WRX ▲2014年から2021年に製造されたスバル WRXの相場が下落しています

オンリーワンの水平対向ターボエンジン&AWDのスポーツセダン

インプレッサのスポーツモデルであった「インプレッサWRX」を祖とし、2014年に単独車種としてリリースされたスバル WRX。4ドアセダンでありながら300psを超える水平対向2Lのターボエンジンを搭載し、四輪を駆動するスポーツセダンとして高い人気を誇っています。

現在は2021年11月に登場した2世代目が販売中となっていますが、その陰で初代モデルの中古車平均価格がおよそ半年でなんと50万円も下がっているというのです。

スバル WRXとは一体どんな車種だったのか振り返るとともに、今のオススメの中古車はどんなものなのでしょうか? 詳しくみていきましょう。
 

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中古車相場状況
台数増加による価格下落か。S4は特に買い時に

圧倒的なパフォーマンスをもちながらも、新車時は400万円を切る価格で購入することができた初代WRX。その一方で、特別仕様車の「S208 NBR CHALLENGE PACKAGE Carbon Rear Wing」は700万円を超える新車価格となるなど、当時から車両本体価格に幅がある1台となっていました。

その結果、中古車となった現在でも平均価格こそ300万円台前半でありながら、その価格帯は100万円ちょっとから900万円台後半までと新車時以上に振り幅が大きくなっているのです。

平均価格だけで見ると、ピーク時の377.5万円(2021年12月)から現在の326.8万円まで(2022年6月)、およそ50万円下がっています。流通台数は昨年末から上昇傾向で、直近で減少しましたが、昨年12月よりは増加しています。このことから、中古車台数増加による価格低下ということが考えられます。
 

WRX
WRX

ですが、高額車両の掲載が数台なくなっただけで平均価格が大きく下がることもあることを考えると、一概に「すべての初代WRXの価格が下がった!」とは言えません。

ただ、2ペダルモデルの「S4」系に関しては車両本体価格100万円台前半の物件もチラホラ出てきており、S4狙いの人にとっては買い時となりつつあるのも事実です。
 

 

モデル概要
大きく分けて「S4」と「STI」の2つに分けられるWRX

2014年に初代モデルが登場したスバルWRXのグレードは大きく分けて「S4」と「STI」の2つ。
 

WRX
WRX▲STIグレード(上)とS4グレード(下)

どちらも2Lの水平対向4気筒ターボエンジンを搭載していますが、「S4」はFA20型の直噴ターボエンジンとスポーツリニアトロニックと名付けられたCVTが、「STI」はインプレッサSTI時代から定評のあるツインスクロールターボのEJ20型に6速MTの組み合わせとなっています。
 

WRX▲S4に搭載されるFA20型エンジン
WRX▲こちらはSTIに搭載されるEJ20型エンジン

また、4WDシステムも「S4」が不等&可変トルク配分電子制御AWD(VTD-AWD)を搭載するのに対し、「STI」はセンターデフの制御特性を自由に選択できるドライバーズコントロールデフ(DCCD)にフロントヘリカルLSD、リアトルセンLSDを組み合わせたよりスポーティな仕様となっていました。

一方、「S4」には先進の運転支援システムであるアイサイトが標準搭載されており(「STI」は非搭載)、「S4」はグランドツーリング寄り、「STI」はスポーツ寄りの性格が与えられていたのです。

また、スバル伝統の年次改良によって毎年アップデートが繰り返されてきただけでなく、多くの特別仕様車がリリースされているのも特徴となっており、一部の特別仕様車は現在プレミア価格で取引されているものも多くなっています。

そんな初代WRXは、「STI」が2019年12月をもって受注が終了となり、「S4」も2021年1月に注文受付を終了し、同年11月に2代目 WRX S4が登場して現在に至っています。
 

 

狙い方その1|とにかく安く狙いたいなら「S4」系を

300psを発生させるFA20ターボエンジンとAWD、そして先進安全装備のアイサイトを備える「S4」系は、スポーティな走りと高い快適性を両立することができる贅沢な1台。

そんな「S4」系は安価な物件では車両本体価格150万円以下で狙えるものも多く存在し、総額200万円ほどの予算があれば走行距離5万km未満の低走行物件も射程圏内となります。

一方、高額な車両は最終型に近い高年式モデルが中心となりますが、最上級グレードの「STIスポーツ アイサイト」であっても車両本体価格400万円を超えるのはごくわずかと、中古車らしい価格帯となっていて買い得感のある価格と言えそうです。
 

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狙い方その2|やっぱり3ペダルMTに乗りたい人は「STI」系

スポーツモデルといえば3ペダルMTでしょ! という方も少なくないでしょうが、2代目のWRXには残念ながら3ペダルMTが設定されておらず、現時点で水平対向ターボ×3ペダルMTのAWD車となると、この初代WRX STIが最も新しいモデルということになってしまいます。

そのため中古車となってもなかなか値段が下がらず、最も安価な部類の物件でも総額250万円~というのが現状。10万km未満の物件ともなると、総額320万~340万円ほどは覚悟しなければなりません。

最終型の「STI タイプS」は新車価格が413.6万円でしたが、高年式低走行の物件では400万円台はおろか、500万~600万円台の物件もあるほど。

これも新型WRXにMTの設定がないことが影響していることは間違いありませんが、海外仕様にはMTがあるため、このモデルが日本に導入されるかどうかで今後の中古車価格が左右されそうです。
 

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狙い方その3|一生モノにする覚悟があれば……特別仕様車たちを!

インプレッサ時代から複数存在してきた特別仕様車は、WRXとなってからも不変となっており、S4系にはスバルテクニカインターナショナルが手がけた「tS」系や専用内装の「スポルヴィータ」が存在し、STI系には「S207」や「S207」系、軽量バーションの「RA-R」と、最後の特別仕様車「EJ20ファイナルエディション」が存在しています。
 

WRX▲こちらはS207のNBR CHALLENGE PACKAGE

S4系の特別仕様車は比較的買いやすい価格となっており、スポルヴィータでは総額200万円を切るものも存在する他、tS系でも総額200万円台前半から、高いものでも総額400万円以内がほとんど。

一方のSTIに設定される特別仕様車はどれも高値安定となっており、最も安価なものでもRA-Rの総額600万円台前半、S208系ともなると総額800万円台からのスタートとなっており、低走行のものでは1000万円にも迫る価格のまさにプレミア価格となっています。

この価格帯となると気軽に購入できるものではなくなってしまいますが、どうしても欲しくて一生の相棒にしたいと考えているのであれば、今後大きく価格が下がることもないでしょうから思い切って購入するのも選択肢のひとつかもしれません。
 

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今回は初代WRXの中古車についてチェックしてみましたが、CVT仕様のS4は順調に買いやすい価格となっているのに対し、新型にMTが設定されなかったこともあってかSTIは予想を上回るほどの高値となっているのが印象的でした。

通常モデルのMT車については、今後輸出仕様に設定のあるMT車が新型にも設定されるかどうかで価格の推移が変わってくるかと思われますが、特別仕様車については高値安定の状態が続くのではないでしょうか。
 

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文/小鮒康一 写真/尾形和美、奥隅圭之、スバル
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車はホンダ インサイト、初代パルサー、NAロードスター、S660など