Aクラスセダン ▲斬新なデザインを採用すると同時に、やや大柄になったことでファミリーでも使いやすくなった「ミニカントリーマン」。気になっている人も多いと思いますが、新車の乗り出し価格はベースグレードでも500万円を超えます。さすがにちょっと高いかも? ということで、その半額程度で買える「ミニカントリーマンに勝るとも劣らぬ魅力を持ったSUV」を探してみることにしましょう!

新車の乗り出し価格は500万円超で、中古車もまだ希少

ミニクロスオーバー改め「ミニカントリーマン」が2023年11月、やっと発売されました。それまでは商標の関係で日本では「ミニクロスオーバー」と名乗っていましたが、3代目へのフルモデルチェンジを機に、やっと本来の車名であるカントリーマンを名乗れるようになったわけです。

そんな新型ミニカントリーマンの「斬新なデザイン」と「大柄になったゆえの実用性」に興味津々の方も多いと思いますが、新型カントリーマンはそう簡単に手が出せる価格帯の車ではありません。

具体的には、新車価格はベースグレードでも489万円ですので、乗り出し価格は500万円を軽く超えます。「ならば中古車で!」と思っても、流通量はまだ激少。あったとしても、新車価格より高い場合が一般的です。そうなると、ミニカントリーマンの購入は「しばらくの間、諦めざるを得ない……」となってしまうのかもしれません。

とはいえ、「それでもやっぱりカントリーマンのことが気になって仕方ない!」という人もいらっしゃるはず。そのためこの記事ではそんな方々に向けて、より現実的な価格で狙える――具体的には新車のカントリーマンの約半額である総額250万円以下で買える――ミニカントリーマンに近い満足が得られそうなモデルを、真剣に考えてみたいと思います。
 

Aクラスセダン▲このビジュアルと雰囲気にはそそられますが、とりあえず「半額で狙えるやつ」を探してみましょう!

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カントリーマンの代わりその1|プジョー 3008(現行型)
想定予算:総額200万~250万円

新型ミニカントリーマンの魅力とはつまるところ、冒頭付近でも申し上げた「斬新なデザイン」と「大柄になったゆえの実用性」の2つであると考えられます。

エッジの利いた形状のヘッドランプと、レンジローバーなどにも通じる丸みを帯びたリアセクションの組み合わせはきわめておしゃれであり、また従来型からひと回り大きくなった全長4445mm×全幅1845mm×全高1660mmというサイズ感は、主にファミリーユースを念頭に置いている人には朗報であるはずです。

そのような「斬新なデザイン」と「ゆとりあるサイズ感」という条件を同時に満たしつつ、ミニカントリーマンとおおむね同様に走りが良く、なおかつ総額250万円以下でも狙えるSUVは、まずはフランスの現行型プジョー 3008が該当するでしょう。
 

Aクラスセダン▲こちらが現行型プジョー 3008。写真は前期型
Aクラスセダン▲プジョー特有の小径ステアリングホイールが特徴的。また内装全体の意匠も、いまだ斬新であると感じる
 

2017年3月に上陸した現行型(2代目)プジョー 3008は、全長4450mm×全幅1840mm×全高1630mmという、ミニカントリーマンとおおむね同サイズの中型SUV。プラットフォームは新世代の「EMP2」で、デビュー当初のパワーユニットは最高出力165psの1.6L直4ガソリンターボ。デビュー後すぐに最大トルク400N・mの2L直4ディーゼルターボエンジンを追加し、2019年にはガソリンエンジンとトランスミッションを刷新。2021年1月にはマイナーチェンジを行い、デザインを変更するとともに、パワーユニットをさらに刷新しています。

そんな現行型プジョー 3008の内外装デザインは、ミニカントリーマンと方向性は異なりますが同様に斬新で、サイズ感も前述のとおりほぼ同じ。走りの満足感も、細かな違いはもちろん多々ありますが、根本的には「どちらも良好!」という意味で同じといえます。

その中古車は、マイナーチェンジ前のガソリンターボ車を総額200万~250万円付近で狙うことができ、同じくマイチェン前のディーゼルターボ車は総額220万~250万円付近で検討可能。少し高くはなってしまいますが総額300万円~の予算を見込めるのであれば、より斬新なデザインとなったマイナーチェンジ後の世代を狙うこともできます。

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カントリーマンの代わりその2|ミニ ミニクロスオーバー(2代目)
想定予算:総額210万~250万円

現行型プジョー 3008もナイスな選択肢だと思いますが、考え方を変えて、1世代前のミニカントリーマンである「2代目ミニ クロスオーバー」の中古車を狙ってみるのもステキかもしれません。
 

Aクラスセダン▲ミニカントリーマンの前身に相当する2代目ミニ クロスオーバー
Aクラスセダン▲同世代のミニとおおむね共通するデザインのインパネまわり。中央の大径メーターが印象的
 

新型ミニカントリーマンは前述したとおりの「斬新なデザイン」が魅力なわけですが、2代目ミニクロスオーバーは、斬新さはあまりない代わりに、今となっては「トラディショナルな美しさ」が生まれているように思えます。リアの「CROSSOVER」というバッジが少々気になりますが、「COUNTRYMAN」というバッジも普通に売られていますので、付け替えてしまえばいいでしょう(多くのミニクロスオーバーオーナーがそうしています)。

といっても、今さら「普通のグレードの2代目ミニクロスオーバー」を買うのは、新型ミニカントリーマンが気になっている身としては少々不本意かもしれません。しかし、総額210万~250万円ほどを見込めば、フルタイム4WDの「クーパーD ALL4」または「クーパーSD ALL4」を選ぶことができます。これであれば、SUVといっても前輪駆動である新型ミニカントリーマンの「C」や「D」以上の満足と機動力を得られるはずです。

車内はカントリーマンより若干狭くなりますが、そこが特に問題ないのであれば、けっこうナイスな選択肢です。

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ミニカントリーマンの代わりその3|シトロエン C5エアクロスSUV(現行型)
想定予算:総額240万~270万円

もしも「FF(前輪駆動)でもぜんぜん構わない。自分はとにかく『斬新でおしゃれなデザインの輸入SUV』が欲しいのだ!」ということであれば、フランスの「シトロエン C5エアクロスSUV」も有力候補となります。
 

Aクラスセダン▲なんともアバンギャルドなデザインが採用されたシトロエン C5エアクロスSUV
Aクラスセダン▲トランスミッションはアイシン・エィ・ダブリュ製の8速AT「EAT8」。通常の走行モードの他に「エコ」と「スポーツ」を選択可能。ドライブモードの切り替えスイッチはシフトセレクターの前方に置かれている
 

2019年5月に上陸したシトロエン C5エアクロスSUVは全長4500mm×全幅1850 mm×全高1710mmという、背が高い以外はミニカントリーマンとかなり似たサイズ感のミドルサイズSUV。

デビュー当初のパワーユニットは最高出力177ps/最大トルク400N・mの2L直4ディーゼルターボでしたが、2020年4月には同180psの1.6Lガソリンターボを追加し、2021年6月にはプラグインハイブリッドも導入。駆動方式は全車FFで、4WDの設定はありません。つまりミニカントリーマンの「S」あるいは「D」と同じです。

できれば2022年11月にマイナーチェンジを受けた後期型を選びたいところで、こちらの内外装デザインは新型ミニカントリーマンに勝るとも劣らぬおしゃれっぷりを誇ります。しかし、さすがに後期型は総額250万円以下ではまだ無理で、購入には総額350万円以上の予算が必要です。

とはいえ前期型C5エアクロスSUVの内外装デザインもいまだ十分以上に斬新であり、「ハイドロニューマチックの現代的解釈」をうたうサスペンションシステム「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)」の味わいも絶妙。またシートも内部素材のポリウレタンに密度の高い独自のフォームを採用しているため、絶妙な座り心地を味わうことができます。

ビジュアルの面でも機能の面でも、ミニカントリーマンの代わりとして十分以上に満足できることでしょう。

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ミニカントリーマンの代わりその4|ジープ レネゲード トレイルホーク(現行型)
想定予算:総額240万~270万円

シトロエン C5エアクロスSUVは「ミニカントリーマンの代わり」としてかなり有力な1台であるとは思うものの、「FFしかない」という部分に若干の抵抗を覚えるかもしれません。

もちろん新型ミニカントリーマンにしたって、売れ筋グレードの「S」と「D」はFFしか設定されていません。しかし、あちらは「フルタイム4WDのS ALL4とジョン・クーパー・ワークスもある!」という部分が精神的支柱になっており、そこがSUVブランドとしての強みになっているわけです。

であるならば、非常に優秀なフルタイム4WDシステムを備えている「ジープ レネゲード」のトレイルホークというグレードでどうでしょうか?
 

Aクラスセダン▲こちらがジープ レネゲードの4WDグレードであるトレイルホーク
Aクラスセダン▲レネゲードの運転席まわりはおおむねこのようなデザインだが、写真はマイナーチェンジ後の2019年モデル
 

ジープ レネゲードは2015年に上陸したジープブランド初のコンパクトSUV。ボディサイズは全長4255mm×全幅1805mm×全高1695mmということで、新型ミニクロスオーバーよりも若干小ぶりになってしまうのですが、こちらのトレイルホークには「優秀な4WDシステム」という必殺技があります。

さすがに本家というか兄貴分であるジープ ラングラー アンリミテッドほどの本格派ではありませんが、39km/h以下で1速での走行がワンタッチで可能となる「ジープ・アクティブドライブロー」機能や、必要に応じてFFと4WDを自動で切り替える「パワートランスファーユニット(PTU)」、路面状況に応じて走行モードが切り替えられる「ジープ・セレクテレインシステム」、急坂を下る際に車速を自動で制御する「ヒルディセントコントロール」など、上級モデルでお馴染みの本格機能がレネゲード トレイルホークにも備わっています。

パワーユニットは初期型が最高出力175psの2.4L直4自然吸気で、2019年5月のマイナーチェンジで同179psのハイチューン版1.3L直4ターボに変更。2020年10月には、1.3Lターボエンジンに2基のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドも追加しています。

2.4L自然吸気の前期型は総額200万~250万円付近が狙い目となりますが、ハイチューンの1.3Lターボに変わった後期型は総額270万~300万円付近と、若干お高い状況。基本的には200万円台の前期型でも、コンディションの良い物件を選べば普通に大いに満足できるはず。ある種の人にはやや小ぶりであることが難点になるかもしれませんが、そこ以外は弱点のない、ナイスな選択肢です。

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カントリーマンの代わりその5|スズキ ジムニーシエラ(現行型)
想定予算:総額250万円

ここまでは輸入SUVに限定して、その中でもとりわけおしゃれなモノに絞って物事を考えてまいりました。しかし、よく考えてみれば「輸入車」にこだわる必要はないのかもしれません。国産SUVであっても、結論として新型ミニカントリーマンを購入した場合と同じぐらいの満足を得られるならば、それで万事OKなわけですから。

そう考えたときに有力候補となるのは、現行型のスズキ ジムニーシエラかもしれません。
 

Aクラスセダン▲軽オフローダーであるスズキ ジムニーの普通車版「スズキ ジムニーシエラ」
 

ご承知のとおり現行型スズキ ジムニーシエラは、大人気の軽オフローダーである現行型ジムニーの登録車(いわゆる普通車)バージョン。ボディの形状はジムニーと同じですが、トレッドが拡大されているため全幅は1645mmとなり、はみ出ることになるタイヤを覆うための黒いオーバーフェンダーが装着され、それがデザイン上のアクセントにもなっています。

搭載エンジンは最高出力102psの1.5L直4自然吸気で、トランスミッションは5MTまたは4速AT。車両構造は当然ながらラダーフレームを用いたボディ・オン・フレームで、悪路走破性能は超絶本格的です。

とはいえ現行型ジムニーシエラのビジュアルには新型ミニカントリーマンのような「斬新さ」は特になく(その代わりトラッドな魅力にはあふれていますが)、ボディも軽のジムニーと同じであるため「車内の広さ」もありません。
 

Aクラスセダン▲現行型ジムニーシエラの運転席まわりはこのようなデザイン。トランスミッションは写真の5MTの他、4速ATもラインナップされている
 

ならばなぜ、現行型スズキ ジムニーシエラが「ミニカントリーマンの代わりになり得る」かといえば、そこには「カスタマイズする楽しみ」があるからです。

よくご存じの方も多いと思いますが、現在、現行型ジムニーとジムニーシエラのカスタム界隈は大いに盛り上がっています。多種多様なユーザーが自分好みの多種多様なアフターパーツを購入し、「自分だけのスペシャルなジムニーまたはジムニーシエラ」を楽しく作り上げているのです。どちらもノーマル状態でもかなりカッコいいわけですが、センスの良いカスタマイズが施された車両は本当にステキですし、そのためのパーツも星の数ほど(?)販売されています。

例えば総額180万~200万円ぐらいでフルノーマル中古車のジムニーシエラを購入し、そこに50万~70万円ほどの予算をかけて「自分好みのシエラ」に仕上げてみれば――出来上がりはもしかしたら、新車のミニカントリーマンと同等か同等以上にステキなものになるかもしれません。少なくとも「自分だけの物感」は、吊るしのカントリーマン以上でしょう。

ボディサイズと居住性の面でNGな人も多いかもしれませんが、もしもそこがOKであるならば、ぜひ総額180万~200万円ぐらいでノーマル状態の現行型ジムニーシエラを探してみてください。
 

Aクラスセダン▲ジムニーシエラの公道試乗時の様子
 

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文/伊達軍曹 写真/BMW、ステランティス、ジープ、スズキ、尾形和美
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

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