新型カングーの新車価格400万円超えに絶望したあなたに贈る「半額で買えるコレ、代わりにどうですか?」5選
2025/09/06
▲今年7月にマイナーチェンジを受けた3代目ルノー カングー。新車価格が400万円を軽く超えて絶句している人も多いはず。ならば新型カングーの約半額、つまり総額220万円ぐらいで狙うことができる「代わり」を探してみることにしよう!あのカングーの新車価格が439万円って、どういうこと?
一部で大人気のフルゴネット型乗用車「ルノー カングー」の3代目が2025年7月、マイナーチェンジを実施した。
内容は、ラインナップを上級グレードのみに整理すると同時に、内外装デザインの一部を変更するなどしたというものだが、マイナーチェンジの是非はさておき、気になるのが車両価格だ。
ルノー カングーといえば「比較的お手頃価格な輸入車」というイメージがあったが、マイナーチェンジ型の新車価格はガソリン車が419万円でディーゼル車が439万円という、なかなか立派な金額になってしまったのだ。
▲かなり立派な新車価格となったマイナーチェンジ型ルノー カングー。先代の新車価格は200万円台半ばぐらいが中心だったのだが……▼検索条件
ルノー カングー(3代目)カングー1(初代)の新車価格は100万円台だったし、カングー2(2代目)でも200万円台半ばぐらいだったのに……と嘆きたくもなるが、嘆いてばかりいても仕方がないし、生産性もない。
ここはひとつ頭を切り替え、マイナーチェンジ型新車の半額ぐらい、つまり総額220万円ぐらいで狙える、カングー3(3代目)と同じぐらい魅力的な類似車を探してみることにしたい。
3代目カングーの代わり①|ルノー カングー(2代目)
→想定予算:総額160万~250万円
最もシンプルな解決方法は「先代の中古車を買う」ということだろう。すなわち先代(2代目)ルノー カングーのコンディション良好な物件を、総額220万円前後で探してみるのだ。
▲こちらが2代目ルノー カングー。写真は2020年9月に200台限定で発売された特別仕様車「ラ・ポスト」2代目カングーのボディサイズは全長4280mm×全幅1830mm×全高1875mmと、3代目と比べると全長は210mm短く、全幅は30mm狭い。しかし、これは「2代目の方がむしろ日本では扱いやすいかも?」と言えそうな部分だ。
そして2代目はエンジンパワーも3代目より若干劣るわけだが、3代目は車両重量が100kg以上重いことから考えると、単純比較はできない。特に2014年5月以降の1.2Lターボエンジン搭載グレードを選ぶようにすれば、2代目カングーであっても、まずまず不満を感じないない動力性能を味わうことができるだろう。
そして――これは人それぞれの主観によって異なる話ではあるが、エクステリアデザインも、個人的には2代目の方が断然キュートで素敵であると感じる。
▲マッチョではない「すっとぼけた感じ」のエクステリアデザインが、2代目までのカングーの魅力だ
▲インテリアデザインの世界観は、わりと普通といえば普通な感じそんな2代目ルノー カングーの中古車価格は総額35万~410万円と、かなり上下に幅広い状況ではあるが、おおむね160万~250万円のゾーンにて、走行3万km台までの1.2Lターボエンジン搭載グレードを見つけることが可能だ。
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ルノー カングー(2代目)3代目カングーの代わり②|シトロエン ベルランゴ(3代目)
→想定予算:総額240万~280万円
続いて2番目の「代わり」としては2代目シトロエン C4ピカソが考えられるが、3代目カングーの代わりとしてはいささか古く、今や中古車の流通量も少ない。
ならば初代BMW 2シリーズアクティブツアラーでどうか? とも思ったが、ルノー カングーに引かれるタイプの人に、2シリーズアクティブツアラーのあのデザインとあの世界観が刺さるとは到底思えない。
▲こちらが2代目シトロエン C4ピカソ▼検索条件
シトロエン C4ピカソ(2代目)
▲こちらが初代BMW 2シリーズアクティブツアラー▼検索条件
初代BMW 2シリーズアクティブツアラー(初代)であるならば……やはりこれしかないのだろう。多少予算オーバーになってしまうが、現行型ルノー カングーの直接の競合である「シトロエン ベルランゴ」だ。
▲こちらがシトロエン ベルランゴシトロエン ベルランゴは、2019年10月に先行導入モデルが上陸した全長4405mm×全幅1850mm×全高1830mmという、3代目カングーとほぼ同等の(少しだけ小さいが)サイズ感を伴う5人乗りフルゴネット型MPV。
パワーユニットは最高出力130ps/最大トルク300N・mの1.5L直4ディーゼルターボで、3代目カングーのマイナーチェンジ型ディーゼルモデルと比べても遜色ないというか、むしろスペック的には上回っている。
そしてデザインは――これまた主観に基づく話にはなってしまうが、3代目カングー以上にキュートであると考えられ、MPVとしての使い勝手も3代目カングーと同様、大いに良好である。
▲ボディサイズは3代目ルノー カングーに近いが、こちらの方が少しだけ小ぶり
▲実用的ではあるが、さすがの「おしゃれ感」が随所に感じられるシトロエン ベルランゴの運転席まわり中古車価格は、この記事の冒頭で申し上げた「総額220万円以下」だと難しいのだが、総額240万~280万円ぐらいを想定できるなら、上級グレードである「シャイン」の走行4万km前後の物件を入手できるだろう。
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シトロエン ベルランゴ(3代目)3代目カングーの代わり③|プジョー リフター(初代)
→想定予算:総額240万~290万円
シトロエン ベルランゴが選択肢としてOKであるならば、こちらも自動的にOKとなるだろう。ベルランゴの兄弟車であるプジョーブランドの5人乗りMPV、「プジョー リフター」である。
▲シトロエン ベルランゴとプラットフォームを共用するMPV、プジョー リフター。写真はマイナーチェンジ前の前期型プラットフォームはシトロエン ベルランゴと共用するプジョー リフターだが、エクステリアデザインはベルランゴがアバンギャルド寄りであるのに対し、プジョー リフターは「正統派スポーティ路線」といったイメージ。
ボディサイズは全長4405mm×全幅1850mm×全高1880mmで、全長と全幅はシトロエン ベルランゴと同一だが、全高はプジョー リフターの方が3cm高い仕上がりになっている。
パワーユニットはベルランゴと同一の最高出力130ps/最大トルク300N・mの1.5L直4ディーゼルターボ。だがプジョー リフターは16インチではなく17インチのアルミホイールを標準装着していることもあって、走行フィールはリフターの方がベルランゴより若干スポーティな印象となる。
▲5名乗車時の荷室容量は597L。リアシートをすべて倒せば2126Lまで拡大可能
▲プジョーならではの小径ステアリングホイールの上方にメーターパネルをレイアウトする「i-Cockpit」を採用したプジョー リフターの運転席まわり中古車流通量はベルランゴの3割以下で、総額200万円台で狙えるお手頃物件の数もさほど多くはない。しかしそれでも総額240万~290万円付近にて、まずまず好条件なGT ディーゼルターボを見つけることはできるだろう。
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プジョー リフター(初代)3代目カングーの代わり④|トヨタ シエンタ(3代目)
→想定予算:総額200万~250万円
シトロエン ベルランゴやプジョー リフターがマイナーチェンジ型ルノー カングーの代わりになり得るのは、ある意味当たり前の話である。
しかし筆者はトヨタ シエンタの現行型も、実は現行型カングーの代わりになり得るのではないかとにらんでいる。
▲トヨタ シエンタもルノー カングーの代わりになり得る?トヨタ シエンタは、10年以上前からトヨタが製造販売を続けている5ナンバーサイズのコンパクトミニバン。2003年9月に登場した初代シエンタは、ハッキリいって「普通に便利で安価なトヨタ車」としか言いようのないモデルだったが、2015年7月に登場した2代目は、なぜかいきなりちょっとシトロエンを思わせるエクステリアデザインへと進化(?)した。
▲こちらが2代目トヨタ シエンタそして2022年8月に登場した現行型(3代目)は、パリの街角でルノーかフィアットのエンブレムに付け替えてているコレを見かけたら、おそらくは欧州車と間違えてしまうだろうニュアンスの、シンプルだが上質なデザインを伴う1台に仕上がった。
とはいえデザインにおける「味」のような部分は、やはりルノー車などとは大きく異なるわけだが、足りない部分は自主的なカスタマイズを施せば、欧州車を向こうに回しても決して負けない存在感を放てるだけのポテンシャルは秘めている。
▲2人がけの3列目シートは2列目シート下に収容可能。また、そもそも3列目が存在しない5人乗り仕様も選択できるそして全長4260mm×全幅1695mm×全高1695mmというボディサイズは、3代目ルノー カングーと比べれば明らかに小さいわけだが、このサイズは、全高以外は実はカングー1(初代ルノー カングー)にちょっと近い。
つまりトヨタ シエンタの中古車を買い、3列シートを床下に収容してしまえば(もしくは最初から5人乗り仕様の中古車を買えば)、今となってはコンディションの良い中古車を見つけるのが困難になっている初代カングーの代わりとして、この便利で使い勝手の良い国産車をフル活用できるのである。
……マイナーチェンジ型3代目カングーの代わりではなく「カングー1の代わり」という妙な話になってしまったが、いずれにせよ先入観なしで、現行型トヨタ シエンタの姿をいま一度まじまじと見てみてほしい。
▲この写真を先入観なしで眺めてみてほしい。……どうですか?それでも納得できない人は多いかもしれないが、一部の人は「これはこれでイイのかも……?」と思い始める可能性はあるだろう。
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トヨタ シエンタ(3代目)3代目カングーの代わり⑤|ルノー アヴァンタイム(初代)
→想定予算:総額140万~200万円
常識的な線としては、ここまでに提案してきた「2代目カングー」「シトロエン ベルランゴまたはプジョー リフター」「3代目トヨタ シエンタ」あたりが、マイナーチェンジ型ルノー カングーの代わりとしてはベストフィットであると考えられる。
だが、「常識的であること」にいささかの飽きを感じているのであれば、いっそのことこのルノー車を選んでみるのも素敵なのかもしれない。
2002年にルノーが導入したミニバン、いやルノーいわく「2ドアのニューコンセプトクーペ」であるルノー アヴァンタイムだ。
▲こちらがルノーの異色2ドアクーペ、ルノー アヴァンタイム外観的にはどこからどう見てもミニバンだが、全長4660mm×全幅1835mm×全高1630mmとなるボディ内に用意されたシートは2列で、乗車定員は5名。しかし、実質的には最大4名がゆったり座るための設計がなされている。
パワーユニットは最高出力207psの3L V6自然吸気で、シーケンシャルモードを備えた5速ATを介して前輪を駆動。その走行フィールは見た目ほどアバンギャルドなものではなく、「わりと普通」といった印象だが、この車の場合は走りうんぬんよりも「異端の存在であること」が最大の魅力となるはず。
▲Bピラーは存在しないため、ボディ形状としてはいわゆる「2ドアハードトップ」ということになる。ほぼ垂直に切り落とされたリアウインドウも印象的
▲ミニバン的に広大なスペースを5人(実質4人)のために贅沢に使っているルノー アヴァンタイムの車内昨今、ルノー アヴァンタイムの中古車流通量は激減しているが、それでも2025年8月下旬時点で3台の中古車が、総額140万~200万円付近にて流通している。
いわゆる普通のMPVやミニバンに若干食傷気味である場合は、ぜひアヴァンタイムに注目してみてほしい。
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ルノー アヴァンタイム(初代)
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。