メルセデス・ベンツ Eクラス(W212型)▲ガソリン車からディーゼル車、ハイパフォーマンスモデル、PHEVとバリエーションが豊富。ガソリンエンジンだけでも数機種用意された。写真は2013年のマイナーチェンジ後のモデル

世界基準のプレミアムセダン

メルセデス・ベンツの基幹モデル、Eクラス。

2009年5月にデビューした旧型(W212型)は、世界各国で数々の賞を受賞したEセグメントを代表するプレミアムセダンだ。

2016年7月に現行型へフルモデルチェンジして旧型となったとはいえ、基幹モデルらしく最新機能が満載されているのが魅力。

それゆえ、新車時の車両本体価格は最終モデルで約600万~1200万円と高額だったのだが、生産終了から約6年が経ち、中古車平均価格は約160万円とかなりお手頃になっている。

新車時の半額以下で狙える物件もザラにある状況だが、果たしてこのような旧型Eクラスは買いなのだろうか?

以下、詳しく見ていくことにしよう。

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メルセデス・ベンツ Eクラス(旧型・W212型)×全国

国産高級セダンと比べてお買い得感の高いプレミアムセダン

メルセデス・ベンツ Eクラス(旧型)▲前期型モデルは、旧々型(W211)のツインヘッドライトを踏襲。また、1950年代の「ポントン・メルセデス(W120)」の特徴的なリアフェンダーが現代風にアレンジされて、デザインに採用された

輸入車、しかもセダンとなると国産車より値落ちが進みやすいのが中古車の特徴のひとつ。

原稿執筆時点(2022年3月24日)の旧型Eクラスの中古車平均価格をを見ると、161.8万円とかなりお手頃になっている。

ちなみに、Eクラスの約3年後に登場したトヨタ クラウンアスリートの平均価格が243.3万円だから、そのお手頃感がよくわかるのではないだろうか。

一方で、平均走行距離は約5.5万kmとまだまだ良コンディションが狙える状況と言えそうだが、前期型を中心に10万km超も出始めているので、お買い得な世界基準セダンを狙うなら、そろそろ腰を上げて探した方が良さそうだ。

では、旧型Eクラスの中でもどれが狙い目なのか。

約7年間というモデルレンジの中で、多様なパワートレインが用意された他、大幅なマイナーチェンジが施された旧型Eクラスだけに、まずはモデル変遷を抑え、その魅力を見ていこう。

ガソリン車からディーゼル車、ハイパフォーマンス、PHEVと種類が豊富

2009年5月に登場した旧型・W212型Eクラス。

カーナビやオーディオ等を統合制御するコマンドシステムや、ハイ/ロービーム自動切替機能が全車に標準で備わるなど、快適性・機能性はプレミアムセダンにふさわしい内容が与えられた。

メルセデス・ベンツの基幹モデルだからだろう、新機能の開発などが行われると、時期を待たずすぐに投入された。

そのため、パワートレインは度々追加や変更が行われ、その種類も豊富。時期によってグレード名も変わっているのが特徴と言えるだろう。

かなり多岐にわたるためすべてを覚えるのは至難の業だが、購入時に確認できるよう、下記にまず前期型についてまとめておく。

【前期型】

■2009年5月(デビュー時)
・E300/同アバンギャルド:3L V6
・E350アバンギャルド:3.5L V6
・E550アバンギャルド:5.5L V8

■2009年10月追加モデル
・E250 CGIブルーエフィシェンシー/同アバンギャルド:1.8L直4ターボ
・E350 4マチックアバンギャルド:上記E350アバンギャルドの4WD

■2010年2月追加モデル
・E350ブルーテック/同アバンギャルド:3L V6ディーゼルターボ

■2011年11月(新エンジン採用)
・E300:3L V6→最高出力252psの3.5L V6
・E350 4マチックアバンギャルド:旧3.5L V6→上記と同じエンジンに。それに伴い名称をE350からE300に変更
・E350アバンギャルド:3.5L V6→306psの3.5L V6
・E550アバンギャルド:5.5L V8→4.7L V8ツインターボ



また前期型では、2011年11月に待望の衝突被害軽減ブレーキを含む「レーザーセーフティパッケージ」が設定されたことが大きな変更点だ。

E350ブルーエフィシェンシーアバンギャルドとE550ブルーエフィシェンシーアバンギャルドには、標準装備で他はオプションで用意されている。

なお、この時ディーゼルターボ車を除く全車のグレード名に「ブルーエフィシェンシー」が追加されたが、2013年5月のマイナーチェンジですべて取り払われている。

メルセデス・ベンツ Eクラス(旧型)▲E550アバンギャルドは電子制御式エアサスペンションが、その他のグレードには走行状況に応じて減衰力を自動調整してくれるダイレクトコントロールサスペンションが備わる。速度や走行状態に応じて蛇角が変化するダイレクトステアリングは全車に標準装備
メルセデス・ベンツ Eクラス(旧型)▲ステアリングシフトはステアリングコラムに備わる。前席電動シート、リアビューカメラも全車に標準装備。USBやAUX端子、ブルートゥースも標準で備わる

2013年5月のマイナーチェンジでは、4灯ヘッドライトが現行型に近い2灯デザインになり、なんと2000ヵ所以上もの変更が施された。

同時に「レーザーセーフティパッケージ」も大幅に進化し、E250を除く全車に標準で備えられた。

従来のミリ波レーダーに加えてカメラも備わり、先行車に自動追従する「ディストロニック・プラス」機能にはステアリングアシスト機能が追加された。

メルセデス・ベンツ Eクラス(旧型)▲先行車に自動追従する「ディストロニック・プラス」。駐車スペースを自動で検知して、ステアリング操作やブレーキ操作をサポートしてくれる「アクティブパーキングアシスト」機能も全車に標準装備されている

このマイナーチェンジでは新エンジンも採用され、その後も追加モデルが登場している。

そこで後期型についてもパワートレイン&グレード名を下記にまとめておく。

【後期型】

■2013年5月マイナーチェンジ
・E250/同アバンギャルド:2L直4ターボ
・E300アバンギャルド:3.5L V6※MC直前と同じ
・E300 4マチックアバンギャルド:3.5L V6※MC直前と同じ
・E350ブルーテック/同アバンギャルド:3L V6ディーゼルターボ→最高出力252ps(従来比+41ps)/最大トルク620N・m(同+80N・m)の新3L V6ディーゼルターボ
・E400ハイブリッドアバンギャルド:3.5L V6+モーター
・E550アバンギャルド:4.7L V8ツインターボ※MC直前と同じ

■2015年2月追加モデル
・E400アバンギャルド:3.5L V6ツインターボ

■2015年3月追加モデル
・E220ブルーテック/同アバンギャルド:2.2L 直4ディーゼルターボ



なお、マイナーチェンジ時の新車時車両本体価格は595万~1120万円だった。

このようにパワートレインが豊富、かつ入れ替えもあり、それによってグレード名も増えている。覚える必要はないが、購入時に見つけた気になる車が、どんなパワートレインが搭載されているのかくらいは確認しておいた方がいいだろう。

そのうえで、比較的台数が多くて選びやすいモデルを3つピックアップしてみた。ぜひ選ぶ際の参考にしてほしい。

総額100万円以内でも十分狙える手頃さ
前期型のE300アバンギャルドかE350アバンギャルド

手頃な価格で狙うなら、前期型(2009年5月~2013年4月生産)のE300/E350アバンギャルド(どちらもブルーエフィシェンシーが付く年式も含む)がオススメだ。

E350の排気量は3.5L、E300は当初3Lだったが、2011年11月以降は3.5Lとなっている。ただしそれぞれの中古車価格に大差はない。

10万km未満&修復歴なしで絞って探すと、E350アバンギャルドが2009年式・9万kmちょっとで支払総額約70万円から、E300アバンギャルドは2009年式・約7万kmで支払総額約75万円からと、いずれも100万円以下から見つけることができる。

デビュー時の車両本体価格はE300アバンギャルドが780万円、E350アバンギャルドが850万円だったことを考えると、やや年式が古いことを考慮しても破格と言って良いだろう。

上記のとおり、同じ車名でも年式によってエンジンが異なるので、改めて下記に詳細を記しておこう。

●E300アバンギャルド
・2009年6月~2011年10月生産モデル:3L V6 最高出力231ps
・2011年11月以降生産モデル:3.5L V6 最高出力252ps

●E350アバンギャルド
・2009年6月~2011年10月生産モデル:3.5L V6 最高出力272ps
・2011年11月以降生産モデル:3.5L V6 最高出力306ps

どちらも当初、衝突被害軽減ブレーキはオプションだったが、2011年11月からE350アバンギャルド(この時の名称はE350ブルーエフィシェンシーアバンギャルド)には標準装備されるようになった。

また、E300アバンギャルドも2013年5月のマイナーチェンジ以降は標準装備されている。

同機能が欲しい人は、こうした点に注意して選ぶといいだろう。

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メルセデス・ベンツ Eクラス(旧型・W212型)×前期型(2009年5月~2013年4月生産)×E300アバンギャルド/E350アバンギャルド/E300ブルーエフィシェンシーアバンギャルド/E350ブルーエフィシェンシーアバンギャルド×全国

マイナーチェンジ後のお手頃もモデル
E250アバンギャルド

デザインも含め、大幅に改良が施された2013年5月のマイナーチェンジ以降のモデルを選びたいなら、E250アバンギャルドをオススメしたい。

その理由は、まずマイナーチェンジ以降のモデルの中で約半数を占めていて選びやすいこと。

また、エントリーグレードのE250の1つ上のグレードだから新車時価格が安いため、中古車価格もそれに応じて手頃になっている。

例えば、2014年式・走行距離5万km未満&修復歴なしの物件でも、支払総額200万円程度から選べる。ちなみに、新車時車両本体価格は655万円。

そして、後期型ゆえ新世代エンジンが採用されていることも、理由のひとつだ。

前期型は最高出力204psの1.8L直4ターボだが、マイナーチェンジで最高出力211psの2L直4ターボに変更された。エントリー系グレードだが、排気量もアップして十分なパワー&トルクとなっている。しかも、JC08モード燃費は約23%向上しているのも見逃せない。

さらに、マイナーチェンジで進化した「レーザーセーフティパッケージ」が、E250アバンギャルド以上は標準装備されているのもポイントだ。

E250はオプションのままだったので、“アバンギャルド”が付くかどうかで、意外と変わってくる。

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メルセデス・ベンツ Eクラス(旧型・W212型)×後期型(2013年以降生産モデル)×E250アバンギャルド×全国

ディーゼルエンジン搭載の狙い目モデルは
E220ブルーテックアバンギャルド

日本の排ガス規制を初めてクリアしたクリーンディーゼル搭載車は、国産車ではなく旧々型となるEクラス(W211型)だった。

旧型でも2010年2月から3L V6ディーゼルターボを搭載したE350ブルーテックが登場。また、2013年5月には新型の3L V6エンジンに切り替えられた。

もちろんこれらのエンジンもいいのだが、今回オススメしたいのは一番新しいディーゼルエンジンを搭載したE220ブルーテックアバンギャルドだ。

搭載された2.2L 直4ディーゼルターボは、排気量が小さくなったことで最高出力252ps/最大トルク620N・mから177ps/400N・mと下がったものの、それでも日本の道路事情を考えれば十分な数値だ。

また、毎年の自動車税でも有利なのは言うまでもなく、JC08モード燃費は12.4km/Lから18.6km/Lへと大きく向上している。

さらに、2015年3月に追加されたため、販売期間は1年ちょっとしかないのだが、それでも中古車台数はE350ブルーテックとあまり変わらない。

つまり台数はある程度あって選びやすく、しかも高年式車で走行距離が少なく、それでいて手頃感があるのもポイントだ。

原稿執筆時点での走行距離は、ほとんどの物件で5万km未満。新車時の車両本体価格は687万円だったが、例えば2016年式・走行距離4万km程度の物件が支払総額220万円程度から狙え、こちらもお買い得感が高いと言える。

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文/ぴえいる、写真/メルセデス・ベンツ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。