5Lの4800回転よりも1400回転も低い数値となっています。

つまり、大排気量故に分厚いトルク溢れるエンジンとなっており、どこから踏んでもストレスなくグイグイ加速してくれるというワケです。これを味わうためだけに買っても、損はないと思わせてくれること間違いなしでしょう。

なお、後期型に搭載された1UR-FSE型エンジンは、LSに搭載されているものと同型式ながら、LSよりも38ps/4.1kg・m低い347ps/46.9kg・mとなっておりLSへの配慮を感じさせますが、LSよりも200kgも軽量のGSですから、体感的な速さはLSを凌ぐものとなっています。

基本的な装備は、レクサスの車種ということもあって充実していますが、もし今のタイミングで狙うのであれば、ミリ波レーダー式のプリクラッシュセーフティシステムのオプションを装着したモデルを狙いたいところ。

これを選ぶと安全性がさらに向上するだけでなく、レーダークルーズコントロールもプラスされるので、長距離移動の疲労軽減にもつながりますね。
 

レクサス GS▲さすがはレクサス、インテリアも高級感バッチリです

3.5Lモデルよりお値打ち感の高いV8搭載モデル

新車時は、3.5Lモデルに比べて110万円(前期型)~123万円(後期型)も高額だったV8モデル。それだけに、中古車価格にも違いがあるのでは……と調べてみると、なんとほとんど価格帯が同じという事実が判明。

ただし、190台(執筆時点)の掲載台数のうち、GS430は30台、GS460は5台と一気に台数が減ってしまいます。3.5Lモデルでも必要十分であり、V8ならLSを……と考えるユーザーが多かったのではないでしょうか。

V8モデルのGSは、そのキャラクターからか、いわゆるVIP的なカスタマイズがなされた個体も多いため、単純に相場からだけでは、3.5LとV8モデルのどちらかが安いのか、判断が難しいところ。

しかし、フルノーマルに近い個体同士で比較すると、むしろ3.5LモデルよりもV8モデルの方が安い個体が多く、80万~90万円台がボリュームゾーンといった感じだったのです(3.5Lは90万~110万円)。

確かに自動車税は、3.5Lモデルに比べると、4.3Lで18500円、4.6Lでは30000円もの差が発生しますが(重課は除く)、場合によっては車両代の差額で吸収できますし、むしろこのくらいのコストを払ってでも今乗っておきたい車である、というのが正直な感想です。

というのも、この1ヵ月でGS全体の価格がジワリと上がってきており、今後さらなる上昇の可能性もあり得ると見ています。それだけに、総額100万円前後で買える今のタイミングで狙っておくのがベストです!
 

▼検索条件

レクサス GS(初代・GS430、GS460)×全国
文/小鮒康一、写真/尾形和美、レクサス
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。