日産自動車、ヒューレット パッカード エンタープライズ、シーメンス、 自動車業界初となる本格的なグローバル利用での次世代設計基盤を構築
カテゴリー: 日産のニュース
タグ:
2015/12/21
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン、以下「日産」)、ヒューレット パッカード エンタープライズ(本社:米国カリフォルニア州パロ・アルト、CEO:メグ・ホイットマン、以下「HPE」)とシーメンスAG(本社:ドイツバイエルン州ミュンヘン、CEO: ジョー・ケーザー、以下「シーメンス」)は21日、グローバル開発拠点から高速レスポンスで、車両開発に関わる最新データを常時利用することができる、自動車業界初※1の次世代設計基盤を共同で構築したと発表しました。本設計基盤は、エンジニアリングVDI(Virtual Desktop Infrastructure:デスクトップ仮想化)を採用することで、グローバルでの車両開発の柔軟性と管理の効率化を目指したもので、米国や欧州などで利用を開始しました。
エンジニアリングVDIとは、高度なグラフィックス処理に対応した技術で、サーバー上に用意された3次元CADの仮想ワークステーションにアクセスすることで、デスクトップに画面を出力して操作することができるシステムです。本技術によって日産のエンジニアはいつでも最新データにアクセスすることができます。データをサーバー上に集約することで、運用管理性や利便性を高めるだけでなく、コストの効率化や災害時のリスクマネジメントも可能となります。
本格的なグローバル利用でのエンジニアリングVDIによる次世代開発基盤は、最先端のグラフィックス処理技術を搭載したサーバー、ソフトウェア製品、及びネットワーク高速化技術を活用しています。日産は、まず日産テクニカルセンターノースアメリカ(NTCNA)、日産テクニカルセンターヨーロッパ(NTCE)の二ヵ所の開発拠点で利用を開始します。本基盤により、日産はグローバル拠点におけるCAD業務を、拠点によらず同等にできると共に、インフラの集約・管理性を高めることで、将来のシステム導入期間やバージョンアップ費用、及び運用管理工数を大幅に削減できる見込みです。また、本基盤によりグローバルでの車両開発にフレキシブルにシステム対応が可能となるため、今後も順次適用地域を拡大していく予定です。
HPEは、このたびの次世代設計基盤構築において、最新のブレード型ワークステーションと統合ストレージ、デスクトップ仮想化技術により複数ユーザーでリソースを共有するエンジニアリングVDI環境を提案しました。提案は、コンサルティングから、ハードウェア機器、ソフトウェア、サポートまで包括したもので、本プロジェクトを支援するため、HPEは日本、米国および欧州にわたる横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、導入、検証、問題解決をグローバルな体制で柔軟かつ迅速に行い、スムーズな運用開始に貢献しました。
エンジニアリングVDI環境を構成するHPEのテクノロジーは、以下の機器とソフトウェアが含まれます。
ブレード型ワークステーション「HPE ProLiant WS460c Graphics Server Blade」
統合ストレージ「HPE 3PAR StoreServ 7400」
ソフトウェア「HPE Systems Insight Manager」
デスクトップ仮想化技術「Citrix XenDesktop」
高いマシンスペックと信頼性を必要とする開発業務を仮想化するためには、高性能ワークステーションをサーバーと同レベルの運用管理機能で利用できるブレード型ワークステーションが適しています。拠点の開発者の生産性向上を実現すると同時に、サーバー上にデータを集約することで、運用管理やコストを効率化し、障害時におけるリスクマネジメントが可能となります。ストレージは専用ASICによる高パフォーマンス、4コントローラー構成によりメンテナンス時や障害時もパフォーマンスを維持できる構成となっています。
シーメンスは、この日産エンジニアリングVDI環境を実現するにあたって、ソフトウェア技術基盤を提供しています。シーメンスのソフトウェアNXは、日産でエンジニアリングや車両開発全般にわたって利用されているCADソリューションです。高水準のVDI環境実現を保障するため、NXはその上で必要とされる全てのハードウェアとして認定されています。加えて、シーメンスTeamcenterがデジタル基盤として強力に日産VDIを支えています。Teamcenterは地域を超えて適切な人員が、あらゆる製品に関連する情報に対して容易かつ迅速にアクセスできることを実現する包括的な製品情報管理システムです。
このたびの発表について日産グローバルIS/IT担当の常務執行役員である行徳セルソは、つぎのようにコメントしました。「グローバルに新規事業が拡大する中、IT活用の重要性は益々高まっています。グローバルIS/IT戦略を軸に、経営とITの連動に取り組むことで、日産の企業価値の更なる向上に貢献していきます。」
HPEは、「世界市場での成長をさらに加速することを目指す日産のグローバルIS/IT中期経営計画を、グローバルITパートナーとして支援します」とコメントしました。
シーメンスのデジタルファクトリー事業本部のビジネスユニットである、シーメンスPLMソフトウェア代表取締役兼CEOのチャック・グラインドスタッフは、「シーメンスはグローバル製造業のデジタル化を可能にする最先端を走っており、HPEのようなパートナーとともに、日産の先進的な取り組みに協力できることを誇りに思っています。こうした日産の取り組みの成果であるVDIモデルは、グローバル自動車産業をはじめ多くの産業にとって偉大な前例となるでしょう」とコメントしました。
三社は今後も引き続き、グローバルでの車両設計インフラを集約し、生産性向上と管理の効率化を目指します。
※1 NVIDIA社調べ