インプレッサSTI ▲ハッチバックからセダンへと復活を遂げたインプレッサSTIの相場が下落しています

3代目インプレッサSTIのセダンモデルが意外な安価に!?

元々はスバルのジャスティとレガシィの間を埋める車種として登場したインプレッサ。しかし、多くの車好きにとって“インプレッサ=ラリー”というイメージが強いことでしょう。

そんなラリーイメージを強く印象付けることとなったのがインプレッサのハイパフォーマンス版であるSTI系であり、水平対向ターボエンジン&フルタイム4WDという組み合わせはある種の憧れさえも抱くほどのものでした。

そんなインプレッサSTIの3代目モデルに遅れて追加された4ドアセダンモデル、いわゆる「GV系」の中古車平均価格がこの半年で約20万円もダウンしているというではありませんか。

スポーツ系車種が軒並み高騰する中で、平均価格ダウンとなったGV系インプレッサSTIとは一体どんな車種だったのか振り返るとともに、今のオススメの中古車についても考えていきましょう。
 

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中古車相場状況
中古車台数が増加したことで価格が下がり、狙い目になってきた

4ドアセダンでありながら高いパフォーマンスが魅力のGV系インプレッサSTI。その中古車平均価格は2021年に入ってからジワジワと上がり始め、同年11月には248.7万円と直近では最高額となりました。

その後もさらに上昇していくと思いきや、2022年に入ると平均価格は緩やかに下降し始め、同年6月には227.3万円とピーク時から20万円もダウンしているのです。
 

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これには様々な要因が絡んでいると思われますが、そのひとつとして物件数が2022年に入って増加していることが挙げられるでしょう。2021年には200台を下回ることがほとんどだった掲載台数が、2022年6月には242台と増加しています。
 

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また、特別仕様車の「tS TYPE RA NBR CHALLENGE PACKAGE」などは車両の状態にもよりますが、400万円台~600万円台と圧倒的な高値となっているため、こういった高額車両が数台増減するだけでも平均価格が大きく変化するということもありそうです。
 

 

モデル概要:セダン復活となったGV系インプレッサSTI

インプレッサSTI

ベースとなった3代目インプレッサは2007年に販売をスタート。ホッテストモデルとなるSTIは当初5ドアハッチバックボディのみのラインナップとなっていましたが、4ドアセダン版が2010年7月に登場。これこそがGV系インプレッサSTIということになります。

カタログモデルは、お馴染みのEJ20型と呼ばれる水平対向4気筒2Lのツインスクロールターボエンジンを搭載し、6速MTを介して四輪を駆動する「STI(GVB型)」と、排気量に余裕を持たせた2.5LのシングルスクロールターボエンジンのEJ25型に5速ATを組み合わせた「STI A-Line(GVF型)」の2種類。

インプレッサSTI ▲こちらは2LのEJ20型エンジン

どちらも水平対向ターボエンジンを搭載し、四輪を駆動させるという点では同一ですが、従来のSTIと同じく走りに振ったSTIに対し、STI A-Lineは“大人のスポーツセダン”といった趣で、大型リアスポイラーレスの外観や、オプションとしてサンルーフや本革シートなども設定されているなど異なるキャラクターをもっていたのが特徴と言えるでしょう。
 

インプレッサSTI
インプレッサSTI ▲こちらがA-Lineの外観と内装

そしてスバル車の特徴である年次改良によって、モータースポーツ志向の軽量グレード「spec C」の追加や、特別仕様車の「tS」や「S206」、「tS TYPE RA」といったマニア垂ぜんの仕様も存在していました。
 

インプレッサSTI ▲こちらがSTIのコンプリートモデルであるts
インプレッサSTI ▲専用の外装パーツも盛り込まれたS206
 

狙い方1|とにかく安く狙いたいなら「A-Line」

スポーツセダンとして高いポテンシャルを誇るGV系インプレッサSTIですが、その中でも買いやすい価格となっているのが「A-Line」系です。

恐らくこの手のモデルを狙う人の多くが3ペダルMT車を求めているため、AT車のみとなるA-Lineはやや不人気車ということになるのでしょうが、500cc排気量が大きなA-LineはATとのマッチングが良好で、パドルシフトを駆使すればMT車顔負けのスポーティな走りを堪能することも朝飯前。

それでいて安価な物件では総額120万円台から見つけることができ、総額150万円台クラスになると修復歴なしの走行距離8万km未満といったものも多数見つけることができるのです。
 

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狙い方2|それでもMT車が欲しいなら、予算は?

それでもやっぱりスポーツモデルは3ペダルMTで操りたい! と考える人も少なくないハズ。ただそうなると予算はかなりアップしてしまい、最も安い部類の物件でも総額200万円程度は必要となる状態です。

ただこの価格帯で狙うことができるのは修復歴アリの10万kmオーバーが中心となってしまい、修復歴なしの8万km未満となると最低でも総額250万円ほどの予算は見ておきたいところ。

とはいえ、新車時はベースグレードでも乗り出しで400万円オーバーだったことを考えれば、状態の良い物件がこの金額で狙えるというのは決して高くないとも言えそうです。
 

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狙い方3|どうせ買うなら台数限定の特別仕様車!

せっかく今からGV系インプレッサSTIを狙うのなら、台数限定の貴重な特別仕様車に乗ってみたい! と思われる人もいるかもしれません。

中古車市場で人気のGV系インプレッサSTIの特別仕様車は、モデル末期の2013年7月にリリースされた「tS TYPE RA NBR CHALLENGE PACKAGE」と、2011年にリリースされた「S206」系の2つ。前者は200台、後者は300台限定となっており、新車時の価格は500万円前後というものでした。

しかし、現在中古車市場で流通しているこれらの特別仕様車は、最も安価なものでも車両本体価格が400万円弱、高いものでは新車価格を超える650万円ほどのプライスタグが付けられているのです。

とはいえ、台数限定のスペシャルモデルであることを考えれば今後も大きく値崩れすることはなさそうなので、数年間乗って楽しんだあとに手放しても購入時の価格に近い値段で売却できる可能性も……。

さすがに転売目的での購入はいかがなものかと思いますが、憧れの特別仕様車にどうしても乗りたいと考えている人は思い切って手を出してみても損をすることはなさそうです。
 

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このようにGV系インプレッサSTIといっても、仕様によって平均価格が大きく異なっています。ですが、いずれにしても純ガソリンエンジンのターボエンジンを搭載したスポーツセダンというのは、今後減っていく一方であることは間違いなさそうです。

少しでも気になる方は、価格がダウンしたいま、積極的に検討するのがベストでしょう。
 

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文/小鮒康一 写真/尾形和美、篠原晃一、スバル
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車はホンダ インサイト、初代パルサー、NAロードスター、S660など