メルセデス・ベンツの電気自動車5選|中古車で超お得!新車価格の半額以下なEV物件もあるが、買いか?オススメな選び方を解説
2025/05/30

その気になればすべてのEQシリーズは「新車のおよそ半額」で買える!
メルセデス・ベンツの「EQシリーズ」は、本国では2018年に登場したEQCを皮切りに、現在はコンパクトモデルからフラッグシップまで大小7車種が正規輸入されている人気のEV(電気自動車)シリーズ。
とはいえハイブランドのEVだけあって新車価格は高額で、例えばEQE SUVという大型のSUVの新車が欲しいとなると、車両本体だけで1369万7000円が必要です。支払総額は軽く1400万円を超えることになるでしょう。
しかし同じEQE SUVでも中古車であれば総額710万円~と、新車のおおむね半額で入手できてしまいます。
そして「新車のおおむね半額」というのは、EQE SUVだけにはとどまりません。その他のEQシリーズもすべて、その気になれば新車の半額または半額以下での購入が可能な市況になっているのです。

もちろん「EVは駆動用バッテリーの劣化や、電気自動車特有のややこしい壊れ方をするかもしれない点が心配だ」という意見もあるでしょう。
しかしメルセデス・ベンツEQシリーズの駆動用バッテリーには、車種に応じて「8年間または走行距離16万kmまで」「10年間または走行距離25万kmまで」の高電圧バッテリー特別保証が付帯しています。そして一般保証とメンテナンス保証、24時間ツーリングサポートも、新車登録日より5年間または走行距離10万kmのいずれか先に達するまで、無償で提供されます。
つまり「年式的に新しめの中古車を買えば、そのあたりの心配はほとんどない」ということです。
この記事では、そのようにやたらとお手頃になっているメルセデス・ベンツ EQシリーズの主要モデルについて、最新の中古車価格を詳細にご紹介します。
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メルセデス・ベンツ × 電気注目のEQシリーズ①|メルセデス・ベンツ EQC
新車価格:895万~1200万円
中古車平均価格:約480万円
EQCはメルセデス・ベンツ初の量産型ピュアEVとして2019年7月に上陸した、SUVタイプのEV。
プラットフォームはエンジン車のSUVであるGLCと共通で、ボディサイズは全長4770mm×全幅1925mm×全高1625mmです。

パワーユニットは前後の車軸に搭載される計2基のモーターで、システム最高出力408ps/システム最大トルク765N・mを発揮。駆動方式は4WDですが、効率を高めるため低中負荷領域ではフロントモーターのみで走行し、状況に応じてリアのモーターが稼働するタイプです。
一充電航続距離はWLTCモードで400kmとなっています。

そんなEQC全体の中古車価格は2025年5月中旬現在、総額390万から580万円といったところですが、それを年式別にブレイクダウンすると、おおむね下記のとおりになります。
2020年式:総額450万円
2021年式:総額390万~540万円
2022年式:総額420万~530万円
2023年式:総額490万~580万円
2024年式:総額520万~550万円
メーカーの一般保証が残りわずかとなる2021年式であれば総額420万円前後で狙うことも可能ですが、もう少し保証期間が残っている方が好ましいと考える場合は、2023年式を総額550万円前後で探してみるのがいいでしょう。
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メルセデス・ベンツ EQC(初代)注目のEQシリーズ②|メルセデス・ベンツ EQB
新車価格:788万~966万円
中古車平均価格:約478万円
EQBは、EQC、EQAに続くエレクトリックSUVの第3弾モデルとして2022年7月に上陸した3列シート7人乗りのEV。
全長4685mm×全幅1835mm×全高1705mmという比較的コンパクトなサイズでありながら、3列シート7人乗りのキャビンを有しています。

駆動方式はFWDと4WDの2種類で、FWDモデルの「250」は前輪の車軸に最高出力190ps/最大トルク385N・mのモーター1基を搭載。4WDモデルである「350 4マチック」は前後の車軸にモーター1基ずつを搭載し、システム最高出力292ps/同最大トルク520N・mをマークします。
2024年5月までの前期型に搭載されたリチウムイオンバッテリーの容量は66.5kWhで、WLTCモードの一充電走行距離は250が520km、350 4マチックが468km。
2024年6月にはマイナーチェンジを行い、デザイン変更を行うとともに、駆動用リチウムイオンバッテリーを容量70.5kWhの高電圧タイプに変更。前輪駆動モデルの車名は「250プラス」となり、WLTCモードの一充電走行距離も557kmに拡大されました。

EQB全体の中古車価格は2025年5月中旬現在、総額400万から770万円といったところ。グレード別ではFWDの250系が全体の約8割を占めており、4WDの350 4マチックはやや希少です。そして年式別で見た場合の中古車価格は、おおむね下記のとおりとなります。
2022年式:総額410万~640万円
2023年式:総額400万~580万円
2024年式:総額440万~770万円
2025年式:総額710万円
2025年式はさすがにまだ高額であり、そもそも流通量もきわめて少ないのですが、それ以前の世代は、年式の違いによる価格差はさほど大きくはありません。
となれば、初度登録から5年間の一般保証がまだたっぷり残っている2024年式または2023年式の前期型EQB250を、総額450万円前後で探すのが得策となるでしょう。
ただ、同じ2024年式でもマイナーチェンジ後の250プラスを狙いたい場合は、総額600万円以上の予算が必要です。
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メルセデス・ベンツ × EQB(初代)注目のEQシリーズ③|メルセデス・ベンツ EQE
新車価格:1040万~1922万円
中古車平均価格:約641万円
前出のEQCとEQBはエンジン車のプラットフォームを利用したEVであるのに対し、EQEはEV専用モデルとして開発された中型セダン。
日本では2022年9月に発売開始となったモデルです。

エクステリアは、これまでのメルセデスとは異なる流麗なルーフラインが特徴で、ボディサイズは全長4970mm×全幅1905mm×全高1495mm。
2種類がラインナップされるうち、「350プラス」は最高出力292psの電動パワートレイン「eATS」をリアに1基搭載。ハイパフォーマンス版であるメルセデスAMG EQEの「53 4マチックプラス」はフロントとリアにeATSを搭載し、システム最高出力は625psとなります。
リチウムイオンバッテリーの容量は90.6kWhと共通で、WLTCモードによる一充電後続距離は350プラスが624km、53 4マチックプラスが526kmです。

2025年5月中旬現在、やや特殊なメルセデスAMG EQE53 4マチックプラスを除くEQEは約70台の中古車が流通しており、価格は総額520万~940万円といったところ。総額800万円を超える高額物件もありますが、EQE350プラス全体として平均価格は約641万円と、新車時のおおむね半額といえる水準になっています。
年式別に見た場合の中古車価格は下記のとおりです。
2022年式:総額520万~770万円
2023年式:総額520万~710万円
2024年式:総額620万~940万円
2025年式:――(流通なし)
2024年式はまだまだ高額である場合が目立ちますが、2023年式であれば、走行距離1万km未満のAMGパッケージであっても総額550万円台半ばで検討可能。
一般保証の期間もまだ十分残っている年式ですので、それが新車の約半額で入手できるというのは「お買い得!」と評してしまっていいでしょう。
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メルセデス・ベンツ EQE(初代)▼検索条件
メルセデスAMG EQE(初代)注目のEQシリーズ④|メルセデス・ベンツ EQE SUV
新車価格:1292万~1370万円
中古車平均価格:約796万円
EQEから約1年遅れて発売されたメルセデス・ベンツ EQE SUVは、EQEと同じくEV専用プラットフォーム「EVA2」を採用しているSUVタイプのEV。

ボディサイズは全長4880mm×全幅2030mm×全高1670mmで、標準モデルである「350 4マチックSUV」は、前後の車軸にシステム最高出力292ps/同最大トルク765N・mの電動パワートレイン「eATS」を搭載。容量89kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーによって528km(WLTCモード)の一充電走行距離を実現しています。
また、日本仕様の350 4マチックSUVは「V2H/V2L」にも対応しており、家庭の太陽光パネルなどで発電した電気の貯蔵装置となる他、停電時などに電気を家庭に送る予備電源として使うことも可能です。

2025年5月中旬現在、EQE SUVの中古車は総額710万~1100万円のゾーンで50台ほどが流通しており、平均価格は約796万円。1300万円前後だった新車価格の「半額」とまではいきませんが、それに近い水準の総額で、走行距離1万km未満の物件を入手することができます。
年式に基づく価格差はさほど大きくはないのですが、参考までに記しておくと、EQE SUVの年式別中古車価格はおおむね下記のとおりです。
2023年式:総額710万~900万円
2024年式:総額750万~1100万円
2025年式:――(流通なし)
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メルセデス・ベンツ EQE SUV(初代)注目のEQシリーズ⑤|メルセデス・ベンツ EQS
新車価格:1535万~2167万円
中古車平均価格:約745万円
本国では2021年4月に初公開されたEQSは、メルセデス・ベンツとしては初のEV専用プラットフォームを採用したラグジュアリークラスのEV。
エクステリアにおいてはキャブフォワードかつクーペ的なフォルムと、継ぎ目の少ないゆったりとした面構成が大きな特徴となります。

ボディサイズは全長5225mm×全幅1925mm×全高1520mmで、標準モデルに相当する「450プラス」は後輪の車軸に最高出力333psの電動パワートレイン「eATS」を搭載。リチウムイオンバッテリーの容量は107.8kWhで、一充電走行距離はWLTCモードで700kmです。
足回りには連続可変ダンピングシステム「ADS+」とエアサスペンションを組み合わせた「AIRMATIC」が標準で備わる他、「リアアクスルステアリング」も標準装備。EQS450プラスの場合で最大4.5度の後輪操舵が可能となり、ラージサイズサルーンとしては異例の取り回し性の良さが発揮されます。

そんなEQSの中古車は約80台というまずまずの数が流通しており、平均価格も約745万円と、約1500万円から約1600万円である新車価格の半額または半額以下という水準。
3枚の大型ディスプレイで構成されるMBUXハイパースクリーンを含む「デジタルインテリアパッケージ」が装着されている物件はかなり高額ですし、MBUXリアタブレットなどが付く「リアコンフォートパッケージ」もまずまずの高値になります。しかしそれらが付いていない一般的なAMG ラインパッケージであれば、走行距離1万km程度の物件であっても総額600万円台後半で、つまり新車の半額以下で入手可能です。
乗り手の環境を選ぶEVではありますが、思いっきりラグジュアリーに振ったEVライフを送りたいユーザーにとっては、総額700万円前後のEQSは大いに注目すべき存在だといえるでしょう。
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メルセデス・ベンツ EQS(初代)
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。