SUVの新型センチュリーが発表されたけど、歴代トヨタ センチュリーの中古車価格や流通量は今どんな感じ?
2023/09/16
まさかセンチュリーまで「SUV化」されるとは……
2023年9月6日、SUVタイプの新型トヨタ センチュリーが発表され、注文受付を開始しました。いやまさかの「クロスオーバータイプのセンチュリー登場!」には驚きましたが、これも時代の流れなのかもしれません。
セダンタイプの現行型センチュリーと併売されることになるSUVタイプの新型センチュリーの発売タイミングは「2023年中」とのことですが、それと同時に気になってくるのが「歴代トヨタ センチュリーの中古車状況」です。
トヨタ センチュリーはトヨタの、いやニッポンの最上級ショーファーカー(運転は専従の運転手さんが行い、オーナーは後席に乗る車)なわけですが、これを「ドライバーズカー」として使っている人も実はけっこういます。そして中古車市場では、もちろん高いやつはかなり高いのですが、意外と現実的な価格となっている中古車も多数流通しています。
本稿ではそんな歴代トヨタ センチュリーのモデル概要と中古車事情について、SUVタイプの登場を機に、今一度整理してみたいと思います。
「初代トヨタ センチュリー」のモデル概要&中古車状況
モデル概要
トヨタ センチュリー(初代)
販売期間|1967~1997年
新車価格|491.5万~758万円(※1990年9月時点)
中古車流通量|7台
中古車価格帯|総額140万~290万円
世界レベルのプレステージサルーンを目標にすべてが新たに開発され、1967年11月に発売された、当時のトヨタの最上級セダン。当然ながら細かな改良はされ続けましたが、1997年まで30年間にわたってフルモデルチェンジなしで生産され続けました。
デザインは、当時の高級車の世界をけん引していたアメリカ車の影響も見て取れますが、「伝統的な日本の美」とされるニュアンスを強く意識した造形となっており、ボディカラーの名称にも「フジ・ノーブルホワイト」「カムイ・エターナルブラック」などの和名が含まれていました。
発売当初の搭載エンジンは3L V8 OHVで、1973年には排気量を3.4Lまで拡大し、1982年には4Lに。トランスミッションはコラムシフトの3速ATと、同じくコラムシフトの3MTの他、コラムシフト、フロアシフトの4MTが用意されました。
中古車状況
2023年9月中旬現在、初代トヨタ センチュリーの中古車流通量は少なく、全国で7台のみ。さらに1960年代や1970年代のモデルはさすがにほとんど流通しておらず、そのほとんどが4LのV8 OHVエンジンを搭載する1990年代のモデルです。
中古車価格は「応談」となっている場合もありますが、主には総額140万~270万円という、ある意味手頃な水準のゾーンに集中しています。とはいえ、車両価格は手頃であるといっても「旧車」ですので、パーツの入手や維持にはけっこうな困難も予想されます。
それゆえ決して万人向けの選択肢ではありませんが、このたたずまいが大好きだという人が本気のド根性を発揮すれば、維持は可能でしょう。覚悟と愛がある人にとってのみ、オススメの世代となります。
▼検索条件
トヨタ センチュリー(初代) × 全国「2代目トヨタ センチュリー」のモデル概要&中古車状況
モデル概要
トヨタ センチュリー(2代目)
販売期間|1997~2017年
新車価格|935万~997万円(※2000年4月時点)
中古車流通量|69台
中古車価格帯|総額80万~580万円
30年ぶりのフルモデルチェンジが行われ、1997年4月に発売されたのが2代目トヨタ センチュリー。当時の最新技術を投入して作られた車でしたが、デザインテイストはあえて初代のニュアンスをそのまま踏襲しています。
搭載エンジンは国産市販乗用車としては初の5L V12で、最高出力は280ps。片バンクの6気筒に万一トラブルが発生しても、もう片方のバンクの6気筒が機能して走行できる仕組みになっています。またブレーキなども、バックアップのための2重系統化が施されています。
内装の本木目パネルや本革シートは、職人が手作業で製作したものが使用され、助手席のバックレストを貫通させるオットマンや前に倒れるヘッドレスト、Bピラーにある「靴べら入れ」など、ショーファーカーとしての本領は遺憾なく発揮されています。
中古車状況
トヨタ センチュリーの中古車を「ドライバーズカー」として入手したい場合は、この2代目が主なターゲットとなるでしょう。
中古車流通量は約70台とそれなりに豊富で、価格も、高いモノだと総額400万円以上になりますが、主には総額100万円台から200万円台のゾーンに集中しています。
それら価格の物件は走行距離が延びている場合が多く、10万km以上となるのはおおむね当たり前で、中には20万km以上、いや30万km以上となっている物件もあります。
もちろんケース・バイ・ケースではあるのですが、2代目センチュリーは基本的にはやたらと耐久性が高い車であるため、走行距離の多寡は過剰に気にする必要はありません。前オーナーまたは歴代のオーナーから丁寧に扱われ、しっかりと整備されてきた個体であれば、比較的普通に維持していけるでしょう。
▼検索条件
トヨタ センチュリー(2代目) × 全国「3代目・現行型トヨタ センチュリー」のモデル概要&中古車状況
モデル概要
トヨタ センチュリー(3代目)
販売期間|2018年~
新車価格|1960万円(※2018年6月時点)
中古車流通量|11台
中古車価格帯|総額1180万~2000万円
2017年10月の東京モーターショーで初公開され、翌2018年6月に発売された3代目のトヨタ センチュリー。 現代風にリフレッシュはされましたが「ひと目でセンチュリーとわかるデザイン」は踏襲され、「几帳面」という呼称のキャラクターラインも採用されました。なお、この几帳面はプレス加工では表現できないため、最終的には手作業で調整されています。
ボディカラーの名称には引き続き和名が用いられ、イメージカラーである「神威 エターナルブラック」や、「飛鳥 ブラッキッシュレッドマイカ」などを設定。神威 エターナルブラックは7層の塗装に研ぎと磨きを加えることで、奥深いツヤと輝きが追求されています。
パワートレインは、それまでの5L V12に代わってハイブリッドシステムを採用。5L V8エンジンにモーターを組み合わせることで、システム最高出力431psという、従来型以上のハイパフォーマンスを発揮します。
中古車状況
2023年9月中旬現在、3代目センチュリーの中古車流通量は11台とかなり少なめで、価格も総額約1200万~1800万円と、いわゆる普通の人間にはちょっと手が出せない水準。
「次の車は英国のロールス・ロイスにするか、それとも他の何かにしようか?」というニュアンスの車選びをしている人に向いている選択肢だといえるでしょう。
▼検索条件
トヨタ センチュリー(3代目・現行型) × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。