スバル BRZ▲水平対向エンジン+FRレイアウトで走る楽しさを追求したスバル BRZ(初代)。今年に入り、中古車の価格は下落傾向に

狙い目到来! 流通量が安定してきた結果、相場の値下がりが継続中

2021年7月に2代目へとフルモデルチェンジしたスバル BRZ。

このフルモデルチェンジと同時に初代の中古車平均価格が上昇していたが、今年に入り下落トレンドに転じている。
 

スバル BRZ ▲こちらが先月までに推移。流通量が安定している中で平均価格が下落している。フルモデルチェンジ後の混乱は完全に落ち着いたと見ていいだろう

一時は半年で中古車平均価格が20万円ほど急上昇していた。これはフルモデルチェンジで状態のいい中古車、価格の安い中古車が市場に出てくることを狙っている人が多いため。特に低価格帯の中古車は市場に出てもすぐに売れてしまう傾向があり、それが平均価格を押し上げる要因となっていたと考えられる。

しかし、年明けからの半年でトレンドが変化し、逆に中古車平均価格は20万円ほど下がって7月10日現在は約193万円となっている。

その間、月間の延べ流通台数は600~700台ほどで安定している。つまり、多くの中古車の中から予算も含めた条件に合う車を探しやすい状況になってきたと言えるだろう。

そんなBRZ(初代)について、グレードの差異や中古車を探す際のポイントを紹介する。
 

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スバル BRZ(初代) × 全国
 

【モデル概要】トヨタとスバルが共同開発したFRスポーツ

スバル BRZ ▲ハンドリングの良さを追求するため低重心パッケージとFRレイアウトに

BRZはトヨタとスバルが共同開発したスポーツクーペで、トヨタからは86の名称で発売されている。

「Pure Handling Delight 新しい次元の運転する愉しさ」というコンセプトが示すように、スポーツモデルならではの爽快なハンドリングを楽しめることを目指して開発された。それを実現しているのがスバルの水平対向エンジンによる低重心パッケージとFRレイアウトだ。

スバル BRZ ▲2L NAの水平対向エンジンは、リッターあたり100馬力を達成

NAでリッター100馬力を達成した新開発の水平対向エンジンには、トヨタの直噴技術であるD-4Sが組み合わせられ、低燃費でありながら高回転まで気持ちよく回るのが特徴。

そのエンジンを可能な限り低く、そして車両中心に近づけた位置に搭載することで、低重心でバランスのいいパッケージングになっている。

トランスミッションは6速MTと6速ATが設定され、駆動方式はFR。また、気持ちいいコーナリングを実現するためにボディ剛性も徹底的に高められた。
 

スバル BRZ ▲トランスミッションは6速MTと6速ATを設定。中古車市場ではMTの方がやや多いという比率

ボディサイズは全長:4240mm × 全幅:1775mm × 全高:1300mm。

決して広いとは言えないが後部座席も備わった4人乗りとなっていて、リアシートを格納すればタイヤを4本積めるだけの積載性も確保されている(これは自分の車にタイヤを積んでサーキットを走りに行くことを想定したものだという)。

つまり、走る楽しさはもちろん、日常使いの実用性も十分担保されたモデルと言える。

スバル BRZ ▲水平基調のスポーティなインパネデザイン
スバル BRZ ▲シートはホールド性の高いバケットタイプを採用

新車時価格は205万~287万円。最も安い「RA」はカスタマイズのベース車両という位置付けで、実質的なエントリーグレーは「R」である。

2012年3月のデビュー後、2014年6月にサスペンションチューニング、2015年4月には電動パワーステアリングの特性変更やボディ剛性の強化が施された。

スバル BRZ ▲フロント、リアのデザインが変更された後期型

2016年8月にはマイナーチェンジを実施。フェイスリフトによるイメージの変更が図れた他、パワーユニットやシャシーなど走行性能に直結する部分まで大規模な変更が行われた。

エクステリアは新デザインのフロントバンパー、フェンダーガーニッシュ、リアスポイラーを採用。ヘッドライトとリアコンビランプはフルLEDヘッドライトとになっている。上級グレードの「S」はレザー調素材とレッドステッチが施されたインパネ、ニーパッド、メーターパネルなどが付く。
 

スバル BRZ ▲上級グレードの「S」にはレッドステッチが施されている

MT車の2L 水平対向エンジンは本体と給排気系の改良、剛性強化などが行われ、最高出力が5kW(7ps)、最大トルクが7N・m(0.7kg-m)アップ。

ボディには補剛材の追加と制振材の最適化が施された。足回りは新開発のショックアブソーバーが採用され、なめらかでレスポンス性に優れたコーナリング特性になった。

マイナーチェンジ以降も、BRZは年次改良を行いながら進化している。2017年10月にはボディ剛性が高められ、2018年9月にはサスペンションダンパーのチューニングが変更された。
 

 

【グレード構成】発売途中で上級グレードやSTIが手がけたグレードを追加設定

デビュー時のグレード構成は以下のとおり。

・「RA」:カスタマイズのベース車両
・「R」:快適性と燃費性能をバランスさせた標準グレード
・「S」:走りの装備と快適装備の充実した最上級グレード

「S」はエアコンがオートになり、本革シートやシートヒーターをオプションで選ぶことができた。
 

スバル BRZ ▲台数限定で発売された「tS」。中古車市場では20台程度しか流通していないレアモデル

2013年8月にはSTIがチューニングを手がけた「tS」が500台限定で設定された。「tS」は2015年6月にも300台限定で発売されている。
 

スバル BRZ ▲「GT」にはブレンボ製ブレーキシステムが備わる

2016年10月にはZF製のザックスダンパーやブレンボ製ブレーキ、専用17インチアルミホイールを装備する最上級グレード「GT」が新設定された。

また、2017年10月にはSTIと共同開発した「STI スポーツ」が新設定されている。
 

 

【オススメの中古車】前期型の上級グレード「S」はお得度高し

2022年7月現在、初代BRZの中古車は約420台流通。このうち半数以上の約280台が6速MTという状況だ。中古車の価格帯は総額110万~580万円と幅広く高価格帯はカスタマイズされた中古車になる。

主要グレードの流通台数と価格帯は以下のとおり。

・「R」:約60台 総額110万~340万円
・「S」:約260台 総額110万~580万円
・「GT」:約30台 総額220万~320万円
・「STI スポーツ」:約30台 総額270万~380万円
・「tS」:約15台 総額170万~300万円
 

スバル BRZ ▲流通量が多いのは上級グレードの「S」。快適装備が充実しているので普段使いにも向いている

購入価格を抑えるなら前期型が軸になるが、上級グレードである「S」を積極的に狙うことをオススメしたい。
 

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スバル BRZ(初代) × 「S」

「S」の流通量が多いこともあり、「R」と「S」の価格差がほとんどなくなっている。そうなるとフルオートエアコンなどが備わる「S」の方が狙い目と言える。

低価格帯はほとんど6速ATで、6速MTが見つかるようになるのは総額160万円くらいから。走行距離などの条件も考えると、MT車が欲しい人は180万円ほどの予算を組んでおくと中古車が探しやすくなるだろう。
 

スバル BRZ ▲シャープなハンドリングを実現するチューニングが施された「STI スポーツ」

走りに振ったモデルが欲しい人には、STIが手がけた「STI スポーツ」をオススメしたい。
 

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スバル BRZ(初代) × 「STI スポーツ」

流通台数は少なめだが、後期型で追加されたモデルということもあり、ほとんどの中古車が走行距離5万km以下。条件がいいものを買いたい人は、なるべく早めに決断した方がいいだろう。

低走行の初代BRZが欲しい人も今が狙い目。
 

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スバル BRZ(初代) × 走行距離2万km以下

今ならまだ走行距離2万km以下のものが60台ほど流通している。価格は6速ATが総額150万円から、6速MTが総額170万円から見つかる。
 

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スバル BRZ(初代) × 全国

※記事内の情報は2022年7月11日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/スバル

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL