Audi SQ7 TDI: ドライビングイノベーション
2016/03/04
● 世界初:電動式コンプレッサーを採用
●アウディ初:高性能な48V電源とエレクトロメカニカル アクティブロールスタビライゼーション
2016年3月3日 インゴルシュタット:320kW(435PS)の最高出力と900Nmの最大トルクを発生する新しいAudi SQ7 TDIは、市販モデルの中でもっともパワフルなディーゼルSUVです。このモデルには、様々な先進技術も採用されています。搭載される4.0 TDIエンジンには、世界初の電動式コンプレッサーが装着され、圧倒的な加速性能を実現しています。その一方で、燃料消費量は100km走行あたりわずか7.4リットルに抑えられています。
「先に発売したSQ5が市場で好評を得ていることを受け、私たちは、ディーゼルエンジンを搭載したSモデル コンセプトをQ7シリーズにも展開しようとしています。SQ7 TDIは、V8 TDIエンジンを搭載しながら、燃料消費量は6気筒モデルなみに低く抑えられています。SQ7 TDIに採用された新技術の電動式コンプレッサーは、多くのライバルに先んじた世界初の技術であり、“Vorsprung durch Technik”(技術による先進)というアウディのスローガンを改めて体現するものです」とAUDI AG技術開発担当取締役のDr. シュテファン クニウシュは述べています。
4.0 TDIエンジンは、今回ゼロから開発し直されました。このエンジンは、クラスナンバーワンの出力性能と低燃費を両立し、最高水準の運動性能を保証しています。このV8エンジンの排気量は、3,956ccです。排気により駆動される2つのターボチャージャーは、シーケンシャル過給のコンセプトに基づき、運転状況に応じて作動する仕組みになっており、低中負荷領域では、片方のターボチャージャーだけに排ガスが送られます。もうひとつのターボチャージャーは、高負荷領域においてのみ、追加される形で作動します。電動式コンプレッサー(EPC)は、とくにエンジン低回転域において2つのターボチャージャーの働きを補足することにより、Audi SQ7 TDIは、きわめて俊敏な加速性能を得ています。
320kW(435PS)の最高出力と900Nm/1,000~3,250rpmの最大トルクにより、このSUVは、セグメントの新しいベンチマークを打ち立てました。Audi SQ7 TDIは、0~100km/hを4.8秒で加速し、最高速度は250km/h(電子リミッター作動)に達します。新欧州ドライビングサイクル(NEDC)における、100km/h走行あたりの燃料消費量は7.4リットルです。これをCO2排出量に換算すると194g/kmに相当します。
電動式コンプレッサー(EPC)は、市販の乗用車では世界初の技術です。EPCは、とくに発進および低負荷状態からの加速時に4.0 TDIエンジンを力強くサポートして、ターボラグのない素晴らしいレスポンスと吹き上がりを実現しています。EPCは、エア通路のなかで、インタークーラー下流のエンジンに近い位置に設置されています。排ガスエネルギーを必要とせずに過給圧を発生できることから、どのような運転状況下でも利用することが可能で、排ガスを利用した従来型ターボチャージャーの弱点を克服することができました。 この新しいTDIエンジンにおいて、ターボラグは過去のものになっています。EPCによりわずか0.25秒で、大トルクを発生するための過給エネルギーが提供されます。小型の電気モーターによって駆動されるこのコンプレッサーは、最大70,000rpmの高速回転が可能で、ターボラグを伴わない素晴らしいエンジンレスポンスが実現しています。EPCは、ドライバーがアクセルを踏み込んだ瞬間に反応し、とりわけ発進加速において素晴らしいアドバンテージが得られています。
このエンジンにはまた、アウディのディーゼルとして初めて、アウディバルブリフトシステム(AVS)が採用されています。吸気および排気側のカムシャフトにはそれぞれ、バルブごとに2つのカムプロファイルが設定されています。吸気側では、そのうち片方のカムプロファイルにより、EPCと連携してクルマの発進加速をサポートし、もうひとつのカムプロファイルで、高回転時にシリンダーの充填率を最適化して、大きなパワーが得られるようになっています。また排気側においては、AVSにより、2つめのターボチャージャー(排気タービン)の作動を可能にしています。シーケンシャル過給システムにおいて、排ガスで駆動される2つのタービンのうち、低回転域では1つしか作動しません。2つめのタービンは、高負荷・高回転域においてのみ作動します。それにより、エンジンの全回転域において、大きなトルクと俊敏なレスポンスが得られています。
アウディの新しい4.0 TDIエンジンにおいて、シリンダー毎に2つずつある排気バルブからの排気の流れは完全に分離されており、それぞれが別個の排気タービンに導かれる設計になっています。エンジン低回転域では、各シリンダーの1つのバルブは閉じたままになっており、これによって全ての排ガス流が最初のターボチャージャーに流れるようになっています。エンジン負荷および回転速度が上がると、AVSによりもうひとつの排気バルブが開かれて、そこからの排気圧力により、もう1つのタービンも駆動されるようになります。エンジンは、この「バイターボ」モードにより、最高の性能を実現しています。AVSを活用したことで、2つめの排ガスタービンも、素早く正確に作動します。
EPCを駆動するための最大7kWの電力は、48ボルトのサブ電源システムから供給されます。SQ7 TDIは、この高電圧の電源システムを採用することで、EPCのほか、エレクトロメカニカル アクティブロールスタビライゼーション(EAWS)システムの搭載を可能にしています。それらのシステムが必要な大電力を供給するために、このサブ電源システムには48ボルトのリチウムイオンバッテリーが搭載され、それをラゲッフジコンパートメントの床下に搭載しています。このバッテリーは、470Whの容量を備え、最大13kWの出力を発揮します。48ボルトと12ボルトの電源システムの接続には、DC/DCコンバーターを使用しています。また発電は、最高出力3kWで80パーセントを超える効率を誇る、従来のものよりパワフルでかつきわめて効率的なジェネレーターにより行っています。これは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)ジェネレーターと呼ばれる装置で、ダイオードを使った一般的なジェネレーターより電気損失が少なく、高い発電効率を実現しています。さらに、48ボルトの蓄電ユニットは、必要に応じて12ボルトの電気システムをサポートします。それにより、12ボルトの鉛バッテリーの負荷が低下しています。
4.0 TDIエンジンにおいて、吸気は90度のVバンクの外側、2つのターボチャージャーを備えた排気は内側に配置されています。このレイアウトにより、エキゾーストシステムの経路が短くなり、エンジンレスポンスが向上するとともに、排ガス浄化システムへの経路も短縮されました。コモンレールシステムは、最大2,500バールの噴射圧を提供します。イグニッションの圧力も、その特性の広い領域において、200バールの高さに達します。
革新的なサーマルマネジメントと洗練されたカムシャフト/クランクシャフトの駆動方式により、フリクションが最小化されています。排ガス浄化も、NOx酸化触媒に加えて、エキゾーストシステムの下流に、ディーゼル粒子フィルターと一体化してAdBlueインジェクションにより窒素酸化物を減らすSRC触媒コンバーターを搭載することで、非常に効率よく行なわれています。V8特有の官能的なサウンドは、エキゾーストシステムに設置されたサウンドアクチュエーターにより、さらに魅力的なものになりました。Audi SQ7 TDIのドライバーは、アウディドライブセレクトを使って、エキゾーストサウンドのボリュームを調整することもできます。
EPCとバイターボを装着したこのV8は、アウディの世界的なディーゼル戦略の中核となるテクノロジーです。低速からでも大きなトルクを発揮し、さらに燃料消費量も少ないこのエンジンは、米国などのマーケットでは理想的なパワーユニットといえるでしょう。4.0 TDIは、強力な推進力とスポーティな敏捷性、力強い発進加速力と俊敏なレスポンスを両立したエンジン特性を実現しています。
Audi SQ7 TDIにオプション設定された「ドライビングダイナミクスパッケージ」は、スポーツディファレンシャル、エレクトロメカニカル アクティブロールスタビライゼーション、オールホイールステアリングの3つの先進テクノロジーから構成されています。Audi SQ7 TDIには、高度に統合されたサスペンションコントロールユニットが搭載されており、それにより可変ショックアブソーバー、エアスプリング、スポーツディファレンシャル、ロールフォースディストリビューションの各メカニズムを制御する仕組みになっています。サスペンションに関わる諸機能の制御を中央のコントロールユニットで統合することで、機能間の最適な連携や連動が得られています。それによりお客様は、どのような状況においても、卓越したハンドリングを楽しむことができます。
Audi SQ7 TDIに搭載されたもうひとつの注目すべき新機構が、エレクトロメカニカル アクティブボディロールスタビライゼーションです。このシステムにおいては、3ステージのプラネタリーギアボックスを備えた小型電気モーターにより、スタビライザーが2分割されています。クルマが不整地を走行すると、スタビライザーがアクティブに切り離され、乗り心地が改善されます。その一方で、スポーティに走行する場合には、中空のスタビライザーが内部で連結され、捻じれに対する反発力を発揮するようになって、ボディロール、つまりクルマの傾きを減らします。トランスミッションの助けも得て、電気モーターは最大1,200Nmのトルクを発揮し、足回りを引き締めて、スポーティなハンドリングを実現します。コーナリング中のクルマの傾きは少なくなり、アンダーステアの傾向もさらに改善されます。
フロントとリヤのスタビライザーは、それぞれ別個に調整が可能です。フロントとリヤのスタビライザーの働きをアクティブに調整することで、走行中のクルマの動きにポジティブな影響が生まれます。それによって、ステアリングの正確性とクルマの敏捷性が、大幅に向上しています。
従来型の油圧可変式のスタビライザーと比較して、48ボルト電源を用いたアウディのシステムは、大きなアドバンテージを有しています。すなわち、より大きなパワーを発揮し、より作動が速く、低速においても確実な作動が実現しています。また、純粋な電動メカニカルタイプで、オイルを必要としないため、メンテナンスフリーで、環境にもやさしいシステムになっています。
ヨーロッパでは、Audi SQ7 TDIのオーダー受け付けは、2016年春から開始されます。ドイツでのベース価格は89,900ユーロです。
(このリリースは、AUDI AGプレスリリースから抜粋した内容を翻訳したものです。)