【マセラティ最安モデル】現行車種で中古車価格が一番安い「ギブリ」とは? 実際いくらで狙える?
2023/01/15
中古車平均価格はBMW 3シリーズの新車価格と同程度のギブリ
フェラーリとはまた違ったニュアンスで、イタリア車ならではのスポーツ性とラグジュアリー性を体現しているブランド、マセラティ。
そのセクシーなたたずまいと、獰猛なれど上質な動的性能を見て「……欲しい!」と強烈に思うわけですが、マセラティの現行モデルは残念ながら(?)お安い車ではありません。
同社の代表的なラグジュアリーサルーンである「クアトロポルテ」を新車で買うとなると、一番お安いクアトロポルテGTというグレードでも新車本体価格は1515万円。中古車の平均価格も860万円を超えています(※2023年1月上旬現在)。
そしてSUVの「レバンテ」も中古車平均価格は930万円以上ですので、現行型世代のマセラティというのは「中古車であってもそう安々と買える車ではない」と定義づけすることができるでしょう。
しかし、そんな現行型マセラティの中でも唯一「まあまあ現実的」と言えるのが、クアトロポルテの弟分となるEセグメントのラグジュアリースポーツセダン「ギブリ」です。
2023年1月上旬現在、現行型マセラティ ギブリの中古車平均価格は686.5万円。もちろん、これとて決してお安いプライスではないのですが、686.5万円というのはBMW 320d xDriveの新車価格(678万円)とおおむね同額ですので、「決してイケなくはない」といったニュアンスの価格ではないかと推測します。
……ということで、「意外と買えなくはない金額の現行型マセラティ」であるギブリについて、そのモデル概要や中古車事情を探ってみることにいたしましょう。
▼検索条件
マセラティ ギブリ(現行型) × 全国3L V6ツインターボエンジンを基本とするスポーツセダン
まずはマセラティ ギブリの概要についてざっとおさらいしましょう。
マセラティ ギブリは、もともとはジョルジェット・ジウジアーロがデザインを担当して1966年に発売されたスポーティな2ドアクーペ。
1992年に登場した2代目も同じく2ドアクーペでしたが、2代目の終売から16年の時を経て2013年11月に復活した3代目(現行型)ギブリは、マセラティのフラッグシップであるクアトロポルテよりも全長が少々短い、そしてクアトロポルテよりも一段とスポーティな4ドアセダンに生まれ変わりました。
ボディサイズは全長4970mm×全幅1945mm×全高1485mm。メルセデス・ベンツ Eクラスなどと同じ「Eセグメント」と呼ばれるサイズ感の1台です。
エンジンは2種類の3L V6ガソリンツインターボと3L V6のディーゼルターボが用意されましたが、当初の日本市場に導入されたのはガソリンエンジンのみ。
上級グレードである「ギブリS」と4WDの「ギブリS Q4」には最高出力410psの、ベースグレードである「ギブリ」には同330psの3L V6ツインターボを搭載。トランスミッションはいずれも8速ATです。
そして当初の新車価格は以下のとおりでした。
●ベースグレード:834万円
●ギブリS:940万円
●ギブリS Q4:1010万円
2015年9月には仕様と装備を若干改めるとともに排ガス規制「EURO6」に対応する新エンジンに変更し(※馬力は変わらず)、翌2016年3月には最高出力は275ps/最大トルク(オーバーブースト時)600N・mの3L V6ディーゼルターボエンジンを搭載する「ギブリ ディーゼル」を追加。
2017年11月発売の2018年モデルでは前後のフェイスリフトを行うとともに、アダプティブクルーズコントロール(ACC)やレーンデパーチャーワーニング、360度サラウンドビューカメラ、アクティブブラインドスポットアシスト等々を採用。そしてこのタイミングで、「グランルッソ」および「グランスポーツ」という2種のトリム・オプションを全グレードに設定。グランルッソはラグジュアリー寄りの仕様で、グランスポーツはスポーティ寄りとなっています。
その後もイヤーモデルごとに微妙な進化を重ねながら、2021年6月には、2L直4ターボ+スーパチャージャーに48Vマイルドハイブリッド機構を組み合わせた「ギブリ ハイブリッド」と、最高出力590psの3.8L V8ガソリンツインターボエンジンを搭載する「ギブリ トロフェオ」を追加した――というのが、現行型マセラティ ギブリの大まかなヒストリーです。
総額400万~600万円付近の前期型をグレード不問で探すべし
それでは現行型マセラティ ギブリの直近の中古車事情について、具体的に見てまいりましょう。
2023年1月上旬現在、その中古車流通量は約250台とまずまず豊富。平均価格は前述したとおり686.5万円ですが、約250台の現行型ギブリは総額310万~1900万円のレンジに遍在しています。
とはいえ、「総額310万~1900万円」と言われても上下に幅広すぎて今ひとつピンとこないため、もう少し状況を細分化してみましょう。
まず年式別の流通量と支払総額は下記のとおりとなっています。
●2013年式|4台|390万~460万円
●2014年式|37台|330万~580万円
●2015年式|29台|330万~500万円
●2016年式|22台|380万~590万円
●2017年式|17台|400万~500万円
●2018年式|27台|480万~800万円
●2019年式|20台|650万~970万円
●2020年式|22台|720万~920万円
●2021年式|40台|840万~1900万円
●2022年式|39台|950万~1400万円
フェイスリフトと仕様&装備の変更が行われた2018年式から相場がグッと上がっているようですので、「意外とお安い予算で現行型ギブリを狙う」というコンセプトで行くのであれば、狙うべきは「2014~2017年式」ということになるでしょう。
それでは2014~2017年式マセラティ ギブリの、走行距離5万km以下の物件に限定した場合の「グレード別の流通量と支払総額」を見てみます。
●ベースグレード|22台|360万~500万円
●ギブリS|30台|360万~580万円
●ギブリS Q4|10台|390万~460万円
●ギブリ ディーゼル|2台|420万~450万円
最大600N・mの極太トルクを発生する「ギブリ ディーゼル」はかなり魅力的ですが、中古車の流通量はきわめて少ない模様。となると、狙うべきは必然的に3L V6ガソリンツインターボエンジンを搭載する以下の3グレードになります。
●最高出力330psのベースグレード
●同410psのギブリS
●同じく410psだが4WDのギブリS Q4
とはいえ、4WDのS Q4は流通量が少なめで若干探しにくいため、実質的には「330psのベースグレードか、それとも410psのギブリSか?」の2択になるはずです。
で、筆者としての結論は「どちらでもOKでしょう」という、やや無責任にも聞こえるものになります。とはいえ、これはただテキトーに無責任なことを言っているわけではなく、いちおうそれなりの理由があります。その理由とは、以下のとおりです。
●ベースグレードとギブリSの中古車とでは「グレード差に基づく価格差」は顕著ではない(要は、価格はコンディションとオプション装備次第であるということ)
●最高出力330psのベースグレードでも動力性能は十分以上(本当に十分速い!)
●ベースグレードとギブリSとではデザインや仕様の違いがほとんどない(ざっくり言うと違うのはエンジンだけ)
……ということですので、総額400万~600万円あたりの予算を念頭に置いたうえで、グレードにはさほどこだわらずに低走行車を中心に市場を見渡し、コンディションと装備、そしてボディカラー等々が自分が探しているマセラティに近いものが見つかったならば、それを買う――というのが、現行型マセラティ ギブリを現実的な予算にて探す場合の王道となるでしょう。
いわゆる車格的にも価格的にもメルセデス・ベンツ EクラスやBMW 5シリーズなどと近いものがある現行型ギブリですが、エンジンのパンチ力とフィーリング、そして内外装デザインの“エモさ”に関しては、正直申し上げてドイツ勢の追随をまったく許しません。
そのため、ある種の人によっては間違いなく素晴らしい選択肢になるかと思われますので、ぜひこの機会に「総額400万~600万円ぐらいの現行前期型マセラティ ギブリ」にご注目いただけましたら幸いです。
▼検索条件
マセラティ ギブリ(現行型) × 全国自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。