日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区 社長:カルロス・ゴーン 以下、日産)、及び、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社(本社:神奈川県横浜市鶴見区 社長:宮谷正一 以下、ニスモ)は12日、2015年のモータースポーツ活動概要を発表しました。日本のSUPER GTやドイツで行われるニュルブルクリンク24時間レースなど、世界各地の耐久レースに引き続き参戦するほか、新たにFIA世界耐久選手権のLM P1クラスに参戦し、さらにグローバルにモータースポーツ活動の場を広げていきます。

・日産/ニスモは、世界各地の主要耐久レースでの活動の幅をさらに拡大
・ル・マン24時間レースを含むFIA世界耐久選手権のトップカテゴリーであるLM P1クラスに参戦
・SUPER GTのGT500クラスでは、昨年に続き2年連続の年間タイトル獲得を目指す
・ゲーマー出身ドライバー中心で構成するニスモアスリートたちは、世界各地のレースシリーズに参戦

1. FIA世界耐久選手権/ル・マン24時間レース

日産/ニスモは、ル・マン24時間レースを含むFIA世界耐久選手権のトップカテゴリーであるLM P1(ル・マンプロトタイプ1)クラスに参戦し、同クラスに参戦するアウディ、ポルシェ、トヨタとともに戦います。
LM P1クラス参戦マシンである「Nissan GT-R LM NISMO」は、2月1日に世界に向けて発表しました。この革新的なマシンは、エンジンを車体前部に積み駆動輪は前輪となります。エンジンはV型6気筒のガソリンツインターボで、エネルギー回生システムを搭載しています。
FIA世界耐久選手権は、4月12日にイギリスのシルバストンで開幕し、ベルギーのスパ・フランコルシャンでの第2戦のあと、シーズン最大のル・マン24時間レースをむかえます。その後はドイツのニュルブルクリンク、米国、中国、日本そして中東を転戦します。

(チーム・監督・No.・車両名・タイヤメーカー)
■Nissan Motorsports・ベン・ボウルビー・21、22、23・Nissan GT-R LM NISMO・ミシュラン
No. 21はル・マン24時間レースのみ参戦、 No. 22と 23は通年で参戦予定

<参戦予定ドライバー>
松田 次生、ミハエル・クルム(ドイツ)、ルーカス・オルドネス(スペイン)、マルク・ジェネ(スペイン)、オリビエ・プラ(フランス)、ハリー・ティンクネル(イギリス)
その他のドライバー、および組み合わせは後日発表予定です。

2. SUPER GT GT500クラス

● GT500クラス車両
ドイツツーリングカー選手権(DTM)とエンジン以外の車両規則が共通化され、新規規則での開催初年度となった昨シーズン、SUPER GTのGT500クラスで、ニスモエントリーのMOTUL AUTECH GT-R(Nissan GT-R NISMO GT500)がシリーズチャンピオンを獲得しました。2015年仕様車は、チャンピオンカーとなった14年仕様をベースにパワートレインの耐久性向上、空力性能の更なる向上、車両軽量化による運動性能向上を重点に開発を進めています。

<主な開発ポイント>
・エンジン: 2年目となるNR20Aエンジンは、更に直噴ターボの燃焼効率をあげて過渡特性と出力を向上させ、同時により高い信頼性を持つ様に改良を加えました。
・空力: 独特のデザインを持つラテラルダクト、リアフェンダー周りを中心にリファインしました。ドラッグをキープしながらも、トータルダウンフォースを更に増大させています。
・シャシー: 軽量化できない共通パーツ以外のパーツを徹底的に軽量化し、重心高の低下及び重量配分の最適化を図り、運動性能を向上させています。

● GT500クラスチーム体制
今年もNISMO、TEAM IMPUL、KONDO RACING、MOLAの4チームが参戦し、合計4台の「Nissan GT-R NISMO GT500」で同シリーズGT500クラスに出場します。ミハエル・クルム選手はFIA世界耐久選手権の車両開発に専念・集中するため、第3戦まではルーカス・オルドネス選手がGT300クラスからステップアップして参戦し、佐々木大樹選手とペアを組みます。日産系チームの総監督は、引き続き柿元邦彦が務めます。

(No:チーム・監督・ドライバー・車両名・タイヤメーカー)
■1:NISMO・鈴木 豊・松田 次生/ロニー・クインタレッリ(イタリア)・MOTUL AUTECH GT-R・ミシュラン
■12:TEAM IMPUL・星野 一義・安田 裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ブラジル)・カルソニック IMPUL GT-R・ブリヂストン
■24:KONDO RACING・近藤 真彦・ルーカス・オルドネス(スペイン R1-R3)、ミハエル・クルム(ドイツ R4-R8)/佐々木 大樹・D'station ADVAN GT-R・ヨコハマ
■46:MOLA・大駅 俊臣・本山 哲 / 柳田 真孝・S Road MOLA GT-R・ミシュラン

3. カスタマープログラム

日産/ニスモは、日産車や日産エンジンでレース活動を行うカスタマーチームを支援してまいります。

● 「Nissan GT-R NISMO GT3」の車両供給及び技術支援
FIA GT3規定に沿ってニスモが開発したカスタマー向けのレース専用車両「Nissan GT-R NISMO GT3」は、2012年の発売以来アップデートを重ねてきました。2015年仕様車は、軽量化、前後の重量バランスの見直し、エアロダイナミクスの改善や燃費向上、ブレーキ性能の向上を図りました。ニスモは、欧州地域では同地域のGT3プログラムパートナーであるJRMとともに、「Nissan GT-R NISMO GT3」のユーザーに車両供給及び技術支援を行います。

● SUPER GT GT300クラス
ニスモは、「Nissan GT-R NISMO GT3」でSUPER GT GT300クラスに参戦するカスタマーチームに、今シーズンも車両供給及び技術支援を行います。また、ニスモからは「NDDP RACING」がエントリーします。長谷見昌弘監督のもと、NDDP(日産ドライバーデベロップメントプログラム)で全日本F3選手権に出場してきた高星明誠がステップアップして、星野一樹と組んで出場します。

(No:チーム・監督・ドライバー・車両名・タイヤメーカー)
■3:NDDP RACING with B-MAX・長谷見 昌弘・星野 一樹/高星明誠・B-MAX NDDP GT-R・ヨコハマ

● ブランパン耐久シリーズ
欧州でNISSAN GTアカデミーの活動を行っているRJNとニスモのジョイントチームがプロクラスに1台の「Nissan GT-R NISMO GT3」をエントリーします。同シリーズのプロクラスへのエントリーは初めてのことです。

(クラス・No.:チーム・監督・ドライバー・車両名・タイヤメーカー)
■プロ・23:Nissan GT Academy Team RJN・ボブ・ネヴィル・アレックス・バンコム(イギリス)/千代勝正/ウォルフガング・ライプ(ベルギー)・Nissan GT-R NISMO GT3・ピレリ

● ニュル24時間レース
ドイツ日産の協力の元、RJNとニスモのジョイントチームが今年もニュルブルクリンク24時間レースに2台の「Nissan GT-R NISMO GT3」で出場します。

(チーム・監督・ドライバー・車両名・タイヤメーカー)
■Nissan GT Academy Team RJN・ボブ・ネヴィル・アレックス・バンコム(イギリス)/フローリアン・シュトラウス(ドイツ)/ウォルフガング・ライプ(ベルギー)/ヤン・マーデンボロー(イギリス)・NISSAN GT-R NISMO GT3・ミシュラン

● スーパー耐久シリーズ(ST-Xクラス)
ニスモは、「Nissan N GT-R NISMO GT3」でスーパー耐久シリーズのST-Xクラスに参戦するカスタマーチームに技術支援を行います。またST-Xクラスでは、今年もKONDO RACINGと日産自動車大学校のコラボレーションチーム、「スリーボンド日産自動車大学校GT-R」プロジェクトが参戦します。これは、授業の一環としてレース活動に参画するという、教育とモータースポーツを結びつけた活動で、今年で4年目を迎えます。

(クラス・No:チーム・監督・ドライバー・車両名)
■ST-X・24:KONDO RACING・近藤 真彦・藤井 誠暢/星野敏/高星 明誠・スリーボンド日産自動車 大学校 GT-R

● LMP2クラスエンジン供給及び技術支援
ニスモは、ル・マン24時間レースを含むFIA 世界耐久選手権(WEC)やヨーロピアンル・マンシリーズのLMP2(ル・マンプロトタイプ2)クラスに参戦するチームにVK45エンジンを供給し、技術支援を行います。

● LMP3クラスエンジン供給及び技術支援
ニスモは、ヨーロピアンル・マンシリーズのLMP3(ル・マンプロトタイプ3)クラスに出場するチームにVK50エンジン(5リットルNA・V8 エンジン)を供給し、技術支援を行います。ACO(フランス西部自動車クラブ)が今年から創設したLMP3クラスは、チームやドライバーが耐久レースの入門編として挑むことのできるカテゴリーです。ニスモが開発し、欧州のレース会社であるORECA社を通して供給するVK50エンジンは、1シーズンメンテナンスフリーという高い信頼性を持ちつつ、低コストでドライバビリティに優れた、パフォーマンスとコストのバランスの取れたエンジンです。

● スーパー耐久シリーズ (ST3クラス)
昨年に引き続きニスモは、「フェアレディZ NISMO RC」でスーパー耐久シリーズのST3クラスに参戦するカスタマーチームに技術支援を行います。

4. ニスモアスリートの活動

● ニスモグローバルドライバーエクスチェンジプログラム
日産/ニスモは、若手ドライバーの育成と交流にも注力していきます。2013年に開始したニスモグローバルドライバーエクスチェンジは、世界各地で戦う日産のドライバー、ニスモアスリートたちに、グローバルに経験を積ませることでその才能をさらに高め、同時にドライバーたちのチャンスをさらに広げることを目的とした活動です。今年は、Nissan GTアカデミー初代卒業生で昨年SUPER GTのGT300クラスに出場していたルーカス・オルドネスが同GT500クラスにステップアップして3レースを戦い、さらに全日本F3選手権に出場します。また、昨年に引き続き千代勝正がブランパン耐久シリーズにフル参戦し、ウォルフガング・ライプがSUPER GT第5戦の鈴鹿1000㎞レースに第3ドライバーとして出場します。

(ドライバー・シリーズ・チーム・監督・車両・タイヤメーカー)
■ルーカス・オルドネス(スペイン)・SUPER GT GT500クラス(R1-R3)・KONDO RACING・近藤 真彦・D’station ADVAN GT-R・ヨコハマ
■ルーカス・オルドネス(スペイン)・全日本F3選手権・B-MAX Racing Team with NDDP・長谷見 昌弘・B-MAX NDDP F312・ヨコハマ
■千代 勝正・ブランパン耐久シリーズ・Nissan GT Academy Team RJN・ボブ・ネヴィル・Nissan GT-R NISMO GT3・ピレリ
■ウォルフガング・ライプ(ベルギー)・SUPER GT GT300クラス(R5)・NDDP Racingwith B-MAX・長谷見 昌弘・B-MAX NDDP GT-R・ヨコハマ

● 全日本F3選手権
前述のルーカス・オルドネスと、高星明誠が全日本F3選手権(チャンピオンクラス)に出場します。

(クラス・チーム・監督・No/ドライバー・車両名)
■C・B-MAX Racing Team with NDDP・長谷見 昌弘・22/ルーカス・オルドネス(スペイン)、23/高星 明誠・B-MAX NDDP F312

■ ダレン・コックス ニスモグローバルブランド、セールス
「2014年は日産/ニスモにとって最高の一年となりました。ニスモ創立30周年を祝っただけでなく、世界中のレースで84回のポディウムフィニッシュを記録し、そのうち42戦は優勝を手にしています。そして私たちは今年、スポーツカーレーシングの最上位クラスに復帰します。Nissan GT-R LM NISMOは、私たちのドライバー育成ステップの頂点に君臨するマシンです。このステップを通じて、私たちはゲーマー出身のGTアカデミードライバーをLM P1まで押し上げることができます。ゲームからGT4を経てGT3へ、さらにLM P3、LM P2の先のLM P1までの道が開けました。これまでルーカス・オルドネスは、このしくみが機能していることを証明してきました。彼はSUPER GTのGT500クラスとル・マンLM P1の両方に参戦しようとしています。これは、レーシングドライバーを志す誰にでも開かれている道でもあります。私たちはモータースポーツを再び主流にしたいと考えています。それは、スリル、喜び、革新、技術の開花をもたらします。今から2015年シーズンの振り返りを楽しみにしているくらいです」

■ 宮谷正一 ニスモ最高経営責任者コメント
「2014年はニスモがSUPER GTのGT500クラスでシリーズチャンピオンを飾り、ニスモ創立30周年にふさわしい年となりました。今年はいよいよFIA世界耐久選手権のLM P1クラスに出場します。日産/ニスモとして世界の舞台にシリーズ出場するのは久しぶりで、競争は厳しいものと覚悟はしていますが、1年目の今年は胸を借りるつもりで挑戦していきます。そして、日産のパフォーマンスブランドとしてのNISMOのクレディビリティを確固たるものにしていくためにも、LM P1だけでなく、SUPER GTや、GT3、LMP2、LMP3等のカスタマーサポートなど、グローバルなレースシーンでその存在を示して行きたいと思います」

2月28日(土)、日産グローバル本社ギャラリーにてSUPER GTの監督、ドライバーが参加するイベントを実施します。また、新カラーリングの #1MOTUL AUTECH GT-Rや #3B-MAX NDDP GT-Rも展示いたします。
開催時間等の詳細はこちらをご覧ください。http://www.nissan.co.jp/GALLERY/HQ/

<関連情報>

「日産モータースポーツ」サイト