デカくイカツいSUVが苦手ならプジョー 3008(現行型)はどう? サイズもデザインも控えめだけど上品なフレンチSUV
カテゴリー: 特選車
タグ: プジョー / SUV / クロスオーバーSUV / クルマを選び始めた人向け / AT / プラグインハイブリッド / FF / フルタイム4WD / 3008 / 田端邦彦
2022/07/13
デザインコンシャスだけど実力もあるクロスオーバーSUVの大穴
デザインが抜群にカッコ良く、総合的に見ても魅力的。欧州では結構売れているのに、なぜか日本ではあまり見かけない……プジョー 3008(現行型)はそんなモデルだ。
ボディサイズでいうとレクサス NXよりもやや全長が短く、全幅、全高はかなり近い。日本の道路事情を考えてもちょうどいいサイズ感であり、使い勝手は悪くない。
にもかかわらずデビューから5年たった今も日本でまだレアな理由は、「プジョーにクロスオーバーSUVのイメージがない」「フランス車でも日産、三菱とアラアインス関係にあるルノーと違い、ブランド自体に馴染みがない」「フランス車ってよく故障しそう」といった、いわば偏見に近い思い込みによるものだろう。
実車を肉眼で見て、シートに座れば、必ずや魅力が分かるはず! さすれば日本であまり流通していない事実にも、むしろプレミア的な価値が感じられるはずだ。
そして、「まだみんなが実力に気づいていない」車だからこそ中古車市場ではお得だったりもする。今回はそんなプジョー 3008(現行型)の実力を検証し、中古車市場で“買い”のモデルを見極めてみたい。
▼検索条件
プジョー 3008(現行型)× 全国【ボディサイズ・デザイン】ちょうど良いサイズと前衛的デザインが魅力
3008(現行型)のボディサイズを比較的車格の近い、レクサス NX(現行型)、マツダ CX-5(現行型)と比べると下記のとおりとなる。
3008|全長:4450mm × 全幅:1860mm × 全高:1630mm
NX|全長:4660mm × 全幅:1865mm × 全高:1640 mm
CX-5|全長:4575mm × 全幅:1845mm × 全高:1690 mm
全幅は3モデルとも近い数値だが、全長はNXより210mm、CX-5より125mm短い。
3008の全長が短めである理由は単純で、ロングホイールベース版の5008が存在するからだ。5008は3008のホイールベースを単純にストレッチした車種で、こちらの全長は4640mmとNX同等。ショートモデルとロングモデルというすみ分けだが、その割りにあまり差異がない。
しかし、この“やや短め”な全長が、実はとても運転がしやすい。最小回転半径は5.6m(NXは5.8m、CX-5は5.5m)と小回りが利き、アップライトなドライビングポジションのために見切りも悪くない。
そのうえで後席や荷室のキャパシティも必要十分。日本に最適化されたようなボディサイズ、と言っても過言ではないのである。
そして3008最大の魅力がエクステリア、インテリアにおけるデザインセンスの良さだ。
クロスオーバーSUVではエンジンフードをスラントさせ、山なりのフォルムとする車種が多いが、3008はあえてフロントセクションの存在感を強調。ボディ下部に厚みをもたせることでSUVらしい力強さを醸し出している。
剃刀で切ったようなエッジ感のあるフロントセクションなどは個性の塊だ。元々かなりとがったデザインだったが、2021年1月以降の後期型ではライオンの牙をモチーフとした縦型フロントデイタイムライトなどが採り入れられ、さらに斬新な造形となった。
ステアリングを極端に小径化&楕円化し、コンソールのスイッチを運転車側に向けたインテリア「i-Cockpit」はやや狙いすぎて操作性や視認性が犠牲にされている感もあるが、逆に言えば国産、ドイツ車では味わえない個性を有しているということだ。
【動力性能・走行性能】個性豊かな3種類のパワーユニット
3008に搭載されているパワーユニットは、下記の3種類(「」内はグレード名)。
・1.6L 直列4気筒 ガソリンターボ:「アリュール」「アリュールLEDパッケージ」「GTライン」
・2L 直列4気筒 ディーゼルターボ:「GTブルーHDi」(2017年6月~)「アリュール ブルーHDi」
・ハイブリッド(1.6L 直列4気筒 ガソリンターボ+モーター):「GTハイブリッド4」
このうち、ガソリン車とディーゼル車はFF(前置きエンジン・前輪駆動)、ハイブリッドのみがフルタイム4WD仕様となる。
なお、ディーゼル車は2018年7月のマイナーチェンジで、ガソリン車は2019年5月のマイナーチェンジでATが6速から8速に変更された。
ガソリン、ディーゼルともターボで積極的に過給されていることにより、小排気量でもストレスは感じない。ただ6速のモデルはアクセル操作のレスポンスがいまひとつ、という声もある。キビキビした走りを求めたい人はトランスミッションが8速化されたモデルを選ぶと良いだろう。
乗り味はフランス車らしい、しなやかな猫足……と言いたいところだが、最近のフランス車は日本車、ドイツ車の動向をよくチェックしているらしく、適度に引き締められた乗り味となっている。街乗り、ワインディングで気持ち良く走ることができ、高速走行でも不安を感じることはない。静粛性の高さも好評で、ロングドライブに出かけたくなる快適さだ。
一方のハイブリッドはシステム最高出力:300ps、最大トルク:520N・mという強烈なスペックをもつ、文句なしに刺激的なモデル。「ハイブリッド」と名乗っているが、実は外部給電も可能(ただし急速充電には対応しておらず、普通充電のみ)な「プラグインハイブリッド」なのだ。
制御も緻密で、国産ハイブリッド車にも決して見劣りしない。しかも、このグレードだけフルタイム4WD、リアサスペンションがマルチリンク式(他はトーションビーム式)になるという特典付き。
新車価格565万~627.1万円という最上級グレードとなっているがスペックでも他のグレードを圧倒している。
【安全性能・装備】どのグレードでも満足できる充実した装備
3008(現行型)は2017年にデビューした車種だけあり、安全性能についてもプジョー独自の先進安全技術「ADAS」が採用され、衝突被害軽減ブレーキ、レーンキープアシストを装備するなど、現代の水準にかなった内容となっている。追従機能付きのクルーズコントロール、ブラインドスポットモニターといった運転支援装備も全く不足ない。
2021年1月以降の後期型では、ハンズフリー電動テールゲートが標準装備となり、すべての「ADAS」機能が全車標準となった。
「アリュール」と上級グレードにあたる「GT」系グレードにおける装備内容の違いは、路面状況ごとに走行モードを選べる「アドバンスドグリップコントロール」やコーナリングランプの有無、ダッシュボード表皮の材質など。
最上級グレードにあたる「GT ハイブリッド4」に360°カメラやパークアシスト、パノラミックサンルーフなどが装備される。
【オススメの中古車】200万円台から狙える「アリュール LEDパッケージ」はお得度高し
デビュー当時の新車価格は354万~400万円で、プジョーの中では高級な価格帯に属する3008(現行型)。後期型では最廉価の「アリュール」も424.5万円、最上級の「GT ハイブリッド4」に至っては600万円オーバーと高価格帯への移行が進んだ。
それでも中古車市場での平均価格は330万円台と、現行型でしかもデビューから5年ほどしかたっていないモデルであることを考えると、なかなかお得。前期型のガソリン車なら支払総額200万円台から狙うこともできる。
▼検索条件
プジョー 3008(現行型) × 前期 × ガソリンモデル現在170台ほど中古車市場に流通している3008(現行型)のうち、約3割の物件は300万円以下だ。
この価格帯での狙い目は、機能装備が充実した「アリュール LEDパッケージ」。流通量こそ少ないが、走行距離5万km以下の物件も複数台見つけることができる。
長く乗ることを考えてプレミアム感を重視するなら、外装からインテリアまで高級装備が満載された「GTライン」がオススメ。
▼検索条件
プジョー 3008(現行型) × 「GTライン」前期型で250万~420万円、後期型で420万~500万円の価格帯となる。
「GT ハイブリッド4」も魅力的なグレードだが、登場して間もないために流通量は十数台とかなり少なめ。このグレードを狙っている人は、頻繁に物件チェックをした方が良さそうだ。
▼検索条件
プジョー 3008(現行型) × 全国※記事内の情報は2022年7月7日時点のものです。
自動車ライター
田端邦彦
自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。