ロードスター ▲現行型ロードスターの流通量が去年の倍に! モデル概要を振り返りつつ、現状の中古車事情について解説します

人馬一体の走りが魅力のライトウェイトオープン2シーターの流通台数が一気に増加!

ロードスターといえば人馬一体の走りが魅力のライトウェイトオープン2シーターで、マツダを代表するモデルのひとつです。ロードスターよりも速いモデルは数多くありますが、走りの楽しさという面ではロードスターもかなり上位に位置するという点がファンの心を捉えて離さない一因と言えるのではないでしょうか。

そんなロードスターの現行型、通算4代目モデルとなるND型は2015年に登場しており、今年で7年目を迎える長寿モデルとなります。人気の高いモデルだけに中古車の平均価格はほぼ横ばいとなっていますが、延べ掲載台数は昨年の同時期の2倍以上の800台オーバーと一気に掲載台数が増えているのです。
 

ロードスター

これは初期型を購入したユーザーの車両が3回目の車検(7年目)を迎えたことで代替をしているという点もそうですが、より上質な走りが楽しめる2Lエンジンを搭載した「ロードスターRF(リトラクタブルファストバック)」や、昨年登場した特別仕様車の「990S」など、魅力的なロードスターの別仕様に乗り替えているケースも散見されるようで、改めてロードスターの魅力の高さを感じさせるエピソードと言えるでしょう。

流通台数が増えて選びやすくなった今、どんなものがオススメなのかモデル概要とともに見ていきましょう。
 

ロードスター▲なお、中古車平均価格については昨年と大きな変わりはありません

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マツダ ロードスター(4代目)×全国
 

モデル概要:そもそも4代目ロードスターってどんな車?

2015年5月に発売がスタートした4代目ロードスターは、原点回帰をキーワードにダウンサイジングと軽量化を実施。その結果、全長は歴代ロードスターで最も短くなり、車両重量も最も軽いグレードで1トンを切る990kgを実現しました。

また、搭載されるエンジンも歴代最小排気量となる1.5Lの直列4気筒エンジンを搭載。出力は131ps/15.3kg・m(登場時)とハイスペックではありませんが、軽量ボディと50:50の前後重量配分で人馬一体の走りを楽しめるモデルに仕上がっています。
 

ロードスター

組み合わされるトランスミッションはショートストロークの6速MTと6速ATの2種類を設定。MTはもちろんのこと、ATでも軽快な走りを楽しむことができる仕様となっていました。

グレード展開は、最もベーシックな「S」、充実装備の「S スペシャルパッケージ」、本革シートを備えた「S レザーパッケージ」の3グレードでスタート。2015年10月にはビルシュタイン社製サスペンションやレカロ社製シート、大径ブレーキなどを装着した走りのグレード「RS」と、モータースポーツベースとして2代目モデルから設定され続けている「NR-A」を追加設定しています。
 

ロードスター▲こちらがNR-Aグレード

そして2018年6月の改良では、エンジンにも改良がなされ、+1ps/+0.2kg・mの出力向上がなされた他、ロードスターとしては初めてテレスコピックステアリングを搭載。さらに、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」が標準装備化となり、それまで設定されていなかった衝突被害軽減ブレーキも標準搭載となったことで予防安全性能も大きく向上しました。

2021年12月の改良では新技術となる「キネマティック・ポスチャー・コントロール(KPC)」を全車に採用。こればブレーキ制御によって旋回姿勢を安定させ、旋回性能と安定性を向上させるものとなっています。

また、特別仕様車として最軽量グレードの「S」をベースにRAYS社製鍛造アルミホイールを装着し、バネ下重量を軽減するとともにサスペンションやパワーステアリング、エンジン制御を専用セッティングにし、ブレンボ社製ブレーキをセットした「990S」を設定し、現在高い人気を集めています。

その他、特別仕様車として「30周年記念車」や「マツダ創立100周年記念車」といった記念モデルの他、専用カラーのソフトトップを備えたモデルや専用ボディカラーをまとった仕様が台数限定もしくは期間限定で販売されていました。
 

ロードスター▲こちらが990Sグレード
ロードスター▲こちらが限定の30周年記念車
 

今4代目ロードスターを安価で狙うなら?

平均価格こそ安定している4代目ロードスターではありますが、登場から7年が経過していることもあって、それなりに安価な物件も増えてきました。

ただスポーツカーということもあって、安価な物件については多走行車はもちろんのこと、修復歴アリの車両が中心となっており、なかなか誰にでもオススメしにくいというのが実際のところ。

また、掲載車両のおよそ8割がMT車となっているため、AT車を狙っている人は逆に探しにくくなっているのも現状です。

そんな中、ある程度状態の良いもので安価なものとなると、MT車では総額180万~190万円台で6万km前後の「S」グレードが中心。AT車だとシンプルな「S」グレードには設定がないということもあってやや高めの190万円台で5万km未満の物件が狙えるといったところになり、どちらも中心は初期型に近い2015~2016年式のものが中心です。
 

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マツダ ロードスター(4代目・MT)×走行距離7万km未満×全国

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マツダ ロードスター(4代目・AT)×走行距離5万km未満×全国
 

コンディションを重視し、低走行の4代目ロードスターを狙うなら?

少々予算を増やしてでも低走行の物件が欲しいという場合は、MT車もAT車も総額220万~230万円台くらいまで増額することで、走行距離3万km台未満の物件も射程圏内となります。ただ、こちらも年式的には初期型に近いものが中心となる点は注意が必要です。

逆に2018年の改良後のモデルということになると、最低でも260万~270万円ほどの予算を見ておかないとなかなか手が届かないというのが実際のところ。もちろん、高年式車ということで走行距離も1万km台やそれ以下のものが中心となりますが、もう少しプラスすれば新車にも手が届く価格帯ということで悩ましいというのが現実でしょう。
 

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マツダ ロードスター(4代目)×走行距離3万km未満×修復歴ナシ×全国

なお、AT車の場合は新車価格がMT車よりも10万円ほど高いこともあってか高年式車ではMT車と同じくらいの価格帯に落ちついているようですが、レザーパッケージや特別仕様車ともなると総額300万円超も珍しくない状態となっています。


ちなみに、今話題の990Sも17台ほど掲載がありますが、ほぼ新車価格の289.3万円に近い価格となっているものがほとんどであるため、こちらも中古車として狙う旨味はあまりなさそうです。



今回は、4代目ロードスターの中古車の状況をチェックしてみましたが、唯一無二の存在であるロードスターだけに、中古車価格も安定しており、高年式のモデルについてはなかなか中古車のメリットを享受しにくいというのが本音です。

一方、初期のモデルについては総額200万円以内で狙うことができるものも登場してきており、そこまで大掛かりな改良がなされていないロードスターだけに、純粋に走りを楽しみたいというのであれば買いやすい価格となった初期型に近いモデルを狙ってみるのもいいのかもしれませんね。

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マツダ ロードスター(4代目)×全国
文/小鮒康一 写真/マツダ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。