メルセデス・ベンツのBEV第3弾EQBが登場
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タグ: メルセデス・ベンツ
2022/08/26
最大7人が乗れるメルセデス・ベンツのBEV第3弾
メルセデス・ベンツ日本はBEV(電気自動車)第3弾のEQBを7月14日に発表し、同日から全国の正規販売店で販売を始めた。
設定グレードと税込み価格は下記のとおり。
・EQB 250 788万円
・EQB 350 4MATIC 870万円
EQBには、フロントアクスルに新設計の永久磁石同期モーターが搭載されたEQB 250と、フロントアクスルに非同期モーター1基/リアアクスルに永久磁石同期モーター1基が搭載されたEQB 350 4MATICの2機種が用意されている。性能スペックはEQB 250が190ps/385N・m、EQB 350 4MATICが292ps/520N・m。
永久磁石同期モーター内の交流モーターのローターには複数の永久磁石が用いられており、これがステーター巻線内の交流の回転電場に追随してローターが回転。この方式は出力密度、効率、出力定常性に優れている。
EQB 350 4MATICでは、走行状況に応じて前後アクスル間のパワーバランスが1秒あたり100回にわたって調整される。おもに後輪の電気モーターで駆動し、前輪モーターは高負荷時などサポートが必要なときに駆動する。なお、前輪の非同期モーターは引きずり損失が最小限に抑えられている。
駆動用のリチウムイオン電池は、前後アクスル間のフロア部に搭載されている。容量は66.5kWhで、一充電あたりの航続距離はEQB 250が520km、EQB 350 4MATICが468km(いずれもWLTCモード測定値)。6.0kWまでの交流普通充電と、100kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応している。
そのバッテリーは堅牢なフレームの中に格納されており、クロスメンバーが担っていた構造部材としての役割も果たしている。
航続距離を延ばすために効率的な回生制御も採用されており、ステアリング裏側のパドルを操作することで回生ブレーキの強度を4段階に変えられる。ただし、完全に停止する時は従来どおりブレーキ操作を行う必要がある。
BEV特有の高周波ノイズを抑制するため、デジタル開発段階から適切な設計が行われた。ハードウエア開発段階では走り込みによるテストが繰り返され、振動の源流対策と防音対策の両面でNVHを低減。サブフレーム結合部のマウントやラバーブッシュの設計にもノイズ抑制のノウハウが織り込まれている。
また、サブフレームやサスペンションのマウント部を見直すことで各部の剛性を高め、ボディや室内にノイズと振動を伝えにくくする効果も得ている。
内外装にメルセデスEQ専用デザインを採用
外観デザインは、短い前後オーバーハングによってタイヤがボディの四隅に配され、居住性に配慮しながらエモーショナルで都市型SUVにふさわしい洗練されたプロポーションに仕上がっている。
フロントには、スリーポインテッドスターが配されたブラックパネルを採用。水平設計に設計された光ファイバーのデイタイムライトは昼夜を問わず、個性を発揮する。また、AMGラインパッケージ選択時にはブラックパネルにハイグロスブラックのフレームとツインルーバーが備わり、引き締まった印象がもたらされる。
一見すると外観はGLBと同じに見えるが、航続距離を延ばす狙いで空気抵抗を減らす取り組みが施されている。具体的にはバンパーが専用デザインに変更され、ドアミラーや床下パネル、ルーフスポイラー、リアコンビランプの整流エッジなど、細部が改良されている。その結果、Cd値は0.28をマークしている。
内装では、アルミニウム風のチューブ形状デザインがドアやコンソール、ダッシュボードに用いられている。空調ダクトやキーに施されたローズゴールドの色彩はモーターのコイルの色をモチーフにしたもので、BEVであることをさりげなく主張している。
高精細画面のメーターパネルとインフォテイメント画面には、多彩な情報が読みやすく表示され、MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)も踏襲されている。インフォテイメント画面の「EQ」のアイコンに触れると電力消費やエネルギーフローなどのメニューが現れる。また、EQ専用プログラムとして充電ステーションの情報を見たり最大充電電流も設定できる。MBUXは「充電ステーションを探して」「出発時刻を8時に設定して」など、BEV固有の音声対話にも対応している。
エレクトリック・インテリジェンス・ナビは、地図データから得た勾配情報や充電ステーションの位置情報、車両のバッテリー残量や気温情報などから総合的に判断し、どこで充電すべきかを含めたルートを案内する。ナビ画面に充電ステーションの情報を表示することも可能だ。
メーターパネル右側にはタコメーターの代わりに電力計が備わっており、上部に使用電力の割合、下部にエネルギーの回収状況を表示。
空調はヒートポンプ式で、暖房使用時のバッテリー消費量が抑えられている。また、出発時刻を入力しておけば夏には室内を快適な室温に、冬はウインドウの霜を除去しておくことも可能だ。ECOモードで走行中は快適性を損なうことなく空調が緻密に制御されて電力消費が抑えられる。
センターコンソールと前席センターアームレストにはUSBタイプCのポートが装備されていてモバイル端末を充電できるだけでなく、端末内の楽曲を楽しむこともできる。
2列目シートは6:4に分割されていて別々に140mmスライドさせられる。背もたれにはロック解除レバーが設置されていてワンタッチで前方にスライドさせられるため、3列目シートへの乗降時に重宝する。また、2列目と3列目の各シートにはISO-FIX対応固定装置とトップテザーアンカーが用意されていてチャイルドシートを最大4つ取り付けることができる。
BEVライフをサポートするサービスと数々の安全装備
ユーザーの不安を一掃するために「EQケア」が付帯される。新車購入から5年間または10万kmのいずれか早い方まで一般保証修理、定期メンテナンス、24時間ツーリングサポートが無償で提供される。駆動用バッテリーは8年または16万km以内で、診断機によって残容量が70%に満たないと診断された場合に保証される。
納車時に車載される充電カードを使えば全国約2万基の提携充電器が利用できる。申し込み時から1年間は月額基本料金と充電料金が無料。
テレマティクスサービスのMercedes me connectは、「安心安全サービス」(最長10年間提供)と「快適サービス」(3年間提供。それ以降は有料で継続可能)で構成されている。
「安心安全サービス」には、事故検知時またはSOSボタン操作時にコールセンターから消防に連絡が行く24時間緊急通報サービス、meボタンでツーリングサポートセンターにつながる24時間故障通報サービス、走行距離やバッテリー残量がアプリで確認できるリモート車両ステータス確認、スマホからナビの目的地が遠隔設定できるSend2Carが含まれる。
「快適サービス」には、スマホからウインドウの開閉とドアロックの施解錠が行えるリモート機能、車両の位置をアプリの地図上で確認できる駐車位置検索、空車情報を確認できるオンライン駐車場情報が含まれる。
ステレオカメラとレーダーセンサーが周囲の状況を検知する安全運転支援システムの詳細は次のとおりだ。
【アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック】
高速道路などで走行時に先行車を認識し、速度に応じて車間距離を制御。減速が必要な場合にはブレーキが自動調整され、先行車が停止した場合には自車も停止。停止している先行車も検知可能になり、先行車との距離が突然縮まった場合には警告灯と警告音でドライバーに注意を促す。
また、自動再発進機能も備わっており、停止後30秒以内に先行車が発進した場合にはアクセルペダルを踏まなくても自動で再発進してくれる。停止時間が30秒を超えた場合はアクセルペダルを踏むかステアリングスイッチを操作すれば再発進できる。
【アクティブステアリングアシスト】
車線のカーブと先行車を、車線が不明瞭な道ではガードレールなどを認識して、ステアリング操作をアシストしてくれる。
【渋滞時緊急ブレーキ機能】
先行車と左右の車線を監視し、渋滞の最後尾が現れたときに前走車との衝突の危険を検知する。左右に回避スペースがない場合は即座に自動ブレーキが作動、回避スペースがある場合はドライバーの回避操作が優先される。
ただし、ドライバーが反応しない、もしくは回避操作が遅れてしまったときには自動ブレーキが作動する。
【アクティブエマージェンシーストップアシスト】
ドライバーが一定時間ステアリング操作を行わないと警告灯&警告音によって操作を促す。それでも反応がない場合には緩やかに減速して停止する。停止後にはパーキングブレーキが自動的に作動して後突による二次災害を防止。
【アクティブブレーキアシスト】
先行車や前を横切る車両、歩行者、路上の物体などとの衝突の危険性を感知すると、表示や音でドライバーに警告。必要に応じて強い制動力が発揮できるようブレーキ圧が高まる。ドライバーの反応がない場合には自動緊急ブレーキが作動する。右折時の対向車にも反応する。
【緊急回避補助システム】
歩行者などとの衝突の危険を検知すると、回避できるようドライバーのステアリング操作をアシスト。回避後の車線復帰もサポートする。
【トラフィックサインアシスト】
一般道や高速道路を走行中、制限速度などの標識を読み取ってディスプレイに表示する。制限速度を超えた際、警告音でドライバーに注意を促す機能も含まれている。
【アクティブレーンキーピングアシスト】
前輪が走行車線から逸脱した場合にステアリングが断続的に震えてドライバーに警告。ドライバーの反応がない場合には自動補正ブレーキで車線内に戻るチカラが生じる。
【アクティブブラインドスポットアシスト】
リアバンパー左右のレーザーセンサーが死角エリアにいる車両や自転車を検知。30km/h以上で走行時に接触する危険があるときには、ブレーキの自動制御によって危険回避をサポート。
また、イグニッションOFF後3分間は後方から障害物が近づくとドアミラー内の警告灯が点灯し、さらにドアを開けようとすると警告音が鳴る降車時警告機能も加わった。
【ドライブアウェイアシスト】
前方もしくは後方1m以内に障害物があるにもかかわらず、その方向に進もうとしてアクセルペダルを強く踏んでも速度は2km/hに抑えられ、警告音がドライバーに誤操作の可能性を知らせる。
【360度カメラ】
フロントパネル、左右ドアミラー、リアバンパーの4ヵ所に広角カメラが設置されており、合成処理された周囲の状況がモニター画面に表示される。自車を真上から見ているかのようなトップビューも選べる。