トヨタクラウンマジェスタ ▲車名のマジェスタは英語のMAJESTY(威厳)から命名された。セルシオがレクサスに移行してからはトップ・オブ・トヨタの座についていた高級セダン

トヨタ クラウンマジェスタの中古車は今

1991年に9代目トヨタ クラウンが登場した際、クラウンより上級なセダンとして新たに設定されたクラウンマジェスタ。以降、6世代にわたり2018年6月まで販売された。

特にセルシオがLSとなってレクサスブランドへと移行した4代目以降は、トヨタブランドの最高峰という位置付けとなった最高級セダンである。

そのため、フルモデルチェンジのたびに最新機能が奢られているのが特徴だ。

20年以上前に登場した初代や2代目でも、走行距離10万km以下であれば総額100万円前後するなど、根強い人気がある。

特に最終モデルとなる6代目は、平均価格が250万円を超えているという状況だ。


世代ごとの中古車平均価格と流通量は下記のとおりとなっている。
・初代:90.6万円・約10台
・2代目:51.4万円・約10台
・3代目:62.5万円・約50台
・4代目:67.8万円・約130台
・5代目:100.2万円・約80台
・6代目:273.5万円・約180台

ここからは各世代それぞれの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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クラウンマジェスタ(初代)の特徴と中古車相場

■クラウンマジェスタ(初代) DATA
生産期間:1991年10月~1995年7月
中古車流通量:約10台
中古車価格帯:60万~110万円

クラウンマジェスタ(初代) ▲名前にクラウンと付くが、プラットフォームはセパレート式のクラウンとは異なり、同時期に発売されたアリストと共用のモノコックフレームが採用されている

■クラウンマジェスタ(初代)の特徴
1991年10月に登場した9代目クラウンと、1989年にデビューしていたセルシオとの間に位置する高級セダンとして、新たに設定されたのがクラウンマジェスタだ。

1991年10月に登場したが、開発時期の1980年代後半は「シーマ現象(日産 シーマが大ヒットしたこと)」が起こったほど、高級なセダンが売れていた。それを受けてトヨタも高級セダンのラインナップを拡充した形となる。
 

クラウンマジェスタ(初代) ▲クラウンに対してひと回り大きなボディが与えられた。全長は100mm長い4900mm、全幅も50mm広い1800mmの専用ボディが与えられている

新開発されたモノコックフレームが採用され、足回りには電子制御式エアサスペンションが備えられた。

搭載されたエンジンはセルシオと同じ4LのV型8気筒と、クラウンと同じ3Lの直列6気筒の2種類が用意された。

1992年10月にフルタイム4WDの「Cタイプi-Four」が追加されている。
 

クラウンマジェスタ(初代) ▲デジタル表示が採用された速度計

■クラウンマジェスタ(初代)の中古車相場
流通台数は10台程度とかなり少ないが、走行距離10万km以下の物件が大半を占める。3L車と4L車の比率は半々。

走行距離やグレードによる価格差は多少あるものの、その差は小さいため、いずれも総額100万円前後で狙うことが可能だ。

30年近く前の車ゆえ、現車を確認して購入するようにしよう。
 

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クラウンマジェスタ(2代目)の特徴と中古車相場

クラウンマジェスタ(2代目) DATA
生産期間:1995年8月~1999年8月
中古車流通量:約10台
中古車価格帯:30万~90万円
 

クラウンマジェスタ(2代目)) ▲プラットフォームがクラウンと共用となったが、ボディサイズは初代とほぼ同じ。「Fタイプ」には、スポーティな走行を可能にするための専用チューンが施された

■クラウンマジェスタ(2代目)の特徴
1995年8月に登場した2代目。この代からクラウンとプラットフォームを共用するようになった。

フロントマスクこそクラウン顔だが、リアはかつてのアメリカンセダンを思わせるような、縦長のテールランプが与えられている。

搭載されたエンジンは初代と同様、セルシオと同じ4LのV型8気筒と、クラウンと同じ3Lの直列6気筒の2種類。
 

クラウンマジェスタ(2代目) ▲TRC(トラクションコントロール)は一部グレードを除き全車標準で備えられた。VSC(車両姿勢の制御機能)は1996年6月から4L車の2WD(FR車)にも採用された

足回りは初代と異なり、最上級グレードの「Cタイプ」のみにエアサスペンションが備わる。このエアサスペンションにはスカイフック制御(フラットライドに車両を保つための制御)技術が採用されている。

また、4WDの「Cタイプi-Four」には、当時最先端の車両制御技術だったVSCを電子制御4WDと組み合わせた車両総合制御システムが採用された。
 

クラウンマジェスタ(2代目) ▲デジタルメーターパネルは、奥行きを感じさせるスペースビジョンメーターが採用された

■クラウンマジェスタ(2代目)の中古車相場
初代同様、こちらも10台程度と流通量がかなり少ない。3L車と4L車の比率は同程度となっている。

走行距離10万km超の物件が多いが、いずれも総額100万円前後で狙うことが可能。2代目も走行距離やグレードによる価格差はあるものの、その差は小さい。

2代目マジェスタもも古いモデルゆえ、現車を確認して購入するようにしよう。
 

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クラウンマジェスタ(3代目)の特徴と中古車相場

クラウンマジェスタ(3代目) DATA
生産期間:1999年9月~2004年6月
中古車流通量:約50台
中古車価格帯:20万~140万円
 

クラウンマジェスタ(3代目) ▲2代目を踏襲したデザイン。新プラットフォームとなったが、全長と全幅は2代目とほぼ同じ。ただし、全高は30mm高められている

■クラウンマジェスタ(3代目)の特徴
3代目は、同時期のクラウンが採用した新プラットフォームを共用して1999年9月に登場。

初代・2代目の窓枠のないハードトップと異なり、窓枠を備えた4ドアセダンとなった。2代目に対し全高を高くし、室内長や室内幅も拡大され、ゆったりとした室内空間が確保されている。
 

クラウンマジェスタ(3代目) ▲エクステリアの特徴だった縦長のテールランプを太くして、リアの迫力を増している

搭載されたエンジンは、新開発された3Lの直列6気筒エンジンと、従来の改良型である4LのV型8気筒の2種類。4WDも2代目同様、用意されている。

また、最上級グレードの「Cタイプ」にのみ備わるエアサスペンションには、フラットライドな乗り心地のために新たな技術が採用された。
 

クラウンマジェスタ(3代目) ▲後席センターアームレスト後方に、ドリンク缶を保冷できるクールボックスや、電動リアサンシェードが一部グレードに標準またはオプションで用意された

■クラウンマジェスタ(3代目)の中古車相場
50台程度の流通量があり、初代や2代目より選択肢の幅は広い。総額50万円以下から狙えるが、この価格帯は走行距離15万km超の物件が多くなっている。

走行距離10万km以下を狙いたいなら、予算60万円以上はみておきたい。それでも、初代・2代目より年式の新しい3代目が、初代・2代目同様に総額100万円で狙えるのだから、お買い得感は高いはずだ。

総額100万円以上のものは、エアロパーツなどでカスタマイズされた車や、走行距離5万km以下のものが多い。

また、エアサスペンション装着車の「Cタイプ」より、バネサスの「Aタイプ」の方が人気は高く、価格は若干高めになっている。
 

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クラウンマジェスタ(4代目)の特徴と中古車相場

クラウンマジェスタ(4代目) DATA
生産期間:2004年7月~2009年2月
中古車流通量:約130台
中古車価格帯:30万~230万円
 

クラウンマジェスタ(4代目) ▲ベースのクラウンと比べて力強く伸びやかな造形のフロントまわりのデザインに。フロントグリルには従来の王冠(クラウンのマーク)ではなく、トヨタマークが備えられた

■クラウンマジェスタ(4代目)の特徴
2004年7月に登場した4代目は、前年12月にデビューした通称ゼロクラウンをベースに開発された。

ホイールベースはクラウンと同じだが、全長は+135mm、全幅は15mm大きくなっている。これは、後の2006年6月にセルシオが終了して新たにレクサスブランドに移行することを踏まえ、この車がトップ・オブ・トヨタになることを前提として開発されたためだ。
 

クラウンマジェスタ(4代目) ▲エアサスペンションが全車に標準装備されるようになった。また、衝突被害を軽減するプリクラッシュセーフティシステムが採用された

ボディサイズやエクステリアデザインだけでなく、中身もトップ・オブ・トヨタにふさわしい技術や品質が与えられた。

VSCやTRCといった機能を統合して走行を安定させるVDIMや、前方車の速度に合わせて自動で追従するアダプティブクルーズコントロール機能、レーンキープアシスト、ナイトビューといった最先端技術が盛り込まれている。

なお、搭載されたエンジンはセルシオと同じ4.3LのV型8気筒の1機種のみとなった。従来同様、4WD車が用意されている。
 

クラウンマジェスタ(4代目) ▲本木目に象嵌など高品質な素材で仕上げられたインテリア。キーを回すのではなくスタートボタン式になった

■クラウンマジェスタ(4代目)の中古車相場
流通台数は約130台で、3代目同様にこちらも総額50万円以下から探すことができる。この最安値ゾーンでも、希に走行距離10万km以下の物件が見つかる。

全車エアサスペンションになったためだろう、上級グレードの「Cタイプ」とベースグレードの「Aタイプ」の価格差は3代目ほどない。装備充実の「Cタイプ」を狙うなら、3代目よりこの4代目がオススメだ。

総額100万円超の価格帯に流通するのはフルエアロでカスタマイズされた車が多い。予算150万円あれば、走行距離5万km以下の物件も十分狙える。

クラウンマジェスタでコンディションを重視するなら、この4代目以降を狙うといいだろう。
 

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クラウンマジェスタ(5代目)の特徴と中古車相場

クラウンマジェスタ(5代目) DATA
生産期間:2009年3月~2013年8月
中古車流通量:約80台
中古車価格帯:40万~160万円
 

クラウンマジェスタ(5代目) ▲衝突被害を軽減するプリクラッシュセーフティシステムに、出合い頭の衝突を防ぐ機能も加えられた。また、前方の歩行者を検知するステレオカメラや10個のエアバッグなど、安全性能が高められた

■クラウンマジェスタ(5代目)の特徴
2009年3月に登場した5代目。引き続きクラウンをベースに専用ボディが与えられているが、特にホイールベースが75mm延長されたことで、後席にさらなるゆとりが生まれた。

全車にエアサスペンションが装備され、新たにカーナビゲーションからの情報を基に最適な足回りに制御するナビ協調機能が加えられた。
 

クラウンマジェスタ(5代目) ▲VDIMやアダプティブクルーズコントロールなど、4代目に与えられた最新機能も引き続き採用されている

インテリアでは厳選された本革シートや天然木、19chオーディオアンプ+20スピーカーのトヨタプレミアムサウンドシステムなど、高級装備がふんだんに用いられている。

搭載されたエンジンは同時期のレクサスLSと同じ4.6LのV型8気筒。これに、8速ATが組み合わされた。ただし、4WD車には従来同様4.3Lエンジン×6速ATとなる。
 

クラウンマジェスタ(5代目) ▲4人乗り仕様の「GタイプFパッケージ」の後席

この5代目では後席重視に特化したグレード「Gタイプ」が新たに設定された。さらに、「Gタイプ」には4人乗り仕様の「Fパッケージ」も用意され、大型の後席センターコンソールや左後席オットマンシートが採用されている。

一方で、ベースグレードの「Aタイプ」には、ドライビングが楽しめるギア比可変ステアリングを採用した「Lパッケージ」が設定された。
 

クラウンマジェスタ(5代目) ▲標準のオプティトロンメーターに加え、視認性に優れたカラー液晶メーターも用意された。後席用に天井に電動格納する9インチディスプレイも設定された

■クラウンマジェスタ(5代目)の中古車相場
最安値帯は総額70万~100万円。このゾーンに流通しているのは、ベースグレードの「Aタイプ」か、走行距離10万km超の物件がほとんど。「Aタイプ」であれば、この価格でも走行距離10万km以下の中古車を狙える。

「Aタイプ」はシートが本革ではなくファブリックになり、リアオートエアコンが省かれているが、それ以外は他グレードと比べて大差がない。お得にクラウンマジェスタを狙いたいなら、「Aタイプ」がオススメだ。

中でも、ギア比可変ステアリングを採用するなど走りを楽しめる「AタイプLパッケージ」は台数が少ないので、こちらを狙う人はじっくり探した方がいいだろう。

一方、装備の充実した「Cタイプ」や「Gタイプ」で走行距離10万km以下の物件を狙うなら、予算の目安は120万~160万円。タイミングが良ければ、走行距離5万km以下の物件が見つかる可能性もある。
 

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クラウンマジェスタ(6代目)の特徴と中古車相場

クラウンマジェスタ(6代目) DATA
生産期間:2013年9月~2018年6月
中古車流通量:約180台
中古車価格帯:140万~540万円
 

クラウンマジェスタ(6代目) ▲専用ボディではなくクラウンと同じボディになったことで、全長は4970mmと5代目の4995mmより短くなった。フロントグリルはクラウンマジェスタであることを示すように、縦バーが配された

■クラウンマジェスタ(6代目)の特徴
2013年9月に登場した最終型となる6代目。

従来とは異なり、見た目がクラウンとほぼ同じになっている。ただし、5代目と同じくクラウンのホイールベースが75mm伸ばされた後席重視のモデルであることは変わらない。

また、従来までのV型8気筒をやめ、同時期のレクサス GS450hと同じ3.5L+モーターのハイブリッドシステムを搭載したモノグレードのみの設定となった。

つまり、クラウンのロングホイールベースモデルで、ハイブリッド専用車という位置付けのモデルである。
 

クラウンマジェスタ(6代目) ▲ハイブリッドのためバッテリーをトランク前方に備えるが、トランクにはゴルフバッグ4つを収納できる

後席電動リクライニングなど後席を重視した「Fバージョン」も用意されたが、5代目の「Fパッケージ」が4人乗り仕様だったのに対し、6代目の「Fバージョン」は5人乗り仕様となっている。

2014年7月に、2.5L+モーターのハイブリッドシステムと、フルタイム4WDを組み合わせたグレード「Four」が追加された。

また、プリクラッシュセーフティシステムは「Fパッケージ」と「Four」に標準装備されていたが、2016年9月に衝突被害軽減ブレーキを含むトヨタセーフティセンスPが全車に標準装備されている。
 

クラウンマジェスタ(6代目) ▲Fバージョンには運転席/助手席/後席の3ゾーンで独立して温度調整が行えるフルオートエアコンが備わる

■クラウンマジェスタ(6代目)の中古車相場
年式が新しいこともあり、流通量は約180台と歴代のクラウンマジェスタの中で最も多い。

見た目がクラウンロイヤルとあまり変わらず、ホイールベースを伸ばした後席重視のモデルのためだろう。グレード別に見ると、後席の装備が充実した「Fバージョン」が圧倒的に多く、全体の80%以上を占める。そのため、最も狙いやすいのは「Fバージョン」だ。

最安値帯は総額170万~200万円。このゾーンは走行距離10万km前後の物件が多い。予算を250万~280万円ほどまでアップできれば、走行距離6万km以下の選択肢が豊富になる。

走行距離5万km以下は全体の4割近くあるので、比較検討しやすいだろう。

ハイブリッド4WDのグレード「Four」は台数が少ないものの、価格は「Fバージョン」とあまり大差はない。一方で、装備も「Fバージョン」とほぼ同じで、4WDではあるものののエンジンの排気量が小さいためJC08モード燃費では「Four」の方が良い。

・「Four」:19.0km/L
・「Fバージョン」:18.2km/L

もしも「Four」が予算内で見つかったら、雪道だけでなく雨の日や、ワインディングでも4WDの恩恵を受けられるので、積極的に選ぶことをオススメしたい。
 

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※記事内の情報は2021年8月1日時点のものです。
 

文/ぴえいる 写真/トヨタ
ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。