フェアレディZの中古車支払総額が1年で116万円もダウン!? 日産が世界に誇る国産スポーツカーの中古車状況、オススメの狙い方を解説
2025/11/05
▲スポーツカーを愛する者にとっては「垂ぜんの1台」といえる8代目日産 フェアレディZですが、中古車平均支払総額が大幅でダウンし、かなりお買い得な状況になっています発売から3年が経過し、ついに狙いやすい状況が到来
歴代モデルの造形を見事にオマージュした意匠のボディに、最高出力405psの3L V6ツインターボエンジンを搭載し、ドライバーの心にも身体にも「大満足」の3文字を提供してくれるスポーツカー、8代目日産 フェアレディZ。
今さらクダクダとご説明するまでもない、大変に素晴らしい1台なわけですが、そんな8代目フェアレディZも発売から約3年が経過し、納車時期によっては初回車検のタイミングを迎えつつあります。
そしてその影響なのか、8代目日産 フェアレディZの中古車平均支払総額はこの1年で110万円以上ダウン。そしてなおかつ流通量も増えたことで、ずいぶんと選びやすい状況になっているようです。
今こそ8代目フェアレディZのモデル概要を振り返ってみるともに、その中古車の「上手な狙い方」を考えてみることにしましょう!
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日産 フェアレディZ(8代目)モデル概要:伝統を生かしつつ最新技術を取り入れた美しき2シータースポーツ
フェアレディZは、1969年に登場した日産伝統のスポーツカー。
まずは1960年に登場したダットサン スポーツの輸出仕様が「フェアレディ」を名乗り、1969年にデビューした通算3代目のフェアレディから、車名の末尾に「Z」の文字が付くようになりました。
▲こちらが初代日産 フェアレディZ。写真は1971年の240ZG3代目フェアレディ=初代フェアレディZは北米市場で爆発的なヒット作となり、1970年代の日本でも大ヒットを記録。この初代Zで確立された「ロングノーズ・ショートデッキ」「ハッチゲートを持つファストバックスタイル」「強力な6気筒エンジンを縦置きするFRレイアウト」という基本構成は、その後のフェアレディZにも連綿と受け継がれています。
そして8代目日産 フェアレディZは、2021年8月にニューヨークで世界初公開され、日本では2022年8月に販売が始まった全長4380mm×全幅1845mm×全高1315mmの2シータースポーツです。
▲2022年8月に発売となったRZ34こと8代目日産 フェアレディZ
▲ボディサイズは全長4380mm×全幅1845mm×全高1315mm。従来型より大きくはなったが、近年の車としては決して大きすぎではない、妥当なサイズアップといえるレギュラーモデルで4種類、スポーツモデルである「NISMO」まで入れて考える5種類のグレードが用意されている8代目フェアレディZが搭載するパワーユニットは、全車3L V6ツインターボ。
そのスペックは最高出力405ps/最大トルク475N・m(※NISMOは同420ps/同520N・m)で、トランスミッションは6MTまたは9速AT。グレードによってMTかATのどちらか、または両方がラインナップされています。
▲8代目フェアレディZの運転席まわり。写真のグレードはバージョンS8代目日産 フェアレディZ各グレードの主な特徴は以下のとおりです。
いわゆる「素の状態」だが、安全装備を含む装備類は普通に充実。ホイール径は18インチで、トランスミッションは6MTと9速AT。
ツアラー志向のグレード。ホイール径は乗り心地のよさに貢献する18インチで、本革&スエード調ファブリック表皮のヒーター付き電動シートとBOSEサウンドシステム(アクティブサウンドコントロール/アクティブノイズコントロール付き)を標準装備。トランスミッションは9速ATのみ。
スポーツ志向のグレード。ホイールは鍛造19インチで、四輪アルミ対向ブレーキキャリパーおよびメカニカルLSDを標準装備。トランスミッションは6MTのみ。
「全部盛り」といえる最上級グレードで、バージョンTのラグジュアリーな装備類とバージョンSのスポーティな装備類の両方を標準装備。トランスミッションは6MTと9速AT。
2023年8月に追加設定されたスポーツグレード。3L V6ツインターボは最高出力420ps/最大トルク520N・mに強化され、専用のシャシーチューニングや専用ブレーキシステムを採用し、NISMO専用のドライブモードも用意。フロントグリルや前後バンパー等々もNISMO専用パーツとなる。トランスミッションは、変速レスポンスと耐久性を向上させた9速AT。
▲フェアレディZ NISMOの2024年モデル。写真のボディカラーは専用色であるNISMOステルスグレー/スーパーブラック 2トーン中古車状況:流通量の順調な増加に伴い、平均価格は大幅ダウン中
8代目日産 フェアレディZの中古車平均支払総額は、発売からちょうど3年目を迎えた2025年8月に700万円を切り、同年9月には687.3万円まで下落。
直近1年間における最高値であった2024年11月の803.5万円と比べると、なんと116.2万円もダウンしている計算になります。
▲2024年11月~2025年9月までの中古車平均支払総額の推移そして2025年9月時点の延べ掲載台数は388台。発売後は順調に台数を増やし続けてきた8代目フェアレディZですが、2025年に入ってからは250台、300台、そして350台超えと比較的急ピッチで台数が増加しているのは、やはり「初回車検」が理由であると考えられます。
いずれにせよかなり順調なペースでの中古車流通台数増加が、8代目フェアレディZの平均価格下落の主要な要因であることは間違いありません。
▲2024年10月~2025年9月までの延べ掲載台数の推移それでは次章以降、かなり選びやすく、なおかつお手頃価格にもなってきた「Z」の上手な狙い方を考えてまいりましょう。
中古車のオススメ①:価格重視で選ぶなら500万円台前半のNISMOを除く全グレード
なるべく手頃な予算で8代目フェアレディZを入手したいと考える場合、ターゲットとすべきは「総額500万円台前半の各グレード」です。
▲中古車の平均支払総額は約687万円だが、市場では総額500万円台前半の低走行物件も多数流通している8代目フェアレディZの中古車のメインといえる価格帯は「総額600万円台」なのですが、総額500万円台前半(および400万円台)でも、約40台の物件が流通しています。そして500万円台前半という価格帯はそれなりの数が流通しているだけでなく、「なかなか粒ぞろいな価格帯」でもあるのです。
この価格帯で流通している各物件の走行距離は「多いものでも2万km台」であり、大半の物件はせいぜい数千km程度。中には走行数百kmの超低走行物件や、登録済未使用車もけっこうな数が流通しています。
そしてトランスミッションは、この価格帯でも6MTと9速ATの双方を候補にすることが可能で、グレードも――もちろん最廉価なベースグレードが中心にはなりますが、ラグジュアリーなバージョンTや、「全部盛り」のバージョンSTを見つけることも可能です。
▲MT車の方が中古車価格が高い傾向はあるが、それでも、総額500万円台前半の予算であっても6MTの物件を選ぶことは普通に可能この価格帯におけるネガなポイントといえば、「より高額な価格帯の物件と比べると、内装などの使用感は若干感じられる(※あくまで若干)」ということと、「ベースグレード(3.0)の場合、オプション装備だったBOSEサウンドシステム(アクティブサウンドコントロール/アクティブノイズコントロール付き)が付いていない場合が多い」ということぐらいでしょう。
そのように「実は狙い目」といえる総額500万円台前半(および400万円台)の中古車流通状況はおおむね下記のとおりです。
●3.0(6MT)|約16台|総額500万円~
●3.0(9速AT)|約7台|総額480万円~
●バージョンT(9速AT)|約5台|総額510万円~
●バージョンS(6MT)|約1台|総額540万円~
●バージョンST(6MT)|0台|――
●バージョンST(9速AT)|5台|総額500万円~
流通量が豊富で探しやすいのは3.0(ベースグレード)ですが、装備内容から考えた場合のオススメは、バージョンT(9速AT)またはバージョンST(9速AT)です。
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日産 フェアレディZ(8代目) × 総額550万円未満中古車のオススメ②:MTにこだわるなら総額580万円前後のバージョンST
8代目日産 フェアレディZの中で「6MT」を堪能できるグレードは、3.0(ベースグレード)とバージョンSおよびバージョンST。その中でも特にオススメとなるのは、総額580万円前後のバージョンSTです。
▲NISMOを除いて考えた場合の最上級グレードである「バージョンST」のMT車も価格は思いのほか現実的で、流通量も豊富2025年10月下旬現在、6MTを搭載している8代目フェアレディZの流通状況はおおむね下記のとおりですが、要するにバージョンSTの6MT車は「最も数が多いため探しやすく、なおかつ全部盛りの最上級グレードであり、それでいて中古車価格は他のグレードとあまり変わらない」という状況になっています。それゆえ、バージョンSTこそがイチ推しとなるわけです。
【8代目フェアレディZ(6MT)の流通状況】
●3.0(6MT)|約22台|総額500万~660万円|注目価格=総額530万円前後
●バージョンS(6MT)|約14台|総額540万~660万円|注目価格=総額570万円前後
●バージョンST(6MT)|約80台|総額570万~870万円|注目価格=総額580万円前後
もちろん6MTのバージョンSTは総額700万円以上あるいは800万円以上の物件も多数流通していますが、筆者が「注目価格」とした総額580万円前後のゾーンでも流通量は十分確保されており、また物件のコンディションも決して悪くない場合がほとんどです。このぐらいの価格で「全部盛りであり、なおかつ運転操作を存分に楽しめる6MTでもある」というバージョンSTを入手すれば、納車後の満足度はかなりのものとなるはず。
硬派なバージョンSを最優先で探すのも悪くないですし、バージョンSTよりも数十万円は確実に安く狙えて、なおかつ乗り心地的にコンフォータブルな18インチホイールを履く3.0の6MT車を選ぶのも、なかなかシブいチョイスだとはいえます。
しかし極力客観的に考えるのであれば、総額500万円台後半から600万円台前半ぐらいのバージョンST(6MT)こそが、最強コスパであるといっていいでしょう。
▲9M-ATx(9速AT)も決して悪くないが、せっかくフェアレディZに乗るなら、この6MTを自分の意思で変速させながら走りたいと考える人も多いはず▼検索条件
日産 フェアレディZ(8代目) × MT × 総額650万円未満▼検索条件
日産 フェアレディZ(8代目) × バージョンST × MT × 総額650万円未満中古車のオススメ③:NISMOを狙いたい場合の予算感は「総額700万円台後半」
強化されたパワーユニットとシャシーおよび足回り、そして様々な専用パーツを身にまとった「フェアレディ Z NISMO」は2025年10月下旬現在、総額750万~1200万円付近の価格帯で約70台の中古車が流通しています。
そのどれもが基本的にはグッドコンディションな低走行物件であるため、「自分の好みや予算感に合いそうな物件をとりあえず何台かピックアップし、それらのコンディションをしっかり確認したうえで購入する」という、ある意味ゆるい選び方でも普通にOKとなります。
▲こちらが日産 フェアレディZ NISMO。追加されたエクステリアパーツは「デザインだけ」のものでは決してなく、ダウンフォースの向上などにも確実に寄与している。ホイールは鍛造の19インチ2023年8月に追加設定されたNISMOは現在、2024年式が36台ほど、2025年式が34台ほど流通していますが、それぞれの年式や走行距離などの条件と中古車価格の間には、さほど強い相関はありません。
もちろん「2025年式より2024年式の方が安い」「走行1万km台の物件より、走行10km程度の未使用車の方が高い」などの基本的な傾向はあります。しかしそれでも「2025年式より高額な2024年式」があったり、「走行数百kmの物件よりも高額な数千km物件」があったりして、一概にはいえない状況になっているのです。
そのため先述したとおり、まずは予算感とボディカラーの好み、そして「net上で感じられる程度感」などの条件に合致する物件を何台かざっくりとピックアップし、それぞれの詳細を1台ずつしっかり確認していくというのが、基本的にはベストな探し方になります。
▲NISMOのインテリア。シートは、ブラックのパーフォレーション付きアルカンターラとレザー素材を組み合わせたNISMO専用チューニングのレカロ製スポーツシートとなるとはいえ、フェアレディZ NISMOとしては最安の部類に入る「総額700万円台の物件」であっても基本的なコンディションは良好である場合がほとんどなので、さほど難しく考える必要はありません。
どうしても700万円以上の予算は必要になりますが、あくまでも気楽に楽しく、フェアレディZ NISMOという最上級のスポーツカーを探す喜びを存分にご堪能ください。
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日産 フェアレディZ(8代目) × NISMO
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。