ノア▲兄弟車であるノアとヴォクシーには共通する部分も多いが、違いもけっこうある。とくにデザインの違いは現行型でより鮮明になった

現行型となる4代目ノア/ヴォクシーの違いは? 買うならどっち?

2Lクラスのミドルサイズミニバンとして、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンなどとともに多くの人から選ばれているトヨタ ノア/ヴォクシー。

室内が広く、便利に使えるので人気が高いモデルですが、同じような車が2モデル存在するので、どちらを選んだらいいかわからないという人もいるはず。

そこで今回は、ノアとヴォクシーの特徴や違い、共通点などを解説します。
 

 

4代目ノア/ヴォクシーの違いは? 共通点は?

ノアとヴォクシーは、ほとんどの部品を共通する“兄弟車”。当然プラットフォームも共通なので、スペックもほぼ同じです。

違いとなるのは主に外装とラインナップ。それに伴って、燃費性能や車両本体などにわずかな差があります。

詳細については後述しますが、その差はわずか。ノアとヴォクシーのどちらかを選ぶかは「デザインが自分好みを選択する」ことが基本筋となります。
 

ノア
ヴォクシー ▲4代目ノア(上)とヴォクシー(下)。その主な違いはデザインとラインナップ
 

トヨタ ノア/ヴォクシーってどんな車? 4代目の魅力も解説

まずはノアとヴォクシーのヒストリーを簡単に紹介します。

ノア/ヴォクシーの先祖に当たるタウンエースノアとライトエースノアはグリルが異なる程度でしたが、当時は複数の販売会社を展開していたこともあって、異なる販売会社で別車種として取り扱っていました。

その後ミニバンブームが訪れると、タウンエースノアはノア、ライトエースノアはヴォクシーへ進化。デザインを大きく変え、より幅広い人に訴求する戦略を取りました。プレーンなデザインのノアは落ち着いたファミリー層を狙い、押し出し感のあるヴォクシーは強い父親をイメージさせたのです。

新戦略は見事にヒット。ノア/ヴォクシーそれぞれにファンがつき、この方向性を2代目以降も踏襲していきます。
 

ノア
ヴォクシー ▲2001年11月に登場した初代ノア(上)とヴォクシー(下)。フロントフェイスのデザインを大きく変えることで差別化が図られている

そして2021年12月、現行型となる4代目ノアとヴォクシーが登場しました。ボディは全長4695mm×全幅1730mm×全高1895~1925mmというミドルサイズ。室内は長さ2805mm×幅1470mm×高さ1405mmと広々としています。

7人乗りでは2列目にキャプテンシートを採用。上級グレードには充電用USB端子の付いた折り畳み式大型サイドテーブルを標準装備し、オットマンとシートヒーターがオプションパッケージで用意されるなど、快適装備も充実しています。

見逃せないのは、走行性能の高さ。高剛性で低重心なTNGAプラットフォームによってハンドリングが良く、揺れも軽減されています。ハイブリッドシステムも優秀です。巧みなモーター制御によって、静かさと加速の滑らかを両立しています。

人と荷物を乗せて快適なロングドライブを楽しめるノア/ヴォクシー。4代目では、その魅力がさらに磨き上げられました。
 

ノア ▲4代目ノアとヴォクシーは2Lガソリンと1.8Lハイブリッドが用意され、燃費性能も向上
 

4代目ノア/ヴォクシーのグレード構成

4代目のノアとヴォクシーではラインナップが大きく異なります。ノアには標準モデルとエアロモデルの2タイプあるのに対し、ヴォクシーはエアロモデルのみです。

ノアの標準モデルはエントリーの「X」、中間の「G」、上級の「Z」の3タイプ。エアロモデルはスタンダードの「S-G」と上級の「S-Z」の2タイプです。7人乗りと8人乗りが用意されていますが、上級のZとS-Zは7人乗りのみの設定となります。

駆動方式はFFと4WDが用意されていますが、ハイブリッドの4WD(E-Four)は全グレードで7人乗りのみとなっています。

一方、ヴォクシーはエアロモデルのみで、スタンダードのS-Gと上級のS-Zというグレード構成。パワートレインと駆動方式、乗車定員の設定はノアのエアロモデルと同様です。
 

ヴォクシー ▲4代目ノアにはエアロモデル(左)と標準モデル(中)を設定。ヴォクシー(右)はすべてエアロモデルとなる
 

4代目ノア/ヴォクシーの内外装

4代目ノアとヴォクシーは、外装ではフロントフェイスおよびリアコンビネーションランプのデザインとボディカラーの設定、内装では仕立ての細部とカラーのパターンが違います。以下、その違いについて説明していきます。

4代目ノア/ヴォクシーの外装
ノアは精悍な印象を与えるデザインで、エアロモデルは大型のメッキグリルが印象的。標準モデルはボディと同色のグリルを採用し、若干マイルドな顔つきです。リアコンビネーションランプはブラック塗装の中に赤いLEDレンズが配置されています。
 

ノア ▲4代目ノアのフロントフェイス。「堂々・モダン・上質」と「王道・アグレッシブ」の2つのキーワードにデザインされた
ノア ▲4代目ノアのリア。赤のLEDレンズが配置されたリアコンビネーションランプを採用

対するヴォクシーは独創的なスタイルで、大型グリルに3分割のヘッドライトを装備。上部の薄いライトがシグネチャーとウインカー、中央がヘッドライト、グリルの中に隠れる下段ライトが薄暮灯(S-Zのみ)です。リアコンビネーションランプはクリアタイプが採用されています。
 

ノア ▲4代目ヴォクシーのフロントフェイス。「先鋭・独創」をキーワードにデザインされた
ヴォクシー ▲4代目ヴォクシーのリア。クリアタイプのリアコンビネーションランプを採用

ボディカラーはノアが7色、ヴォクシーが6色を設定。専用色がそれぞれ設定されており、具体的には下記のとおりです。
 

分類 ノア ヴォクシー
専用色 レッドマイカメタリック マッシブグレー
スティールブロンド
メタリック
共通色 メタルストリームメタリック
アティチュードブラックマイカ
オプション色 ホワイトパールクリスタルシャイン
スパークリングブラックパールクリスタルシャイン
グリッターブラックガラスフレーク
分類 ノア ヴォクシー
専用色 レッドマイカメタリック マッシブグレー
スティールブロンドメタリック
共通色 メタルストリームメタリック
アティチュードブラックマイカ
オプション色 ホワイトパールクリスタルシャイン
スパークリングブラックパールクリスタルシャイン
グリッターブラックガラスフレーク
ノア ▲4代目ノアには、鮮やかな「レッドマイカ」を設定。エアロモデルで選択できる
ノア ▲4代目ヴォクシーには、クールな印象の「マッシブグレー」を選ぶことができる

4代目ノア/ヴォクシーの内装
インパネデザインは基本的には共通。シートはノア/ヴォクシーともにGとS-Gなグレードで上級ファブリック、ZとS-Zで合成皮革+ファブリックを採用しています。

ただし、ヴォクシーのS-Zではインパネとシートに青ステッチが施されているのが特徴です。
 

ノア
ヴォクシー ▲4代目ノア(上)とヴォクシー(下)の内装。写真はどちらもS-Z

さらに、シートの柄も異なります。ヴォクシーのS-Zは表皮を織り込んだようなデザインで、エレガントさが演出されています。
 

ノア ▲こちらはノアのS-Zのシート
ヴォクシー ▲4代目ノア(上)とヴォクシー(下)のシート。写真はどちらもS-Z

ノアには内装色のバリエーションがあるのも違いのひとつです。ヴォクシーとノアのエアロモデルでは、天井色も内装色もブラック一択。しかし、ノアの標準モデルは天井色がライトグレーになり、ブラックだけでなくGではフロマージュ、Zではダークブラウを選ぶことができます。

そのため、幅広い選択肢から選びたい人にはノアがオススメです。
 

ノア ▲ノアではこのようにブラック以外のインテリアカラーも設定されている

なお、ヴォクシーには設定がないノアのエントリーグレードのシートは標準的なファブリックを採用。天井色はライトグレーで、内装色はダークグレーとなります。
 

ノア ▲ノアのエントリーグレード「X」はファブリックシートが採用されている
 

4代目ノア/ヴォクシーの燃費性能

4代目ノア/ヴォクシーにはそれぞれハイブリッドとガソリンモデルがラインナップされており、パワートレインは全く一緒。ノアのエアロモデルとヴォクシーは燃費性能も同一です。

■4代目ノアのエアロモデルとヴォクシーのWLTCモード燃費

グレード ユニット 駆動方式 燃費
S-G
S-Z
ガソリン 2WD 15
4WD 14.3
ハイブリッド 2WD 23
4WD 22
グレード ユニット 駆動方式 燃費
S-G
S-Z
ガソリン 2WD 15
4WD 14.3
ハイブリッド 2WD 23
4WD 22

※燃費性能の単位はkm/L。福祉車両は除く(以下同)

しかし、ノアにはエアロモデルよりも車両重量が軽い標準モデルが設定されているため、全体としてはわずかに燃費が良くなっています。少しでも燃費性能にこだわるなら、ノアの標準モデルがオススメと言えるでしょう。

■4代目ノアの標準モデルのWLTCモード燃費

グレード ユニット 駆動方式 燃費
X ガソリン 2WD 15.1
4WD 14.4
ハイブリッド 2WD 23.4
4WD 22
G ガソリン 2WD 15.1
4WD 14.3
ハイブリッド 2WD 23.2
4WD 22
Z ガソリン 2WD 15
4WD 14.3
ハイブリッド 2WD 23
4WD 22
グレード ユニット 駆動方式 燃費
X ガソリン 2WD 15.1
4WD 14.4
ハイブリッド 2WD 23.4
4WD 22
G ガソリン 2WD 15.1
4WD 14.3
ハイブリッド 2WD 23.2
4WD 22
Z ガソリン 2WD 15
4WD 14.3
ハイブリッド 2WD 23
4WD 22
 

4代目ノア/ヴォクシーの新車&中古車状況

ここでは4代目ノア/ヴォクシーの新車と中古車状況を分けて説明します。

4代目ノア/ヴォクシーの新車時価格
2025年3月12日現在、4代目ノアとヴォクシーの新車の車両本体価格(税込 ※福祉車両除く)は以下のとおり。

■4代目ノアの新車時価格表

グレード ユニット 定員 駆動方式 価格
X ガソリン 7名 2WD 267万円
4WD 286.8万円
8名 2WD 267万円
4WD 286.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 305万円
4WD 327万円
8名 2WD 305万円
G ガソリン 7名 2WD 297万円
4WD 316.8万円
8名 2WD 297万円
4WD 316.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 332万円
4WD 354万円
8名 2WD 332万円
Z ガソリン 7名 2WD 324万円
4WD 343.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 359万円
4WD 381万円
S-G ガソリン 7名 2WD 304万円
4WD 323.8万円
8名 2WD 304万円
4WD 323.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 339万円
4WD 361万円
8名 2WD 339万円
S-Z ガソリン 7名 2WD 332万円
4WD 351.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 367万円
4WD 389万円
グレード ユニット 定員 駆動方式 価格
X ガソリン 7名 2WD 267万円
4WD 286.8万円
8名 2WD 267万円
4WD 286.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 305万円
4WD 327万円
8名 2WD 305万円
G ガソリン 7名 2WD 297万円
4WD 316.8万円
8名 2WD 297万円
4WD 316.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 332万円
4WD 354万円
8名 2WD 332万円
Z ガソリン 7名 2WD 324万円
4WD 343.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 359万円
4WD 381万円
S-G ガソリン 7名 2WD 304万円
4WD 323.8万円
8名 2WD 304万円
4WD 323.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 339万円
4WD 361万円
8名 2WD 339万円
S-Z ガソリン 7名 2WD 332万円
4WD 351.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 367万円
4WD 389万円

■4代目ヴォクシーの新車時価格表

グレード ユニット 定員 駆動方式 価格
S-G ガソリン 7名 2WD 309万円
4WD 328.8万円
8名 2WD 309万円
4WD 328.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 344万円
4WD 366万円
8名 2WD 344万円
S-Z ガソリン 7名 2WD 339万円
4WD 358.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 374万円
4WD 396万円
グレード ユニット 定員 駆動方式 価格
S-G ガソリン 7名 2WD 309万円
4WD 328.8万円
8名 2WD 309万円
4WD 328.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 344万円
4WD 366万円
8名 2WD 344万円
S-Z ガソリン 7名 2WD 339万円
4WD 358.8万円
ハイブリッド 7名 2WD 374万円
4WD 396万円

装備内容は基本的に同一ですが、ノアのエアロモデルとヴォクシーを比較すると、ヴォクシーの方が5万~7万円ほど高くなっています。これは外装デザインの違いによるものでしょう。

そして、ノアの標準モデルはエアロモデルより37万円ほど安くなっているため、購入費用を抑えたい人にオススメです。

ただし、納期はどちらもトヨタの公式サイトでは「詳しくは販売店にお問い合わせください」となっている点に注意が必要です。
 

4代目ノア/ヴォクシーの中古車状況
ノアのカーセンサー掲載台数は約910台。平均車両価格は約386万円で、総額の価格帯は248万~599万円となっています。

ヴォクシーの掲載台数は約1750台。平均車両価格は約397万円で、総額の価格帯は283.6万~592万円と、ヴォクシーの方が中古車価格も高くなっています。新車時よりも価格差があるのは、ノアがリーズナブルな標準モデルを含んでいることが要因です。

パワートレイン別では、どちらもハイブリッド車が5割強を占めます。乗車定員別では7人乗りが大多数。ノアで8割以上で、ヴォクシーはほとんどが7人乗りです。グレード別に見ると、ノアはZおよびS-Zが7割弱、ヴォクシーはS-Zが8割強と、上級グレードが最多なのもうれしいところでしょう。

デビューから3年以上が経過しましたが、平均走行距離はどちらも約1万7000km前後とまだ少なめ。低走行車を狙いやすいのも特徴です。
 

▼検索条件

トヨタ ノア(4代目・現行型)×全国

▼検索条件

トヨタ ヴォクシー(4代目・現行型)×全国
 

4代目ノア/ヴォクシーはどっちが人気?

4代目ノアとヴォクシー、どちらが人気かも気になるところでしょう。そこで新車の登録販売台数と、中古車の注目度について解説します。

4代目ノア/ヴォクシーの新車登録台数
4代目ノアとヴォクシーが登場したのは2021年末のこと。その翌年から直近の2024年までの車名別新車ランキングと新車登録台数は次のとおりです。
 

4代目ノア 4代目ヴォクシー
2022年 8位(5万7696台) 9位(5万5545台)
2023年 7位(9万5181台) 8位(8万9080台)
2024年 11位(7万611台) 10位(7万636台)
4代目ノア 4代目ヴォクシー
2022年 8位
(5万7696台)
9位
(5万5545台)
2023年 7位
(9万5181台)
8位
(8万9080台)
2024年 11位
(7万611台)
10位
(7万636台)

※参考:日本自動車販売協会連合会「ブランド通称名別ランキング」

2022年と2023年はノアが上位だったものの、2024年ではヴォクシーが逆転。ただ、ここ3年間の新車登録台数ではノアの方が8200台ほど多くなっており、新車においてはノアの方が優勢です。

4代目ノア/ヴォクシーの中古車の注目度
中古車の注目度は、カーセンサー独自のデータを元に算出。ミニバンにおける直近1年間の4代目ノアおよびヴォクシーの順位は以下のとおりです。

4代目ノア:24位
4代目ヴォクシー:17位


このランキングは掲載台数の差などを考慮したうえで、カーセンサーユーザーの興味関心を数値化した総合的なもの。そのため、中古車においてはヴォクシーの方が流通数が豊富で狙いやすいだけでなく、実際に気にかけている人も多いと言えます。
 

 

選ぶならどっち? 4代目ノア/ヴォクシーをニーズ別にオススメ

ここまで説明してきたとおり、4代目ノア/ヴォクシーにはほとんど差がありません。ただ、次のようなニーズをお持ちなら、必然的にノアの標準ボディに選択肢が絞られます。

エアロモデルは派手すぎるから避けたい
・黒以外の内装色が欲しい
・少しでも購入費用を安く抑えたい
・できるだけ低燃費な方が良い

 

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トヨタ ノア(4代目・現行型)標準モデル ×全国

逆に言うと上記以外のニーズ、例えば「室内の広さを重視したい」「走りが良い方が好み」「安全装備の充実している方を優先したい」という人などは難しく考えず、デザインが自分好みの方を選べばOKです。

中古車での購入を検討しているなら、どちらか片方に絞らず、装備や程度などの条件がより適している物件を選ぶのもアリでしょう。
 

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トヨタ ノア(4代目・現行型)×全国

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トヨタ ヴォクシー(4代目・現行型)×全国

※記事内の情報は2025年3月12日時点のものです。
 

文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/トヨタ、尾形和美

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL

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