マーチ ニスモS ▲エンジンや足回りなどなどにニスモチューンが施された走りの楽しいホットハッチ「マーチ ニスモ S」が今回の主役です!

4代目マーチに設定されたホットモデルの「ニスモ S」

日産 マーチといえば、1982年に初代が登場して以来、日産のボトムラインを担い続けたコンパクトカー。残念ながら2022年の夏でいったん日本向けの車両の生産は終了してしまいましたが、その価値は今でも色あせることはありません。

そんなベーシックカーのマーチですが、実はもうひとつの顔ももっているのです。それが“ホットハッチ”というキャラクター。初代モデルからモータースポーツの入門車としてワンメイクレースなども開催されており、手頃な価格で購入できる入門車というキャラクターも持ち合わせてきたのです。

もちろんそれは4代目となるマーチにも受け継がれていて、最もホットなモデルはオーテックジャパン(現・日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社オーテック事業部)が手掛けた「ニスモ S」です!

ニスモがきっちり手をかけたホットハッチで、総額100万円程度で狙えるうれしいプライスなんです! それではモデル概要を振り返りつつどんな個体が狙えるのか見ていきましょう。
 

マーチ ニスモS

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日産 マーチ ニスモ S(4代目)×全国
 

モデル概要:メーカー謹製のチューニングが施された“K13改”の型式をもつマーチ

マーチ ニスモ Sには、一目見てもわかるようにベース車とは明らかに異なるデザインのエアロパーツが備わっていますが、これは実際のレースフィールドからのフィードバックによって生まれたもので、見た目だけではなく、実際にゼロリフトを実現する本格的なものなのです。
 

マーチ ニスモS

また、当然ながらサスペンションも専用チューニングのものが奢られている他、タイヤは16インチの205幅にアップされ、パワーステアリングやブレーキ、さらにはボディにもステーやバーを追加して剛性を大きく向上。

内装にはホールド性の高いスポーツシートや本革とアルカンターラのコンビステアリング、アルミペダルに220km/hスケールの専用メーターなど至る所に手が入っています。
 

マーチ ニスモS

そして、何より搭載されているパワートレインが、ベースの3気筒1.2Lエンジン+CVTから、直列4気筒1.5Lエンジンと5速MTへと換装されていることが最も大きな特徴となっています。

もちろんエンジンも1.5Lのものをそのまま載せたというワケではなく、専用のカムプロフィールや圧縮比、エグゾーストシステムにECMの電子制御までもファインチューニングがなされており、ローギアードな5速MTと相まってワインディングで痛快な走りを楽しむことができる仕上がりとなっている点も見逃せません。
 

マーチ ニスモS ▲搭載されるエンジンは116psの出力に156N・mのトルクを発揮する
マーチ ニスモS ▲専用のレッドステッチが施されたシフトまわり

ちなみに、エンジンとミッションが換装されているため、車検証上の型式には「K13改」と記載される点もマニア心をくすぐるポイントと言えるのではないでしょうか。

そして何よりホットなMT車が軒並み高騰している現在にあって、高年式なモデルが比較的安価で購入できるという点も魅力的。純正状態で走りのモデルとして完成している点もコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。

では、そんな魅力的なマーチ ニスモ S、果たしてどのくらいの予算でどんな物件が狙えるのでしょうか?
 

 

相場解説1:総額100万円前後で中にはワンオーナーの個体も狙える!

執筆時点でのマーチ ニスモ Sの掲載台数は89台、価格帯は44.9万~245万円(車両本体価格)と幅広くなっています。

そんな中、総額100万円前後で狙うことができる物件は、走行距離が5万~7万km台が中心となっており、中にはワンオーナーの物件も存在していました。

年式はデビュー直後の2013~2016年式が中心となりますが、ニスモ Sはモデルライフを通じて大きなマイナーチェンジもなされていなかったため、性能差や装備差が発生することもありません。

すでに純正状態で完成度の高いマーチ ニスモ Sということもあってか、フルノーマル状態をキープしている物件も多く、そもそもこういった車を新車購入するのは車好きが多いでしょうから、メンテナンスはしっかりなされているものが多い印象です。
 

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日産 マーチ ニスモ S(4代目)×総額100万円以上120万円未満×全国
 

相場解説2:もう少し低走行、高年式を狙うなら総額130万円は見ておきたい

もう少し低走行の物件がいい、と考えているのであれば、予算を総額130万円ほどまでアップさせることで、走行距離4万km台以下の物件も射程圏内となります。

ただし、この金額で狙える低走行車はやはり初期型に近い物件が中心となるため、低走行かつ高年式という条件になると総額150万円ほどの予算で2018~2020年式あたりの4万km台以下の物件を狙えるようになるでしょう。

ちなみに、予算を180万円台までアップさせることができれば、走行距離1万km台という低走行車も狙うことができるようになります。

すでに生産が終了してしまったモデルということもあり、今後は価格が上がっていく可能性も少なからずあるので、今のうちに状態の良いものをキープしておくというのもひとつの選択肢と言えるでしょう。
 

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日産 マーチ ニスモ S(4代目)×総額120万円以上190万円未満×全国
 

相場解説3:総額100万円以下だと多走行車両も多く見極めが重要

手頃物件では総額50万円台から存在しているマーチ ニスモ S。ではこのあたりの安価な物件はどんなものが中心なのかというと、やはり走行距離10万kmオーバーの多走行気味のものや、修復歴アリのものが中心となります。

ただ、これらの物件がオススメしにくいかというと、必ずしもそうとは限らず、例えばサーキット走行用の車両を探しているという人であれば、修復歴がある物件でもしっかり直されていればアリと言えますし、多走行車でも定期的なメンテナンスが継続してなされているのであれば安心感も比較的高いと言えます。

マーチ ニスモ Sに搭載されているエンジンはタイミングチェーンを採用しているため、タイミングベルトよりは安心といわれていますが、オイル管理が悪かったり、高回転域を多用したり、酷使されるとチェーンが伸びることもあるので、やはり重視すべきは過去のメンテナンス状況ということになるでしょう。
 

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日産 マーチ ニスモ S(4代目)×総額100万円以下×全国

いずれにしても現在の日産車のラインナップには、すでにMTで走りを楽しめるコンパクトカーは存在せず(そもそも乗用車でMTがあるのはフェアレディZだけ!)電動化が進むにつれてMT車は減少していくのは間違いありませんから、マーチ ニスモ Sは手の届く価格で買えるうちに買っておきたい1台と言えるでしょう。
 

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日産 マーチ ニスモ S(4代目)×全国
文/小鮒康一 写真/日産
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。