CX-5▲電気自動車(EV)専門の自動車メーカーであるテスラ。中古車市場での流通量や相場はどうなっているのか紹介する

中古で買えるテスラの全モデルを紹介

世界に先駆けて、スポーツカーやクロスオーバーSUVのEVを専門に手がけてきたのが、アメリカの新興自動車メーカーであるテスラだ。

従来の車好きだけでなく、新しいモノ好きを惹き付ける商品作りが見事に成功。2008年のロードスターを発売以来、オートパイロットなど先進的な運転支援機能、自動でアップデートするシステム、長い航続距離と強力なパワーを武器に、世界中でファンを獲得してきた。

そんなテスラ、中古車で買うとしたらどうなの? というのが今記事のテーマ。

テスラ各モデルの紹介と中古車市場の状況、保証内容やリセールについても紹介していく。

 

テスラにはどんなモデルがある?

日本に導入されているテスラはセダン2車種(モデル3、モデルS)、クロスオーバーSUV2車種(モデルX、モデルY)の計4モデル。

いずれのモデルもひと目でテスラと分かる内外装のデザイン、オートパイロットなどの先進運転支援機能を備えたEVだ。

 

【モデル紹介】テスラ モデル3

■新車時価格帯:536.9万~793.9万円
■中古車価格帯:330万~670万円

 テスラ モデル3 ▲フロントグリルのない外観はいかにも未来的だ

モデル3は2017年から生産されているコンパクトな5人乗りセダンだ。日本にも2019年から導入開始されている。

“コンパクト”と言ってもアメリカのセダンと比較した場合であり、1849mmという全幅は新型クラウンよりも広い。国産ならラージクラスに入る大きさと理解するべきだろう。リアオーバーハングは短いが、リアだけでなくフロントにもトランクが設けられており、荷室容量は十分だ。

スマホを使って解錠する仕組み、メーターやスイッチ類を極力なくし、操作のほとんどを15インチタッチスクリーンで行うところなどは未来感たっぷり。全面ガラスルーフの採用で、車内はオープンカーのような開放感がある。

現在の新車ラインナップは下記の3グレードとなっている。

・「RWD」:リア二輪駆動のエントリーグレード
・「ロングレンジ」:航続距離重視のデュアルモーター&4WD仕様
・「パフォーマンス」:加速性能重視のデュアルモーター&4WD仕様

モーター出力や駆動用バッテリー容量は年々改良され続け、「パフォーマンス」にいたっては現在、0-100km加速3.3秒という動力性能を備えるまでになった。

航続距離についても「ロングレンジ」で一充電あたり689kmという驚異的なスペックを実現している。

 テスラ モデル3 ▲中央に大きなタッチスクリーンがあるだけのシンプルなインテリア

中古車市場での流通量は約90台と比較的豊富で、2019年デビュー時のものから2022年式まで幅広く分布している。

一例を挙げると、2019年式で走行距離3.1万km、修復歴なしの「RWD」で支払総額約354万円。

2022年式・走行距離0.2万kmで支払総額400万円台前半の物件もある。新車時価格530万円超のモデルをこの価格で手に入れられるならリーズナブルと言えるだろう。

▼検索条件

テスラ モデル3(初代) × 全国
 

【モデル紹介】テスラ モデルX

■新車時価格帯:公式サイトに情報なし
■中古車価格帯:610万~1360万円

テスラ モデルX ▲20~22インチの大径タイヤが装着され、クロスオーバーSUVのスタイルに仕上げられたモデルX

ロードスター、モデルSに続いて2015年に登場したモデルX。テスラとしては初のSUVモデルだが、その外観はモデルSなどと同様に洗練されている。

ボディサイズは全長:5057mm × 全幅:1999mm ×全高:1680mmという堂々としたもの。遠目からだと5ドアハッチバック車のようにも見えるが、その実はオプションで3列目シートを追加することも可能なクロスオーバーSUVだ。

モデルX最大の特徴は、リアドアが真上に開く「ファルコンウイングドア」の存在だろう。後席&サードシートへの乗降性を良くするための機構で、開口部が抜群に広く、しかも電動で乗り降りしやすい。

ジェット機にある操縦桿のようなヨークステアリング(通常のステアリングも選択可能)は、メーターの視認性を良くするためのアイデア。その他にも独創的な機構が数多く採用されている。

ラインナップはデュアルモーター仕様の「Model X」と、モーターを1個追加したトライモーター仕様の「Model X Plaid」で、いずれも4WD。後者は0-100km加速2.6秒(!)と、動力性能も同クラスの中でずば抜けている。

テスラ モデルX ▲日本ではラージクラスに入る大きさだけに車内は広々。3列目シートはレス仕様、2人掛け仕様、3人掛け仕様がある

中古車市場には約40台が流通しているが、年式は2017年から2020年まで。現在もテスラのサイトでは現行車種として掲載されているものの、2021年以降の新車デリバリーはほぼないようだ。

新車価格は1000万円オーバーの超高級車であり、中古車市場での価格帯も高め。ただし、2017年式・走行距離3万km前後の物件なら、総額610万円前後から狙える物件もある。流通量全体の約4分の1が走行距離3万km以下で、コンディションの良い物件も見つけやすい。

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テスラ モデルX(初代) × 全国
 

【モデル紹介】テスラ モデルY

■新車時価格帯:579.9万~833.3万円
■中古車価格帯:480万~800万円


 テスラ モデルY ▲雨や積雪路、泥濘地でスリップを防ぐためのトラクションコンロールを装備

モデルYは、モデル3をベースとしてクロスオーバーSUV化したモデルだ。フロントグリルのないマスクなど、外観イメージもモデル3に極めて近い。テスラとして最も新しいモデルとなる。

ボディサイズは全長:4751mm × 全幅:1921mm × 全高:1624mmと、同じクロスオーバーSUVのモデルXよりもかなりコンパクト。日本で乗っても取り回しに苦労することは少なそうだ。

2列シート5人乗り仕様のみだが、後席シートバックが3分割で倒せる構造となっており、荷室の使い勝手は悪くない。

展開されているのはモデル3と同様に下記の3グレードとなっている。

・「RWD」:リア二輪駆動
・「ロングレンジAWD」:航続距離重視のデュアルモーター&4WD仕様
・「パフォーマンス」:加速性能重視のデュアルモーター&4WD仕様

「パフォーマンス」の0-100km加速タイムは3.7秒となっており、クロスオーバーSUVとして驚異的なスペックと言える。

ちなみに、航続距離は「ロングレンジ」で一充電あたり605km、最も短い「RWD」でも507km。実用上、全く問題のないレベルだ。

オートパイロットなどの先進的運転支援機能が標準で備わっており、さらに自動で駐車してくれるオートパーキング、自動で他車を追い越してくれる「オートレーンチェンジ」、無人操縦でオーナーの元まで来てくれる「エンハンスト サモン」などの機能を追加することができる。こうした点もモデル3同様だ。

テスラ モデルY ▲インテリアのデザインはモデル3とほぼ同じ。メーターやレバー、スイッチ類がほとんど見当たらない

日本でデリバリーが始まってからまだ1年強というところだが、中古車市場にはすでに約40台が流通している。

新車に近いコンディションのものが多く、走行距離の進んでいる物件でも1万km未満だ。

現在、最もリーズナブルな物件は登録済未使用車の「RWD」で総額約477万円。憧れのテスラ最新モデルがこの価格で手に入るなら明らかにオトクだろう。

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テスラ モデルY(初代) × 全国
 

【モデル紹介】テスラ モデルS

■新車時価格帯:公式サイトに情報なし
■中古車価格帯:340万~1370万円


テスラ モデルS ▲モデルSはリアをハッチバック形状としたセダン。存在感あるボディサイズだ

テスラ最初のモデルであるロードスターは、ロータスから供給されたシャシーをベースにしていた。100%テスラによる自社生産となった第1号は、2012年に登場したセダンであるモデルSだ。

シャープで隙のない外観デザインは、いかにも未来の電動カーといった表情。引き締まって見えるが、実際のボディサイズは全長:4970mm × 全幅:1964mm × 全高:1445mmと巨大だ。ハッチバックのスタイルでありながら荷室は広く、自転車のタイヤを外さずにそのまま積める容量を実現している。

17インチタッチスクリーンによる集中操作、特徴的なヨークステアリングといったインテリアは、後に登場したモデルXにも採用されたものだ。もちろん、オートパイロットなどの先進運転支援機能も他モデル同様に備わっている。

デビュー当初はシングルモーター・リア二輪駆動仕様のみだったが、2014年にフロントにもモーターを搭載するAWD仕様が追加された。パワーユニットはその後も改良され続け、現在はデュアルモーター仕様の「Model S」と、モーターをさらに1個追加したトライモーター仕様の「Model S Plaid」、いずれも4WDの2モデルとなっている。

加速性能はテスラの中でもトップで、0-100km加速をたった2.1秒(「Plaid」)で終える。

 テスラ モデルS ▲前席だけでなく後席にもタッチスクリーンが備わる、先進的なインテリア

中古車市場には約50台が流通しているが、こちらも2021年以降の新車デリバリーはほぼない様子で、2014~2020年までの年式となっている。

テスラとしては最も早い時期から日本導入されていた車種であり、デビュー当初の年式なら比較的安い価格帯から選択肢があるのがモデルSの魅力だ。

2014~2015年式なら、走行距離5万km前後で総額300万円台から狙える物件もある。

▼検索条件

テスラ モデルS(初代) × 全国
 

テスラを中古車で買う場合の注意点

いずれも魅力的なテスラ車だが、EVならではの確認しておきたい点はいくつかある。

そこで急速充電や保証など、テスラを中古車で購入するときに気になるポイントをまとめた。

 

国産車と同じような保証はある?

テスラの正規ディーラーで購入した新車については、下記の新車限定保証が適用される。国産車と比較しても充実した保証内容だ。もちろん、その車両を中古車として購入した場合にも保証が引き継がれる。

中古車を購入する際は、保証期間が残っているか必ず確認しよう。並行輸入車は対象外なので注意されたい。

・基本車両限定保証
車両本体について、4年または8万km(いずれか早い方)まで保証するもの。

・補助拘束装置限定保証
エアバッグなどの部品について、5年間または10万km(いずれか早い方)まで保証するもの。

・バッテリーおよびドライブユニット限定保証
駆動用バッテリーとドライブユニットについて、8年または16万~24万km(モデル、グレードごとに設定)のいずれか先に達するまで、70%のバッテリー容量を保証するもの

 

リセールバリューはどう?

高級車の価格帯となるテスラは、リセールバリューも気になるところだ。中古車市場での相場はいずれのモデルも、年式や走行距離に応じて順当に下がっていく傾向にある。その状況から推測する限り、下取り価格も悪くないと判断できそうだ。

ただ、今の中古車相場を見る限り逆にプレミアムな価値が付くことも少ない。一般的な輸入車並みと考えて良いだろう。

ちなみにテスラでは、自社サイト内での下取りサービスを実施している。

 

急速充電には対応している?

 テスラ スーパーチャージャー ▲スーパーチャージャーはテスラ車専用。急速充電の待ち時間も少ない

テスラ各モデルはいずれも急速充電に対応。日本国内に約70ヵ所(2023年4月時点)ある「スーパーチャージャー」と呼ばれるテスラ車専用の急速充電スポットでは、わずか15分間で最大275km分、満充電の80%相当分まで充電可能。また公共の急速充電ネットワークであるCHAdeMOも専用アダプターを介して利用可能で、30分で最大125km分まで充電できる。

 

テスラを中古で買った際の税金優遇は?

テスラはどのモデルも100%電気だけで駆動するピュアEVだ。EVにはエコカー減税やグリーン化特例といった減税もしくは免税措置が適用される。もちろん中古車にも適用される。

自動車重量税は初回の継続車検時(初度登録から3年後)も100%減税されるため、恩恵を受けられる中古車は少なくないだろう。税目ごとの減税内容は下記のとおり。

・エコカー減税:初回(初度登録時)、2回目まで自動車重量税が非課税
・グリーン化特例:初度登録翌年の自動車税がおおむね75%減税(2026年4月までに新車を初度登録した場合)

※記事内の情報は2023年5月4日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/テスラ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。