・英調査会社LMC Automotiveが発表した8月のグローバル・ライトビークル(乗用車・小型商用車を指す。中大型商用車を除く)市場は拡大基調にはあるものの、前年同月比の伸び率がここ1年間余で最も低い1.0%増にとどまった。最近3カ月の季節調整済み年率換算販売の平均は8,600万台/年以下となり、第1四半期よりも約100万台/年近く低い台数となった。 ・全体としては、好調な地域と低調な地域が混在する形になっている。西欧は低いレベルから成長を継続しているし、また米国と中国も市場を拡大し続けている。しかし、東欧や南米はより困難な状況に直面している。
グローバル・ライトビークル販売
北米


・8月の米国ライトビークル販売は、前年同月比5.5%増と好調な販売が続いている。季節調整済み年率換算の販売は1,690万台/年となって、 LMC Automotiveの2014年通年販売予測の1,640万台を超えているが、この最近の好調な販売は2014年の残りと2015年の初めの販売にとっ て良い兆候である。
・カナダの8月のライトビークル販売も前年同月比9.2%増と好調だった。8月の季節調整済み年率換算は200万台/年を少しだけ下回る販売となった。

欧州


・速報値によれば、8月の季節調整済み年率換算販売は、7月から3.6%増加して2,360万台/年となった。最近のトレンドをみると、季節調整済 み年率換算販売は2013年第4四半期から約2,300万台/年レベルで増加が止まり横ばい状態になっている。乗用車の季節調整済み年率換算販売は伸びて いるが、小型商用車の季節調整済み年率換算販売は2013年夏から漸減を続けている。
・乗用車市場では力強い所得の成長が販売を伸ばし続けているが、大気汚染を低減するために地方政府が自動車購入に制限を加えるというリスクがでてきた。小型商用車市場では現行規制よりも厳しい中国Ⅳ排気規制の適用をめぐる不確実性のために、ここ数カ月販売が弱体化している。

アジア(中国以外)


・日本の8月の季節調整済み年率換算販売は460万台/年にとどまり、消費税が4月1日に引き上げられてから最も低い年率換算販売となった。労働市場は改善しつつあるものの、インフレ調整後の実質賃金はインフレの進行で低下し続けており、消費支出を抑えている。
・韓国の8月の販売は、一部の労働争議によって引き起こされた供給途絶の影響で、好調だった7月の後にスローダウンした。減速する経済と高い家計債務は販売見通しの懸念材料である。

南米


ブラジルの8月の季節調整済み年率換算販売は、ワールド杯後にリバウンドすると思いきや10%近く減少して280万台/年まで減少した。厳しくなりつつある与信、悪化する労働市場、不確実な経済見通しは消費支出を弱体化させている。
・アルゼンチン市場は、7月末の国家債務によるデフォルトの後、良く持ちこたえている。8月の季節調整済み年率換算販売は、63.3万台/年と予想を上回った。しかし、不況が悪化すると予想され、販売の見通しは暗い。