ホンダ ヴェゼル▲ボディサイズがライズやヤリスクロスより大きい分、ホイールベースが伸びて、高速道路での乗り心地や走行性能も向上しやすい。つまり、街中で取り回しやすいだけでなく、週末のキャンプなど遊びに出かけるにも有利だ

チョイ広くて荷物が載せられるけど、街でもジャストなサイズ

最近人気のSUVといえば、やはり2020年1月~6月の新車販売台数のランキングで、“常連”のカローラやフィットを抑えて堂々の1位を獲得したトヨタ ライズだろう。また2020年8月31日に登場したヤリスクロスも好評のようだ。

しかし約4年前、2016年の1月~12月のランキングでは、ホンダ ヴェゼルがSUVトップとなる8位だった。しかもヴェゼルはデビュー以来、2014~2016年まで3年連続でSUVトップの販売台数を記録している。

それを追うように2016年12月にC-HRが登場、翌2017年にはヴェゼルを抑えてSUVトップ(全体では4位)となった。

このように、ほんの少し前まではライズ(全長3995mm)やヤリスクロス(同4180mm)より一回り大きい、全長4300mmクラスのSUVが人気を集めていた。

確かに新車販売価格で比べればC-HRやヴェゼルより、ライズやヤリスクロスの方が安いし、燃費も小さい分有利だが、中古車で安く買えば、価格差はもちろん、燃費による燃料費の差も気にする必要はないだろう。

一方で、一回り大きければそれだけ室内は広々とするから、当然くつろげるし、ラゲージにもたくさん荷物を載せやすい。かといって同じく人気のRAV4クラスよりは小さいわけだから、街乗りにも便利とまさにジャストサイズ。

だからこそ、ヴェゼルが3年間連続でSUVのトップを獲得していたのだ。

今回はそんな全長4300~4400mmクラスで、支払総額150万円以下とライズやヤリスクロスの新車よりも安い価格で狙えるSUV3モデルを紹介しよう。

150万円以下でもハイブリッドモデルが十分狙える
ホンダ ヴェゼル(現行型)前期型

ホンダ ヴェゼル▲全長4295mm×全幅1770mm×全高1605mm。最小回転半径は5.3m。テールゲートの開口幅はゴルフバッグの積載を考慮して、1180mmと幅を広くとられた。後席を倒せば前輪を外したマウンテンバイクを2台載せることができる
ホンダ ヴェゼル▲タッチパネル式のフルオートエアコンを標準装備。センターコンソールにはLED照明が備わり、USBの差し込み口が2つ用意されている。底部はラバーマットなのでスマホを置いても滑りにくい

2013年12月に登場したヴェゼルは、ホンダ車最小のSUV。旧型フィットをベースにしているが、サイズはフィットより大きく、その分を流麗なクーペ風スタイルにも生かされている。

当初搭載されたパワーユニットは、1.5L×CVTと、1.5L+モーターにデュアルクラッチ式の7速AT(DCT)を組み合わせたハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドi-DCD」。いずれも2WDと4WDが用意されており、デビュー時のガソリン車のJC08モード燃費は20.6km/L、ハイブリッド車は27.0km/L(いずれも2WD)だ。

前席下に燃料タンクを搭載する同社お得意のセンタータンクレイアウトにより、室内は広々としている。後席は同社が「ミニバン並み」とうたうほど、足を組んでも余裕の膝まわりスペースが確保されている。

ラゲージ容量は404Lで、5名乗車時でもゴルフバッグを3個載せることが可能。また後席の座面をチップアップすれば背の高いものを、助手席背もたれを倒せば長尺物を載せられる。

デビュー時から衝突被害軽減ブレーキが用意されていた。進化版である同社の先進安全技術「ホンダセンシング」は、2016年2月から用意され、2018年2月のマイナーチェンジの際に全車標準装備となっている(省くオプションもあるので購入時に確認を)。

デビュー時の車両本体価格は187万~268万円。原稿執筆時点で見ると、支払総額150万円以下で200台ほどが狙え、うち約130台がハイブリッドとなる。いずれも2015年式あたりまでとなり、衝突被害軽減ブレーキ機能を搭載しているモデルも約150台見つかる。

▼検索条件

ホンダ ヴェゼル(現行型)×総額150万円以内×全国

ポテンシャルは高いのに支払総額50万円以下でも狙える
三菱 RVR(現行型)

三菱 RVR▲全長4295mm×全幅1770mm×全高1615mm。最小回転半径は5.3m。2011年6月に追加された「ローデスト」はLEDヘッドライトや専用エアロバンパーなどを備える。2017年2月にフロントマスクを変更、さらに2019年8月に他の三菱自動車と同じデザインの顔つきに。写真は初期モデル
三菱 RVR▲後席は2段階のリクライニング機能付き。また中央の背もたれ部分にはラゲージからスキー板などを通せるトランクスルー機構が備えられた。ラゲージ床下には防水加工された容量26Lのトレイが備わる

パジェロで国内のSUV(初代や2代目はクロカンと呼ばれていた頃)市場を開拓した三菱自動車が、2010年に開発したのがRVRだ。

当時は3代目トヨタ RAV4(全長4340mm)や日産 デュアリス(同4320mm)が存在していたが、それらより少し小さくて、かつ日産 ジューク(同4140mm)よりは大きいという絶妙なサイズ感だった。

残念ながら大ヒットとまではいかなかったものの、今年ですでに10年目を迎えたように、やはり“ジャストサイズ”ゆえ、根強いニーズのあるコンパクトSUVだ。

初代アウトランダー(全長4640mm)のプラットフォームを用いて、アウトランダーよりも二回りも小さな、街乗りをメインとしたカジュアルなSUVとして仕立てられた。

小さくなってもホイールベースはアウトランダーと同じ2670mmだから、室内は広々としていて、ラゲージ容量は419L。また、二回りも上のアウトランダーを走らせるポテンシャルのあるプラットフォームに、車両重量で約200kg軽いという“軽装備”ゆえ、乗り心地や走行性能も優れている。

当初搭載されたエンジンは1.8L。これにCVTが組み合わされ、2WDの他にアウトランダーやデリカD:5にも搭載されていた電子制御式4WDが搭載されている。2WDで10・15モード燃費は15.2km/L。2011年に低燃費の1.8Lエンジンとなり、17.0km/Lに向上したが、燃費不正問題を受け現在は15.0km/Lとしている。

衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全技術「e-Assist」は、2017年10月から標準またはオプションで用意され、2018年9月に全車標準装備となった。

デビュー時の車両本体価格は178万5000~244万9650円。原稿執筆時点で支払総額150万円以下の中古車は約100台見つかった。デビューが2010年ということもあり、前期型を中心に支払総額50万円以下で狙えるものもある。

▼検索条件

三菱 RVR(現行型)×総額150万円以内×全国

クラス唯一のディーゼルエンジンを搭載するSUV
マツダCX-3(現行型)

マツダCX-3▲全長4275mm×全幅1765mm×全高1550mm。最小回転半径は5.3m。衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全技術「アイ・アクティブセンス」は、デビュー時から用意されていたが、2017年6月に全車標準装備となった
マツダCX-3▲「ドライビングポジション」を適正にするため、ペダル位置にもこだわられているのはマツダらしいところ。また着座位置は見晴らしや乗降性、さらに景色の見え方まで徹底して考え抜かれているという

2015年2月に、「1.5Lクリーンディーゼル専用車」として登場したCX-3。結局2017年6月に2Lガソリンモデルも追加されたが、ウリはやはりクラス唯一のディーゼルエンジンだ。

デビュー時のJC08モード燃費は25km/Lと、ライバルのハイブリッド車には迫る低燃費を誇る。低燃費でしかも燃料費が安いだけに、ライバルとのランニングコストを比べても、そう大差はないだろう。

ラゲージ容量は350Lと上記2台だけでなく、実はライズの369Lも下回る。まあライズがすごいというのもあるが(ちなみにトヨタで上のクラスとなるC-HRは318L)、このクラスで350Lはまずまずといったところ。

それよりも同車は「人馬一体」をうたう走りと、クオリティの高いインテリアに魅力がある。

特にインテリアに魅力を感じるユーザーは多く、例えば本革シート仕様の中古車台数は、原稿執筆時点でヴェゼルが76台なのに対しCX-3は166台もあった(RVRは設定なし)。価格がアップするにも関わらず本革シート仕様を選んでいるのは、それだけ「CX-3には本革が似合う」と思われた証しといえるだろう。

デビュー時の車両本体価格は237万6000~302万4000円。原稿執筆時点では支払総額150万円以下で180台ほど見つかった。ガソリン車の設定がなかった2015年、2016年式がほとんどのため、ディーゼル車が圧倒的に多い。ただしこの価格帯では本革シート仕様車は数台しかないので、早めに行動するか、予算を再検討してみよう。

▼検索条件

マツダ CX-3(現行型)×総額150万円以内×全国
文/ぴえいる、写真/ホンダ、三菱、マツダ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。