新型プリウスの納期が長すぎて待ち切れない! だったら「代わりにこの中古車どうですか?」5選
カテゴリー: 特選車
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2023/05/20
かなりステキな新型プリウスの“代わり”は存在するのか?
一瞬「……スーパーカーか?」と思ってしまうほどワイド&ローでエモーショナルなエクステリアデザインと、第2世代のTNGAプラットフォームを伴って2023年1月に発売された新型トヨタ プリウス。
「……これはもう買うしかない!」とも思うわけだが、トヨタ公式サイトの新型プリウス工場出荷時期めどは「詳しくは販売店にお問い合わせください」となっている。また、福島トヨタの公式サイトには、ZグレードのハイブリッドモデルやGグレードの納期が2025年3月以降と記載されている(※いずれも2023年5月17日時点の情報)。
もちろんグレードによってはもっと早く手に入れられるだろうし、販売店によっても状況は異なるだろう。また、ハッキリ言っていつになるかわかったものではない納車を1年以上待つのも、まぁ一興ではあるかもしれない。
だが「そんなに待ってられないよ!」という場合には、何かしら新型プリウスの代わりになり得る“ステキな代替案”は存在するのだろうか? わからないが、いろいろと考えてみることにしよう。
代わりになるモデルの条件とは……
新型トヨタ プリウスの新車価格は上級グレードである「Z」の2WDが370万円で、中間グレードである「G」の2WDが320万円。
となると、いわゆる乗り出し価格は前者が400万円台前半で、後者が300万円台の後半ぐらいであるはず。
「代替案」となる高年式中古車は、それよりも少し安い「総額300万円から400万円ちょいぐらい」で見つけたいというのが人情であろう。
そして新型プリウスと同様にインパクトのあるシュッとしたエクステリアデザインで、同様に“走り”が良くて、なんだかこう“存在感”みたいなものも強くほしい。
さらには新型プリウスの2WD車がマークする28.6km/Lという超絶良好なWLTCモード燃費に近い燃費性能が、新型プリウスの「代替案」には求められる――わけだが、果たしてそんな都合の良い車があるのだろうか?
実を言えば、あんまりない。
あんまりないからこそ新型プリウスは話題沸騰となり、長い長い納車待ち状態となってしまったのだ。これが「いや、他にも似たようなのはたくさんありますよ」みたいな話だったら、誰も苦労はしないわけである。
ただ、そんな状況ではあるが、頭をひねって5つの代替案を考えてみた。
代替案1|ホンダ シビック e:HEV(11代目)
→予算目安:総額390万~430万円
数少ない例外として考えられるのが――現行型ホンダ シビック e:HEVの中古車だ。
ご承知のとおり現行型シビックは全長:4550mm × 全幅:1800mm × 全高:1415mmという、新型プリウスとおおむね似たようなサイズの5ドアハッチバック。そしてそのe:HEVは、ホンダ独自の2モーターハイブリッドシステムを搭載しているグレードである。
ハッキリ言って「エクステリアデザインの未来っぽさ」という部分に関しては、新型プリウスの方が大幅に上回っているだろう。シビックのデザインも相当いいと個人的には思っているが、新型プリウスの「わかりやすい未来感」と比べてしまうと、さすがに少々分が悪い。いささか凡庸にも見えてしまうのだ。
しかしその分、シビック e:HEVには「下手をすれば引っ越しにも使えるほどの室内空間」という美点がある。いや「引っ越しにも使える」というのはさすがに大げさだが、デザインコンシャスすぎる新型プリウスと違って後席の居住性はかなり良好で、荷室も、まぁ数値的には新型プリウスとおおむね同じなのだが、5ドアハッチバックならではの素晴らしい使い勝手を誇る。
そして現行型シビック e:HEVの最大の優位点は、「走りがやたらと気持ちいい!」ということだ。
新型プリウスの走りも従来型と比べればかなり気持ちいいものになっているが、シビック e:HEVの爽快感はさらに2段階ほど上(と、個人的には感じている)。この一点だけをもってしても、「新型プリウスの代替案」としては十分と言えるだろう。
さすがにWLTCモード燃費は、新型プリウスの28.6km/Lに対して24.2km/Lとやや劣るが(※いずれも2WD車の場合)、「いいえ、そんなの誤差の範囲です! 運転の仕方でいくらでも変わるんです!」と強弁できなくもない範囲ではあろう。
そんな現行型シビック e:HEVの中古車価格は、走行距離が数千kmレベルの2022年式に絞ったとしても総額390万~430万円と、新型プリウスの上級グレードを買うのと同じぐらいか、ちょい安いぐらいである。
完璧ではないかもしれないが、これこそが国産車ではたぶん唯一となる「代替案」だ。
▼検索条件
ホンダ シビック(11代目) × 2.0 e:HEV × 全国代替案2|メルセデス・ベンツ A250 e セダン(初代)
→予算目安:総額370万~420万円
WLTCモード燃費に関しては新型プリウスの26.7km/Lに対して16.3km/Lと、基本的には勝負にならない車ではある。だが「ある一点」において現行型メルセデス・ベンツ A 250 eセダンは、新型トヨタ プリウスの魅力を凌駕できる可能性を秘めている。
現行型 A250 e セダンは、2021年5月に発売されたAクラスセダンのプラグインハイブリッドモデル。ボディサイズは全長:4560mm × 全幅:1800mm × 全高:1455mmで、全長こそ新型プリウスより4cm短いが、他はおおむね似たような寸法である。
パワーユニットは最高出力160psの1.4L 直4ターボエンジンに、同102psのモーターと容量15.6kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッドシステム。140km/hまでは電気モーターのみでの走行が可能で、その航続距離はWLTCモードで70.2kmだ。
これも前掲のホンダ シビック e:HEVと同様に、エクステリアデザインに関しては新型プリウスのインパクトというか未来派感には負けているだろう。
しかしA250 e セダンの走りは相当強烈であり、なおかつバランスも良い。そして遠出をしない限りはガソリンを一滴も使わずに走れるという点も、新型プリウスに対する優位点と言っていい。
というか、この車の最大のエッジ(優位性)は「ベンツである!」という、身も蓋もない何かであろう。
現在はカタログ落ちしているが、A250 e セダンは間違いなくあの“ベンツ”の、最新世代モデル。新型プリウスの記号性もなかなかのモノではあるが、「最新世代の“ベンツ”に乗ってます!」という(言ってはなんだが)優越感は、どうしたってしみじみ感じてしまうものだ。
その優越感はきっと、新型プリウスが手に入らないという心の穴を十二分に埋めてくれるだろう。
総額400万円台後半の物件も多いが、プリウスを新車で買うのと同じかちょい安いぐらいの低走行中古車も、それなりの数が流通している。
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メルセデス・ベンツ Aクラスセダン(初代) × A250 e × 全国代替案3|テスラ モデル3(初代)
→予算目安:総額360万~440万円
テスラ モデル3は何かと話題の実業家、イーロン・マスク氏率いる「テスラ」のEVである。
……これに関しては、カーマニア的な視点で「テスラの中では最もコンパクトで安価なモデル3って、そもそもどうなのか?」「EVの未来はどうなる? ハイブリッドの方が現実的で、なおかつエコなのではないか?」などと考えていてもらちが明かないというか、いつまでたっても買うふんぎりはつかないだろう。
テスラ モデル3を買うというのは、本当にざっくり言ってしまえば「今いちばんイケてる(感じに見える)EVを買う」ということであり、それは「港区に住む」とか「有名ブランドの機械式腕時計を身につける」などと、どこか似たニュアンスでもある。
もしもあなたがそういったニュアンスを「いいね!」と思うのであれば、テスラ モデル3の高年式中古車は、新型プリウス難民にとっての良き代替案にはなるだろう。
走行距離2万km台までのモデル3を買うとしたら、WLTPサイクルで航続距離448kmの「スタンダードレンジプラス」が総額360万円~で、同580kmの「ロングレンジ」が総額430万円~といった予算感となる。
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テスラ モデル3(初代) × 全国代替案4|プジョー 308 GTブルーHDi(3代目)
→予算目安:総額380万~430万円
新型プリウスの代替案を考えるにあたり、ここまではハイブリッドやEVであることにこだわりすぎていたのかもしれない。よく考えてみれば「ディーゼルターボエンジン搭載車」も、新型プリウスの代わりになり得る可能性は十分ある。
もちろんストップ&ゴーが多い市街地での燃費は、さすがのディーゼル車もハイブリッド車にはかなわない。だが長距離を高速巡航する際の燃費や、その際のパワー感等々においてはハイブリッド車と同等、いやハイブリッド車以上である場合も多いはずだ。
……という観点で考えてみると、代替案となるのはこれしかないだろう。「現行型プジョー 308のディーゼルターボエンジン搭載グレード」である。
プジョー 308としては3代目にあたる現行型308は、2022年4月に上陸したCセグメントの5ドアハッチバック。ボディサイズは全長:4420mm × 全幅:1850mm × 全高:1475mmと、全長だけは新型プリウスより18cm短いが、横方向と縦方向の余裕は新型プリウス以上である。
で、パワーユニットは1.2L 直3ガソリンターボと1.5L 直4ディーゼルターボ、1.6L 直4ターボに最高出力110psのモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドの3種類が用意されている。
これのうちプラグインハイブリッドも実は相当ステキなのだが、2023年5月中旬現在、その中古車はかなり希少。となれば狙うべきは、3Lガソリン車並みのトルクを発生する1.5Lディーゼルターボエンジン搭載グレードだ。
このディーゼルターボエンジンを搭載する308は「今現在、Cセグメントにおいては世界最良レベルのハンドリング性能と乗り味!」であると、個人的には確信している。この点においては新型プリウスを確実に凌駕するだろう。
新型プリウスも決して悪くはなく、むしろステキな走りを披露するのだが、現行型308はそれ以上なのである。
そしてそれに加えて現行型プジョー 308 GTブルーHDiには「安い燃料費で長~く走れる」という美点がある。
現行型308 GTブルーHDiのWLTCモード燃費は21.6km/L。これはさすがに新型プリウスFF車の28.6km/Lにはそれなりに大きく劣るわけだが、新型プリウスが実勢価格約160円/Lのレギュラーガソリンを使用するのに対し、プジョー 308 GTブルーHDiが使うのは同約130円/Lの「軽油」だ。
両者が額面どおりの燃費で1000km走ったと仮定すると、そしてレギュラーガソリン=160円/L、軽油=130円/Lとして計算すると、必要となる燃料代は下記のとおりになる。
●新型トヨタ プリウス(FF車)=約5594円
●現行型プジョー 308 GTブルーHDi=約6018円
その差は約424円。……1000km走るにあたっての約420円は、これはもう「誤差の範囲です! 私は気にしません!」と言い切ってしまってもいい金額だろう。
まぁ車というのは必ずしもカタログの数値どおりの燃費で走るわけではなく(運転の仕方次第でずいぶん変わる)、そもそも「車の魅力=燃費の良し悪し」というわけでもない。だが現行型プジョー 308 GTブルーHDiは、新型トヨタ プリウスに決して大負けはしない「燃費的戦闘力」を備えているとは言えるはずだ。
ちなみにエクステリアデザインも、新型プリウスのような「ワイド&ローなシュッとしてる感じ」ではない現行型308だが、「インパクトの強さ」という点においては決して負けていないように思う。
そして走行距離数百kmから数千kmの個体の中古車価格は、新型プリウスの上級グレードを買う場合と同程度か、いささか安いぐらいで収まるはずだ。
▼検索条件
プジョー 308(3代目) × GT ブルーHDi ディーゼルターボ × 全国代替案5|新型トヨタ プリウスの中古車
→予算目安:総額320万~500万円
とはいえ――なんだかんだで「新型プリウスの代わりは、新型プリウスにしか務まらない」というのが、正味のところではあるのだろう。あのカタチと存在感は、近似する性能うんぬんだけでは代替不能なサムシングなのだ。
であるならば「中古車市場に出回っている新型プリウスの中古車を買う」というのが、さしあたっては“最高の代替案”なのかもしれない。
新車を買うとなると納車まで長い期間待つことになる新型プリウスだが、中古車市場には2023年5月中旬現在、約160台が流通している。
それら約160台がどういう経緯で店頭に並ぶことになったのか、理由は定かではない。だがとにかく、本来の新車価格にプラスして数十万円から100万円ほどの“即納プレミアム”を支払うつもりさえあれば、実は新型プリウスといえどもすぐに入手可能なのだ。
具体的には、新車価格320万円の中間グレード「G(2WD)」は走行距離数kmから数百kmの中古車が総額370万~440万円ほどで販売されており、新車価格370万円の上級グレード「Z(2WD)」は総額420万~500万円といったところである。
この値付けに対してどう感じるかは人それぞれだろうが、もしも納得できるなら買えばいい――ということだ。
ちなみに「もっと安く手に入れたい!」という場合には、法人向けグレードである「X(2WD)」の走行数十kmレベルの中古車を総額320万~350万円ほどで狙うという手もなくはない。まぁこれにしたって本来の新車価格は275万円なので、その中古車価格は、本質的には決して割安ではないのだが……
▼検索条件
トヨタ プリウス(5代目) × 全国※記事内の情報は2023年5月15日現在のものです。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。