新型SUVのスバル クロストレックが出たけど、先代にあたるXVの相場はどうなってる?
2023/02/08
なる早で実力派SUVが欲しいなら「中古のXV」という選択はどうだ?
Cセグメントの国産クロスオーバーの中では、トップレベルと言ってもまったく過言ではない各種の実力を備えた「スバル XV」。そんなXVが2022年末に3代目へと進化し、車名もグローバル市場での呼称である「スバル クロストレック」に変わりました。
デザイン的にもハードウエアの面でも「キープコンセプト」と言えるフルモデルチェンジではありますが、ほぼすべての箇所が緻密にブラッシュアップされ、骨格もインナーフレーム構造のスバルグローバルプラットフォームに進化した新型クロストレック。
CセグSUVを探している人にとってはかなりの注目株であると言えます。
とはいえ――新型クロストレックは、発表はされたものの、まだ発売はされていません。
スバルは「2023年に発売」と言っていますが、まぁ例えば2023年の春に発売されたとして、実際に納車となるのは果たしていつになるのか……と考えると、やや気が遠くなります。
新型クロストレックのデリバリーを首を長くして待つのも一興ではありますが、もしも「なる早で実力派なCセグSUVが欲しい!」と考えているのであれば、ここはひとつ「先代XVの中古車」の購入を検討してみるべきでしょう。
クロスオーバーSUVとしての総合力は(当然ながら)新型クロストレックの方が上ですが、先代のスバル XVも「おおむね似たような実力」だとは言えます。そして何より、中古車は「ほぼ即納」であり、「コスパ高し」と言える物件も数多く流通しています。
ということで、新型スバル クロストレックのことが気になりつつも、あえて先代XVの中古車を狙うとしたら、何年式のどんなグレードをいくらぐらいの総額で探すべきなのか? 次章以降、細かく見てみることにしましょう。
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スバル XV(初代) × 全国モデル概要:舗装路も悪路も得意とするスタイリッシュなクロスオーバーSUV
まずはスバル XVのモデル概要と、グレード構成の変遷等をざっとつかんでおきましょう。
日本では2017年5月に発売されたXVは、5ドアハッチバックである現行型スバル インプレッサ スポーツをベースに作られたクロスオーバーSUVです。
基本骨格はインプレッサ スポーツ同様の「スバルグローバルプラットフォーム」で、ボディサイズは全長:4465mm × 全幅:1800mm × 全高:1550mmという、ちょうどいいあんばい。
そして最低地上高はインプレッサ スポーツより70mm高い200mmまでかさ上げされ、クロスオーバーSUVらしい黒い樹脂製のモール類が全体のデザインを引き締めています。
駆動レイアウトはスバル伝統の「シンメトリカルAWD」で、旋回性能を高めるアクティブ・トルク・ベクタリングと、悪路からの脱出を容易にする「Xモード」を全車に採用。そして「アイサイト」も全車標準装備ということで、XVは舗装路を痛快かつ安全に走れると同時に、本格SUV並みの悪路走破性能を得るに至っています。
デビュー当初は1.6Lまたは2Lの水平対向4気筒自然吸気エンジン+CVT+アイサイトver.3という組み合わせでしたが、その後いろいろと変わった部分もありますので、下記に変遷をまとめてみましょう。
【2017年5月~2018年9月】
・パワーユニットは1.6Lまたは2L自然吸気のみ
・アイサイト=ver.3
【2018年10月~2019年9月】
・1.6Lまたは2L自然吸気の他、2L+モーターの「e-BOXER」を追加
・アイサイト=ver.3
【2019年10月~2020年9月】
・マイナーチェンジ。ヘッドランプが新デザインに
・パワーユニットは2L e-BOXERと1.6L自然吸気に
・アイサイトは「アイサイト・ツーリングアシスト」に進化
【2020年10月~】
・大幅改良。フロントバンパーとグリル、アルミホイールが新デザインに
・改良型サスペンション採用
・パワーユニットは2L e-BOXERと1.6L自然吸気
・2L e-BOXER車にアダプティブ変速制御「e-アクティブシフトコントロール」採用
・アイサイトは「アイサイト・ツーリングアシスト」
この他、2021年12月にも「2.0e-S EysSight」と「アドバンス」にファブリックシート×フロントシートヒーターの組み合わせを標準装備にするなどの一部改良が行われましたが、XVの改良履歴はおおむね上記のとおりです。
それでは次章以降、いくつかの“軸”から考える「今オススメのスバル XV」を具体的に挙げてまいります。
中古車のオススメ①:「あくまで安く!」と思うなら前期型1.6Lまたは2L
なるべく手頃な予算で――具体的には「総額100万円台ぐらい」のイメージで、しかしまずまず好条件なXVを手に入れたい場合は、「自然吸気エンジン+アイサイトver.3」となる2017~2018年9月までのものをを総額170万~210万円付近のレンジで狙うのがオススメとなります。
走行距離5万km以内の、まずまず悪くないコンディションの修復歴なしの物件が見つかるはずです
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スバル XV(初代) × 2017年5月~2018年9月生産この場合は1.6Lエンジンが中心になりますが、比較的少なめではあるものの、2L自然吸気エンジン搭載物件も、同価格帯で見つけることはできます。
1.6Lと2Lのどちらが良いかといえば、パワフルなのはもちろん2Lです。しかしXVの場合、1.6Lでも実はけっこう十分であり、人によっては「軽快な1.6Lの方がむしろ好ましい」とも感じるでしょう。
そのため、ここでの正解は「排気量にはさほどこだわらず、とにかく“程度重視”の視点で選ぶ」というのが正解となります。
また同様に、車名に「L」と付くベーシックグレードにするか、それとも「S」と付くちょい上級スポーティグレードにするかも迷いどころですが、これも「どちらでもいい」というのが結論です。
「S」が付く方は、ホイール径が17インチではなく18インチになるため乗り味がタイトで、フットペダルもアルミパッド付きになってカッコいいのは確かです。また、「S」に標準装備のフロントパワーシートも便利であることは間違いありません
しかし、17インチのまろやかな乗り味もXVという車には合ってますし、足元のペダル表面のデザインやパワーシートも「まぁどっちでもいい」とも言えるはず。
そのため、「SかLか?」にこだわってもぜんぜんOKなのですが、逆に「こだわらなくたって構わない」とも言えます。
そのどちらが正解ということもないのですが、ただひとつ言えるのは「とにかく“程度最優先”で選んだ方がいいでしょう」ということです。
ちなみにアイサイトに関しては、この年式の「ver.3」より、2019年10月以降の「アイサイト・ツーリングアシスト」の方が何かと優秀なのは間違いありません。しかし、ver.3も――筆者も3年間使っていましたが――普通に十分ですので、支払総額の安さとのトレードオフとしては、かなり有利なトレード(取引)であるかと思います。
中古車のオススメ②:「充実機能!」が欲しいなら2020年式2L e-BOXER
前期型に搭載されたアイサイトver.3でも普通に十分であることは間違いありません。しかし、「アイサイト・ツーリングアシスト(以下、アイサイトTA)の方がより望ましい」というのも、また事実です。
アイサイトTA付きになったXVが欲しいという場合は2019年11月以降の中古車を探すことになります。
その場合の予算目安は「総額240万~280万円」といったところ。このあたりのレンジで、十分に好条件な“後期顔”が探せるでしょう。
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スバル XV(初代) × 2019年11月以降生産そしてこの場合のパワーユニットは「2Lエンジンにモーターが付いたe-BOXERか、それともシンプルな1.6L自然吸気か?」で悩むことになります。
どちらでもOKといえばOKなのですが、総額200万円台というまずまずの“大金”を投じるのであれば、やはりそれなりの付加価値があるものを手に入れた方が、人間の心というのは満たされやすいもの。そのため、ここでのオススメは間違いなく「e-BOXER」です。
2L自然吸気の水平対向エンジンにモーターを組み合わせたこのハイブリッドシステムは、燃費性能にはさほど貢献しませんが(残念ながら「ちょっと良くなる」程度です)、走行時の「力強さ」には間違いなく貢献してくれます。
総額240万~280万円あたりの予算で2020年式スバル XVを探す場合、候補となるグレードは低い方から順番に「2.0e-Lアイサイト」「2.0e-Sアイサイト」「アドバンス」の3種類になります。
装備内容としては「LよりもSが充実していて、アドバンスはさらに充実している」ということは間違いありませんので、ベストは「コンディションの良いSまたはアドバンスを探す」ということになります。
とはいえ、前章で申し上げたとおり「Lでも致命的な不足は特にない」ということは言えます。そのため、より正確には「2.0e-Sアイサイトまたはアドバンスを第一候補としつつも、2.0e-Lアイサイトも除外せずに“程度優先”で幅広く探してみる」というのが、この価格帯における圧倒的な正解です。
中古車のオススメその③:「ほぼ新車!」が欲しいなら2021年式以降の2L e-BOXER
2020年9月までのe-BOXERモデルでも素晴らしく十分な選択肢ではありますが、中には「2020年10月以降の最終型で、なおかつ走行距離が数千kmレベルの“新車みたいな中古車”が欲しい!」と考える方もいらっしゃるでしょう。
その場合は2020年10月以降に生産されたの2L e-BOXERグレードを、総額270万~320万円付近のレンジで探すことになります。
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スバル XV(初代) × 2020年10月以降生産ここまでの予算を投じるとなると、おおむね同額ぐらいで買えそうな「新型クロストレックの新車」を待ってみたい気持ちも生まれてしまいますが、“ほぼ即納”という大きな価値はありますので、このセグメントを狙ってみるのも悪くはないでしょう。
細かな年次改良を重ねるスバルですので、最終型はさすがに熟成されていますし、スポーティに走りたいシーンでは、2020年10月から採用された「e-アクティブシフトコントロール」が威力を発揮するはずです。
以上のとおり、特に総額100万円台の前期型中古車と総額200万円台半ばの後期型中古車は、そのコンディションがもしも良好であるならば、納車がいつになるかまったくわからない新型クロストレックにも負けない価値を秘めている、かなりナイスなCセグメントのクロスオーバーSUVであると言えます。
スバルが言うところの“安心と愉しさ”を「今すぐ手にれたい!」と考える方は、先代スバル XVの中古車に今一度注目してみてください。
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スバル XV(初代) × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。