X4 ▲プレミアムクーペ的なワイド&ローのフォルムがひたすらカッコいいと思える現行型BMW X4。とはいえ新車価格はやっぱりめちゃめちゃ高いわけですが、「現行型の中古車」であれば意外と現実的なプライスになっています!

走行距離2万~3万km台の物件でも総額550万円からイケる

近年の輸入SUVでは、背が高めの「SUVらしいSUV」も依然として人気ですが、それと同時に、低めのルーフラインを伴った「クーペライクなSUV」もかなりの人気を集めています。

そしてクーペライクなプレミアム輸入SUVといえばBMW X4がその筆頭格に挙がり、そのなんともクールなたたずまいから「……欲しい!」と思うわけですが、あいにく現行型のBMW X4はけっこう高額です。

具体的には売れ筋の「xドライブ30i Mスポーツ」というグレードの場合、車両本体だけで873万円。……なかなか簡単に手が出せる金額ではありません。

しかし、同じ現行型BMW X4でも「前期型の中古車」であれば、走行距離2万~3万km台の物件を総額550万円前後から見つけることができ、後期型でも、「ほとんど新車みたいなもの」と言える中古車を総額700万円台後半から検討可能なのです。

で、もしも新車ではなく“中古”の現行型BMW X4でいくとしたら、何年式のどのグレードで、なおかついくらぐらいの物件が狙い目になるなのでしょうか? 次章以降、もろもろ検討してみることにしましょう。
 

X4▲SUVというよりも「背が高い4ドアクーペ」と呼びたくなる現行型BMW X4。その現在の中古車市場がどうなっているか、探ってみよう

▼検索条件

BMW X4(現行型) × 全国
 

ボディサイズ・見た目:SUVとしてはきわめてワイド&ロー

初代は2014年途中に上陸したBMW X4ですが、それから約4年後の2018年9月、輸入車としては異例に短いサイクルで現行型へのフルモデルチェンジが行われました。

現行型X4のボディサイズは、前期型xドライブ30iの場合で全長4760mm × 全幅1920mm × 全高1620mm。国産車でこれに類似するディメンションの車はほとんどないのですが、強いていうなら「長さは現行型トヨタ ハリアーとおおむね同じで、車幅はレクサス RX同じ。しかし、高さはハリアーより4cm低い」ということになります。要するに全長は普通ぐらいなのですが、その長さのSUVとしてはきわめてワイド&ローなわけです。
 

X4▲全長は現行型ハリアーとおおむね同寸だが、全高はハリアーより40mmも低い
X4▲そして全幅は現行型レクサス RXと同じ1920mm。キドニーグリルもやや大きめで、車両全体としてとにかく存在感が強い
X4▲前期型の運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。写真は左ハンドルの北米仕様
X4▲シートのカラーは様々だが、xドライブ30i Mスポーツ以上のグレードではヴァーネスカ・レザー・シートが標準装備。フロントシート調整は全車電動式だ
X4▲後席はこのような感じ。前後方向の余裕は十分だが、さすがに縦方向はあまり余裕がない

ちなみに初代と比べた場合でも、現行型X4は80mm長く、40mm幅広くなったうえで、5mmほど低くなっています。ホイールベースも初代より55mm延長されていて、これによりクーペ的なラインの優雅さがより際立つようになっています。

またボディ全体のサイズ拡大により、後席の居住空間やラゲージスペースが拡大されている点も、現行型X4の特徴です。ただし、ルーフからリアゲートにかけての傾斜がきついクーペスタイルのせいでリアウインドウの天地は短く、後方視界は正直今ひとつです。

2021年10月のマイナーチェンジで後期型となった以降の世代は、主にフロントマスクのデザインが異なっています。

キドニーグリルは左右一体構造となり、バンパーやヘッドライトはより空力性能に優れる形状に変更。リアまわりも、存在感を高めるべくテールランプのデザイン変更やバンパーの形状変更によって、“存在感”がいっそう増しています。
 

X4▲大幅に変わったわけではないが、やはり「ぐっと現代的な感じになった」とは言える後期型のエクステリアデザイン。写真はトップグレードのM40i
 

エンジンタイプ・走行性能:高出力な2L 直4ターボが基本。走行フィールは「ほぼクーペ」

前期型のX4に用意されたパワーユニットは全部で3種類。最も一般的なのは、「xドライブ30i」および同Mスポーツに搭載された最高出力252psの2L 直4ガソリンターボ。

そして1年弱ほど遅れて、最高出力190ps/最大トルク400N・mの2L 直4ディーゼルターボを搭載する「xドライブ20d」が追加されました。

さらに、これらとは別のスペシャル感が強いグレードとして、BMW M社がスポーティなチューニングを施した最高出力360psの3L 直6ガソリンターボエンジンを搭載する「M40i」もラインナップされました。

トランスミッションはいずれも8速ATで、駆動方式も全車フルタイム4WDです。

前期型BMW X4の走りは、トップグレードであるM40iは当然ながら(?)「高性能SUVの極み」といったニュアンス。エンジンがMパフォーマンスの3L 直6ターボですから「鬼のように速い」というのは当然なのですが、荒々しさもまったくなく、ほとんど高性能・高級スポーツクーペと同じノリで各シーンを走ることができます。

そしてM40iに比べればベーシックなxドライブ30iもxドライブ20dも、さすがにM40iほどではありませんが十分以上に速い車です。そしてその身のこなしは、SUVでありながら「ラグジュアリーなスポーティクーペのそれに近い」と言っていいでしょう。

ちなみに、xドライブ20dが搭載するディーゼルターボエンジンは、車の外ではそれなりにガラガラという音が聞こえますが、車内は至って静かです。

なお後期型は、後述する運転支援システムは進化したものの、エンジンやトランスミッションに変更はありません。
 

X4▲アイポイントが高く、車幅もかなり広いという以外は「SUVを運転している」ということを忘れてしまうほど、現行型X4の走りはシュア。見た目だけではなく走りも“クーペライク”と言える
 

機能・安全装備:前期型から完全フル装備だが、後期型はさらに進化

プレミアムでスポーティなクーペスタイルのSUVだけあって、現行型BMW X4は前期型であっても先進安全装備の類はもちろん充実しています。

アダプティブクルーズコントロール等々がセットになった「ドライビング・アシスト・プラス」は全車標準装備で、「BMWヘッドアップ・ディスプレイ」も、xドライブ30iとxドライブ20dの標準仕様を除いて標準装備。

また、“つながるサービス”である「BMWコネクテッド・ドライブ・プロフェッショナル」や、駐車を様々な形で支援してくれる「パーキング・アシスト・プラス」も全車標準です。

走行性能に関する部分では、電子制御ダンパーである「アダプティブMサスペンション」と、電子制御式の無段階可変ロッキング機構をもつ「M スポーツ・ディファレンシャル」はトップグレードであるM40iのみの装備となっていますが、その他の機能装備については、ベーシックなグレードとトップグレードの間に大きな違いはありません。

2021年10月以降の後期型では、前期型のドライビング・アシスト・プラスが「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」に進化。高性能3眼カメラとレーダーおよび高性能プロセッサーの精度と正確性がより向上し、渋滞時の手離し運転を可能にする「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能」も搭載されるに至っています。

また、後期型では「パーキングアシスタント」には、自車が直前に走行した最大50mのルートを記憶し、同じルートをバックで正確に戻る「リバースアシスト機能」が採用され、インフォテインメントやコネクティビティ関係もいっそうの進化を遂げています。
 

X4▲後期型は「Amazon Alexa」に対応した新しいスマートフォン向けアプリ「My BMW」も導入。写真は欧州仕様
 

中古車のオススメ:イチ推しはxドライブ30i Mスポーツの前期型

現行型BMW X4の中古車を「とにかく安く買いたい」というのであれば、前期型のxドライブ Mスポーツを狙うに限ります。

もちろん絶対的には安いとは言い難い価格ではあるものの、現行型X4としてはお安い「総額540万~650万円付近」で、2018~2019年式の、走行距離3万km台までの物件が普通に見つかるはずです
 

▼検索条件

BMW X4(現行・前期型) × xドライブ30i Mスポーツ
X4▲こちらが前期型のxドライブ30i Mスポーツ

このあたりの価格帯だと、さすがに「新車同様!」とまではいきませんが、丁寧に扱われた物件を販売店がしっかりとクリーニングしたケースであれば、まだまだ十分な「使用感の少なさ」が感じられるはず。

そしてその走りも、前述のとおり「ラグジュアリーなスポーティクーペのそれに近い」ものですので、プレミアムなクーペSUVならではの“味”を存分に堪能できるでしょう。

xドライブ30iが搭載する2L ガソリンターボエンジンもかなり素敵ですが、「よりトルクフルな走りを堪能したい!」というのであれば、前期型のxドライブ20d Mスポーツが狙い目となります。
 

▼検索条件

BMW X4(現行・前期型) × xドライブ20d Mスポーツ
X4▲マイナーチェンジの前年に追加されたクリーンディーゼル搭載のxドライブ20d Mスポーツ

相場は類似条件のxドライブ30i Mスポーツとさほど大きくは変わりませんが、xドライブ20d Mスポーツは年式的に少し新しくなるため(xドライブ20dが追加されたのは2020年6月)、狙い目価格帯は少し上がって「総額620万~680万円ぐらい」ということになります。

このあたりの価格レンジで、走行距離2万km台から3万km台の物件が普通に見つかることでしょう。

そして、これはxドライブ30i Mスポーツにも言えることですが、新車時に37万円以上のオプションだった「セレクト・パッケージ(電動パノラマ・ガラスサンルーフやハーマンカードン サラウンド・サウンドシステムなどがセットになったもの)」が付いていたらラッキーです。

個人的には前期型のデザインとADAS(運転支援システム)でも十分ではないかと感じていますが、しかし「最新のデザインとハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能はやはり欲しい!」と考える人がいらっしゃることも理解できます。

その場合は「総額760万円~」という予算イメージで臨めば、新車と同じビジュアルおよび機能装備で、なおかつ「ほぼ新車」みたいなコンディションの後期型xドライブ20d Mスポーツが見つかるはずです。
 

▼検索条件

BMW X4(現行・後期型) × xドライブ20d Mスポーツ
X4▲こちらが後期型のビジュアル。ガソリンターボ車も流通はしているが、中古車の流通はxドライブ20d Mスポーツが中心

「総額760万円以上」というのはなかなかお高い金額ではありますが、新車価格(本体だけで809万円)と比べるのであれば十分「安い!」と言えますし、何よりも「中古車だから待たずにほぼ即納!」というメリットもあります。

いずれにしましても現行型BMW X4の中古車は、「都会的でプレミアムな感じの輸入SUVを、できれば今すぐ、できれば新車よりも断然手頃な予算で入手したい」と考える人にはうってつけな選択肢のひとつです。

ご興味がある方は、ぜひ具体的な物件サーチに進んでみてください。
 

▼検索条件

BMW X4(現行型) × 全国
文/伊達軍曹 写真/BMW
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。