シビックタイプR ▲新型の登場で新車で買えなくなった先代の5代目シビックタイプR。中古ではまだまだ狙える存在なので、現在の中古車事情をのぞいてみましょう

ホンダのホッテストモデルに与えられたタイプRの称号をもつモデル

元々スポーティなモデルを多く擁するイメージの強いホンダ車の中でも、最もホットなスポーツモデルに与えられる「タイプR」の称号。その称号を代々受け継いでいるのがシビックとなります。

間もなく6代目となるシビックタイプRが登場しますが、新型はプレーンなデザインになりすぎてしまって物足りなさを感じる人や、元々5代目が欲しかったのに……と思っていた人も少なからず存在するハズ。

そこで今回は、ガンダムチックとも評されたアグレッシブなデザインをもつ先代型(5代目)シビックタイプRの現状についてチェックしてみたいと思います。

先代型シビックタイプRは2017年に登場し、現在の中古車掲載台数はおよそ100台と若干少なめで、平均価格はおよそ550万円となっており、安価な物件では総額400万円台後半から狙うことができます。

そんなシビックタイプRのモデル概要を振り返りつつ、現在の中古車事情をのぞいてみましょう。
 

シビックタイプR

▼検索条件

ホンダ シビックタイプR(5代目) ×全国

タイプRありきで開発されたシビックがベースの5代目

先代型シビックタイプRのベースとなったのは、通算10代目となったFK型シビックとなっており、従来のように後からタイプRを開発するのではなく、当初の設計段階からタイプRありきの設計をしたことで、ねじり剛性が約38%向上。それだけではなく、日常使いでの実用性と高い運動性能を高次元で両立するモデルとなりました。

また、4代目モデルではトーションビーム式だったリアサスペンションをマルチリンク式へと改め、フロントのストラット式サスペンションも「デュアルアクシス・ストラット・サスペンション」と名付けられた新型とすることで、さらなる進化を果たしています。

搭載エンジンは4代目と同じくK20C型の直列4気筒直噴ターボエンジンとなりますが、エンジンの制御を見直すことで最高出力を+10psの320psとし、組み合わされる6速トランスミッションもローレシオ化することによってさらに鋭い加速を身に着けたことも特徴と言えます。
 

シビックタイプR ▲トルク400N・mを発生させる2Lターボエンジン

その他のメカニズムとしては、シフトダウン時に自動でエンジン回転数を合わせてくれる「レブマッチシステム」を採用(キャンセルも可能)した他、ダンパー、ステアリング、スロットルなどの制御を統合的に変更できるドライブモードは、「+R」「SPORT」「COMFORT」の3モードが用意され、シチュエーションに合わせて変更ができるようにもなっていました。

2020年10月にはマイナーチェンジが実施され、グリル開口部の拡大による冷却性能の向上とエアロパーツの形状変更によるダウンフォースレベルのアップと実現。

さらに、2ピースフローティングディスクブレーキを採用することで、安定したブレーキフィールとバネ下の重量低減を達成しています。
 

シビックタイプR ▲キャリパーはブレンボ製を採用
シビックタイプR ▲こちらがマイナーチェンジモデルのエクステリア

また、アダプティブダンパーシステムの制御やサスペンションブッシュ・ボールジョイントの最適化によってさらなる一体感とダイレクト感を実現し、数値上のスペックは不変ながらもタイプRらしさがさらに磨きをかけられていました。

そして、マイナーチェンジのタイミングで国内200台の限定モデル「Limited Edition」を発売。発表、即完売となったこのモデルは、専用のサンライトイエローIIのボディカラーと、20インチのBBS製鍛造ホイール&ミシュランパイロットスポーツCup2の足元と、さらに専用セッティングとなったアダプティブダンパーシステムとEPSが装着されていたのでした。
 

シビックタイプR ▲イエローのボディーカラーが特徴的なリミテッドエディション

通常モデルは限定ではなかったが、終売によって価格が上昇中

先代型シビックタイプRは、200台限定の「Limited Edition」を除けば、注文すれば購入できるカタログモデルとなっていましたが、昨年夏に終売となったことで中古車の平均価格は上昇気味となっており、掲載台数も100台弱とそこまで多いものでもありません。

新車時の価格は450万~475.2万円(Limited Editionを除く)となっていましたが、執筆時点での中古車平均価格は546.3万円と新車時価格を超えるものとなっているのです。

これは1000万円を超える金額となっている「Limited Edition」(新車時価格550万円)が平均を押し上げているとも言えそうですが、通常モデルであっても高年式低走行の物件では600万円台というものも珍しくない状態となっているため、全体的に高値安定となっていることは間違いありません。

現状では、最も安価な部類の物件であっても車両本体価格450万円前後と、ほぼ新車価格と変わらない状態となっていますが、初期型に近い年式であれば総額500万円前後の物件でも修復歴なしで走行距離3万km以下のものも存在しているので、予算を抑えつつも状態の良いものを狙いたいのであれば、初期型に近いものを狙うというのも選択肢のひとつかもしれません。

▼検索条件

ホンダ シビックタイプR(5代目・前期型) ×全国

一方、マイナーチェンジ後の後期型については、実際の販売期間が1年弱だったこともあって希少となっており、修復歴がある車両を除いて軒並み車両本体価格600万円以上というプライスタグが付けられているのが現状です。

▼検索条件

ホンダ シビックタイプR(5代目・後期型) ×全国

Limited Editionが高額なのは言うまでもありませんが、後期型で追加された「レーシングブルー・パール」という新色は希少かつ人気が高いようで、さらなるプレミア価格化となっています(もう1色の新色、ポリッシュドメタル・メタリックはそうでもなさそうです)。
 

シビックタイプR ▲こちらがレーシングブルー・パールです

ただ、この高値も間もなく登場する新型によって鎮静化する可能性もあり、今買うべきかちょっと待つべきかの判断は難しいところ。現状であれば、走行数十kmというほぼ新車同等の物件もあるため、どちらを優先するかはユーザー次第と言えそうです。
 

▼検索条件

ホンダ シビックタイプR リミテッドエディション(5代目) ×全国

▼検索条件

ホンダ シビックタイプR(5代目) ×全国
文/小鮒康一 写真/篠原晃一、ホンダ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車はホンダ インサイト、初代パルサー、NAロードスター、S660など