ダイハツ コペン▲軽ハイトワゴンが全盛の中、軽自動車のオープンスポーツカースタイルを堅持するコペン。ライバルと目されたホンダS660が販売終了となり、ますます貴重な存在になってきた

初代の登場から20周年! 今も色あせない軽オープン

「誰もが気軽に楽しめる本格的オープン・スポーツカー」として、2002年6月に登場したダイハツ コペン。

2014年6月に2代目へとフルモデルチェンジし、2022年6月には初代登場から20周年を迎えたが、軽自動車の2シーター・オープン・スポーツカーでこれだけ長い間愛されてきた車も珍しい。

初代の誕生日ともいえる6月19日には、「20周年記念特別使用車」が1000台限定で受注開始されたが、わずか5日間で受注終了したことからも、その人気の高さをうかがうことができる。

そんな名車のコペンだが、今の中古車市場はどのようになっているのか?

節目となるこのタイミングで、モデル概要を振り返るとともにチェックしていこう!

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ダイハツ コペン(初代)
走るのが楽しくなる軽自動車の2シーターオープンカー

ダイハツ コペン(初代)▲当時のミラをベースに開発された初代コペン。軽自動車初の電動格納式となるアクティブトップは、スイッチを押せば約20秒で開閉が完了する

2002年6月に登場した初代コペン。電動格納式オープンルーフの「アクティブトップ」と、簡単にルーフを着脱できる「ディタッチャブルトップ」という2種類の“屋根”を備えた2シーターの軽オープンカーだ。

専用チューニングされているとはいえ、軽自動車規格の660ccターボエンジンの最高出力は64ps。他のスポーツカーに数値はかなわない分、ちょっと交差点を曲がっただけでも口角が緩んでしまうような、走ることが楽しくなるスポーツカーとして開発された。

アクティブトップより軽量なディタッチャブルトップには、スペシャルチューンドサスペンションとリアパフォーマンスブレース等を備えた「スポーツパック」が標準装備され、よりスポーツ走行を楽しむことができた。

コペン(初代)▲アクティブトップは、フロントウインドウ上部にあるロックを解除し、サイドブレーキ脇にあるスイッチを押すだけでオープンカーに
コペン(初代)▲ルーフとリアウインドウ部分が一体となったディタッチャブルトップ

トランスミッションは、どちらのタイプにもマニュアル操作が可能な4速ATと5速MTが用意され、駆動方式は2WD(FF)のみ。

すべてのコペンは、熟練工が揃うエキスパートセンターで生産されていたことからも、ダイハツの本気具合がわかる。

デビュー時の車両販売価格はアクティブトップ/ディタッチャブルトップ、5速MT/4速ATを問わず、いずれも149万8000円だった。

コペン(初代)▲ルーフを閉めたときのラゲージ容量は210L。アクティブトップの場合、オープンにするとルーフがトランクに収まるので、その分ミニマムになる
コペン(初代)▲オーディオレスが標準。エアコンはマニュアル式。オプションでMOMO製ステアリングが本革シートとセットで用意されていた
コペン(初代)▲標準はファブリックのシート地。オプションでシーターヒーター付きの本革シートが用意されていた。ロールバーは全車標準だが、その間に備えられるエアロディフレクターはアクティブトップでは標準装備で、ディタッチャブルトップではオプションとなる
 

■中古車台数は豊富で、価格は落ち着いている

原稿執筆時点(2022年6月29日)でのカーセンサーに掲載されている物件の状況は下記のとおり。

【掲載台数】約800台
【平均価格】77.3万円
【平均走行距離】約9.6万km
【平均年式】2005年
【トランスミッション】 AT:MT=約7:3
【ルーフ】アクティブトップ:ディタッチャブルトップ=約9:1


上記のとおり、掲載台数は今のところ潤沢で平均価格も落ち着いているため、平均価格くらい、つまり支払総額100万円以下でも十分狙うことができる。

ミッション別に見てみると、MT車なら初期の2002~2003年式の走行距離7万km超のものが、10万km以上なら2007~2009年式と比較的新しいものが100万円以下で見つかる。

年式の新旧よりも走行距離の方が価格に影響しているようだ。

一方、AT車なら全体的にMT車よりも安く、支払総額100万円以下なら2002~2003年式の走行距離5万km以下も狙うことができ、10万km超なら2010年式と新し目の物件も十分に狙える。

つまり、台数の少ない速MT車の方が人気が高く、その分AT車より若干価格が高い傾向がうかがえる。

また、ルーフは電動格納式のアクティブトップが圧倒的に多く、ディタッチャブルトップはほとんど流通していない。ディタッチャブルトップが欲しいという人は、粘り強く小まめに探す必要がありそうだ。

その他、初代コペンは特別仕様車が多い。

中でもアルティメット・シリーズ(アルティメットエディション/2006年6月、アルティメットエディションII/2007年9月、アルティメットレザーエディション/2009年9月、アルティメットエディションS/2010年8月)は、アクティブトップをベースにビルシュタイン製ダンパーやBBS製アルミホイール、レカロシートなどが備わり、お買い得感がある。

原稿執筆時点で、同シリーズは支払総額約50万円から見つかり、支払総額200万~250万円の予算を組めるなら走行距離3万km未満も狙える。

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ダイハツ コペン(2代目・現行型)
4つのデザインを身にまとった軽オープンスポーツカー

コペン(現行型)▲写真はローブ。ボンネットフード/フロントバンパー/フロントフェンダー/ロッカー/トランクフード/フューエルリッド/リアバンパー/リアフェンダーを好みの色やデザインに変えることができる

2014年6月に2代目となる現行型へとフルモデルチェンジしたコペン。

新骨格構造「D-Frame」によって、オープンカーながらもスポーツカーに求められる高剛性ボディを手に入れた。

搭載されたエンジンは660ccターボで、これに7速変速モード付きCVTか5速MTが組み合わされる。

また、外板を13個の樹脂パーツの集合体とし、購入後にその一部を変更すればユーザーの好みのデザインにできる、いわば着せ替えが可能なことが現行型のもうひとつの大きな特徴だった。

コペン(現行型)▲外板を13個の樹脂パーツの集合体と捉え、車は購入後のデザイン変更が難しいという固定概念を覆し、購入後も好みに合わせたデザイン、カラー変更を可能とした

デビュー時は「ローブ」と呼ばれるデザインで登場。2014年12月にはもうひとつのデザイン「エクスプレイ」が、2015年6月には3つ目の「セロ」が追加された。

さらに2019年にはトヨタとの共同開発により、ボディ剛性が一層高められたスポーツモデル「GRスポーツ」が第4のモデルとしてラインナップに加えられた。

コペン(現行型)▲タフ&アグレッシブをデザインコンセプトとする「エクスプレイ」。内装はブラック基調。車名は公募で決められた
コペン(現行型)▲フレンドリー&ダイナミックエボリューションをデザインコンセプトとする「セロ」。インテリアはローブ同様ベージュ基調で、セロ専用のレッドインテリアパックがオプションで用意された。また、リアランプはLEDが放射状に配置され、万華鏡のようなきらめきを放つ
コペン(現行型)▲トヨタ車のスポーツブランド「GR」の名を冠する「GRスポーツ」。フロントフェイスはGRシリーズに採用されているデザインとなり、インテリアでは専用のレカロシートやメーターなどが備わる

このように現時点では4種類のコペンが用意されている。

実はローブをセロに替えることが可能な他、エクスプレイのストリート仕様への着せ替えパーツは販売されている。

しかし、当初想定されていたほどの縦横無尽な “着せ替え”はあまり進んでいない。

中古車を購入する際は、やはり従来の車のように、気に入ったエクステリアデザインやボディカラーのコペンを購入する方が良さそうだ。

4つのラインナップが揃った2021年10月の一部改良時での車両本体価格は、188万8700~243万7200円だった。

コペン(現行型)▲ヘッドライトおよびリアライトはLED。初代と異なり、ルーフは電動開閉式のみとなる。開閉時間は約20秒。トランク容量は数値こそ公表されていないが、初代より大きくなった
コペン(現行型)▲ローブの標準のインテリアはベージュ基調。オプションでブラックインテリアパックも用意された。オーディオレスが標準で、オートエアコンは標準装備
コペン(現行型)▲2018年12月に200台限定で販売されたコペンクーペ。樹脂製ハードルーフを備えた2人乗りのクーペだ。フロントスーパーLSDやBBS製鍛造アルミホイール、曇りにくいフロントガラス、MOMO製ステアリングが標準で備わる。他のコペン同様CVTと5速MTがある
 

■初代同様にMT車の方が若干高いが、「S」グレードはお買い得感がある

原稿執筆時点(2022年6月29日)でのカーセンサーに掲載されている物件の状況は下記のとおり。

【掲載台数】約600台
ローブ:340台
セロ:160台
エクスプレイ:60台
GRスポーツ:40台
【平均価格】160.3万円
【平均走行距離】約3.8万km
【平均年式】2016年
【トランスミッション】 CVT:MT=約7:3


トランスミッション別に見ると、CVT車は約440台、5速MT車は約160台と、初代同様にMT車の割合が低い。

MT車の場合、平均価格よりも安い支払総額150万円以下で見てみると、ほとんどが走行距離5万km超または修復歴ありの物件となる。

ただしCVT車なら、台数は少ないが支払総額150万円以下で、走行距離5万km以下&修復歴なしを狙うことが可能。2代目でも若干MT車の人気が高いようで、それに応じて価格も少し高めだ。

ボディデザインが4種類ある2代目だが、デザイン別に見るとローブ(ローブSを含む)が全体の半数を超えており、圧倒的に多い。他のタイプに先駆けて登場したということも要因だろう。

次いでセロ(セロSを含む)が多く、エクスプレイとGRスポーツは100台を下回っておりレア度は高いという状況だ。

2014年6月のデビュー時からラインナップされているローブは、走行距離10万km超の2014年式なら支払総額100万円でも狙うことができ、走行距離5万km以下&修復歴なしなら支払総額150万円あたりから、といったところ。


セロはデビューが2015年6月。こちらも走行距離5万km未満&修復歴なしなら支払総額150万円あたりから狙え、上記ローブとあまり価格は変わらないようだ。


同様に2014年11月に追加されたエクスプレイの走行距離5万km未満&修復歴なしも、支払総額150万円あたりから狙える。こちらも上記2モデルとあまり価格は変わらない。


一方で、2019年に登場したばかりのGRスポーツは、新車時車両本体価格が他モデルより高い238万~243万5000円。それが原稿執筆時点で約216万~263万円だから、新車時より高い中古車もあるという状況。

もちろんカーナビなどオプションを装備しているなどがあるだろうが、今のところ「中古車だから安く買える」ということはないと言えそうだ。


なお、ローブSなどの「S」が付くモデルは、ビルシュタイン製ショックアブソーバーやレカロ製シートなどが備わる上級グレードで、新車時の車両本体価格はベースグレードより約20万円高かったが、中古車になるとその差はグッと縮まっている。

「S」の付くモデルでも、走行距離5万~10万km&修復歴なしなら支払総額約130万円から、走行距離5万km未満&修復歴なしで約160万円から狙うことができる。

装備充実のグレードを狙うなら「S」の付くモデルを中心に探すのがオススメだ。

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文/ぴえいる、写真/ダイハツ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。