クロストレック▲重心の低い水平対向エンジンやシンメトリカルAWDといったスバルの技術は、SUVとも相性ぴったり

新型も中古車も充実のスバルのSUV

現在、日本の量産車メーカーで唯一、水平対向エンジンを作っているスバル。優れたシャシー設計技術、AWD(オール・ホイール・ドライブ)技術でも知られ、熱烈なファンたちに支えられているブランドだ。

スバルがもつ独特の技術はSUVとの親和性も高く、これまで多くのクロスオーバーSUVをラインナップしてきた。デビューしたばかりの新型から旧モデルまで、スバルのSUVを紹介しよう。

アウトバック ▲ステーションワゴンの車高を高くしてクロスオーバー化する手法はスバルの得意とするところだ
 

スバル×SUV 新車販売モデル紹介

形状ではコンパクトからワゴン型まで、また、パワートレインでもハイブリッドやピュアEVと多彩なラインナップを揃えるスバルのSUV。

ここでは2023年12月現在、新車で販売されているモデルを紹介する(OEMを除く)。

車種 世代 新車価格 ボディサイズ(mm)
クロストレック 初代 266.2万円~ 全長:4480×全幅:1800×全高:1575
フォレスター 5代目 306.9万円~ 全長:4640×全幅:1815×全高:1715-1730
ソルテラ 初代 627万円~ 全長:4690×全幅:1860×全高:1650
レヴォーグレイバック 初代 399.3万円~ 全長:4770×全幅:1820×全高:1570
レガシィアウトバック 4代目 425.7万円~ 全長:4870×全幅:1875×全高:1670-1675
車種 世代 新車価格 ボディサイズ(mm)
クロストレック 初代 266.2万円~ 全長:4480×全幅:1800×全高:1575
フォレスター 5代目 306.9万円~ 全長:4640×全幅:1815×全高:1715-1730
ソルテラ 初代 627万円~ 全長:4690×全幅:1860×全高:1650
レヴォーグレイバック 初代 399.3万円~ 全長:4770×全幅:1820×全高:1570
レガシィアウトバック 4代目 425.7万円~ 全長:4870×全幅:1875×全高:1670-1675
 

クロストレック(初代)

クロストレック(初代) ▲全体的なシルエットはインプレッサそのままに、SUVらしいラギッドな演出が施された外観。全高はインプレッサよりも60mm程度高い

クロストレック(初代)はどんなモデル?
クロストレックは、2022年12月にデビューした6代目インプレッサをベースにしたクロスオーバーSUVだ。インプレッサXV、XVの後継モデルという位置づけ。

スバルが長年得意としてきたモノコック構造の製造技術をさらに進化させ、高いボディ剛性を確保しているのがクロストレックの特徴。オンロードから少々荒れたダート路面まで、安心感のある走りを披露してくれる。

パワーユニットは2L 水平対向エンジンに、コンパクトなモーターを組み合わせた「e-BOXER」。アクティブトルクスプリット式を採用するAWDの他、FFも設定される。

グレードは「ツーリング」と「リミテッド」の2種類がある。

クロストレック(初代) ▲上級グレードには11.6インチの大型ディスプレイを採用

クロストレック(初代)の中古車相場
デビューから約1年経過した現在の中古車市場における流通台数は60台前後と選択肢は少なめ。

中古車平均価格が約340万円と高めの水準なのは供給量の少なさに加えて、流通している物件の多くがAWDの「リミテッド」であり、走行距離も極少ない物件が多いためだろう。

価格の一例を挙げると、2023年式・走行距離10km未満の「ツーリング 4WD」登録済み未使用車で、総額308.4万円となっている。

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フォレスター(5代目)

フォレスター(5代目) ▲2021年8月のマイナーチェンジでは「BOLDER」思想を取り入れたフロントフェイスへと変化

フォレスター(5代目)はどんなモデル?
クロスオーバーSUVの先駆者の5代目モデル。フォレスターは代を重ねるごとに居住空間、荷室の使い勝手などの機能性を向上させており、5代目モデルはその集大成とも言えるものだ。

初代から継承されてきた水平対向エンジンと左右対称のパワートレインを組み合わせた「シンメトリカルAWD」は5代目でも健在。路面状況ごとに駆動力、制動力を最適に制御する「X-MODE」も加わって、悪路でも頼もしい走りを見せてくれる。

デビュー当初に搭載されたパワーユニットは、水平対向2Lエンジンを小型モーターでアシストする「e-BOXER」と、水平対向2.5L直噴エンジンの2種類。2020年10月以降の後期型では水平対向2.5L直噴に代わり、1.8L直噴ターボエンジンが採用された。

フォレスター(5代目) ▲「アイサイト・ツーリングアシスト」は全車への標準装備だ

フォレスター(5代目)の中古車相場
幅広いバリーエーションから選べるのが中古車の良いところ。新車では廃版となった水平対向2.5L直噴も中古車でなら手に入る。自然吸気エンジンらしい扱いやすさ、トルクの厚さなどで定評があったパワーユニットだ。

中古車市場には約800台と豊富な物件数が流通している。年式ではデビュー直後である2018~2019年のボリュームが多い。

一例を挙げると、2018年式・走行距離4.1万kmの「2.5 ツーリング」で総額173.5万円。中古車平均価格も250万円前後とオトク感のあるモデルとなっている。

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ソルテラ(初代)

ソルテラ(初代) ▲フロントグリルやバンパーのデザインはソルテラ独自のもの

ソルテラ(初代)はどんなモデル?
スバル初のピュアEVであるソルテラ。トヨタ bZ4Xの兄弟車ではあるが、ダンパーのセッティングや駆動力配分などにスバル車らしい味付けが見える。

最高出力150kW (204ps) のモーター1基を搭載するFFと、前後にそれぞれモーターを搭載し、合計最高出力160kW(218ps)を発生する4WDを設定。ステアリングにエネルギー回生力を調節するパドルが備わること、走行モードのひとつに「パワー」モードが存在することがbZ4Xとの違いだ。

グレードは「ET-SS(FF or 4WD)」 と「ET-HS(4WD)」の2種類。bZ4Xはリース販売のみだが、ソルテラは一般販売され、新車時価格594万~682万円となっている。

ソルテラ(初代) ▲2023年3月のマイナーチェンジでステアリングホイールのデザインなどを変更

ソルテラ(初代)の中古車相場
2022年5月に発売されたソルテラだが、現在、中古車の流通は確認できなかった。中古車においても選択肢がいくつかあって、かつ新車よりもお得な金額で手に入るようになるのは少し先かもしれない。

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※流通状況により物件が表示されない場合があります。
 

レヴォーグレイバック(初代)

レヴォーグ レイバック(初代) ▲レヴォーグとはフロントセクションが違う他、フェンダーアーチやサイドシルのモールも装備される

レヴォーグレイバック(初代)はどんなモデル?
国内ニーズに最適化されたステーションワゴンとして人気のレヴォーグ。その2代目の車高アップし、クロスオーバーSUVに仕立てたのがレイバックだ。

車高はベースとなったレヴォーグから55mmもアップされ、本格SUV顔負けの200mmという最低地上高となっている。

背は高くなっているが、横風に対する安定性、コーナリング時のロールなどをサスペンションの設定により巧みに抑えているのがスバル車らしい。SUVらしいスタイルに仕上げるために全高だけでなく、全幅も+25mm、全長も+15mm、それぞれ拡張された。

搭載されるエンジンは1.8L水平対向・直噴ターボで、全車AWD。グレードはレヴォーグの最上級と同等の装備内容となる「リミテッド EX」のみで、ハーマンカードンサウンドシステムなどが標準装備される点にも注目だ。

レヴォーグ レイバック(初代) ▲車内空間はレヴォーグと同寸。アッシュカラーのトリム色がオシャレ

レヴォーグレイバック(初代)の中古車相場
2023年10月にデビューしたばかりで、中古車市場に流通するのはまだ5台程度と極少。総額420万~4450万円の価格帯で、まだ値頃感はない。

新車販売が好調とのことなので、今後の中古車相場は要チェックだ。

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レガシィアウトバック(4代目)

レガシィアウトバック(4代目) ▲よりオフロードテイストの強い外観となった4代目

レガシィアウトバック(4代目)はどんなモデル?
レガシィアウトバックはボディサイズ、高級さともスバルSUVのフラッグシップと呼ぶにふさわしいモデルだ。国産ハイトワゴンの先駆者である、レガシィグランドワゴン/ランカスターがルーツ。

2021年10月に登場した4代目では新たに「スバルグローバルプラットフォーム」が採用され、シャシー性能を大幅にアップ。伝統のシンメトリカルAWDを引き継ぎつつ、パワーユニットには1.8L 水平対向直噴ターボエンジンが採用された。

先進運転支援装備では2代目レヴォーグにも採用された高度運転支援システム「アイサイトX」を標準装備。加速レベルを任意に変更できるオートクルーズコントロールなど、安全性能、快適性能の追求には余念がない。

レガシィ アウトバック(4代目) ▲わき見運転などを検知するドライバーモニタリングシステムも装備される

レガシィアウトバック(4代目)の中古車相場
中古車市場における流通台数は約80台とやや少なめだが、中古車平均価格は約400万円と新車価格に比べてリーズナブル。

グレード構成ではアウトドアテイストの「エックスブレイク EX」よりも上級志向の「リミテッド EX」の方がやや多い。

価格の一例を挙げると、2022年式・4.2万kmの「エックスブレイク EX」で総額349.8万円。当時の新車価格より60万円以上安く手に入る。

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スバル×過去モデル含む全SUV 中古車人気ランキングTOP5

スバルのSUVは中古車でも人気が高く、リーズナブルな価格帯となっているモデルも多数ある。

ここでは2023年にカーセンサーnetにおいて、人気だったスバルのSUVを独自の指標でランキング化した。その中から新車販売モデルで解説したフォレスター(5代目)を除くトップ5モデルを紹介する。

順位 車種 世代
1位 フォレスター 4代目
2位 フォレスター 5代目
3位 XV 初代
4位 インプレッサXV 2代目
5位 レガシィアウトバック 3代目
順位 車種 世代
1位 フォレスター 4代目
2位 フォレスター 5代目
3位 XV 初代
4位 インプレッサXV 2代目
5位 レガシィアウトバック 3代目
 

フォレスター(4代目)

・全長:4595mm
・全幅:1795mm
・全高:1715mm

フォレスター(4代目) ▲280psのハイパワー(ターボモデル)をCVTで手軽に楽しめるのが4代目の良いところ

フォレスター(4代目)はどんなモデル?
ハイトワゴン的なスタイルから始まったフォレスターの歴史だが、3代目以降ではSUVテイストが濃くなっていった。2012年に登場した4代目はその方向性を強化。走りへのこだわりをもちながら、使い勝手を大幅に向上させたモデルだ。

パワーユニットは2L水平対向と、同排気量の直噴ターボという構成。後者は最高出力280psを発生する刺激的なエンジンだ。トランスミッションには従来の4速ATでなく「リニアトロニック(CVT)」を採用。全車ともアクティブトルクスプリット式のAWDとなっていた。

5代目からは1世代前になるが、先進安全装備である「アイサイト」を一部グレードに標準装備。「X-MODE」や「SI-DRIVE」など走りを楽しくしてくれるギミックも、ふんだんに採用されている。

フォレスター(4代目) ▲フォレスターの特徴であるシンメトリーを内装のデザインでも表現

フォレスター(4代目)の中古車相場
4代目モデルは2018年6月まで生産されていた。中古車としては今が美味しい時期と言えるだろう。流通量は約700台と豊富、中古車平均価格も120万円台とリーズナブルだ。

年式ではデビュー直後となる2013年式の他、大規模マイナーチェン人が実施された直後の2016年式が多い。前期型なら走行距離5万km以下の物件でも、アイサイト装備のグレードが総額100万円以下から狙える。

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XV(初代)

・全長:4465mm
・全幅:1800mm
・全高:1550-1595mm

 XV(初代) ▲フロントまわりのデザインは2019年11月、2020年10月に2度にわたって改良

XV(初代)はどんなモデル?
クロストレックが登場する前、その前身となったのがXV。先代はインプレッサ XVの名でデビューしたが、このモデルでは車名から「インプレッサ」が外れ、「XV」となった。

先代からボディサイズを拡大するとともに、ヘッドライトやフロントグリルのデザインは精悍なイメージに。スポーティ&カジュアルでありつつも、高級感が増した印象だ。

パワーユニットでは2L 水平対向エンジンと1.6L 水平対向エンジンを用意。さらに2018年10月には2L 水平対向エンジンにモーターを組み合わせた「e-BOXER」を追加、2019年10月には2.0L車全モデルが「e-BOXER」化されている。

オフロードで走行モードを任意に変えられる「X-MODE」が搭載されたのも、XVにおけるトピックだ。

 XV(初代) ▲アイサイト(ver.3)は全車への標準装備だ

XV(初代)の中古車相場
約630台が流通している中古車市場では、2017~2019年式の物件が全体の7割近くを占める。2023年まで新車販売されていたモデルだけあり、走行距離5万km未満の物件が多い。

価格の一例を挙げると、2017年式・走行距離4.4万kmの「2.0i-L アイサイト」で総額139.8万円。全車AWDでこの価格帯ならお得感は高いだろう。

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インプレッサXV(2代目)

・全長:4450mm
・全幅:1780mm
・全高:1550mm

インプレッサXV(2代目) ▲コンパクトで取り回しが良く、扱いやすいのがインプレッサXVの美点

インプレッサXV(2代目)はどんなモデル?
XVの前身モデルとなる、コンパクトSUVのインプレッサXV。2代目モデルは2012年10月に登場した。

全高を多くの機械式駐車場に対応する1550mmに抑えながら、200mmの最低地上高を確保。ホークアイと呼ばれる形状のヘッドランプや切削加工されたアルミホイール、鮮やかなソリッドのボディカラーなどでスポーティなイメージが演出された。

初代ではFFも設定されていたが、2代目ではAWDのみ。トランスミッションも従来の4速ATから、リニアトロニックに変更されている。

パワーユニットは2L 水平対向エンジンの他、CVT内にモーターを組み込んだハイブリッドが2013年6月に追加された。

インプレッサXV(2代目) ▲2014年12月の変更ではアイサイト(一部グレード)がver.2からver.3へと進化

インプレッサXV(2代目)の中古車相場
中古車市場には約600台が流通。中古車平均価格も100万円前後で狙いやすいところだ。年式ではデビュー直後、パワーユニットではハイブリッド車よりもガソリン車が多い。

走行距離では5万~7万kmのボリュームが多くなっているが、5万km未満の物件もまだまだある。2013年前後の年式なら走行距離3万km台・「アイサイト」搭載グレードでも総額80万円から狙える状況だ。

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レガシィアウトバック(3代目)

・全長:4815-4820mm
・全幅:1840mm
・全高:1605-1660mm

レガシィアウトバック(3代目) ▲運動性能だけでなく、快適性や遮音性などもフラッグシップらしい水準となっている

レガシィアウトバック(3代目)はどんなモデル?
レガシィツーリングワゴンをベースにしたSUVの3代目モデル。先代モデルからキリッと引き締まったフォルムに生まれ変わった。ボディサイズは全長で20mm、全幅で25mm拡大されている。

水平対向エンジンの排気量は2.5L。自然吸気らしく、低回転からパワフルで扱いやすいエンジンだ。シャシー剛性が高いのはもちろん、上級グレードにはショックアブソーバーのピストン速度域に応じて減衰特性を買える「スタブレックス・ライド」を採用するなど、快適性とスポーツ性能を両立させた乗り味となっている。

レガシィアウトバック(3代目) ▲ソフトパッドのダッシュボードを採用するなど内装も高級感たっぷり

レガシィアウトバック(3代目)の中古車相場
当時のフラッグシップモデルも、現在の中古車市場では平均価格160万円前後とリーズナブル。中古車流通量も250台前後と充実している。

年式ではデビュー翌年の2015年が多い。例えば、2015年式・走行距離4.8万kmの「リミテッド」の場合、総額145.9万円で手に入る。2018年前後の比較的新しい年式も決して少なくない。

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スバル レガシィアウトバック(3代目)× 全国

※記事内の情報は2023年12月20日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/尾形和美、篠原晃一、スバル
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。

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