マツダ MPV ▲マツダのフラッグシップミニバンでありながら、スポーティさも兼ね備えていた3代目MPV

総額50万円から狙える格安3列シートミニバン

クロスオーバーSUV人気が全盛の現在ではありますが、ファミリー層などにはまだまだ人気の高い3列シートミニバン。中でもスライドドアを備えたモデルは利便性も高く、中古車市場でも安定した人気を誇っており、「なかなか値段が下がらない」とお嘆きの方も多いでしょう。

また、そもそもミニバンユーザーは「子供の乗せ降ろしが便利」という面に惹かれることも多く、子供が大きくなるまでのいわゆる「つなぎの車」として考えているような人もいらっしゃるかと思います。

このように「数年間乗れればいい!」と割り切るのであれば、比較的安価な物件でも大いにアリと言えるのではないでしょうか?

そこでオススメしたいのが、3代目マツダ MPVです。

車名の由来は、多目的な用途に対応した車両という意味の「Multi Purpose Vehicle」で、今回ご紹介する3代目モデルは2006年に登場しました。

マツダ MPV ▲ワイド&ローなフォルムではあるが、実は同時期のアルファードやエルグランドと全長・全幅はほぼ同サイズとなる

では、気になる中古車の状況はどのようになっているのでしょうか?

3代目MPVは、2006年2月~2016年4月までと長期にわたって販売されていたモデルのため、低年式車から比較的高年式のモデルまで幅広く存在しています。

そして、全体の平均車両本体価格ですが、原稿執筆時点では40.7万円とかなり安くなっています。

中には10万円を切るような激安物件も存在し、総額50万円以内の選択肢もそこそこあります。一方で、180万円ほどの高価格物件もあるため、何を優先するかで選び方も変わってくることでしょう。

そこで、まずはMPVの概要について、次いでオススメの選び方について、順を追って紹介していこうと思います。

▼検索条件

マツダ MPV(3代目) ×全国

ライバルと一線を画すスポーティミニバン

ここで、改めて3代目MPVはどんなモデルだったのか振り返ってみましょう。

「スポーツカーの発想で、ミニバンを変える」というキャッチコピーで登場した3代目MPVは、ワイド&ローなスポーティなフォルムが最大の特徴。

全長と全幅は、同時期のトヨタ アルファード(2代目)や日産 エルグランド(2代目)といったライバルとほぼ同等ですが、全高は20cm以上低い1685mmと、低く構えたスタイルが一線を画していました。

とはいえ、ミニバンとしての機能もしっかり有しており、さらにはマツダ独自の「カラクリシート」と呼ばれる機構を装備。

例えば、セカンドシートは一見するとキャプテンシートの2名乗りに見えますが、このキャプテンシートを横方向にスライドさせることでベンチシート化することができ、3名乗車を可能になります。

マツダ MPV ▲2列目キャプテンシートを横方向にスライドさせることでベンチシート化することができるというアイデア

当然、シートの幅自体はキャプテンシートのときと変わらないため、ゆとりがあるわけではありません。しかし、エマージェンシー用として割り切れば非常に有用な機能と言えるでしょう。

ただし、2012年11月の仕様変更で2列目シートは2名乗車のみとなってしまっているので、この機能を狙う人はそれ以前のモデルを探す必要がある点には注意してください。

また、メーカーオプションで2列目シートをオットマンや座面角度調整機構、スイング機構付き大型ヘッドレストが備わるスーパーリラックスシートに変更することも可能だったため、2列目の快適性を重視するのであれば、このオプション装着車を狙うのも良いでしょう。

マツダ MPV ▲フラッグシップミニバンだけに2列目シートをオットマンなどを備えたシートへ変更するオプションも用意されていた

3列目シートについては、シートのストラップを引くだけで座面を沈み込ませながら背もたれを倒すことができ、簡単にフラットな荷室を作り上げることができます。

普段はシートを倒してステーションワゴン的な使い方をし、人が乗るときだけシートを起こすといった使い方も可能ですね。

マツダ MPV ▲サードシートを格納すると広いスペースに。倒したシートを電動で起こすことができる装備も一部に設定されていた

そして、同世代のライバルと大きく異なるのがパワートレインです。

搭載されるエンジンは、同時期のマツダ車に多く採用されていた直列4気筒2.3Lエンジンで、163psを発生するNAエンジンの他、245psの出力を誇る直噴ターボエンジンも用意されていました。

組み合わされるトランスミッションも、ターボ車と4WD車にはライバル車には採用されていない6速ATを採用し、多段ATならではの加速感と高速走行時の低燃費化を両立しています。

マツダ MPV ▲先代型に設定されていたV6 3L並みの出力を誇る2.3L直噴ターボエンジン

ただし、初期型の2WDのNAエンジンモデルは4速ATとなっているため注意が必要。スポーティな走りを求めるなら、5速ATへと改められた2008年1月のマイナーチェンジ後のモデルを狙うのがオススメです。

また、ターボエンジン搭載車は2010年7月の仕様変更で消滅してしまっているため、ターボエンジンを狙うのであればやや古めのモデルが中心となる点にも注意してください。

以上を踏まえ、今回はその魅力的な中古車価格を考慮したうえで、オススメの物件を紹介したいと思います。

とにかく安く手に入れたい!
「総額50万円台以下×2008年1月以降生産モデル×NAエンジン搭載グレード×走行距離7万km以下」

マツダ MPV ▲ベーシックなグレードでも、そこまで低グレード感がない点もMPVの美点

冒頭でもお話したとおり、「とりあえずのつなぎの車」としてミニバンを選ぶ人も多いでしょう。

ということで、まずは総額50万円台までという、かなりお手頃価格で狙う場合を考えてみました。

この価格帯では低年式の物件がメインになりますが、走行距離7万km以下に絞ってもそこそこの台数の物件がヒットします。

その中でもオススメしたいのが、2WD・NAエンジンモデルが5速AT化された、最初のマイナーチェンジ(2008年1月)以降の物件。

それ以前の4速ATの物件に比べ、MPVらしいスポーティな走りを楽しむことができます。

中には保証付きの物件が見つかることもあるため、一度チェックしてみることをオススメします!

▼検索条件

マツダ MPV(3代目) ×2008年1月以降生産×走行距離7万km以下×総額60万円未満×NAエンジン搭載グレード×全国

さらなるスポーティさを求めるなら
ターボモデル(23T系)

マツダ MPV ▲実は総額50万円で狙うことができる物件も存在するターボモデル

さらに、MPVらしいスポーティな走りを楽しめ、コスパが高いと言えるのがターボモデルの「23T」系グレードでしょう。

新車時は最高額グレードとして君臨していたモデルで、245psとミニバン離れしたハイパワーエンジンに6速ATが組み合わされ、3代目MPVの中で最もホットなモデルだと言えます。

予算は少し上がりますが、それでも走行距離5万~7万km程度の物件が総額70万円台から見つかり、NAモデルと比べてもそこまで価格差があるわけではありません。

もともとスポーツカーに乗っていたりと、スポーティな走りを求める人にもオススメです。

▼検索条件

マツダ MPV(3代目) ×「23T」系グレード×全国

このように、だいぶお手頃な価格でも購入することができる3代目MPV。

さすがに10年20年と維持していくのはハードルが高いかもしれませんが、数年間と割り切って乗るには打ってつけの1台ではないでしょうか。

▼検索条件

マツダ MPV(3代目) ×全国
文/小鮒康一 写真/マツダ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は初代パルサー、NA・NBロードスター、S600、インサイトなど。