・11月のグローバル・ライトビークル(乗用車・小型商用車を指す。中大型商用車を除く)販売は、前年同月比0.8%減と2013年3月以来初めてマイナスになった。10月の季節調整済み年率換算販売は過去最高の8,800万台/年超となったが、11月の季節調整済み年率換算の販売は8,700万台/年をやや下回る結果となった。
・中国、北米、西欧の需要は前年同月比で増加を続けているが、東欧はロシア政府による支援があるにもかかわらず、懸念が残る。また、日本とアルゼンチンも販売が急減した。


グローバル・ライトビークル販売

北米

・米国ライトビークル販売は11月も増加を続けており、季節調整済み年率換算の販売は1,710万台/年となった。2014年通年の販売は1,650万台近くに達すると予測している。民間部門の消費者心理向上と賃金上昇で2015年も経済成長が続くと想定すれば、更なる市場の拡大が予測される。
・カナダの11月のライトビークル販売も好調で、2014年通年の販売は180万台を超えることが確実となった。

欧州

・11月の西欧市場は前年と比べて営業日が1日少なかったために、回復のペースがスローダウンした。季節調整済み年率換算の販売でみると、10月に1,400万台/年超まで拡大した後、11月は1,390万台/年を少しだけ下回る結果に終わった。しかし、2015年に向かって西欧市場は更なる市場拡大を続ける方向は変わっていない。
・11月の東欧のライトビークル市場は前年同月比1.6%減とまたマイナスになったが、2014年前半の減少幅よりは小さくなっている。ロシア市場は年前半の悲惨な販売状況の後、季節調整済み年率換算の販売が上昇した。政府のスクラップ・インセンティブスキームとルーブル下落に起因する価格急騰を予想した自動車購入の前倒しの要因に支えられたことによる。

中国

・速報値によれば、11月の季節調整済み年率換算販売は2,410万台/年となり、10月の下方修正した年率換算販売から1.5%増加した。しかしながら、乗用車は販売増加が続いている一方で、小型商用車は減少が続いている。
・今年の小型商用車販売は前年同期比で5%近く減少しているが、その要因として、次第に人気が高まってきているローエンドのMPV車がミニバス車の販売を奪っている事実がある。また、減速しつつある経済と、中国の排気規制「国4」(Euro 4)の適用をめぐる不確実性も小型商用車販売減少の要因である。乗用車では、最近の在庫が増加しているのが懸念材料である。

アジア(中国以外)

・日本の11月販売は前年同月比9.1%減となったが、季節調整済み年率換算でみると4月の消費税増税後にもかかわらず堅調な状況が続いている。11月の季節調整済み年率換算販売は520万台/年と所得の上昇が伸び悩んでいるにもかかわらず過去6カ月で最高となった。株式市場の上昇、燃料価格の下落、政府の第2回目の消費税増税の延期発表が、消費者の消費意欲を高めたのかもしれない。
・韓国の11月の季節調整済み年率換算販売は、拡張的な財政政策と金融政策に支えられ、160万台/年まで上昇した。しかしながら、高レベルの販売を持続させるのは、韓国の大きな輸出と製造部門が不調なままであるため難しいだろう。

南米

・ブラジル市場は低迷した状況のままであるが、11月の季節調整済み年率換算販売は予想を少し上回る330万台/年だった。おそらく工業製品税(IPI)の減税政策が12月末で終了することから駆け込み需要があったと思われる。新しい財務相は、緊縮型の財政政策を採用する計画で、もし実行されると少なくとも短期的には自動車販売は減少するだろう。
・変動が激しいことで有名なアルゼンチン市場は、7月末の国家債務によるデフォルトにも抵抗力を示した後、11月は販売が急落した。11月の季節調整済み年率換算販売は、過去5年で最低の51.8万台/年で、10月から15%近く減少した。悪化する経済は新車販売がさらに減少するかもしれないことを示している。


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