1.福祉車両の種類

福祉車両の種類は豊富にありますが、それらは目的別に分類できます。

最近では技術の進歩やボディタイプが増えたことなどで、福祉車両の種類は随分と増えています。選ぶ側から見れば選択肢が増えたということです。なかには、数がありすぎてかえって選びにくいという人もいるかもしれません。
ただし、それらを使用目的別に分類すれば、従来と大きく変わることはありません。ここでは、使用目的によって福祉車両にどんな種類があるのかを見ていきましょう。

なお、いずれのタイプも、自動車メーカーが作った車のほかに、加装専業メーカーが後で装置を取り付けた車もあります。代表的な専業メーカーには(有)フジオートや(株)ニッシン自動車工業などがあります。
中古車をベースに、これらの専業メーカーにオーダーメードするのも一つの方法です。

福祉車両の種類

A:自操式~障がい者が自ら運転する福祉車両~

写真はトヨタマークII(絶版)のウェルキャブ
文字どおり、障がい者が「自ら操る」車のことを言います。具体的には運転補助装置の付いている車です。
車いすを使う人は運転席のシートに移動した際、車いすを自ら車内に入れるか、他の人に入れてもらうかする必要があります。自ら入れる場合、補助器具を使って車内に車いすをしまえる車もあります。
また、運転席用に作られた専用の車いすにあらかじめ乗り換え、そのまま運転席の位置に固定できる車もあります。

B:介護式~高齢者や障がい者を車に同乗させる福祉車両~

介護者が高齢者や障がい者を同乗させる車のことを言います。これをさらに、下記のように分けることができます。
1:助手席や後部座席に乗せるタイプ
写真はトヨタプリウス(旧型)のウェルキャブ

1:助手席や後部座席に乗せるタイプ

助手席シートや後部座席シートが回転、または回転&昇降して、車いすから車のシートへ移動しやすくしている車です。
また、専用の脱着タイプの専用シートにあらかじめ乗り換え、そのまま助手席等の位置に固定できる車もあります。
車いすからシートへの移動が大変な人は、回転だけでなく昇降もするタイプを、さほど大変ではない人は回転するだけのタイプなど、それぞれの状態に合わせて車を選ぶとよいでしょう。

また、車いすを車に収納するためのリフトなどの装置を備えた車も多くあります。
2:車いすごと乗せるタイプ
写真はトヨタシエンタ(現行)のウェルキャブ

2:車いすごと乗せるタイプ

車の後部に、スロープまたはリフトを使って車いすごと乗車できるタイプです。車いすから車の座席への乗り降りが難しい人や、介護する側にとって便利です。ただし、長時間のドライブにはあまり向きません。
3:ストレッチャー移動式
写真はトヨタハイエースレジアス(絶版)のウェルキャブ

3:ストレッチャー移動式

ストレッチャーに横になったまま、車内へ入れるタイプです。医療機関や介護施設などが使用するタイプです。
監修/国立障害者リハビリテーションセンター熊倉良雄氏