メガーヌ ▲ハイパフォーマンスモデル「ルノー・スポール」が大人気となっている現行型ルノー メガーヌ。その中古車平均価格がこの1年で約50万円も下がったということで、これはもう今こそ「中古車の選び方」を検討せざるを得ません!

今狙うべきはいくらぐらいの、どのグレードなのか?

一部で大人気のフレンチ・ハッチバック、現行型ルノー メガーヌの中古車平均価格がこの1年で50万円ほど下がっています。

いきなりですが、下のグラフをご覧ください。

メガーヌ
メガーヌ

通常モデルとR.S.(ルノースポール)を合わせた現行型メガーヌ全体の平均価格は、約1年前は396.6万円でした。それが今年8月には347.4万円へと変化しているのです。

1年で約50万円も下がったとなると「……何かネガティブな要因があるんじゃないか?(壊れまくる弱点が発覚したとか……)」などの懸念も生じるかもしれませんが、それは特にはない模様。上のグラフのとおり流通量がそこそこ大きく増えたことと、それに伴って比較的安価な前期型中古車の割合が増したから、平均価格が下がった――程度の理由であると考えられます。

では、比較的お手頃な相場となってきた現行型ルノー メガーヌをこれから狙うとしたら、どんなグレードのいくらぐらいのやつを選ぶのが得策なのでしょうか?

モデル概要を振り返りつつ、チェックしてまいりましょう。
 

メガーヌ▲ルノー・スポール以外にも実は魅力的なグレードが存在する現行型メガーヌ全体について考えてみます!

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モデル概要:四輪操舵を新たに採用した4代目(R.S.は3代目)

ルノー メガーヌは、日本へは1996年に初代が上陸したルノーのCセグメントハッチバック。現行型は4代目にあたり、日本では2017年10月に通常モデルが、やや遅れて2018年8月に「ルノー・スポール」という強力なスポーティモデルが発売されました。

まず発売された通常モデルの「GT」と「GTライン」は、内外装デザインをルノーの最新の意匠に変えるとともに、四輪操舵システムや先進安全装備を取り入れるなどして、3代目からの全面的な進化を果たしました。
 

メガーヌ▲こちらがGT。搭載エンジンは最高出力205psの1.6Lガソリンターボ
メガーヌ▲GTの運転席まわりはおおむねこのようなデザイン
メガーヌ▲GTは程よくスポーティなフロントシートを採用

パワーユニットは2種類で、「GT」に搭載されたのは最高出力205psの1.6L直4ターボ。「GTライン」には同132psの1.2L直4ターボが搭載されています。

トランスミッションはいずれも7速DCTですが、「GT」のシャシーはルノー・スポールによる専用チューンが施され、専用サスペンションやアンチロールバーなどを装備。ブレーキディスクの直径も、「GTライン」と比べて30mm大径化されています。

4代目メガーヌの目玉である四輪操舵システム「4コントロール」はルノー・スポールによってチューニングされたもので、60km/h以上(スポーツモードでは80km/h以上)での走行時は後輪が前輪と同じ方向(同位相)に向き、コーナリングの安定性を高めます。そして速度がそれ以下の場合には、前輪と後輪が逆方向(逆位相)に向くことで回転半径を小さくし、取り回しを容易にします。
 

メガーヌ▲電子制御のアクチュエーターがタイロッドを操作し、後輪を操舵する「4コントロール」。切れ角は1秒間に100回の演算処理を経て決定される

ちなみにこの4コントロールは「GT」と、後述する「ルノー・スポール」の装備品で、1.2Lターボの「GTライン」には付いていません。

そしてハイパフォーマンスモデルである「ルノー・スポール」は、「GT」に対してフロントを60mm、リアを45mm広げたフェンダーや、F1マシンをイメージしたエアインテークブレードを備えたフロントバンパー等々がエクステリアの特徴。

さらには最高出力279psの1.8L直4ターボエンジンや前述の「4コントロール」、ダンパー内にセカンダリーダンパー(第2のダンパー)を組み込んだ「HCC」等々により、怒涛にして切れ味鋭い走りを堪能できるスーパーFF車です。トランスミッションは6速DCTが採用されました。
 

メガーヌ▲こちらが前期型のルノー・スポール。搭載エンジンは最高出力279psの1.8Lガソリンターボ
メガーヌ▲武闘派なイメージがただようルノー・スポールの運転席まわりだが、上質感もある
メガーヌ▲「R.S.」の刺繍が施された、ヘッドレスト一体型のスポーツシートが特徴的

2019年2月には6MTとハードなシャシーを採用した「ルノー・スポール カップ」が100台限定で発売され、その後はと300psまでチューンした1.8Lターボエンジンを搭載する「ルノー・スポール トロフィー」の6MTと6速DCTを2019年10月に追加し、2021年1月にはマイナーチェンジを実施。このタイミングで、素のルノー・スポールのエンジンも最高出力300psに変わっています。

一方の「普通のメガーヌ」の方も、やや遅れて2021年8月にマイナーチェンジを行い、内外装デザインを変更するとともに、1.6Lターボと1.2Lターボエンジンを廃止。最高出力159psの1.3Lターボエンジンを搭載する新グレード「インテンス」に一本化されました。

ここに記した以外にもいろいろと細かな変更や追加などはあるのですが、大まかにいいますと以上が、現行型ルノー メガーヌの登場以来のヒストリーです。
 

メガーヌ▲2021年8月以降の「インテンス」。搭載エンジンは最高出力159psの1.3Lガソリンターボに変更された
メガーヌ▲こちらは2021年1月以降のルノー・スポール。エンジンの最高出力は300psとなり、6MT車にも「ローンチコントロール」を採用
 

流通状況:最多グレードは「GT」だが、もちろん「ルノー・スポール」もまずまず豊富

2022年9月末現在、現行型ルノー メガーヌの中古車流通量は68台で、価格は総額約190万円から610万円ぐらいとなっています……といっても、これではあまりにも解像度が低すぎるためよくわかりません。

最廉価グレードである「GTライン」と、世界最強のFF車ともいえる「ルノー・スポール トロフィーR」を混ぜた数字を述べてもほとんど意味がないため、「グレード別」に相場状況を見てみることにしましょう。なお、以下の箇条書きでは文字数の関係でルノー・スポールを「R.S.」と略します。

・GTライン|4台|総額180万~230万円
・GT|19台|総額190万~270万円
・インテンス|2台|総額310万~320万円
・R.S.|14台|総額340万~520万円
・R.S.カップ|4台|総額440万~450万円
・R.S.トロフィー EDC|16台|総額420万~520万円
・R.S.トロフィー 6MT|4台|総額450万~500万円
・R.S.トロフィー R|2台|総額570万~610万円

流通量がそれなりに多いのが「GT」と「R.S.」および「R.S.トロフィー EDC」で、他はおしなべて希少というか、ぽつぽつと流通している程度のようです。

このように細分化してみたことで、やっと現行型ルノー メガーヌの中古車を探す際の“道筋”が見えてまいりました。

次章以降、「具体的なオススメ」を考えてみることにいたしましょう。
 

メガーヌ▲こちらは2019年10月に追加された「ルノー・スポール トロフィー」。6速DCT車はまずまず豊富だが6MT車は希少で、中古車価格も高めとなっている
 

狙い方1:お安くいきたいなら総額250万円前後のGT

この場合は、通常モデル前期型の上級グレードである「GT」で決まりでしょう。これの走行5万km以下ぐらいの物件を総額250万円前後(240万~280万円ぐらい)で探すのが、おそらくはベストです。
 

メガーヌ▲総額250万円前後でなかなかの1台が探せるGT。走りも十分以上にスポーティだ
 

205psの1.6Lターボエンジンを搭載するGTより、132psの1.2Lターボを積む「GTライン」の方がお安いわけですが、GTラインはそもそも流通量がかなり少なく、さらには「せっかくの現行型メガーヌなのに、あんまり速くない」「せっかくの現行型メガーヌなのに、4コントロールが付いていない」などのざんねんな点がありますので、“オススメ”とは言い難いものがあります。

しかしGTラインの方は、さすがにルノー・スポールと比べてしまうとスペックは劣りますが、一般的な車と比べれば十分以上。さらにいえば乗り味が硬いルノー・スポールと違って「引き締まっているが、かなりしなやかでもある」という足回りが特徴となりますので、むしろルノー・スポール以上のオススメと考えることすらできる1台なのです。

これの良質な中古車を総額250万円前後で手に入れられたら、かなり幸せになれることでしょう。
 

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狙い方2:ルノー・スポールでいくなら予算の目安は総額350万円前後で

とはいえ「自分はやっぱりルノー・スポールがいい!」と考える人も多いはず。その気持ちはわかります。筆者も、先代のやつですが、メガーヌのルノー・スポールに乗っていましたので。

となれば総額350万円前後、つまり330万~380万円ぐらいの予算を見ておけば、走行1万km台から3万km台の現行型メガーヌ ルノー・スポールを普通に見つけることができます。
 

メガーヌ▲GTの予算に100万円ほどプラスすると、低走行なルノー・スポールを見つけることができる
 

GTと比べれば足回りは硬いルノー・スポールですが、ガチなタイムアタッカーであるトロフィー系と比べれば「硬すぎて困る!」ということもありません。スポーティな車に慣れている人であれば、普段づかいにおいても特に問題はないでしょう。

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もしも問題があるとすれば、素のルノー・スポールはEDC(6速DCT)のみの設定で、マニュアルトランスミッションを選ぶことができない――ということでしょうか。

EDC車の運転がつまらないとはまったく思いませんが、「MTが欲しい!」という気持ちはわかります。筆者が乗っていたルノー・スポールも――先代なので当然ですが、6MTでした。

であるならば、ここは総額450万円前後、つまり440万~460万円ぐらいの予算を用意して、100台限定の「ルノー・スポール カップ」か、2019年10月に追加された「ルノー・スポール トロフィー」の6MT車を探すしかありません。数は少なめですが、いちおう確実に450万円前後で、走行1万km台から2万km台のそれらが流通しています。
 

メガーヌ▲どうしてもマニュアルトランスミッションでいきたいなら、総額450万円前後の予算で写真上の「ルノー・スポール カップ」か、「ルノー・スポール トロフィー 6MT」を探すことになる

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ルノー メガーヌ ルノー・スポール(現行型・MT) × 全国

支払総額という軸で考えますと、どうやら現行型ルノー メガーヌは「100万円刻み」で物事を考えることができるようです。すなわち「普通のメガーヌのいいやつ」が欲しければ総額250万円前後、「EDCのルノー・スポール」がいいなら総額350万円前後、「いやいや、やっぱりMTのルノー・スポールがいい!」ということなら総額450万円前後――ということです。

これらのうちどのセグメントを選ぶかは人それぞれの問題でしかありませんが、いずれの現行型メガーヌを選んだとしても、「ソフトな乗り味を好む人がカップを買う」みたいな間違い方をしない限り、相当幸せになれることは間違いないはず。

ぜひ、あなたの個性や価値観に合うステキなメガーヌを探してみてください。本当に、いい車です。
 

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文/伊達軍曹 写真/ルノー・ジャポン
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。