ボルボV40(絶版)▲デビューした2013年はライバルたちも衝突被害軽減ブレーキを搭載し始めた頃。V40/V40クロスカントリーは後に標準装備する10種類もの先進安全運転支援機能を用意し、安全面での優位性をアピールした

先進の安全運転支援機能を備えたCセグメントのハッチバック

ボルボのエントリーモデルとして販売されていたボルボ V40と、その派生モデルであるV40クロスカントリー。

フォルクスワーゲンゴルフなど強豪ひしめくCセグメントで、ボルボらしく先進の安全運転支援機能などで勝負したハッチバックだ。

同社の電動化など戦略の見直しに伴い2019年末に生産が終了して絶版となったが、生産終了時と比べ、今ならどちらも約70万円も安くなり、お買い得感が増している。

エンジンバリエーションが豊富な両車だが、狙うならどれがベスト? 早速見ていこう。

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ボルボV40(2代目)×全国

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ボルボ V40クロスカントリー(初代)×全国
 

中古車相場状況
順調に値落ちしているが、中古車台数も徐々に減ってきている

生産が終了してもしばらく値落ちしにくい車もあるが、V40/V40クロスカントリーの場合は順調に値落ちが進んでいる。

生産終了直後の2020年1月時点の中古車平均価格は、V40が221.7万円、V40クロスカントリーが265.0万円だったが、2022年4月時点でそれぞれ156.5万円と196.7万円となり、どちらも70万円近くも値落ちしていることになる。

これは、両車の実質的な後継車XC40への乗り替えがスムーズに行われたことや、そもそもCセグメントは国産輸入車問わずライバルがたくさんあり、そちらの新車や中古車といった選択肢が豊富だということがあるだろう。

ボルボ V40の価格推移グラフ▲V40の中古車平均価格は生産終了直後から順調に下がり、特に2021年にはそのスピードを早めた。2020年1月に比べ65.2万円安くなった
ボルボ V40クロスカントリーの価格推移グラフ▲V40クロスカントリーも同様に順調な値落ちを見せ、2020年1月より68.3万円も安くなっている

といっても、このままさらに値落ちを待つのは得策と言えそうにない。なぜなら中古車台数が減ってきているからだ。

V40の場合は生産終了後2020年6月までは1400台前後が流通していたが、同年末には1000台を切り、2021年と2022年は900台前後を推移している。

V40クロスカントリーも2020年5月に390台を記録した後は下降し、やはり2021年に入ると220台前後を推移しているという状況だ。生産が終了した絶版モデルゆえ、今後急激に中古車台数が増えることはないだろう。

現時点での平均走行距離を見てみると、いずれも4万km程度でまだコンディションの良い中古車が狙える。台数が安定している今のうちに、良コンディションのV40/V40クロスカントリーを狙おう。

ボルボ V40の延べ掲載台数推移グラフ▲V40の延べ掲載台数はまだまだ豊富とはいえ、生産終了直後に比べると6割程度まで減少していることがわかる
ボルボ V40クロスカントリーの延べ掲載台数推移グラフ▲もともとそこまで延べ掲載台数は多くなかったV40クロスカントリーだが、直近は200台半ばまで減っている
 

モデル概要をおさらい!
多彩なエンジンラインナップ。安全装備はデビュー時から充実

ボルボ V40(2代目)▲AピラーとCピラーが大きく寝た流線型フォルムが当時のボルボデザイン。スポーツモード付きダイナミックススタビリティ&トラクションコントロールをはじめ、積極的にスポーツ走行を楽しめる機能が用意されていた
ボルボ V40クロスカントリー(初代)▲V40より最低地上高で10mm高いV40カントリー。ただし、全高で見ると30mm 高い1470mmなので都市部の立体駐車場に十分対応できる。運転席電動シート、フロントシーター、ヒルディセントコントロールなど装備も充実していた

では、V40/V40クロスカントリーはどんなモデルだったのか、簡単に振り返っておこう。

V40が日本デビューしたのは2013年2月、V40クロスカントリーは同年5月。V40は最高出力180ps/最大トルク240N・mの1.6L直列4気筒ガソリンターボ(グレードはT4)を、V40クロスカントリーは213ps/300N・mの2L直列5気筒ガソリンターボ(同T5)を搭載。

いずれもトランスミッションは6速ATで、V40は2WD(前輪駆動)、V40クロスカントリーはフルタイム4WDのみという設定だ。

両車とも衝突被害軽減ブレーキを標準装備とした他、世界初の歩行者エアバッグをオプションで用意していた。

ボルボ V40(2代目)▲デビュー後1年経たずにオプションから標準装備になった10種類の安全機能の中には、後方の死角や隣り車線から接近する車を検知する機能もある。オプションでステアリングを自動で操作する縦列駐車支援機能も用意されていた
ボルボ V40(2代目)▲7インチディスプレイは標準装備。USB&AUX端子が備わる他、ブルートゥースにも対応するオーディオが備わる。メーター色は3種類、アンビエントライトも7色用意されていた

中古車を選ぶ際は、先進安全機能の進化とパワートレインの変更に注意したい。下記、ポイントになる変更内容と時期をまとめた。

・2013年4月:V40に213ps/300N・mの2L直列5気筒ガソリンターボ×6速ATを搭載するT5 Rデザインが追加された。

・2013年12月:従来はパッケージオプションだった10種類のセーフティパッケージが両車の全車に標準装備された。具体的には全車速追従機能付きACCや車線逸脱警報機能、眠気警報機能、ハイ/ロービーム自動切替機能などが含まれている。なお、2014年12月にこれらの安全運転支援機能は「インテリセーフ・テン」という名称が与えられた。

・2014年11月:V40のT5 Rデザインのパワートレインが245ps/350N・mの2L直列4気筒ガソリンターボ×8速ATに変更された。

・2015年3月:V40クロスカントリーのT5も上記2Lガソリンターボ×8速ATに変更された。駆動方式は引き続き4WDだ。

・2015年7月:両車に190ps/400N・mの2L直列4気筒ディーゼルターボ×8速ATを搭載するD4と、同年8月には152ps/250N・mの1.5L直列4気筒ガソリンターボ×6速ATのT3が追加された。なお、V40クロスカントリーのD4とT3は2WDとなる。

・2016年7月:マイナーチェンジが行われ、T字型のLEDヘッドライトが全車に装備された。また、アルミホイールの径の大きさやクロス生地/本革、高級オーディオなど、装備の違いにより、同じエンジン搭載車でもグレードが細分化されるようになった。価格の安い順からキネティック<モメンタム<インスクリプション(V40クロスカントリーはサマム)となる。

・2017年2月:V40にエントリーグレードのT2が追加された。パワートレインはT3同様1.5L直列4気筒ガソリンターボ×6速ATだが、最高出力122ps/最大トルク220N・mに抑えられ、ヘッドライトもマイナーチェンジ前のハロゲンライト仕様となる。

以降は特別仕様車が発売されたくらいで、大きな変更はなく2019年末に生産が終了した。

ボルボV40(絶版)▲2016年7月にマイナーチェンジでフロントまわりが変更となり、他のボルボ車同様、北欧神話由来のトールハンマーを模したT字型LEDヘッドライトに変更された

以上を踏まえ、今狙うならどんな物件が狙い目なのかを見てみよう。

 

安さ重視なら「初期型・V40 T4系/V40クロスカントリー T5」がオススメ

順調に値下がっているV40(2代目)の中古車平均価格よりもさらに安く、具体的には総額150万円以下で狙う場合を考えてみよう。

この価格帯では、V40/V40クロスカントリーどちらもデビュー時のグレードが最も多い。

具体的には、どちらも2013~2014年式で、V40なら1.6LガソリンターボのT4系、V40クロスカントリーなら2LガソリンターボのT5だ。V40なら支払総額50万円から、V40クロスカントリーは同80万円から狙える。

V40のT4はベースグレードのT4と上級グレードのT4 SEがあるが、台数はT4 SEの方がT4の約2倍と多い。SEはベースグレードに対して運転席電動シートやフロントシートヒーター、ヘッドライトがハロゲンからキセノンになるなど装備が充実している。

ベースモデルに比べそこまで高くなるわけではないため、積極的に狙ってみてはどうだろう。

一方のV40クロスカントリーのT5はデビュー当初から2015年までモノグレードだったが、そもそもV40のT4 SE同等の装備が標準で備わっていたので、心配は不要だ。

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ボルボ V40(2代目)×2013~2014年式×T4/T4 SE×全国

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ボルボ V40クロスカントリー(初代)×2013~2014年式×T5×全国
 

機能重視なら、熟成された「後期型・D4系」を!

日進月歩の安全運転支援機能。装備内容自体はデビュー時からずっと変わらないが、精度は年々進化している。そのため予算が許すなら熟成の後期型がオススメだ。

もちろん、先進安全運転支援機能だけでなく走行性能も改良されている。

中でもオススメなのが2015年7月からV40/V40クロスカントリーどちらにも追加された、2Lディーゼルターボ×8速ATのD4。

ガソリンと比べ安い軽油になるから維持費も助かるし、今後の電動化でガソリン車より先に消えるであろうディーゼル車の力強い加速感を今のうちに味わっておくことができる。

V40の場合キネティックより装備の充実したモメンタムや、その上のインスクリプションの方が台数は多く、走行距離5万km未満の2017年式インスクリプションで支払総額約180万円から狙える。

V40クロスカントリーも同様で、モメンタムとその上のサマムが多く、走行距離5万km未満の2017年式モメンタムで支払総額約240万円から狙える。

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ボルボ V40(2代目)×ディーゼル×全国

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ボルボ V40クロスカントリー(初代)×ディーゼル×全国
 

もう手に入らない!? 貴重なポールスターを今のうちに手に入れる

ポールスターといえば、ボルボのハイパフォーマンスモデルを開発してきた会社で、いわばBMWのMやメルセデス・ベンツのAMGに当たる。しかし、昨今の電動化の流れから、2017年に高性能電気自動車ブランドとして活躍することを発表した。

つまり、今後は内燃機関車のポールスターは見られないってこと。そうなると中古車で良コンディションが狙える今のうちに、内燃機関車のポールスターに乗っておきたくなる人もいるのではないだろうか。

V40には2017年に発売されたポールスターモデルがある。2LディーゼルターボのD4をベースに開発され、同年1月に限定150台で販売されたD4 Rデザイン・ポールスターエディションと、同年10月に限定50台で販売されたD4 Rデザイン・チューンドバイ・ポールスターだ。ディーゼル車のハイパフォーマンスモデルというのも珍しい。

いずれも最高出力190ps/最大トルク400N・mは200ps/440N・mに高められ、専用のエグゾーストセットやショックアブソーバー&コイルスプリング、19インチアルミホイールなどが装備されている。もちろん安全運転支援機能はベース車同様だ。

デビュー時の車両本体価格はどちらも499万円だったが、原稿執筆時点で走行距離5万km未満が支払総額約250万円で狙える。

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ボルボ V40(2代目)×D4 Rデザイン・ポールスターエディション/D4 Rデザイン・チューンドバイ・ポールスター×全国

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ボルボV40(2代目)×全国

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ボルボ V40クロスカントリー(初代)×全国
文/ぴえいる、写真/ボルボ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。