▲今は亡き「アルファロメオ純血」のV型6気筒エンジン。これを搭載している中古車が、もしかしたら数年後、コンディション次第では結構な高値となる可能性も…… ▲今は亡き「アルファロメオ純血」のV型6気筒エンジン。これを搭載している中古車が、もしかしたら数年後、コンディション次第では結構な高値となる可能性も……

車も投資対象の一つだが、今から仕込むのはちょっと遅い?

「投資」というと、一般的には上場株式や債権などの伝統資産に対して種銭を投じる行為を連想するはず。しかし今、それとは違う「オルタナティブ投資」というものも隆盛を極めている。

オルタナティブ投資とは、前述の上場株式などではない未公開株や、農産物・鉱物などのコモディティ(商品)、不動産などを対象とする投資。そして一部の「車」もその対象物だ。

となると、「車についてはオレも詳しいから、ここはひとつオルタナティブ投資とやらで一攫千金を狙ってみるか!」と思う人もいるかもしれない。

……その心意気や良しではあるが、物事というのはそう簡単ではない。

なぜならば、「めぼしい車種」はとっくの昔に投機筋から目をつけられ、とっくの昔に相場が高騰してしまっているからだ。

「海外のオークションでクラシックフェラーリにウン十億円の値が付いた!」みたいな話はすでに耳にしていると思うが、そこまではいかずとも、普通のフェラーリ F355も低走行ノーマル車は売価2000万円超まで高騰し、空冷ポルシェ 911や初代BMW M3も1000万円級になってしまった。

高騰したのは希少スポーツカーだけではない。

ちょっと前までは数十万円も出せば買えたシトロエン 2CVも、今や100万円台半ばが当たり前。将来的に価値が出そうな車はほとんどすべて、すでに高値圏となっているのだ。

ということは、今から仕込んでもあまり意味がないというか、旨みが少ないのである。

▲写真は筆者が数年前に乗っていたシトロエン 2CVチャールストン。70万円ぐらいで購入したものだが、似たような条件の2CVを今買おうとすると、その車両価格はおおむね150万円前後になるはず。いやはや…… ▲写真は筆者が数年前に乗っていたシトロエン 2CVチャールストン。70万円ぐらいで購入したものだが、似たような条件の2CVを今買おうとすると、その車両価格はおおむね150万円前後になるはず。いやはや……

もう二度と新品では入手できない甘美すぎるV6ユニット

だがそんななか、「まださほど値上がりしてないかな?」と思える、そして将来的な値上がりが期待できる有望株が、ひとつだけ残されている。

それは90年代から00年代前半にかけて販売された、珠玉のV6エンジンを搭載したアルファロメオ各モデルだ。

▲例えばこれ。写真はアルファロメオ アルファ156GTA ▲例えばこれ。写真はアルファロメオ アルファ156GTA

80年代までの旧世代アルファロメオ(の一部車種)は、セミクラシックとしてすでに高騰済み。

2005年からのアルファロメオ159世代は、エンジンブロックがGM製ということでイマイチ人気薄ゆえ、将来的な高騰はおそらくない。

そして現行世代のアルファロメオは、ごく一部の特殊なモデルを除いてエココンシャスな4気筒直噴ターボがほとんどゆえ、将来的な値上がりウンヌンとはちょっと関係ないはず。

……となると、残るのが前述の「90年代から00年代前半にかけて販売された、珠玉のV6エンジンを搭載したアルファロメオ各モデル」で、具体的には、


・アルファ156(およびそのGTA)

・アルファ147GTA
・アルファGTV
・アルファGT

あたりが主なモデルとなる。

これらに搭載されたV6エンジンは「往年のアルファロメオそのまま」であるため、とにかく異様なまでに官能的なフィールでもって回転し、炸裂する(まぁその分だけ燃費はイマイチなのだが)。

それゆえ、「今後は二度とそういう類のエンジンが新規に製造されることはない」という部分がコアバリューとなり、近い将来、その相場が高騰するとも考えられるのだ。

▲これと同時期の直4エンジンはヘッド部分こそアルファロメオ製だが、シリンダーブロックはフィアット製。しかしV6の方は上も下も往年のアルファV6をそのまま踏襲。古くさい設計だが、その分だけ炸裂感は素晴らしい ▲これと同時期の直4エンジンはヘッド部分こそアルファロメオ製だが、シリンダーブロックはフィアット製。しかしV6の方は上も下も往年のアルファV6をそのまま踏襲。古くさい設計だが、その分だけ炸裂感は素晴らしい

オルタナティブ投資に向くのは例えばこんなV6モデル

前章で挙げた各車の相場が今どうなっているのか、個別に見てみよう。まずは素のアルファ156。

▲1998年から2006年まで販売されたアルファロメオのミドルサイズサルーン。グレードはかなり大きく分けると2L直4と2.5L V6の2種類。それぞれにMTとAT(2LはセミAT)がある。2003年9月に外観を変更 ▲1998年から2006年まで販売されたアルファロメオのミドルサイズサルーン。グレードはかなり大きく分けると2L直4と2.5L V6の2種類。それぞれにMTとAT(2LはセミAT)がある。2003年9月に外観を変更

趣味で乗るのであれば何を選んでも良いと思うが、「オルタナティブ投資」の観点から言うなら、選ぶべきはMTの一択。AT仕様が値上がりすることはおそらくない。

で、V6のMTである「156 2.5 V6 24V」の相場は総額で約50万~約130万円と上下に広いが、底値の多走行物件を買っても意味がない。

まともな投資対象になり得るのは現時点で「走行5万km以下」の修復歴なし物件だけだろう。

となると、その相場は総額で約100万~130万円あたり。これが数年後に2倍になれば投資としては大成功の部類に入るが、ネックは、そういった走行距離の個体数がきわめて少ないことだ(4月18日時点で4台のみ)。

スペシャルな3.2L V6を積んだ156GTAおよび147GTAはどうだろうか?

▲こちらがアルファ156GTA。3.2Lに拡大されたうえで各種のチューンを受けた特製V6を搭載し、サスペンションとブレーキも専用品。トランスミッションは6MTが基本だが、セミATのセレスピードも途中から追加 ▲こちらがアルファ156GTA。3.2Lに拡大されたうえで各種のチューンを受けた特製V6を搭載し、サスペンションとブレーキも専用品。トランスミッションは6MTが基本だが、セミATのセレスピードも途中から追加
▲こちらは小さな3ドアのアルファ147に、156GTAと同じ3.2L V6エンジンを詰め込んだ147GTA。こちらも専用サスペンションや専用の強化ブレーキ、スパルタンな純正空力パーツなどが装着されている ▲こちらは小さな3ドアのアルファ147に、156GTAと同じ3.2L V6エンジンを詰め込んだ147GTA。こちらも専用サスペンションや専用の強化ブレーキ、スパルタンな純正空力パーツなどが装着されている

こちらも「MT仕様のみ」「走行5万km以下の修復歴なし車のみ」となると数が少ないのがネックだが、探せないことはない。

その相場は156GTAが総額200万~260万円ぐらいで、147GTAが総額160万~200万円といったニュアンス。スペシャルでやや希少なモデルゆえ、丁寧に維持すれば数年後に大化けする可能性はあるはずだ。

2+2クーペのアルファGTVは、前述の条件に当てはまる個体の相場が総額60万~190万円といったところ。

上下にかなり広いのは中期型と後期型の相場が乖離しているゆえで、中期型限定ならば約60万~約70万円、後期型は約140万~約190万円だ。

手堅いのは3.2Lとなった後期型だろうが、格安な中期3.0Lで勝負するのも面白い。

触媒の数の関係で、実は中期型の方が吹けも音も良い……というのは豆知識である。

▲1996年から2006年にかけて販売されたアルファGTV。初期型は「2LのV6ターボ」という特殊なエンジンだったが、97年途中から3L V6となり、2003年途中からの後期型では3.2L V6と2L直4に。写真は後期型 ▲1996年から2006年にかけて販売されたアルファGTV。初期型は「2LのV6ターボ」という特殊なエンジンだったが、97年途中から3L V6となり、2003年途中からの後期型では3.2L V6と2L直4に。写真は後期型

けっこう広い後席を備える2ドアクーペであるアルファGTは、流通の大半が2L直4グレードであるため、走行5万km以下の3.2 V6 24Vを探すのは非常に困難。

それゆえ「走行6万km以下」と微妙に条件を緩めると、現在の相場は総額で150万~170万円ぐらい。

カリスマ性にはやや欠けるモデルかもしれないが、実用性は高いため、数年後に「2倍近く」になることを期待したい。

▲アルファ156をベースにベルトーネ社との共同作業で作られた2ドアクーペ、アルファGT。エンジンは直噴の2.2L直4と3.2L V6の2種類。3.2L V6は左ハンドル+6MTのみという設定だった ▲アルファ156をベースにベルトーネ社との共同作業で作られた2ドアクーペ、アルファGT。エンジンは直噴の2.2L直4と3.2L V6の2種類。3.2L V6は左ハンドル+6MTのみという設定だった

結局、投資は不発で終わるかも。だがそれでもいいじゃないか!

以上はもちろん「捕らぬ狸の皮算用」であり、各車の相場が今後高騰するかどうかは誰にもわからない。

というか、車というのは乗ればお金がかかり、価値も減じる。そして乗らずに保管しておくだけでも、それなりのコストがかかる代物だ。

それゆえ今回提案した「V6アルファロメオによるオルタナティブ投資戦略」は、実は不発またはせいぜいトントンぐらいに終わる可能性が高いのではないかと、筆者も考えている。

しかし同時に「でもまぁ、それでもいいじゃないですか」とも思っている。

なぜならば、珠玉のV6エンジンを搭載するアルファロメオと過ごす日々は、仮に金銭的な投資効果をいっさい生まなかったとしても、それに乗る者の人生全体には、必ずやプラスの価値を与えるはずだと確信しているからだ。

text/伊達軍曹
photo/フィアット・クライスラー、伊達軍曹

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アルファロメオ アルファ156/アルファ147GTA/アルファGTV/アルファGT×V6エンジン搭載×MT×修復歴なし