ルノー トゥインゴの「日本向け生産終了」が発表に……! 最新の中古車価格は? 流通台数は?
2023/07/21
ルノー トゥインゴの日本向け生産が終了
1993年に初代がデビューした、かわいくておしゃれなフレンチコンパクト、トゥインゴ。3代目となる現行型は、5(サンク)のデザインエッセンスを取り入れている。
中でも左右に大きく張り出したリアフェンダーをもつデザインは、1980年に発売されWRCで活躍した伝説のモンスターマシン、5ターボに倣っているというから、かわいいもの好きのみならず、変態系ルノーファンの胸をも熱くした。
そんなトゥインゴがついに日本向けの生産を本年終了すると、2023年7月3日ルノー・ジャポンから発表された。
いよいよ新車が買えなくなると焦りがちだが、今回の発表では原材料費や物流費用の高騰により4万~9万円アップとなる希望小売価格の改定も行われ、インテンスMTが250万円、インテンスEDCが259万円、インテンスキャンバストップEDCが274万円となっている。
スマートフォンミラーリング機能に、Apple CarPlay対応のワイヤレスミラーリング機能を追加する小変更も加わっているとはいえ、ここはちょっとクールダウンして、価格も控えめで納車もほぼ即納の中古市場にも目を向けてみてはいかがだろう。
特に最終型となる3代目トゥインゴは、今のところ中古車の価格上昇傾向はなく、台数も余裕をもって選べる状況だから、チェックしない手はない。
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ルノー トゥインゴ(3代目) × 全国モデル概要:パリの狭い路地もスイスイなシティカー
ここで改めてトゥインゴのモデル概要を振り返ってみよう。
初代デビューは前述のとおり1993年。日本に導入されたのは1995年で、1.2Lガソリンエンジン搭載の5MT仕様「パック」とオートマ限定免許でも運転できる2ペダル5MT仕様の「イージー」が用意された。小さくコロンとしたモノフォルムの2ドアハッチバックボディはスペース効率が追求され、半円のヘッドランプもかわいらしく人気を博した。ただし、切り詰められたフロント部に余裕はなく、右ハンドル仕様は用意されなかった。
2007年デビューの2代目は、ノーズを伸ばして一般的な2ボックスボディとなったおかげで右ハンドル仕様も導入。2008年に日本導入されたのは、1.2L自然吸気エンジンに2ペダルMT「クイックシフト5」を組み合わせたベースグレードと、1.2Lターボに5MTを組み合わせたスポーティグレード「GT」。2009年には1.6L自然吸気エンジンを搭載した高性能モデル「ルノー・スポール(RS)」も導入された。
そして、2014年のジュネーブショーでお披露目され、日本には2016年に導入されたのが3代目の現行型だ。
4ドアハッチバックのボディに、リアに0.9L直3ターボエンジンを搭載し後輪を駆動するRRレイアウトを採用し、「スマート フォーフォー」と基本設計を共有する。
フロントにエンジンがないおかげで前輪の切れ角が大きく、最小回転半径4.3mという驚異の小回り性能をもつのも特徴だ。
2016年に上陸した際のグレードは「インテンス」と「インテンス キャンバストップ」のみ。その後エントリーグレード「ゼン」や、最高出力を109psにチューンナップしたスポーティグレード「GT」が追加された。
2019年8月のマイナーチェンジではヘッドランプの下のLEDのポジショニングランプがなくなり、よりすっきりとしたフロントマスクになるマイナーチェンジが施され、リアバンパーやリアコンビランプの意匠も変更された。
また、インフォティメントシステムにはApple CarPlayとAndroid Autoに対応し、7インチのタッチスクリーンで操作する「EASY LINK」を新たに採用している。
中古車状況:今のところ大きな動きはなし
それでは、現在中古車として狙いやすく、検討している人も多いであろう3代目・最終型トゥインゴの中古車状況を見ていこう。
中古車流通台数は2023年3月をピークに減少傾向ながら、原稿執筆現在(2023年7月18日)の掲載台数は約150台とまずまずの数だ。
掲載される物件を細かく見てみると、装備の充実した上級グレード「インテンス」の6EDCモデルが中心で、平均価格は144.3万円、価格帯は総額約80万~260万円と幅広くなっている。
また、マイナーチェンジ前物件(2019年7月以前)の占める割合が多く、全体の2/3ほどとなる100台程度が掲載されている。
シティカーらしく気軽に近距離を走ることを得意とするモデルゆえ、年式の割には走行距離が少なめな物件も多いのも特徴だ。
走行距離10万kmを超えるものは現時点ではなく、3万km以下と低走行のものが半数以上を占めている。
それでは、今中古車で3代目トゥインゴを狙うならどんなものがオススメなのか、以下ニーズごとに紹介しよう。
中古車のオススメ1|とにかく安く買うなら「初期型・インテンス」を
とにかく安く狙うなら、2016~2017年式の上級グレードの「インテンス」がオススメだ。パワートレインは0.9L直3ターボに6EDC。総額約80万円あたりから本体価格100万円以下、総額120万円以下でも30台程度見つかり、カラーバリエーションも豊富だ。数台ながらキャンバストップも見つかる。
エントリーグレードの「ゼン」の方がより簡素な装備なだけに新車価格は安いが、中古価格に大した差はなく、そもそもゼンの流通台数は極めて少ないので、MTが欲しい場合を除けば、わざわざ絞り込む必要はないだろう。
ちなみに、この年代のインテンスとゼンの違いは、ゼンはボディサイドのクローム装飾やバックソナー、オートライト、フロント雨滴感応式オートワイパーが装備されず、エアコンはマニュアル式といったところ。新車当時のゼン(6EDC)とインテンス(6EDC)の価格差は、インテンスがプラス9万円だった。
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ルノー トゥインゴ(3代目) × 2016~2017年式×「インテンス」×全国中古車のオススメ2|コスパ狙いならスポーティな「GT系」かオシャレな「特別仕様車」を
コスパの良さでオススメしたいひとつめは、ルノーのモータースポーツ部門、ルノースポールが手がけたスポーティグレードの「GT」。最高出力109psのターボエンジンを搭載し、シャシーには専用チューニングが施された貴重なRRホットハッチだ。
新車価格は、2017年に5MTのみが限定200台導入された際は224万円、翌2018年に6EDCも加えて通常グレードとして追加設定された際には5MTが229万円、6EDCが239万円だった。
そんな「GT」の流通台数は約30台、総額150万~200万円で手に入る。中には5MTモデルや特別仕様車の「GTブラン」も見つかる。
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ルノー トゥインゴ(3代目) ×「GT系」×全国また、パリのエスプリを感じさせるような、個性的な特別仕様車を探すのもトゥインゴならではの楽しみだ。
専用ボディカラー「ヴェールピスタッシュ」や専用チェック柄のサイドストライプやキャンバストップ、ヴェールピスタッシュの専用内装トリムを備えた「ラ・パリジェンヌ」や、人気パティスリー「ピエール・エルメ・パリ」の誕生20周年を記念した特別仕様車「PHマカロン」が、合計で10台程度見つかる。
新車価格は、「ラ・パリジェンヌ」は標準仕様204万円、キャンバストップ仕様216万円、「ピエール・エルメ・パリ」は212万円だが、中古ではいずれも総額150万~160万円で流通している。
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ルノー トゥインゴ(3代目) × 「特別仕様車」×全国中古車のオススメ3|貴重なMT車狙いなら「ゼン」や「S」を
小さくて軽いフランス車の素の楽しさをMTで味わうなら、あえてスポーツタイプではない、1L自然吸気エンジン+5MTを搭載する「ゼン」や「S」をオススメしたい。
RRならではの鼻先の軽さは、車両重量が軽いほどダイレクトに味わえるし、パワーがない分強制的に変速活動に集中させられるので、M傾向の変態……失礼、好事家には特にオススメだ。
掲載台数20台ほどのMT車の多くはスポーツグレードの「GT」で、素のMT車は特に貴重で、ゼンとS合わせても10台に満たない。
しかし、フェイスリフト前のゼン(最高出力71ps)なら総額100万円程度で手に入るし、年式の高い後期型のS(最高出力65ps)は価格こそ総額200万円程度と値が張るものの低走行車も見つかる。
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ルノー トゥインゴ(3代目) × 「ゼン/S」×全国日本国内では絶版となってしまうルノー トゥインゴ。ポップで個性的ながらも、実は走らせても楽しいというモデルゆえ、今後希少性が高まっていくことも予想できる。
幸いにして、今のところ中古車市場には大きな動きはないが、気になっている人は今のうちに一度中古車もチェックしてみることをオススメしたい。
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ルノー トゥインゴ(3代目) ×全国※記事内の情報は2023年7月18日時点のものです
ライター
竹井あきら
自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。