最新型BMW X3が欲しいなら、まずは新車価格より300万円以上安い前期型をチェックすべし
2022/04/09
中古車市場では前期型が狙いどきに!
BMW X3はもともと、同ブランド初のSAV(BMW独自のSUVの呼称)であるX5の小型版として登場したモデルだ。
今やBMWの中でもXシリーズは売り上げの半分を占めるほどに成長したが、X3はその中でも特に売れ筋。2017年10月に登場した現行型(3代目)も新車、中古車市場で大人気となっている。
デビュー以来、新たなパワーユニットの追加などを順次行ってきたBMW X3だが、2021年10月に大きなマイナーチェンジが実施されている。
ハンズ・オフ機能付きオートクルーズの装備、外観のリフレッシュが主な変更点だが、走行性能に関わる基本的な部分はそれまでの前期型から変わっていない。
そして今、中古車市場で狙い目なのは、そのマイナーチェンジ前の前期型なのだ。
3代目X3前期型にはどんな特徴があるのか、物件を選ぶ際の条件はなにかを紹介していこう。
▼検索条件
BMW X3(3代目) × 前期型(2021年9月以前) × 全国【前期型X3がオススメの理由】機関系は前・後期共通だが400万円台前半から狙える
まずは前期型と後期型では何が違うのか、2021年10月に実施されたマイナーチェンジの内容をまとめた。
【装備・安全性能】
・先進的な運転支援機能「ドライビング・アシスト・プラス」が高性能3眼カメラ&レーダーを備えたシステム「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」へと進化し、一定の条件下において、ステアリングから手を離しての走行が可能となる「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を装備
【エクステリア】
・従来、左右で分割されていたフロントのキドニー・グリルを一体構造に。空力特性に優れたフロント・バンパー、新デザインのヘッドライトを採用
・新デザインのリア・コンビネーションランプ、リア・バンパーを採用
【グレード】
・「Xライン」の廃止
上記のようにエクステリア、特にフロントまわりのデザインはヘッドライトからグリル、バンパーまで変更されている。3代目が登場してから、ここまで大きく外観が変わったのは、このマイナーチェンジが初めてだ。
しかし、いずれもミクロ的な変化であり、基本的な造形は変わっていない。
また、運転支援機能のハンズ・オフ化も進化したポイントだが、X3はもともと先進安全機能・運転支援機能が充実しており、前期型であっても大きな不満を感じることはないのではないか。
つまり、よほど最先端の機能、現行型とすっかり同じデザインにこだわる人でない限りは、前期型で十分と言える。
加えて、マイナーチェンジ前のモデルであれば、400万円台前半から中古車を探すことができる。新車時価格が700万円オーバーの最新型と比べると、かなりの価格差だ。
さらに、前期型は300台程度の中古車が流通しており、良コンディションの物件を狙いやすい状況となっている。
上述した変更点が絶対に譲れないわけでなければ、前期型がオススメなのだ。
【ボディサイズ・デザイン】日本でも使いやすいボディサイズ
Xシリーズの中ではコンパクトに位置づけられていたはずのX3だが、3代目では、ボディサイズは全長4720mm × 全幅1890mm × 全高1675mmにまで大型化された。
国産SUVでいうところのミドルクラスを超え、ラージクラスに迫るディメンションとなっている。
その分、外観は迫力が増し、居住空間も拡大した。特に後席の居住空間はゆったりとしたサイズで、大柄な大人でも快適だ。
これが国産SUVなら多少無理してでも3列シートにするところだろうが、2列シート5人乗りと割り切っているのが潔い。
ラゲージルームもスクエアで使いやすい。大家族でない限り、キャンプなどにも十分対応できるだろう。
デザインについては比較的オーソドックスなものだが、抑揚を効かせたボディラインが豊かな表情をつくり出している。
前期型フロントグリルは左右に分割された、BMW伝統のキドニー・グリル形状。バンパー形状なども洗練されていながら、SAVとしてのたくましさを感じさせる秀逸なデザインだ。
【動力性能・走行性能】ガソリン・ディーゼル・PHEVが選べる
X3は5種類もの多彩なパワーユニットを取り揃えている。ラインナップは以下のとおりだ。
・2L 直4ガソリンターボ【xドライブ 20i】
・3L 直6ガソリンターボ【M40i】(2020年3月~)
・プラグイン・ハイブリッド(2L 直4ガソリンターボ+モーター)【xドライブ 30e】(2020年4月~)
・2L 直4ディーゼルターボ【xドライブ 20d】
・3L 直6ディーゼルターボ【M40d】(2018年9月~)
※【】はグレード名
2017年10月の3代目デビュー当初からあったのが、2L 直4ガソリンターボと2L 直4ディーゼルターボ。その後、マイナーチェンジで順次追加されていったという経緯だ。
なお、3L 直6ディーゼルターボは2020年11月にマイルド・ハイブリッド化されている。
人気なのは圧倒的に2L 直4ディーゼルターボ仕様。車両重量が2t近いことを考えても、トルクの太いディーゼルがX3によくマッチしている。
グレード名に「M」がつくモデルは、スポーティな味付けがなされたMパフォーマンス・モデル。
スポーツカーにも負けない強力な動力性能を発揮する高性能エンジンやスポーツ・サスペンション、スポーツ・ディファレンシャルなどの専用装備が奢られ、外観でも他モデルと差別化されている。
X3はシャープなハンドリング、高い剛性感で定評がある。背の高いSUVスタイルであることを感じさせず、ワンディングでは水を得た魚のように機敏に走ることが可能だ。
通常モデルでも硬めの乗り味だが、普段使いで苦痛を感じるほどではなく、路面からの入力はよくいなされてから乗員に伝わる。
ガソリン、ディーゼルともターボで過給されたレスポンスの良いエンジンは、車体の重さも感じさせない。
一方、Mパフォーマンス・モデルの乗り味は明らかにハードであり、家族で乗るのはちょっと気が引けてしまうほど。
日常的な用途だけで判断するなら、動力性能、運動性能とも通常モデルで十分なパフォーマンスと言える。
なお、X3は全モデルがフルタイム4WD(xDrive)・8速AT仕様。2021年10月のマイナーチェンジでもパワーユニットの構成に変更はなかった。
【安全性能・装備】前期型でも必要十分以上の充実ぶり
新車価格600万円を超えるまぎれもない高級モデルだけあり、快適装備や安全装備はかなり充実している。
車内には音声認識やタッチ・スクリーンが搭載された最新のiDriveナビゲーション・システムを標準装備。
部分自動運転機能を実現する運転支援機能、後車追突警告、クロス・トラフィック・ウォーニングなどの先進安全機能をパッケージした「ドライビング・アシスト・プラス」を全車標準とするなど、通常グレードであっても装備内容には一切不満がない。
しかも、上記装備はほぼすべて3代目デビュー当初から備わっていたもので、マイナーチェンジにより追加された機能は少ない。
【中古車相場でのオススメ】パワフルなディーゼルのMスポーツが選択肢豊富でお得な状況
オススメは、3代目X3デビューと同時にラインナップされた2L 直4ディーゼルターボ仕様の「xドライブ 20d Mスポーツ」。
頼もしい動力性能に加え、Mスポーツ専用サスペンションやレザーシートなどの装備が充実、エクステリアも専用となっているグレードだ。
現在の中古車市場には約300台強の3代目X3が流通しているが、全物件の6割以上がこのグレードであり、選択肢が豊富なのも魅力。 新車価格は700万円オーバーだったが、中古車なら350万円台から狙える。
走行距離5万km以下の物件に絞っても、420万円台から狙えるリーズナブルさだ。
▼検索条件
BMW X3(3代目) × 前期型(2021年9月以前) × 「xドライブ 20d Mスポーツ」 × 全国とにかくスポーティな乗り味が好み、という人はパワフル&トルクフルな「M40d」を選ぶのも悪くない。
ただし、こちらは前述したように乗り心地がかなりハードなので、試乗してからの決断をオススメする。
また、新車価格900万円近い最上級モデルゆえ、中古車市場での価格も550万円~となる。
それ以外のガソリン車やプラグイン・ハイブリッドの流通量はそれぞれ20台程度とかなり少ないが、いずれも走行距離が少ない物件が大半を占めておりコンディションは良さそうだ。
▼検索条件
BMW X3(3代目) × 前期型(2021年9月以前) × 「M40d」 × 全国【結論】基本性能、装備でも後期型と遜色なし
ご覧いただいたように、 X3は前期型であっても現代SUVの水準から見て全く不足ない快適装備や安全装備を備えている。
特にX3の魅力である動力性能、運動性能、優れたパッケージについては前期型と後期型で大きな差がない。
現行モデルと全く外観じゃなきゃイヤだ、最先端のハンズオフ・オートクルーズが絶対に欲しい、という人以外は、前期型で十分に満足だろう。
ちなみに、X3の足回りやボディはタフで、走行距離が多少進んでいても適切なメンテナンスさえされていれば長く乗ることができる。
そうしたコストパフォーマンスの高さもX3前期型の魅力だ。
▼検索条件
BMW X3(3代目) × 前期型(2021年9月以前) × 全国※記事内の情報は2022年4月6日時点のものです。
自動車ライター
田端邦彦
自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。