新型ホンダ フリードの納車10ヵ月待ちに絶望した人に贈る「代わりにコレ、どうですか?」5選
2024/10/01

1年近く待たされるのは、さすがにちょっと……
「5ナンバーサイズの「ちょうどいいミニバン」として誕生したフリードも、今年6月に登場した新型で通算3代目となりました。そんな新型フリードは相変わらず「ちょうどいいサイズ感」を維持しつつ、ハイブリッドシステムを最新の「e:HEV」へと刷新。そしてデザインもよりいっそうクリーンで洗練されたものとなりました。
さらに各部の使い勝手や乗り味がより向上したこともあって、新型ホンダ フリードは大人気に。発売から1ヵ月で計画の約6倍もの受注台数を集めるに至っています。
しかし、そうなると問題になってくるのが「納期」です。
一番人気の「e:HEVエアー EX」は、取材によれば納車までに10ヵ月から1年ほどかかってしまう状況で、ガソリンエンジンの「エアー EX」も約6ヵ月待ち。アクティブなデザインを採用した「クロスター」も、5ヵ月ほど待つ必要がある模様。
5ヵ月待たされるというのもやや微妙ですが、一番人気であるe:HEV エアー EXの場合はさらに長い約1年待ちとなるため、「そんなに待ってられないよ!」と思ってしまう人も多いのではないかと推測します。
であるならば、いっそのこと新型フリードの購入はやめにして、その代わりに「新型フリードに近い満足度が得られるモデルを、高年式中古車としてサクッと手に入れる」という行動を取った方が、生活全体の満足度が上がる可能性もあるのかもしれません。
ということで、「新型ホンダ フリードに近い利便性と満足が得られそうな即納モデル」を5車種、ピックアップしてみることにしましょう!

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ホンダ フリード(3代目・現行型) × 全国新型フリードの代わり その1|トヨタ シエンタ(3代目・現行型)
→想定予算:総額240万~290万円

現行型シエンタは、ホンダ フリードのライバルにあたるトヨタのコンパクトミニバン。ボディサイズは新型フリードのエアーとおおむね似た数値で、両側スライドドアに代表される使い勝手の面でもほぼ互角。そしてデザインも、フリードがシンプル系であるのに対してシエンタは「欧州車っぽいおしゃれ系」ではありますが、「どちらも悪くないデザインである」という意味で、ほぼ互角と言っていいでしょう。
新型フリードの一番人気である「e:HEV エアー EX」に相当するシエンタは、ハイブリッドの上級グレードである「HYBRID Z」です。新型フリード e:HEV エアー EX(FF車)の新車を買うとなると支払総額は約330万円で、なおかつ1年近く待たされることになります。しかし現行型トヨタ シエンタ HYBRID Zであれば、走行1万km台までの中古車が総額280万~300万円程度でOK。そして「ほぼ即納」というメリットもありますので、新型ホンダ フリードの代わりとしてはかなり悪くない選択肢です


とはいえ現行型トヨタ シエンタは、新型ホンダ フリードの6人乗り車と違って「2列目がキャプテンシートではなくベンチシートである」という弱点(?)はありますし、3列目シートの広さと座り心地についても、新型フリードの方が若干上回っています。
しかしこのあたりをどう感じるかは人それぞれでしょう。少なくとも「3列目は出しっぱなしにするのではなく、普段は床下に収納しておく」という使い方を想定している人であれば、現行型トヨタ シエンタHYBRID Zの低走行中古車にはかなり満足できるはずです。
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トヨタ シエンタ(3代目・現行型) × 全国新型フリードの代わり その2|ホンダ フリード(2代目)
→想定予算:総額170万~200万円

新型ホンダ フリードの納車を待ちきれないのであれば、「旧型ホンダ フリードの後期型中古車を買う」という考え方もあります。
新型と旧型のフリードを比較した場合、当然ながら新型の方が何かと秀でているのは確かです。具体的には、ハイブリッドシステムを従来のi-DCD(変速機の中にモーターを組み込んだシステム)からe:HEVに刷新したことで、加速性能と燃費性能は大幅に向上。また、各部の使い勝手や質感などもすべて少しずつ向上しているのに加え、サードシート格納時の座面張り出し幅を小さくしたことで、荷室スペースも若干拡大しています。
とはいえ新型のプラットフォームは先代の改良型で、ホイールベースの長さもシートレイアウトも不変であるため、車内の基本的な広さは新型も旧型もさほど変わりません。全長は新型の方が45mm長いのですが、延長された分の大半は新しいハイブリッドシステムを収めるために使われていますので、キャビンの広さにはあまり関係していないのです。
であるならば、新型に比べて旧型フリードが明らかに劣っているのは「燃費と加速性能だけ」とも言えます。


しかし、旧型ハイブリッドの燃費性能でも十分といえば十分ですし(ハイブリッドGホンダセンシングFF車の場合でWLTCモード燃費=20.8km/L)、加速性能に関しても、今どき「ガンガンぶっ飛ばして走りたい!」という人もあまりいないでしょうから、旧型のハイブリッド車でも大きな不満は感じないはずです。

そして「それでもやはり新型の方が優れている」というのは事実なのですが、旧型の中古車には「総額180万円前後で走行3万km以下の物件が買えてしまう」という、ある種の絶対的なメリットがあります。この絶対的なメリットの前では、燃費性能や加速性能などが多少劣ることなど「微々たる問題である」と言ってしまっていいでしょう。
コスパ重視で実用コンパクトミニバンを選びたい人にとって、旧型フリードの低走行中古車は、なかなか悪くない選択肢です。
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ホンダ フリード(2代目) × 全国新型フリードの代わり その3|スズキ ソリオ HYBRID SZまたはソリオ バンディット HYBRID SV(4代目・現行型)
→想定予算:総額190万~220万円
新型ホンダ フリードが属するコンパクトミニバンというカテゴリーは、実質的にはホンダ フリードとトヨタ シエンタの2モデルのみで構成されています。そのため、フリードとシエンタ以外に“代わり”となるモデルは基本的に存在しないのですが、しかしそれは「3列シート/6~7人乗り」という条件にこだわった場合の話です。
もしも「我が家の場合、背が高めで荷物が載せやすい形状でさえあれば、5人乗りの2列シート車でも構わない」ということであるならば、スズキのコンパクトトールワゴン「ソリオ」の現行型も有力候補になります。

現行型のスズキ ソリオは、2020年12月に登場したスズキの5人乗りトールワゴン。ボディサイズは全長3790mm×全幅1645mm×全高1745mmと、ホンダ フリードやトヨタ シエンタよりもひと回りコンパクトですが、車内は2~4人で乗る分には十分広いと感じられるサイズです。また、荷室の床面長も従来型と比べて100mm長くなったため、フル乗車の状態であってもそこそこの量の荷物を積載可能。リアシートの背もたれを倒せば荷室床面長は1390mmに達しますので、けっこう大きな荷物を積み込むことも可能です。
当初のパワーユニットは1.2L直4エンジンにモーター機能付き発電機を組み合わせたマイルドハイブリッドのみでしたが、2022年12月にはフルハイブリッドシステムを追加。こちらのシステムを搭載する現行型ソリオであれば走りはまずまず力強く、WLTCモード燃費も22.3km/Lと、新型ホンダ フリード e:HEVエアー EXの25.4km/Lに近い良好な数値をマークします。
デザイン的にシンプルな「ソリオ HYBRID SZ」でも基本的には十分かと思いますが、人によっては「ややシンプルすぎる」と感じるかもしれません。その場合は、ソリオの上級ラインである「ソリオ バンディット」のHYBRID SVを選ぶようにすれば、まずまずの上質感も味わうことができるでしょう。



現行型ソリオ/ソリオ バンディットは、3列目シートの存在を重要視したい人には向かない車ですが、そうでない人にとっては、「新型ホンダ フリードの代わり」になり得る1台だといえます。総額190万~220万円付近にて、走行数千kmレベルの良質な物件が見つかることでしょう。
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スズキ ソリオ(4代目・現行型) × HYBRID SZ × 全国▼検索条件
スズキ ソリオ(4代目・現行型) × バンディット × 全国新型フリードの代わり その4|ルノー カングー(2代目)
→想定予算:総額160万~250万円
前項にて現行型スズキ ソリオ/ソリオ バンディットをオススメとして挙げましたが、「3列シートではない」という部分は許容できても、「全長3790mmというのはさすがにちょっとコンパクトすぎる」と感じる人もいるはずです。確かに3~4人家族の荷物のことまで考えると、もう少しサイズ的な余裕はあった方がいいのかもしれません。
であるならば、スズキ ソリオよりもふた回りほど大きな2列シートMPVである先代ルノー カングーを、「新型フリードの代わり」として選んでみるのはどうでしょうか?


2009年から2022年まで販売された先代(2代目)ルノー カングーは、全長4280mm×全幅1830mm×全高1810mmの、フルゴネットタイプの2列シート車。4280mmという全長は新型ホンダ フリードよりも少々長く、そこを3列ではなく2列のシートでぜいたくに使っていますので、先代カングーのキャビンは広く、そして荷室も十分に広大です。


とはいえ全幅も1830mmであるため、新型フリードやシエンタなどの5ナンバー車の全幅(1695mm)に慣れている人からすると「車幅、広すぎ!」と感じられるかもしれません。確かに全幅が1800mmを超えると、狭い道において扱いづらいと感じられる局面が増えてきます。しかし、1830mm程度であれば「慣れればどうってことない」というのも確かです。
もちろんこのあたりの感覚も人それぞれなわけですが、もしもご自身の運転技量に特に不安がないのであれば、しゃれたデザインであると同時によく走り、そしてたくさん積める車である先代ルノー カングーを選んでみるのも悪くありません。走行3万km台までのまずまず良質な物件が、総額160万~250万円ほどで容易に見つかるはずです。
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ルノー カングー(2代目) × 全国新型フリードの代わり その5|ホンダ N-BOX(3代目・現行型)
→想定予算:総額170万~200万円
ここまでは、いわゆる普通車に限定したうえで「新型フリードの代わり」について検討してまいりました。しかし、よく考えてみれば、普通車にこだわりすぎる理由はないのかもしれません。
つまり、新型ホンダ フリードという車の本質的な魅力である「利便性の高いパッケージング」「大きすぎないサイズ感」「優秀な燃費性能」「シンプルで心地よいデザインセンス」「まずまずの走り」という5大要素において問題ない車でさえあれば、“軽自動車”でも構わないのではないか? という話です。
もちろん世の中には軽自動車に対してネガティブな感情を持っている人もいますので、そういった人には向かない選択でしょう。しかし、もしもあなたが軽に対して特段ネガティブな思いをお持ちでないとしたら、現行型ホンダ N-BOXは、新型フリードの代わりとして十分に機能する可能性があります。

ご承知のとおり「日本で今、一番売れてる車」である現行型ホンダ N-BOXおよびN-BOXカスタムは、軽スーパーハイトワゴンと呼ばれるジャンルの軽乗用車。軽規格ですので全長と全幅はコンパクトですが、背が高いため、車内の広々感や利便性に関しては普通車以上です。また当然ながら「コンパクトゆえ、狭い道などで扱いやすい車」でもあります。
そして燃費性能は、新型フリードには若干劣るもののWLTCモードで20.3~21.6km/Lとまずまずで(※FF車の場合)、内外装デザインについても「シンプルで心地よいニュアンスである」と評することができます。また走りに関しても、当然ながらスポーティカーのように走らせることはできませんが、軽スーパーハイトワゴンとしては十分な安定感と力感があり、ターボ付きのN-BOXカスタムであれば、けっこう活発に走らせることも可能です。



そんな現行型ホンダ N-BOXの中古車価格は、走行数千kmレベルの物件に限ったとしても総額140万円からで、ターボ付きのN-BOXカスタムであっても総額180万円から探すことができます。そしてもちろん、新型フリードと違って「ほぼ即納」です。
軽自動車という存在に対する心理的な抵抗がない人にとっては、かなり有力な「新型フリードの代わり候補」になることでしょう。
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ホンダ N-BOX(3代目・現行型) × 全国▼検索条件
ホンダ フリード(3代目・現行型) × 全国※記事内の情報は2024年9月26日時点のものです。

自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。