第56回:車を結局購入せずに店員に暴言を吐かれたら!?
カテゴリー: 展示場でのトラブル
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2008/05/20
Q.購入をしなかったら暴言を吐かれた。これって名誉毀損?
A.名誉毀損よりも侮辱罪の可能性が高いでしょう
名誉毀損は「公然と具体的事実を摘示し人の名誉を毀損すること」でその事実の有無にかかわらず処罰されます。簡単に説明すると、内容が真実か嘘かにかかわらず、悪口や暴露で人を傷つけてはいけませんということになります。
今回のケースの場合、具体的な事実が摘示されていません。また、状況からして店舗内でのやりとりと考えられますが、もしここに店員しかいなかった場合には「公然と事実を摘示」したことにはなりません。「公然と」とは不特定または多数の人に対する行為です。ほかにたくさんのお客さんがいて、その人たちの前で「金がないくせに」などと暴言を吐かれた場合は「公然」にあたります。
侮辱罪は、事実を摘示しないで、公然と人を侮辱することによって成立する罪です。「バカ」「詐欺師」など抽象的な言葉で人格を非難するような場合は侮辱罪が成立する可能性も考えられます。今回のケースは「金がないくせに」くらいしか具体的な事実が示されておらず、また悪口の内容も抽象的なので、侮辱罪の方が近いかもしれません。
ただし、侮辱罪が成立するケースは、悪意を持って誹謗中傷を行い、他人の権利を侵害して損害を発生させるほど悪質な場合がほとんどです。今回のケースでは相談者の権利を侵害して損害を発生させているとは言い難いでしょう。また「バカ」や「詐欺師」のような発言も日常的な悪口程度ですし、たとえ会話を録音してあったとしても、侮辱罪が成立する可能性はきわめて低いと考えられます。
もしも、カーセンサーに掲載されている販売店でこのような暴言を吐かれたら、カーセンサーの問い合わせ窓口に問い合わせてみましょう。
また社団法人 自動車公正取引協議会や社団法人 日本中古自動車販売協会連合会でも同様のトラブル相談を受け付けています。下記の記事を参照に問い合わせてみましょう。
これらの相談窓口には法的な強制力はありません。残念ながら今回のように不愉快な思いをするほどの暴言を吐かれたのならば「そういう販売店もあるのか」と冷静に考えると同時に、二度とその販売店とは付き合わないことにするほかはありません。