ルノー アルカナ▲SUVの機能性とクーペの装いが融合したアルカナは全高1580mm、最低地上高200mmで、筋肉質な造形と優雅なルーフラインが特徴的だ。ボディカラーは4色から選べる

優雅なルーフラインが魅力的なクーペフォルム

ルノー・ジャポンはハイブリッド機構搭載の新型車であるアルカナを5月26日に正規ディーラーで発売した。税込み価格は429万円。

エクステリアの特徴は、SUVの機能美とクーペのエレガントさが融合したフォルムで、高い位置に配されたウエストラインや張り出したフェンダー、前後スキッドプレート、200mmに設定された最低地上高によってSUVらしさが強調されている。後方に向かって優雅な曲線を描くルーフラインとサイドウインドウによってクーペのような俊敏さも演出。

フロントには、F1にヒントを得たブレードが装着されてスポーティな印象が醸し出されている。また、バンパー両端には前輪ホイールハウスにつながるエアディフレクターが装備されており、空気の乱れを抑えることで空気抵抗が軽減されて燃費向上に貢献する。

LEDヘッドランプには、ルノー車の象徴であるCシェイプのデイライトが装備されている。リアコンビランプにも同様にCシェイプが織り込まれ、シグネチャーランプとの一体デザインによってスタイリッシュな表情が作り出されている。
 

ルノー アルカナ▲フロント同じく、リアコンビランプにもCシェイプが採用されており、ワイド感を演出するシグネチャーランプとともにインパクトを放つ

内装は、モータースポーツの血統を受け継ぐルノー・スポール由来のR.S.LINEデザインに仕上がっている。ドアトリムとインパネにはカーボン調パネルと赤ラインのアクセントを起用。

レザー&スエード調コンビ表皮の前席パワーシート、革巻きステアリング、シートベルトには赤ステッチが施され、スポーティさと上質感が演出されている。フロントシートとステアリングホイールにはヒーターも内蔵。

また、メーターパネルにはカスタマイズ可能な10.2インチ画面が採用されている。
 

ルノー アルカナ▲カーボン調パネルが採用されてスポーティな印象に仕上がっているインパネ。シートやステアリングホイール、シートベルトには赤ステッチが施されて質感の高さが演出されている

インパネ中央には各種情報が表示され、操作系を兼ねる7インチのタッチスクリーンを装備。このタッチスクリーンにはミラーリング機能が含まれており、スマホをUSBポートに接続すればApple CarPlayやAndroid Autoを介して画面上で各種アプリが利用できる。SiriやGoogleアシスタントを使っての音声入力も可能だ。

センターコンソールにはUSBポートが2個、AUX入力端子が1個、装備されている。また、コンソール背面には後席用のUSBソケット2個、12Vソケット、後席エアダクトが埋め込まれている。

ルノー・マルチセンスはタッチスクリーンから「マイセンス」「スポーツ」「エコ」の3つの運転モードが選べる。「マイセンス」は個別設定が可能なカスタマイズモード、「スポーツ」はスポーツ走行に適した運転モード、「エコ」はエコロジー&エコノミーを重視した運転モードだ。選んだ運転モードに応じてパワートレインのレスポンス、電動パワステのアシスト力、エアコン制御、メーターパネルの表示スタイル、アンビエント照明が変わる。

パーキングブレーキは電動タイプで、長い信号待ちなどで重宝するオートホールド機能も備わっている。足を離しても停止状態が保たれ、アクセルペダルを踏むと自動的に解除される。
 

ルノー アルカナ▲ラゲージスペースは上下に分割できるダブルフロア構造で、容量は480L。センターコンソールや前後アームレスト、ドアにも収納スペースが設けられている

F1で培ったノウハウが生かされたハイブリッド機構

パワートレインのE-TECHハイブリッドは、F1で培ったノウハウが活用されたルノー独自開発の機構だ。

メインモーター(36kW/205N・m)とスターター兼ジェネレーター(15kW/50N・m)の2個のモーター、1.6L直4自然吸気エンジン(94ps/148N・m)、電子制御ドッグクラッチマルチモードATで構成されている。

この1.6Lエンジンは、日産とのアライアンスで採用されているが、E-TECHハイブリッドに合わせるためにピストンやクランクシャフトなど、一部パーツが再開発された。

トランスミッションには、モータースポーツで用いられているドッグクラッチを採用することで、クラッチやシンクロナイザーを省くことができ、軽量化とコンパクト化に成功。モーター側に2つ、エンジン側に4つのギアを有し、モーターとエンジンそれぞれから切れ目なく動力を効率よく引き出すことができる。

発進時はモーターのみで駆動し、スムーズでレスポンスの良いスタートを切れる。中速域ではモーターとエンジンが最適に組み合わされて息の長い加速を得られる。これまでのハイブリッドカーが得意ではなかった高速域ではエンジンで積極的に駆動し、追い越し時にはモーターがアシストして力強い加速を得ることができる。

減速時にブレーキペダルを踏むと回生ブレーキが作動し、減速エネルギーを回収してバッテリー(1.2kWh/250V)を充電。さらに制動力が必要な時にはブレーキパッドを介して機械ブレーキが作動する。また、シフトポジションの「B」レンジを選べば、より多くのエネルギーが回収できる。
 

ルノー アルカナ▲ブレーキペダルに連動して回生ブレーキが稼働し、バッテリーにエネルギーを回収することができる

シャシーには、ルノー・日産・三菱のアライアンスで開発されたモジュラー式のBプラットフォームが採用されている。このプラットフォームは多様性が高くてCセグメントまで対応しており、軽量なので燃費性能が求められるハイブリッドカーに適している。
 

ドライバーをサポートする先進安全デバイス

アルカナには先進運転支援デバイスと衝突回避をサポートするデバイスが備わっている。各デバイスの詳細は下記のとおり。

【アダプティブ・クルーズコントロール】
フロントウインドウ上部のカメラとフロントバンパー内のレーダーが先行車を検知すると、ドライバーが設定した速度と車間距離に基づいて加減速する。先行車が停止すると自車も減速または停止し、3秒以内に再発進した場合は自車も自動的に再発進する。停止時間が3秒を超えた場合はドライバーがアクセルペダルまたはステアリングスイッチを操作すれば再発進できる。3分以上、何も操作がない場合にはシステムは停止する。

【レーンセンタリングアシスト】
フロントウインドウ上部のカメラが白線や黄線を認識し、車線の中央を走るようステアリング操作を支援するシステム。先行車を検知しているときは0~約160km/h、先行車が存在しない場合は約60~160km/hで作動する。

【ハイウェイ&トラフィックジャムアシスト】
高速道路や自動車専用道でアダプティブ・クルーズコントロールとレーンセンタリングアシストを組み合わせ、運転をサポートするシステム。車線、速度、先行車との距離を検知して長距離ドライブや渋滞時のドライバーの疲労軽減に役立つ。

【360度カメラ】
フロントバンパー、左右ドアミラー、ハッチゲートに装着された4つのカメラが捉えた映像が合成され、真上から見下ろしたかのような俯瞰映像をタッチスクリーンに表示。前進時には前方の映像も、後退時には後方の映像も2画面表示で見ることができ、自車と周囲の状況がひと目で確認できる。また、路肩に寄せるときは助手席側カメラの映像を表示させられる。

【イージーパーキングアシスト】
12個のセンサーが駐車可能なスペースを検出し、自動的にステアリング操作を行って縦列駐車と車庫入れをサポート。ドライバーはタッチスクリーンを見ながらアクセル、ブレーキ、シフトレバーを操作するだけでラクに駐車できる。

【パーキングセンサー】
フロント、サイド、リアに装備された12個のセンサーが障害物を検知すると、アラーム音と画面表示でドライバーに知らせる。

【自動ハイビーム】
約40km/h以上で走行中にフロントウインドウ上部のカメラが対向車のヘッドランプを検知すると自動的にロービームに切り替わる。

【歩行者&自転車検知機能付きアクティブエマージェンシーブレーキ】
フロントウインドウ上部のカメラとフロントバンパー内のレーダーが前方の車両や障害物、歩行者、自転車に衝突する可能性を感知すると、アラーム音と表示でドライバーに警告。さらに衝突の危険が高まるとブレーキ操作をサポートする。約5~170km/hで作動。

【レーンキープアシスト&レーンデパーチャー警告】
フロントウインドウ上部のカメラが白線や黄線を認識し、車線から逸脱しそうになった場合にインジケーターとステアリングホイールの振動で警告。必要に応じてステアリング操作がアシストされる。約70~180km/hで作動。

【交通標識認識】
フロントウインドウ上部のカメラが制限速度や追い越し禁止の交通標識を検知するとメーターパネルに表示。ドライバーの標識見落としを減らして安全運転をサポートする。

【ブラインドスポット警告】
リアバンパー内蔵のレーダーセンサーが左右後方の死角に入った車両を検知するとドアミラー内のインジケーターが点灯・点滅してドライバーに注意を促す。約15km/h以上で作動。

【前方車間距離警報】
フロントウインドウ上部のカメラとフロントバンパー内のレーダーが先行車との相対速度差を検知し、適切な車間距離を保つようメーターパネルにアイコンが表示されてドライバーに注意を促す。約30~200km/hで作動。

【リアクロストラフィック警告】
シフトポジションを「R」レンジに入れている際、左右後部に接近する車両を検知するとドアミラー内のインジケーターが点灯し、タッチスクリーンの後方映像にも警告が表示されてドライバーに注意を促す。さらに近づくと警告音も発せられる。

この他、横滑り防止装置、緊急時ブレーキアシスト、全席シートベルト・リマインダー、タイヤ空気圧警報、前席サイドエアバッグ、カーテンエアバッグ、プリテンショナー&フォースリミッター付き前後席シートベルトも標準装備されている。
 

文/マガジンX編集部、写真/ルノー