BMW X5(4代目)▲BMWではオーソドックスなSUVスタイルのモデルをSAV、リアキャビンを傾斜させてクーペ風のスタイルとしたモデルをSACと呼んでいる(写真は4代目X5)

駆けぬける歓びはすべてのモデルに共通のキーワード

2000年にX5で初めてSUVの分野に参入して以来、怒濤の勢いでラインナップを拡充してきたBMW。

コンパクトからフルサイズまで多彩なボディサイズのSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル。BMWのSUVの呼称)を取り揃え、さらに最近はクーペスタイルを採り入れたSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)も増えてきた。もちろん、電動化にも積極的だ。

この記事では、2024年5月現在で新車販売されているBMWのSUVをすべて紹介。内燃機関車とPHEV(プラグインハイブリッド)&EVのカテゴリーに分け、ボディサイズ(全長)の小さい順に取り上げる。全モデルで現在の中古車情報も解説するのでチェックしてみよう。
 

BMW iX(初代) ▲ピュアEVのSAV&SACだけで4モデルもある(写真は初代iX)
モデル 全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) 中古車価格帯
X1
(3代目)
4500 1835~1845 1625~1645 490万~800万円
X2
(2代目)
4555 1845 1575 -
X3
(3代目)
4720~4730 1890~1895 1675 240万~900万円
X4
(2代目)
4760~4765 1920~1940 1620 340万~900万円
X5
(4代目)
4935 2005 1770 460万~1300万円
X6
(3代目)
4955 2005 1695 630万~1120万円
X7
(初代)
5170 2000 1835 640万~1450万円
iX1
(初代)
4500 1835~1845 1625~1645 470万~620万円
iX2
(初代)
4555 1845 1560 900万~1950万円
iX3
(初代)
4740 1890 1670 450万~660万円
iX
(初代)
4953 1967 1696 600万~1340万円
XM
(初代)
5110 2005 1755 1650万~1930万円
モデル 全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) 中古車価格帯
X1(3代目) 4500 1835~1845 1625~1645 490万~800万円
X2(2代目) 4555 1845 1575 -
X3(3代目) 4720~4730 1890~1895 1675 240万~900万円
X4(2代目) 4760~4765 1920~1940 1620 340万~900万円
X5(4代目) 4935 2005 1770 460万~1300万円
X6(3代目) 4955 2005 1695 630万~1120万円
X7(初代) 5170 2000 1835 640万~1450万円
iX1(初代) 4500 1835~1845 1625~1645 470万~620万円
iX2(初代) 4555 1845 1560 900万~1950万円
iX3(初代) 4740 1890 1670 450万~660万円
iX(初代) 4953 1967 1696 600万~1340万円
XM(初代) 5110 2005 1755 1650万~1930万円
 

X1(3代目)

・生産期間:2023年2月~
・全長:4500mm
・全幅:1835~1845mm
・全高:1625~1645mm

 X1(3代目) ▲大型化された8角形キドニーグリル、ドアパネルと面一のフラップ式ドアハンドルが3代目X1の特徴だ

BMWで最もコンパクトなSAVの3代目。“プレミアムコンパクト”を名乗っているが、3代目はトヨタ ハリアーやマツダ CX-5など国産ミドルクラスSUVに近いボディサイズにまで大きくなっている。

X1は先代の2代目からエンジン横置き搭載に(初代は縦置き)。この3代目でも同様の駆動系配置が採用され、ボディサイズのわりに広い車内空間、シートスライド機構付きの後席が実現されている。

主力グレードとなる「20i」のエンジンは、2Lガソリンターボ。特段の刺激はないものの、なめらかで実用的なエンジンだ。

デビューから2ヵ月後の2023年4月には、2Lディーゼルターボエンジンを搭載するマイルドハイブリッドの「28i」、最高出力317psを発生するホットモデルの「M35i」が追加された。なお、駆動方式は全モデル4WDとなる。
 

 X1(3代目) ▲メーターと連続するデザインのカーブドディスプレイがユニーク

デビューから1年強しかたっていないため、中古車市場に流通する3代目X1はまだ約30台と少ない。そして、ほぼすべてが「20i」だ。

しかし物件によっては、新車価格より40万円ほど低い価格帯から狙えるものもある。今後、ディーゼルの物件が充実してくることにも期待したい。
 

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BMW X1(3代目) × 全国
 

X2(2代目)

・生産期間:2023年10月~
・全長:4555mm
・全幅:1875mm
・全高:1575mm
 

 X2(2代目) ▲独特な形状にキドニーグリル、エッジの効いたアグレッシブなデザインがX2の個性

BMWのXシリーズでは、「X」の後が奇数番号のモデルをSAV、偶数番号のモデルをSACとして使い分けている。たくさんの荷物が積める、道を選ばずに走れる、といったSUVの長所と、クーペの流麗なフォルムを融合させたのがSACというわけだ。

そのSACの中で、最もボディサイズが小さいのがX2だ。2023年10月にフルモデルチェンジした2代目では初代よりも全長が伸ばされ、トランクルーム部分が長いスタイルに。後席の足元空間に余裕が生まれ、X1を上回る荷室容量も確保されている。

主力となるパワーユニットはX1と同じ2Lガソリンターボで、2024年3月にホットモデルの「M35i」が追加された。こちらも駆動方式は4WDのみとなっている。
 

 X2(2代目) ▲後席居住空間などは外観から想像できないほど広い

デビューしたてのモデルゆえ、今の段階では中古車市場には流通していない。今後に期待したいところだ。
 

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※中古車の流通状況により物件が表示されない場合があります。
 

X3(3代目)

・生産期間:2017年10月~
・全長:4720~4730mm
・全幅:1890~1895mm
・全高:1675mm
 

 X3(3代目) ▲2021年10月のマイナーチェンジではフェイスリフトされ、空力性能に優れたフロントバンパーが採用されたX3

Xシリーズの中でミドルクラスに位置するX3。といっても3代目は初代、2代目に比べてかなり大きくなり、全幅はトヨタ ランドクルーザープラドよりも広い。ラージクラスに迫る勢いだ。

奇をてらわない端正なボディラインと実用的なキャビンはまさしくSAVの王道。実際、Xシリーズの中で最も売れ筋のモデルであり、メカニズム、内装の仕立てなどは相応のコストが注がれている。

ボディサイズが大きくなったことを感じさせない軽やかなハンドリング、乗り心地と操舵性の絶妙なバランスはいかにもBMWらしい。

デビュー当初、パワートレインは2L直4ガソリンターボの「20i」と2L直4ディーゼルターボの「20d」のみだったが、2018年5月に3L直6ディーゼルターボの「M40d」を追加。

2019年11月には3L直6ガソリンターボの「M40i」を、さらに翌年にはプラグインハイブリッド「30e」を追加するなどバリエーションが拡充されている。
 

 X3(3代目) ▲新車価格639万円~(デビュー時)のモデルだけあって内装の仕立ても豪華

中古市場には約370台流通しているが、実はその多くがディーゼルの「20d」だ。低回転から力強く加速してくれて、静粛性にも優れたBMWのディーゼルは評判が良く、それが中古車市場にも反映された結果だろう。

価格の一例を挙げると、2018年式・走行距離4.4万kmの「xドライブ 20d xライン」で総額303.9万円と新車価格の半額以下。現行型の人気モデルがこの価格帯ならコスパ抜群と言えるだろう。
 

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X4(2代目)

・生産期間:2018年9月~
・全長:4760~4765mm
・全幅:1920~1940mm
・全高:1620mm
 

 X4(2代目) ▲ボディサイドに入るキャラクターラインで筋肉質な印象を受ける外観

BMW Xシリーズの飛車がX3なら、X4は角。プレミアムミドルクラスのSACだ。

2代目では初代に比べて全長が55mm長くなり、その分が後席居住スペースおよびトランクルームに充てられた。スタイル的にもルーフライン後端が伸びやかなデザインとなり、よりクーペのフォルムに近くなっている。

スタイル優先の印象を受けがちだが、実は居住空間も広く、SUVらしい使い方もできるのがX4の魅力。

エンジンはデビュー時、2L直4ガソリンターボの「30i」とホットモデルである3L直6ガソリンターボの「M40i」の2種類だったが、2020年4月に2L直4ディーゼルターボの「20d」が追加された。

こちらもX3と同じく人気グレードは「20d」で、約1900kgある車重をものともしない力強さを見せてくれる。
 

 X4(2代目) ▲2018年の登場ながら先進安全運転支援システムも充実している

中古車市場に流通する2代目X4は100台前後。新車価格が695万~1022.5万円なのに対して中古車平均価格は530万円前後と、中古車のお買い得感が高い。

全体の約6割がディーゼルだ。

例えば、2021年式・走行距離2.5万kmの「20d Mスポーツ」で総額478.8万円。新車価格よりも300万円ほど安く手に入る。
 

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X5(4代目)

・生産期間:2019年2月~
・全長:4935mm
・全幅:2005mm
・全高:1770mm
 

 X5(4代目) ▲ボディの大きさを感じさせない引き締まったフォルム。2023年4月のマイナーチェンジではライトまわりのデザインが変わった

2000年代になって間もなく、BMWが初めてSUV市場に投入したモデルがX5だった。それから20年近く経過し、現行モデルは4代目となっている。

全長5m、全幅2mに迫るボディは国産最大のSUVであるトヨタ ランドクルーザー300を軽く上回るもの。重量級のおうようとした走りを想像するが、そこはBMW。安定感重視ながら、きちっと狙ったラインとトレースする操舵性の良さも実現されている。

2代目からは3列7人乗りも設定され、4代目モデルにもラインナップがある。

パワーユニットのラインナップは3L直6ディーゼルターボの「35d」、3L直6ガソリンターボ+モーターのハイブリッドの「45e」、そして4.4L V8ガソリンターボの「M50i」など幅広い。

弩級のスペックをもつモデルもあるが、ベーシックなエンジンでも全く痛痒を感じない。プレミアムな1台であることは間違いないが、さらっと乗れるスマートさを持ち合わせており、SUVらしく実用的に使うことができるだろう。
 

 X5(4代目) ▲マッサージ機能の付くシートなど高級装備満載の車内。オプションでサードシートも設定される

新車価格は920万円~という高価格モデルだが、デビューから4年が経過して中古車平均価格は680万円台にまで下がってきた。総額500万円以下で狙える物件もある。

中古車市場には200台ほど流通しており、そのほとんどがディーゼル、もしくは2021年2月以降に設定されたマイルドハイブリッドのディーゼルとなっている。

なお、3列シートの7人乗りモデルも全体の4分の1程度、約50台流通している。
 

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X6(3代目)

・生産期間:2019年12月~
・全長:4955mm
・全幅:2005mm
・全高:1695mm
 

 X6(3代目) ▲ライト点灯時に大きなキドニーグリルは内部が光る仕掛け

全長をX5で上回る巨大なボディでありながら、クーペ風のスタイル……という良い意味でのアンバランスさがX6の個性。2019年12月にフルモデルチェンジし、3代目となった。

肌触りの良いレザーシート、きらびやかなインテリアなど内装はウルトラ豪華。居住空間も広大だが、独特なクーペスタイルのために後席ヘッドクリアランスは狭く、荷室容量も580L(後席使用時)と超大柄ボディのわりには小さい。

もっとも実用性を重視するならX5があるので、そうしたことを気にしない豪快さこそX6の魅力だろう。

走りをつかさどるコンポーネントはX5(4代目)とほぼ同じ、つまり非常に優秀だ。パワーユニットは3L直6ディーゼルターボの「35d」、と4.4L V8ガソリンターボ「M50i」が用意され、2023年4月のマイナーチェンジでディーゼルモデルはマイルドハイブリッド化された。
 

 X6(3代目) ▲インテリアも基本的にX5と共通の構成だが、やや派手めの演出がなされる

デビューから4年半近く経過しているが、超個性派モデルということで中古車市場での流通台数は80台前後と少なめだ。

しかし、2021年式・走行距離1.6万kmの「35d」で総額649万円など、新車価格(990万~1653万円)より大幅に低い価格帯の物件も多く、中古のお買い得感が圧倒的に高い。
 

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X7(初代)

・生産期間:2019年6月~
・全長:5170mm
・全幅:2000mm
・全高:1835mm
 

 X7(初代) ▲2022年11月のマイナーチェンジでは新たに上下2分割式ヘッドライトが採用された

Xシリーズ最長のボディをもつモデルがX7だ。メルセデス・ベンツ GLS、アウディ Q7などがライバルにあたる。

日本に導入されるモデルは全車3列シートとなり、2列目キャプテンシートの6人乗り、通常シートの7人乗りを設定。サードシートまで快適に座れる空間が実現された。

リアシートに収まってくつろぐためのリムジンかと思いきや、ドライブモードにきちんと「スポーツ」を用意してあるところはBMWらしい。街中ではゆったりと、高速道路ではどっしりと、ワインディングでは意外なほどキビキビしたドライビングが楽しめる。

SUVとしての実用性、豪華さ、走る楽しさまで、あらゆる性能にトップレベルを求める人の期待に応えてくれる1台だ。
 

 X7(初代) ▲シフトレバーはなく、コンソール上のセレクターとパドルシフトでATを操作する

中古車市場での流通台数100台前後という数字は、このクラスの車種としては多い方と言っていいだろう。

新車価格1079万~1860万円のモデルゆえ、中古車平均価格も900万円オーバー。走行距離1万~3万kmの物件が充実しており、新車に近いコンディションを求めることも可能だ。
 

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iX1(初代)

・生産期間:2023年2月~
・全長:4500mm
・全幅:1835~1845mm
・全高:1625~1645mm
 

 iX1(初代) ▲ラジエターがないためフロントグリルはふさがれ、フェンダー上に給電口が備わるのがX1との違い

iX1はX1をベースとする、BMWで最もコンパクトな電動SAVだ。前後に同出力のモーターを搭載し、システム最高出力200kW/最大トルク494N・mを発生する。

ボディサイズが小さいだけにバッテリーユニット搭載による影響が気になるところだが、運転席まわり以外の床が若干高くなっていたり、X1よりも荷室容量が10Lほど少なかったりする程度で、実用上は不便ない。

もちろん“駆けぬける歓び”も健在……どころか、力強いモーター2機のおかげで、むしろパワーアップしている。ボディが比較的軽いために航続距離も465kmと良好だ。
 

 iX1(初代) ▲ステアリングのパドルは変速のためでなく、BOOST機能を利かせるためのもの

デビューから1年強、中古車市場にもすでに40台ほどが流通。価格の一例を挙げると、2023年式・走行距離0.8万kmの「30 xライン」で総額476.8万円。新車価格より220万円も安い。

先進的な走りのSAVをできるだけリーズナブルな価格で手に入れたい! と考えている人にぴったりの1台だろう。
 

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iX2(初代)

・生産期間:2023年10月~
・全長:4555mm
・全幅:1845mm
・全高:1560mm
 

 iX2(初代) ▲クーペ風のスタイリッシュさはEVになっても変わらない

コンパクトSACであるX2が2代目へとフルモデルチェンジしたタイミングで、ピュアEVのiX2も登場。パワーユニット以外のシャシーは基本的にX2と同様だ。

クーペ風スタイルでもX2では実用的な後席居住空間を実現しているが、iX2ではフロア下にバッテリーを搭載している関係でやや窮屈め。荷室容量も535Lと35Lほど少ない。こうしたところは流麗なフォルムとのトレードオフと割り切るべきだろう。

パワーユニットはiX1と共通。前後2機合計でシステム最高出力200kW/最大トルク494N・mを発生するモーターを搭載する。4L級の自然吸気ガソリンエンジンに匹敵するスペックだけに加速は力強い。

iX1に比べて全高が低く抑えられ、低重心となっているがゆえに走りは一層楽しめる。
 

 iX2(初代) ▲最大アンペア数などの充電モードはカーブドディスプレイで設定できる

登場から間もなく、しかも個性派のモデルであるために中古車市場にはまだほとんど流通していない。今後の展開が楽しみというところだ。
 

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iX3(初代)

・生産期間:2021年11月~
・全長:4740mm
・全幅:1890mm
・全高:1670mm
 

 iX3(初代) ▲外観によく目を凝らすとフロントグリルやマフラー出口に相当する部分がパネルで覆われているなど、X3との細かな違いがある

X3のピュアEV版だが、全車4WDとなるX3と違い、こちらは2WD(RR)のみ。リアに最高出力210kW、最大トルク400N・mを発生するモーターを搭載する。

パワーユニット、駆動方式以外は基本的にX3と共通で、BMWのロゴまわり、スタータースイッチやシフトノブまわりなどがブルーに縁取られているのが、見た目から分かるわずかな違いだ。

電気自動車であることをことさら強調していないのは、“X3と同じ感覚で乗れますよ”というメーカーの主張だろう。航続距離も460kmと実用的だ。

ただし、回生ブレーキの強度を4つのモードから選ぶことができ、弱ならガソリン車的に、強ならワンペダルに近い感覚で運転できるのは電気自動車ならではの面白いところ。

後輪駆動のみなのでSAVとしての機動力には欠けるが、iX3でそうした使い方をしたい人は少ないだろう。
 

 iX3(初代) ▲iX3はMスポーツのみ。レザーシートも標準装備だ

中古車市場には90台前後が流通しており、リーズナブルな物件では総額470万円台から狙える。

新車価格が862万円であることを考えると、かなりお得と言える状況だ。
 

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iX(初代)

・生産期間:2021年11月~
・全長:4953mm
・全幅:1967mm
・全高:1696mm
 

 iX(初代) ▲ADASのセンサー類が収まる巨大なキドニーグリルが印象的

iXは2021年、iX3と同時にデビューしたピュアEV専用モデルであり、BMWのフラッグシップEVに位置づけられる車種だ。全長5m、全幅2m、全高1.7mに迫る巨艦だが、前衛的なフォルムによって引き締まって見える。

前後にそれぞれ1機ずつモーターを搭載する4WDを採用。その理由は悪路での走破性より、ありあまるトルクを確実にタイヤから路面に伝えるためのものと考えるべきだろう。

出力の違いによりグレードが分けられ、「40」は最高出力326psを、「50」は523psを発生。2022年には最高出力540psとなる「M60」が追加された。

床下に巨大なバッテリーを搭載しているが、全高が高く、しかも駆動系がコンパクトであるために車内空間は広々としている。大型ディスプレイや液晶メーター、タッチパネル式のセンターコンソールなど、内装の仕立てはいかにも未来の車というイメージだ。
 

 iX(初代) ▲フローティング式センターコンソールにはシフトセレクターや走行モードのセレクターが収まる

中古車市場には50台ほどの物件が流通。新車価格981万円~というまぎれもない高級EVだが、中古車なら総額600万円台前半の物件も見つけられる。

デビューから2年半経過しているが、中古車市場では走行距離2万km未満の物件がほとんどで、5000km未満の物件も多い。新車に近いコンディションの物件を見つけやすい。先進的なSAVを狙っている人はもちろん、ポスト・ラグジュアリーセダンとしてのニーズも満たしてくれる1台だ。
 

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XM(初代)

・生産期間:2023年1月~
・全長:5110mm
・全幅:2005mm
・全高:1755mm
 

 XM(初代) ▲外縁部分が光る「アイコニックグローキドニーグリル」を採用

XMはハイパフォーマンスモデルであるMブランド専用車として開発されたモデルだ。豪華絢爛なプラグインハイブリッド車を求めるなら、これほど適任な車はないだろう。

ボディサイズも規格外なら、フロントグリルなど随所がゴールドカラーで彩られた外観、LEDの間接照明でライトアップされる内装など、BMWが従来有してきた上位車種とは異なる文脈で“高級”が訴求された。

パワートレインについても、4.4L V8ツインターボエンジンにモーターを組み合わせたプライグインハイブリッドとし、システム最高出力653psを発生。エンジンを搭載するBMW車の中でもトップの動力性能となっている。

3105mmもある長大なホイールベースのおかげで、居住空間の広さも別格。レザーがふんだんに使用されたインテリア、足が組めるほど広い後席などはさながらリムジンだ。
 

 XM(初代) ▲先進的な操作類とユーズド感のあるレザー素材の組み合わせが新鮮!

ごくわずかな台数ではあるが、中古車市場にも流通している。ほぼすべてが走行距離1万km未満で、中には新車価格(2130万円~)より500万円近く安い総額の物件もある。

とはいえ、総額1600万円オーバー。この車を選択肢に入れられる人は限られるだろうが、だからこそ価値ある1台と言えるかも。
 

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BMWのSUV中古車人気ランキングTOP5

最後に、カーセンサーnetにおけるBMWのSUV人気ランキング最新TOP5を紹介。このランキングはすでに新車販売が終了したモデルも含まれます。

順位 車種 世代 中古車価格帯(総額)
1位 X3 3代目 220万~930万円
2位 X1 2代目 130万~430万円
3位 X1 初代 40万~170万円
4位 X2 初代 170万~570万円
5位 X3 2代目 70万~350万円
順位 車種 世代 中古車価格帯(総額)
1位 X3 3代目 220万~930万円
2位 X1 2代目 130万~430万円
3位 X1 初代 40万~170万円
4位 X2 初代 170万~570万円
5位 X3 2代目 70万~350万円

※記事内の情報は2024年5月1日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/篠原晃一、BMW
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。