テンロク国産車は今や絶滅危惧種! 1600ccエンジン搭載7車種、いくらで買える?流通量は?
カテゴリー: 特選車
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2023/01/22
1600ccエンジン「テンロク」搭載の国産車を紹介!
「テンロク」と聞いて心躍る人、いますよね? 筆者のようなアラフォー世代であれば、テンロクのホットモデルに憧れたり、実際に所有して走っていたりする人も少なくないハズ。
テンロクとは、総排気量が1.6Lのエンジンのことを指しており、往年のコンパクトクラスのホットなモデルはほぼ必ずと言っていいほど、このアツいエンジンを搭載していました。
テンロク全盛期の80~90年代では、グループAやN1耐久、全日本ラリーなどのモータースポーツのクラス分けが1.6L以下となっていることが多く、高性能モデルはこのレギュレーションに沿ってテンロクエンジンを搭載。つまり、レースに勝つために生まれた排気量とも言えるのです。
ただ、1.5Lを超えると自動車税の区分が上がってしまうため、現在ではコンパクトクラスの車両の排気量は1.5Lが主流に。テンロク国産車は今や絶滅危惧種となりつつあります。
そこで今回は、往年のテンロクの名機を搭載し、比較的流通台数のある車種たちをピックアップ。現在の中古車の状況と合わせてモデル概要もチェックしていきましょう!
トヨタ カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86)
テンロクエンジンの代表格のひとつである4A-G型エンジンを搭載したモデルといえば、やはりAE86のレビン&トレノを外すわけにはいかないでしょう。
それまでもホットモデルにテンロクエンジンを搭載してきたレビン&トレノですが、AE86型ではそれまでの2T-G型エンジンから新開発の4A-G型へスイッチ。1気筒当たり4バルブとなる16バルブ化がなされたこのエンジンは、ノーマルでも7000回転以上を許容する高回転型エンジンとして瞬く間に人気を獲得したのでした。
そして、絶版後は言わずと知れた頭文字Dの主人公の愛車として再び脚光を浴び、現在ではその人気とクラシックカー的な価値も合わさって、価格は安いものでも200万円弱、高いものでは700万円という驚愕のプライスとなっています。
一方、流通量は74台と年式から考えれば豊富となりますが、古いスポーツモデルということもあって状態はまちまち。できれば専門店などで相談しながら選びたいところです。
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トヨタ スプリンタートレノ/カローラレビン(AE86)×全国トヨタ MR2(初代)
AE86の1年後に登場した初代MR2も、AE86と同じく4A-G型エンジンを搭載したモデル。ただAE86と大きく異なるのが、エンジンをミッドシップに搭載したMRレイアウト車だったということです。
実のところはFFレイアウトとなったカローラのコンポーネンツを前後逆に使って生み出されたMR車であるMR2ですが、そのハンドリングはMR車らしい痛快なもので、AE86にはない魅力の詰まった1台でした。
また、1986年8月には新たにスーパーチャージャーを搭載した4A-GZ型エンジンを搭載したモデルが追加されたこともトピックと言えるでしょう。
そんなMR2もクラシックカーの領域に入っているため、掲載台数は26台と少なめ。価格も160万~300万円と、AE86ほどではないにしろ、プレミア価格化が進んでいます。
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トヨタ MR2(初代)×全国ホンダ CR-X(2代目)
シビック系のシャシーを流用しながらも、短縮されたホイールベースや切り落とされたかのようなリアエンドなど、よりスポーティな性格をもっていたのがCR-Xでした。
1987年に登場した2代目モデルには、初代の後半に追加されたS800以来のDOHCエンジンとなる1.6LのZC型を搭載したSiというホットモデルが継続設定されていましたが、1989年9月に実施されたマイナーチェンジのタイミングでリッター100馬力を達成した1.6L VTECエンジンのB16A型を搭載したSiRが追加され、その人気を不動のものとしたのです。
そんな2代目CR-Xは、モータースポーツの世界でも人気のモデルとなっており、状態の良い車両は非常に少ないというのが現状。現在の掲載台数もわずか20台で、価格も190万~300万円と高値安定。走行距離などよりも、現状の状態が優先されているようです。
また当時、サンルーフの他にガラスルーフをもった「グラストップ」仕様が設定されており、若いユーザーを中心に人気を集めていたこともあってグラストップ仕様が流通台数の多くを占めていますが、グラストップ仕様は雨漏りの持病があるため購入時は注意が必要です。
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ホンダ CR-X(2代目)×全国ホンダ シビック(EG型)
ホンダのホットハッチとして、その存在を知らない人はいないと言っても過言ではないほどの知名度を誇るシビック。5代目となったEG型は、先代のマイナーチェンジのタイミングで設定された1.6LのB16A型VTECエンジンにさらに磨きをかけ、+10psの170ps(MT車)を発生。
足回りもサスペンションストロークを多めにとった四輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用し、路面追従性が大幅にアップ。その結果、乗り心地はもちろん高い運動性能も併せもつモデルとして高い人気を誇りました。
なお、通常のカタログモデルとしてのテンロクシビックはこのB16A型エンジンを搭載したSiRのみでしたが、1992年にシビック20周年記念車として1.6LのZC型エンジンを搭載した「Si」が限定発売されています。
そんなEG型シビックも、底値の時代に当時の若者に手荒く扱われていたこともあってか、現在の掲載台数はCR-Xと同じくわずか20台。価格は新車時の価格を上回る200万~400万円と、完全にコレクターズカーとなってしまいました。
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ホンダ シビック(EG型)×全国ホンダ シビックタイプR(EK9型)
ホンダのスポーツマインドの象徴として、限られた車種にのみ設定された「タイプR」。気づけばシビックのみに残るグレードとなってしまいましたが、その初代モデルとなるのが、6代目シビックをベースとしたEK9型でした。
心臓部に搭載されるのは、テンロクエンジンとしてはすでに高い評価を集めていたB16A型をベースにさらに手を加えられたB16B型エンジンで、テンロクながら185psという高出力と9000回転という驚異のレブリミットをもつもの。
もちろん足回りはそれに見合った締め上げられたものが与えられ、ボディも剛性アップと軽量化がなされており、工場出荷状態でもサーキット走行が可能と言えるほどの仕上がりとなっていたのでした。
新車時は200万円を切る価格ということで、比較的買いやすいホットハッチとして人気を集めたシビックタイプRだけに、流通台数は62台と比較的多めですが、すでに価格帯は230万~470万円と超プレミア化してしまっています。
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ホンダ シビックタイプR(EK9型)×全国マツダ ロードスター(初代)
日本が世界に誇るライトウェイトオープン2シーターとして、多くのフォロワーをも生み出した初代ロードスター。リトラクタブルヘッドライトを備えたそのルックスは今でも古くささを感じることは一切ありません。
そんな初代ロードスター、1993年のマイナーチェンジでエンジンが1.8Lへと排気量が拡大され、テンロクモデルは消滅してしまっていますが、適度なユルさをもつボディとマイルドな出力をもつオリジナルのテンロクモデルに魅力を感じるユーザーは少なくなく、再評価される向きもあるようです。
とはいえ、すでにクラシックカーの領域に足を踏み入れている年式のモデルだけに、それなりの覚悟は必要。メーカーがレストアプロジェクトを始めたことで部品の供給は安定していますが、価格帯は100万~360万円と気軽に購入しづらい価格となりつつあるのも事実でしょう。
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マツダ ロードスター(初代)×全国マツダ ロードスター(2代目)
初代のもつ軽快かつ一体感のある走り味はそのままに、各部をブラッシュアップした正常進化版として登場した2代目ロードスター。ホットさだけを見れば1.8Lエンジンを搭載し6速MTと組み合わされる(4速ATも設定)NB8C型に注目が集まりますが、テンロクエンジンを搭載したNB6C型も楽しさという面では負けていません。
もともとファミリアに搭載されていた実用エンジンであるB6型ではありますが、その丈夫さには定評があり、チューニングすればしっかり応えてくれる点も魅力。
そして、何より当時開催されていたワンメイクレースでは、テンロクエンジンを搭載したNR-Aというグレードが参戦車両となっていたことからも、十分楽しめる1台と言えるのです。
価格も以前よりは上がったとはいえ、60万~150万円と比較的リーズナブルで、台数も59台と多めなので、テンロクFR入門車としては最適な1台かもしれません。
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マツダ ロードスター(2代目)×全国ここまでご紹介した往年のテンロクモデルは、テンロク全盛期の80~90年代のモデルが中心。確かに魅力的ではあるものの、価格も上昇の一途をたどっており、逆に部品は入手困難なものが増えている時代のものでなかなか気軽に手を出せるものではなくなりつつあります。
そこでここからは、番外編として比較的高年式かつ手頃な価格で狙うことができるモデルをご紹介いたしましょう。
番外編①:日産 ノートNISMO S(2代目)
今ではマーチに代わって日産のコンパクトカーの代表車種となったノート。実は初代モデルにも途中で1.6Lエンジンと5速MTを組み合わせたグレードがシレっと追加されていたのですが、テンロクのホットモデルというならやはり2代目モデルに設定された「NISMO S」でしょう。
2代目ノートの通常モデルにはMTの設定は存在しませんでしたが、2014年10月に追加されたNISMO Sには専用チューンが施されたHR16DE型エンジンと5速MTが搭載されていたのです。
ちなみに、このHR16DE型エンジンは北米向けのノートには通常設定されていたエンジンですが、北米仕様が111psのところ、NISMO Sは140psとなっており、専用チューンの効果をうかがい知ることができます。
もちろんエンジンやミッションだけでなく、足回りやボディ補強、専用のエアロダイナミクスを考慮したエアロパーツに加え、リアブレーキもドラムからディスクに変更されるなど、本格的な走りを意識したモデルとなっていました。
そこまで手が加えられたノートNISMO Sですが、現在117台の掲載があり、価格も80万~290万円と手頃な価格で狙うことができるものも少なくありません。ただ、新型のノートはe-POWER専用車となったことでNISMOシリーズにもMT車が存在しないため、今後値上がりも予想されています。
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日産 ノートNISMO S(2代目)×全国番外編②:スズキ スイフトスポーツ(2代目)
高年式で手頃な価格のホットモデルとして若いユーザーからの支持も集めているスイフトスポーツ。初代は1.5Lエンジンでしたが、2代目モデルは当時のジュニアWRC参戦車と同じ1.6Lエンジンへと進化。
エンジン内部には鍛造ピストンが奢られ、圧縮比も高められているほか、2本出しの大容量マフラーの装着を実現するためにフロア後部をベース車とは異なる専用設計にするというこだわりぶりが炸裂した1台となっていました。
また、ホイールハブもより高剛性な5穴化がなされ、リアブレーキもディスク化。さらに専用エアロパーツを装着するなど、前述のノートNISMO Sに近しいチューニングがなされていたのです。
そんな内容を考えると非常にスペシャルな2代目スイフトスポーツも、中古車となると価格は30万~120万円と非常にリーズナブル。掲載台数も147台と豊富なため、好みの1台が見つけやすいハズです。
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スズキ スイフトスポーツ(2代目)×全国番外編③:スズキ スイフトスポーツ(3代目)
高い評価を集めた2代目スイフトスポーツの正常進化版として2011年にリリースされた3代目モデルは、搭載エンジンこそ先代と同じ1.6LのM16A型ですが、あらたに可変吸気システムの採用やバルブリフト量の増加、冷却システムの改良などを行って高効率化を進めたことで、先代よりも環境性能を高めつつ+11psの136psを実現していました。
また、マニュアルトランスミッションは先代の5速から多段化された6速となり(2ペダルモデルは4速ATから7速MTモード付きCVTに変更)、ボディの高剛性化を果たしながらも10kgの軽量化を実現するなど、すべての面においてレベルアップが果たされていたのです。
そんな3代目スイフトスポーツは、2016年まで販売がされていた高年式車であることもあって、掲載台数は圧倒的に多い280台を誇り、価格は60万~160万円とバーゲンプライス。チューニングアイテムや手法も確立されているので、スポーツ走行を楽しみたい人にうってつけの1台でしょう。
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スズキ スイフトスポーツ(3代目)×全国今回は往年の名車から2000年代以降に登場したモデルまで、様々なテンロクモデルをご紹介しました。今回紹介したモデル以外にも、4G92型MIVECエンジンを搭載したミラージュや、SR16VE型エンジンを搭載しシビックタイプRを超える200psを絞り出したパルサーVZ-R N1、最近のモデルではGRヤリスやレヴォーグ、ジュークなどがテンロクターボエンジンを搭載しています。
自動車税的には若干不利にはなってしまいますが、1.5Lモデルに対して+100ccの余裕が見せる走りの良さは何物にも代えがたいものがあるので、“テンロク”の響きにゾクゾクしてしまう人は、ぜひ新旧テンロクモデルをチェックしてみてはいかがでしょうか。
※記事内の情報は2023年1月20日時点のものです。
自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。