ローバー ミニの平均価格とメンテナンスが不安なあなたに贈る「ほぼ同額で代わりにコレどうですか?」5選
カテゴリー: 特選車
タグ: トヨタ / BMW / ミニ / ローバー / プジョー / アバルト / ハッチバック / クーペ / スモール / 106 / 595 / ミニ / 1シリーズクーペ / ヤリス / 伊達軍曹
2024/07/18
素晴らしい車だが「購入と維持のハードル」は若干高い
いまだ根強い人気の「クラシックミニ」こと元祖ミニ。言わずと知れた、1959年から2001年まで販売され続けた英国製の革命的小型車であり、世界的名車でもあります。
元祖ミニは、もともとは英国のブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)がオースチンおよびモーリスブランドで販売していました。しかし現在、主に流通しているのは1980年代以降のローバーブランドになってからのローバー ミニです。
そんなローバー ミニを「欲しい!」と思う人は多いはずですが、それと同時に、二の足を踏んでしまっている人の数も多いことでしょう。
なぜならば、整備済みクラシックミニの価格目安は今や約200万円であり、仮に200万円出せたとしても――なにせ古い時代の車ですから――メンテナンスや、そもそもの物件選びに関するハードルがきわめて高いからです。
であるならば、整備済みクラシックミニの価格とだいたい同じ「総額200万円」で、もう少し気軽に買えて気軽に乗れる、クラシックミニとおおむね似たような価値が味わえる車を買ってみる――という作戦はどうでしょうか?
もちろんクラシックミニは唯一無二の「超革命的小型車」ですから、アレとまったく同じ価値が味わえる車など、この世に1台も存在していません。しかし「おおむね似たような価値が味わえる車」であれば、存在している可能性はあるでしょう。
この記事では、そんな車を「総額200万円以下」の予算にて探してみたいと思います。
▼検索条件
ローバー ミニ(初代) × 全国候補1|ミニ ミニ クーパーS(3代目)
想定予算:総額160万~200万円
まず現実的な線としては「現代版ミニ」が、クラシックミニの代わりとしての有力候補になるでしょう。
前述のとおりクラシックミニは1950年代生まれの英国車でしたが、その後いろいろあって、2001年以降はドイツのBMWが「ミニ」を作っています。そんな現代版ミニの3代目、つまり2014年からつい最近まで販売されていた世代のミニ3ドアハッチバックを手に入れれば、クラシックミニと同じではないものの「近い味わい」を感じることができます。
ボディサイズはローバー ミニが全長3075mm×全幅1530mm×全高1330mmであるのに対し、3代目ミニの3ドアクーパーSは全長3860mm×全幅1725mm×全高1430mm。
そのため「ぜんぜん違う」とも言えるのですが、「小ぶりである」という本質においてはおおむね同じであり、そもそも内外装のカタチが似ています。まぁBMW版のミニはクラシックミニの要素を積極的に取り入れたデザインであるため、似ているのは当たり前なのですが。
というか、似ているのはカタチ以上に「乗り味」でしょう。ローバー ミニはとにかく動きがクイックで、ドライバーの意思が、間髪入れずに車の動きとして伝わる――みたいなニュアンスです。そこが大変に気持ちいいわけです。
現代版の3代目ミニはローバー ミニほどクイックではなく、車両重量もずいぶん違うのですが、「ドライバーの意思が間髪入れずに伝わる」という部分はけっこう似ています(当たり前かもしれませんが)。
3代目ミニは、そのモデルライフを通じて様々なエンジンと搭載し、様々なグレードを世に送り出しましたが、総額200万円以下で狙えるちょうどいい選択肢は、最高出力192psの2Lターボエンジンを搭載するホットグレード「クーパーS」です。
AT車もありますが、これの6MT車を総額190万円前後で購入すれば、ローバー ミニにけっこう近い価値を味わえることでしょう。そして3代目であれば、メンテナンスもさほどシビアに考える必要はありません。
▼検索条件
ミニ ミニ(3代目) × クーパーS系グレード × 3ドア × 全国候補2|プジョー 106(初代)
想定予算:総額160万~250万円
こちらも「同じ」ではなく「まあまあ近い」という話にはなりますが、フランスのプジョーが1995年から2003年まで製造販売した106という車も、ローバー ミニとある意味似た快感を味わえる1台です。
日本へは1995年3月に上陸したプジョー 106は、全長3690mm×全幅1620mm×全高1370mmのコンパクトな3ドアハッチバック。コンパクトと言ってもローバー ミニと比べてしまうと大きいのですが、最近の車としてはきわめて小ぶりであり、車両重量が1tを切る960kgであるという点も、どことなくローバー ミニとの類似を感じさせます。
流通の中心である「S16」というグレードの場合、搭載エンジンは最高出力118psの1.6L直4。これが何の変哲もない自然吸気エンジンであり、トランスミッションも普通の5MTで、サスペンションも、フランスの小型車にありがちだったごく普通の形式です。
しかしそれをひとたび走らせると、ローバー ミニと同じではありませんが「近い」とは言える「ドライバーの意思が間髪入れずに車に伝わる」というあの感触が、なぜかそこに生じることになります。不思議ですが、本当の話です。
そんな106の中古車は高いモノも安いモノもあるのですが、総額160万~200万円ほどを見ておけばけっこういいのが買えますし、もしも総額250万円ぐらいを拠出できるなら、かなりコンディションの良い1台を見つけることもできるでしょう。
そしてシンプルな作りの車であり、クラシックミニほど古い年式ではないため、メンテナンスの不安もさほどのレベルではありません。
▼検索条件
プジョー 106(初代) × 全国候補3|アバルト 595(2代目)
想定予算:総額160万~200万円
イタリア製のホットハッチであるアバルト 595も、ローバー ミニの代わりとしての役割が期待できます。
アバルト 595の前身であるアバルト 500は、フィアットの小型車であるフィアット 500のホットバージョンとして2009年に上陸した3ドアハッチバック。かわいらしいフィアット 500とは趣きの異なるスポーティな内外装を採用し、エンジンも最高出力135psのホットな1.3L DOHCが搭載されました。
そんなアバルト 500の上級進化版として2013年1月に登場したのが、最高出力160psのよりホットな1.4Lターボエンジンを搭載するアバルト 595 コンペティツィオーネでした。
ボディサイズは全長3655mm×全幅1625mm×全高1515mmということで、当然ながら1950年代に設計されたクラシックミニよりはずいぶん大きいのですが、現代の車としては十分以上にコンパクトであり、1.1tちょいに収まっている車両重量も「合格点」と言っていいでしょう。ローバー ミニと同じではありませんが、どことなく近いダイレクト感と「かんしゃく玉が炸裂するような楽しさ」を味わうことができます。
その後いろいろと進化を続けたアバルト 595ですが、総額200万円弱で狙えるのは2017~2019年式付近の物件。ちなみに、2016年3月以降は1.4Lターボエンジンの最高出力が180psに増強されています。
これの5MT車を選べば、ローバー ミニとけっこう近しいニュアンスを日々堪能できるでしょう。
▼検索条件
アバルト 595(2代目) × コンペティツィオーネ系グレード × 全国候補4|BMW 135iクーペ(初代)
想定予算:総額160万~200万円
ローバー ミニとはサイズも重量も異なり、乗り味もずいぶん違うニュアンスではあります。しかし、「とにかく走りが楽しい!」という一点において、初代BMW 1シリーズのホットモデルであった「135iクーペ」は、ローバー ミニと少し似た価値を感じることができる1台です。
初代1シリーズに2008年2月に追加された135iクーペは、全長4370mm×全幅1750mm×全高1410mmの2ドアクーペボディに、最高出力306psの3L直6パラレルツインターボエンジンを搭載したモデル。
寸法的にはローバー ミニよりひと回り、いやふた回り以上大きいわけですが、なにせ超強力なターボエンジンを搭載していますから、サイズと重量を感じさせない、どことなくクラシックミニにも似た「異次元感」を味わうことができます。
6速ATの仕様もラインナップされていましたが、これの6MTを総額160万~200万円付近のゾーンで入手すれば、ローバー ミニと世界観は異なりますが、大枠で見れば似ていなくもない「かっ飛び生活」が始まる可能性はあります。
▼検索条件
BMW 1シリーズクーペ(初代) × 135i × 全国候補5|トヨタ ヤリス ハイブリッド(初代)
想定予算:総額160万~180万円
前項で初代BMW 135iクーペを、ローバー ミニの代わりとして提案しました。しかし今、我ながら「……ちょっと違うかも」と思うに至りました。
初代BMW 135iクーペは確かに鬼のように速くも走れる素晴らしい車なのですが、クラシックミニの本質的な特徴あるいは魅力とは、決して「速さ」ではありません。「軽さ」と「小ささ」、そして「出来の良さ」が最終的にもたらす「人馬一体感」のような部分こそが、クラシックミニの魅力なのです。
そう考えたとき、初代BMW 135iクーペは「人よりも車の性能の方が勝っている」というニュアンスの車であるため、「やはり違う」ということになるわけです。
であるならば他に、軽くて小さくて、そして出来が良いゆえに、結果として「やたらと気持ち良い人馬一体感」が味わえる車はないものでしょうか?
……それについて長い時間考えてみたところ、ひとつの結論に至りました。
意外かもしれませんが、国産の超売れ筋コンパクトカーであるトヨタ ヤリスのハイブリッド車は、ローバー ミニに通じる魅力を持ち合わせています。
もちろんヤリス ハイブリッドは全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mmで車重1tちょいの車ですから、1950年代に設計されたクラシックミニとくらべればずいぶん大きく、ずいぶん重い車です。
しかし、「現代の車」としては明らかに最小かつ最軽量の部類に入るモデルであり、車としての出来にも素晴らしいものがあります。もちろん普及価格帯のコンパクトカーですから、いわゆる高級感や上質感みたいなものはさほどないのですが、活発なハイブリッドユニットと出来の良いシャシーがもたらす走りは「快感!」の一語に尽きます。
ローバー ミニも運転していると元気になる車ですが、実はヤリス ハイブリッドだってそうなのです。
そしてこれは直接の関係はないかもしれませんが、WLTCモードで35.8km/L(※2020年式ハイブリッドG FF車の場合)という超絶燃費性能も、言ってみれば革命的であり、どことなくクラシックミニの革命性との共通点を感じます。
そんなトヨタ ヤリス ハイブリッドは、中間グレードであるハイブリッドG以上で考えたとしても、総額160万~180万円ぐらいで比較的低走行な物件を狙うことができます。
「トヨタ ヤリス ハイブリッドこそが現代のミニである!」と言ったら、やや大げさかもしれません。しかし、本質的な部分においての両者は「どちらも素晴らしい、そして楽しい大衆実用車である!」という部分において似ているのです。
ぜひいま一度、ローバー ミニだけでなくヤリス ハイブリッドにもご注目いただけたならば幸いです。
▼検索条件
トヨタ ヤリス(初代) × ハイブリッド × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。