トヨタ クラウンアスリート ▲新車時には手が届きにくい価格だった高級セダンたちが、グッと身近な価格帯になっている

あの高級セダンたちが気づけばこんなにもお手頃に!

今人気のジャンルといえばSUVや軽自動車、コンパクトカーなどで、それはまぎれもない事実でしょう。

しかし一方で、若い世代を中心にセダンのカッコよさが見直されつつあるようです。

特に高級車であるいわゆる「VIPセダン」というものは、その高い品質はもちろんのこと、押し出しの強いデザインも相まってかなりの迫力。

それでありながら、旧世代のモデルとなると意外なほどお手頃な価格で狙うことができてしまうというのも魅力のひとつとなっています。

もちろん装備は本革シートやサンルーフといった定番アイテムの装着率も高く、左右独立オートエアコンやパワーシート、多数のスピーカー……などなど、高級車らしい装備もほとんどが標準となっている点も嬉しいポイントでしょう。

そこで今回は、総額50万円程度から狙うことができるお手頃VIPセダンを4台ピックアップしてご紹介しましょう。
 

 

ゼロから開発し直されたモデル
トヨタ クラウンアスリート(12代目 2003~2008年生産)

トヨタ クラウンアスリート ▲プラットフォームや搭載エンジンなどを一新し、まさに「ゼロ」から開発された12代目クラウンアスリート

先日、新型が発表されて話題を集めたばかりのトヨタのフラッグシップセダンであるクラウン。

新型も大きく姿を変えて賛否両論の状態となっていますが、「ゼロクラウン」と呼ばれた12代目モデルもクラウンの歴史の中で大きな変革を迎えたモデルです。

ゼロクラウンの愛称からも分かるように、ゼロから開発し直したモデルとなっています。

プラットフォームが刷新され、搭載されるエンジンもそれまでの直列6気筒からV型6気筒になり、エクステリアもスポーティさを感じさせる欧州風のデザインとなったことが特徴でした。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲左右独立温度設定オートエアコンやリアオートエアコン、そしてマイナスイオン発生装置などの快適装備が標準装備される

グレード体系は先代モデルと同じく、フォーマルなロイヤル系とスポーティなアスリート系に大別され、人気が高いのはこのアスリート系。

エンジンは当初は2.5Lと3Lというラインナップでしたが、2005年10月のマイナーチェンジで3Lモデルが315psを発生する3.5Lへと置き換えられ、よりスポーティな走りを楽しめるモデルへと進化しています。

そんな12代目クラウンアスリートは、安価なものでは総額30万円台から狙うことができ、最も高額な部類の物件でも総額150万円以下という状態。

その中でも物件数が多いのは50万~70万円付近となっており、フルノーマル状態のものからエアロやアルミ、ローダウンといったカスタム済みのものまで、幅広い仕様から選ぶことができるようになっています。
 

▼検索条件

トヨタ クラウンアスリート(12代目) ×総額60万円未満× 全国

▼検索条件

トヨタ クラウンアスリート(12代目) × 全国
 

欧州フラッグシップに立ち向かっていたモデル
日産 フーガ(初代 2004~2009年生産)

日産 フーガ ▲セドリック/グロリアの後継車種として誕生したフーガは、海外での販売も視野にいれたグローバルモデル。スカイラインやフェアレディZにも採用されたプラットフォームがベースということで、スポーティな走りも楽しめる

長らく日産のVIPセダンとして君臨してきたセドリック/グロリアの後継車種として、2004年10月に登場した初代フーガ。

海外では日産のプレミアムブランド、インフィニティから販売されていたということもあって、欧州のフラッグシップセダンとも対等に渡り合えるようにと、高い動力性能も持ち合わせていました。

そのため、V6の2.5Lと3.5Lエンジンだけでなく、V型8気筒4.5LのVK45DE型エンジンもラインナップされていたというのもフーガのキャラクターを表すポイントと言えるでしょう。

シャシーは同時期のスカイラインやフェアレディZにも採用されていたFR-Lプラットフォームの改良版となっており、フロントダブルウィッシュボーン式、リアマルチリンク式のサスペンションも相まって、スポーティなハンドリングとなっていたのも特徴的です。
 

日産 フーガ ▲室内スペースはライバルを圧倒する広さを確保し、空調、音響にこだわった高い快適性を実現

一方の室内空間は、ホイールベースが長く採られているために同時期のメルセデス・ベンツ SクラスやBMW 7シリーズをも凌ぐ後席スペースを実現していたのです。

そんなフーガはラグジュアリーなXV系とスポーティなGT系が存在していますが、人気があるのはやはりGT系。

とはいえ、価格帯は総額30万円台からで、最も高額なものでも総額130万円弱といったところ。

4.5Lエンジンを搭載した450GTは希少ということもあってやや高額となりますが、それでも総額60万~90万円台が中心となっていました。
 

▼検索条件

日産 フーガ(初代) × 総額60万円未満×全国

▼検索条件

日産 フーガ(初代) × 全国
 

ライバルと一線を画すコンサバティブなデザインのモデル
日産 シーマ(4代目 2001~2010年生産)

日産 シーマ ▲他に類を見ないバルカンヘッドライトが話題となった4代目シーマ。全長が5mと先代よりも大きくなったボディをもち、ワールドクラスの高級セダンへと生まれ変わった

日産のフラッグシップセダンとして一大ムーブメントを巻き起こした初代から数えること4代目のシーマは、バルカンヘッドライトと呼ばれた「マルチプロジェクターキセノンヘッドライト」が特徴的な1台(ただし当初、3Lモデルには未設定)。

日産初の直噴V8エンジンである4.5L VK45DD型エンジンと(のちに非直噴のVK45DE型へ置換)、V6ターボエンジンの3L VQ30DET型エンジンの2種類をラインナップし、この時代の高級車としては比較的プレーンでコンサバティブなデザインが魅力となっています。

2008年2月のマイナーチェンジでは内外装の意匠が一新され、特にリアセクションは同時期のフーガやスカイラインにも似たL字型ランプを新たに採用して一気に近代化。

また、バンパーの形状も変更されたことで全長は5mを超える5120mmとなっています。

日産 シーマ ▲インテリアではソフトで立体的なインパネや明るい色使いが開放感を与えている

そんな4代目シーマも登場から20年以上が経過したことで、安価な物件は総額40万円台から見つけることができ、高額なものでもデモカーばりのカスタマイズ済みのものでなければ総額120万円以下となっています。

以前は自動車税の安い3Lターボが人気でしたが、2007年7月に先んじて廃止されているため、高年式車が存在しない点がネックであり、4.5Lモデルも後期型は一気に物件数が減るのでじっくり探したいところです。

▼検索条件

日産 シーマ(4代目) × 総額60万円未満×全国

▼検索条件

日産 シーマ(4代目) × 全国
 

スポーティ要素も強い「アリスト」の後継モデル
レクサス GS(初代 2005~2011年生産)

レクサス GS ▲世界的には3代目となるレクサスGS。日本では2代目までトヨタ アリストとして販売されてきたスポーツセダンだ

最後は日本が誇るプレミアムブランド、レクサスのスポーツセダン・GSの初代モデルをご紹介します。

日本では初代モデルとなるGSですが、海外ではすでに2世代が登場しており、日本では「アリスト」の名前で販売されていたものがそれ。そう聞くとスポーティセダンであることがより理解できることでしょう。

この初代GSは、当初はV8 4.3Lの3UZ-FE型エンジンを搭載するGS430と、V6 3.5Lの2GR-FSE型エンジンを搭載するGS350の2種類でスタート。

パワーでみると新開発の3.5Lエンジンが315psで、4.3Lエンジンは280psと逆転していました(最大トルクは3.5Lが38.4kgf・m、4.3Lが43.8kgf・m)。

しかし、2007年10月のマイナーチェンジでV8エンジンを4.6Lの1UR-FSE型へ換装して347psという大パワーを獲得。車名もGS460へと改められています。

レクサス GS ▲シンプルでありながら深みのある造形と、もてなしの演出にこだわったインテリア

そんなレクサス屈指のスポーツセダンであるGSも、初期型に近い3.5Lモデルでは総額40万円台からとかなりのお手頃価格。

高年式・低走行な物件でも、総額120万円前後が上限となっているのです。

一方、V8エンジン搭載モデルはそもそもの物件数が少なく、4.6Lモデルについては執筆時点でわずか3台とかなり希少。

プレミア価格にはなっていませんが、気になる人はじっくり探す覚悟が必要そうです。

▼検索条件

レクサス GS(初代) ×総額60万円未満× 全国

▼検索条件

レクサス GS(初代) × 全国

このように、新車時の価格を考えると10分の1以下の価格で狙うことができる旧型VIPセダンたち。

好調を維持するためにある程度のメンテナンスが必要であることを考慮しても、非常に買い得感が高いと言えるのではないでしょうか?

文/小鮒康一 写真/トヨタ、日産
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。